2013年12月25日 (水)

RLC-70

以前EG1000Bに載せていた、軽快なタッチで大胆なベンドができ、しかもチューニングが狂わないケーラー(のコピー物)のアーミングが実は大好きで、しかし音がペラペラに薄くなってハイポジションのサスティンも皆無となる致命的な欠点があるため、何とかその欠点を改善する方法は無いものかと思索を繰り返してきたのですが、いかんせん実機での実験を行わなければ机上の空論から脱する事はできず、そのための実験機を探していたのでした。

実験機なので高額な物を買うつもりはなく(あったとしても貧乏なので買えない)、可能な限り安価で(具体的には1万円以内で)入手できないものかと思いつつ、しかしフォトジェニなどのオモチャでは実験にすらならないので、日夜ヤフオクを覗く日々が続きましたが、ちょっといいなと思う物は最終的に数万円の価格となってしまい、なかなか手に入れらずに月日が過ぎていきました。

で、ようやく希望の価格内で落札できたのが画像のBURNYです。送料込みで¥9,000という安さですが、その理由は見て分かる通りにヘッドが折れているからです。ヤフオクの画像では辛うじて繋がっているように見えたのですが、実際には完全に分離しており、しかしはめ込むと一応はきっちりと組み合うので、接着自体は普通にできそうです。問題は補強をすべきかどうかですが、すると電動トリマーでのザグリが必要となり、ぶっちゃけ今の私の技術では躊躇してしまいます。さてどうしましょう。

実はこのギター、あれこれと検索したのですが、正確な製造年やグレードが不明です。シリアルが無い事と、両脇に角が出た釣鐘型2点止めのロッドカバーから1990年前後と推測できますが、89年ならRLC-60、90年ならRLC-65、91年以降ならRLC-70(いずれも寺田楽器製)と移行するようで、しかもフロントPUのザグリからボディ内を覗くとトップがメイプルのように見えたのですが、この頃のカスタムタイプはオールマホガニーのようで、その辺もちょっと解せない部分ではあるのですが、このサイト内では取りあえずRLC-70としておこうと思います。

RLC-70

にしても、この年代のギターは木材が豊富にあったと見えて、決して上位ではない機種にも関わらず、非常に目の詰まっていながら軽量なマホガニーが使われていた事が、折れた断面とヘッド部分の軽さから分かります。ちなみに、ヘッドの突き板はプラではなくメイプルのようです。

ピックアップは前後共に名器と名高いVH-1ですが、ベースプレートなどに一切の刻印やシールなどの型番を示すものがありません。かなり不安に思って調べた結果、何も記されてない物が普通に存在している事と、グレーの被膜の単芯シールドである事、ボリュームポットの半田がバージンで交換した跡が無い事などから、正真正銘のVH-1だろうと結論付けました。

青は大好きな色で、このブルーメタリック自体はすごく綺麗な色なのですが、個人的にどうしてもレスポールに青が似合うとは思えません。ヘッド修理のサンディングやケーラー取り付けのザグリなどで部分的に塗装が落ちるでしょうから、そのうち気が向いたらリフィニッシュするかもしれません。

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  • 2013年12月26日 (木)

    早速100均でクランプを買ってきて、折れたヘッドの修理を開始してます。

    RLC-70

    予め結合具合を確認し、邪魔になりそうな細かい木屑などを取り除いた後、ネック側とヘッド側の両方の断面に丹念にタイトボンドを塗り、慎重に組み込んでからクランプで固定して、はみ出たボンドを拭き取りました。その時点での前後左右からの目視では、特に曲がってるようには見えなかったので大丈夫だと思いますが、ナット部分はネックから分離していないため、たとえヘッドのセンターが多少ズレていても弾くのに支障は無いでしょう。

    このギター、どこをどう検索してもヒットしません。フェルナンデスのカタログサイトでも見つかりません。もしかしたら、どこかのショップの企画品かもしれませんね。

    で、VH-1の抵抗値を測ってみましたが、前後共に7.9kΩ程度でした。ポットに配線したままなので多少の誤差はあるかもしれませんが、今現在で私が知り得ている中には、90年前後のモデルに搭載されていたVH-1の抵抗値は8.5kΩ前後との情報もあり、また87年以降のマグネットは、それまでのアルニコからセラミックに変わったとの情報も見つけました。もちろん鵜呑みにするつもりはありませんが、何とか正確に確認できるよう、今後も調査を続けたいと思います。

