2017年1月29日 (日)

今年に入ってから仕事が半端無く忙しくなって、毎日23〜24時に帰宅する状況となってしまい、週末は疲れた体を癒すためにゆっくり過ごしたり、平日にできない事を消化したりと、なかなかギターをいじれない日々が続きました。

そんな中にも少しづつアレコレと作業を進めていたのですが、さすがにログを書き起こす時間は確保できずに久しぶりの更新となってしまいました。

回路図

今から35年ほど前、フュージョン系ギタリストなどの間で一世を風靡したエフェクターがありました。ダン・アームストロングのオレンジ・スクイーザーです。

そのナチュラルな効果も然る事ながら、目立つ朱色の本体からギターのアウトプットジャックに直接差し込むプラグが生えているという独特の形態のため、使用している事が一目瞭然であった事も流行った理由のひとつだと思います。

私もそのコンプレッサーというよりもリミッターと呼んでも過言ではない物凄く自然な出音に魅了されたのですが、結局は今まで入手せずに時を経てしまいました。

少し前から特別な理由も無く、何となく「欲しいなぁ」と思っており、職場から歩いて10分もせずに秋葉原に行ける環境も手伝って、今回はそれを自作しました。

Orange Squeezer

何が大変だったかって、パーツの細かい文字や抵抗のカラーコードが老眼には太刀打ちできない事です。なので子供が小学校の理科の授業で使った虫眼鏡を探し出してきて利用しました。

また、汎用ユニバーサル基盤を使ったので、パーツを無理せず取り付けられてポイント・トゥ・ポイントで効率良く回路を組めるレイアウトを考えたり、焦点の合わない目で隣のポイントとリークしないように気を付けて半田付けしたりと、とにかく肩の凝る作業の連続でした。

なんだかんだで約4時間もかけて、どうにかこうにか回路が組み上がったので、ジャックなどを仮付けしてチェックを兼ねて早速音を出してみたのですが、まったく鳴りません。ウンともスンともいいません。

この時のショックというか、落胆の凄さは自分でも驚くくらいでした。あんなに苦労して作ったのにという思いが自覚しているよりも強かったのでしょうね。

あまりの落ち込みように原因を追究する気にもならず、取りあえず9ボルトの電源がちゃんと供給されている事だけをテスターで確認して今日の作業を終了しました。

ガッカリ。

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  • 2017年2月11日 (土)

    いつまでも放置しておく訳にもいかないので、音が出