    まぁ、事実がどうであれ、出てくる音が最重要な結果なんですけどね。

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  • 2013年12月30日 (月)

    RLC-70

    ヘッドの接着は、しっかりと組み合った割れた断面と強力なタイトボンドのおかげで、ヘッドを持って本体をぶら下げても全然問題無いレベルにガッチリと付いたのですが、ぶら下げるのと弦でボディ側に引っ張るのとでは力のかかる方向が違うため、どうしても不安が残ります。なので補強を入れる事にしました。

    というか、ただ単に自分でやってみたかっただけってのもあるんですけどね。

    相変わらずの近所のホームセンターの工作室にて電動トリマーを借りての作業です。こういった作業でとにかく大事なのは事前の準備です。数値で表すなら、準備95%実作業5%というところでしょうか。ましてや電動トリマーはフリーハンドで使う物ではありません。

    RLC-70

    MST-600のザグり穴埋めで使用した板のあまりを利用して簡単な治具を作って、それに従って補強材を埋め込む溝をザグりました。

    ちなみに、治具の作成が約2時間、実際のザグり作業は約5分でしたが、この5分間は近年で最大級の半端無い緊張感でした。

    で、ガイドを作って臨んだはずなのに、どうしてこうまで器用に曲がったのかは自分でも分かりません。まぁ、埋める材をザグりに合わせて加工してやればいいので、あまり気にはしてませんが。面倒臭いですけども。

    問題は、補強材のためのちゃんとしたマホガニーが無いという事です。たったこれだけのために入手する手間暇と金を考えたら、実験機という事と相まって、前述したMST-600に使用したフィリピンマホガニー、要するにラワンでもいいかなって思ってます。

    結局は自分で工作したいだけだったのが、この辺の妥協で丸分かりですね。

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  • 2014年1月2日 (木)

    RLC-70

    補強のための材を埋め込みました。結局はラワンを使用しての完全な現物合わせの削り出しだったのですが、非常に軟らかくて作業が楽でした。と言っても、2本を削り出すのに3時間はかかりましたが、もしこれがメイプルネックだったらと思うとゾッとします。

    現物合わせで隙間無くはめ込めるように削ったので、試しに入れてみたら抜けなくなって困ったくらいに完璧にキッチリと組み込まれてます。ですので、軟らかいラワン材に不安があるのは否めませんが、無いよりかは全然安心できると思います。

    ちなみに画像は、はめ込み作業中に写真を撮る余裕が無かったため、クランプでガッチリと固定して24時間を経過した後、つまり完全に接着された後となります。

    この後、出っ張った部分を削ってネックと面一にするのですが、いよいよ音が出せると思うとワクワクします。

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  • 2014年1月4日 (土)

    RLC-70

    はみ出た補強材を削ってネックと面一にしました。元の割れた部分も見えますが、隙間無くピッタリと接着されているのが確認できます。

    この画像は、すでに弦を張ってチューニングした後に撮影しています。

    ド素人の見様見真似で適当な材を使用しての、しかも初めての経験となる処置なので、さすがにチューニングしている時は不安感でいっぱいでドキドキが止まらず、ペグを回す速度が普段の半分以下でした。が、どうにかクラックする事もなく無事に弦が張れたのは本当に嬉しく思います。

    と同時に自画自賛して慢心してる私です。

    RLC-70

    実はヘッドトップ側はひび割れだらけで、しかも一部は欠落したまま接着すらしてない状態です。なぜかと言うと、どうせいつか塗装も含めて大々的に修正しなければならないと思っていて、しかし今は音を出すのが最優先なので手を付けていないという訳です。

    で、肝心の音ですが、ぶっちゃけ期待外れでした。

    決して悪い訳ではなく、むしろ非常に良く鳴る重めのボディと弦の振動を素直にバランス良く拾うPUと定価7万円というグレードを考えれば、本当に良くできたギターというのが正直な感想で、ライブでもレコーディングでも十分に活躍できる個体だと思います。が、私がVH-1というPUの評判を過大評価してしまい、同時にEG1000Bのガキーンという音を基準に考えていたゆえの落胆というのが正解です。

    なんかいまいち音が丸い感じがするんだよなー。なんでだろ??

    いずれにせよ、ケーラー搭載時の音の変化をしっかりと見極めるため、ノーマル時の音を身体で記憶できるように丹念に弾き込んでいこうと思います。

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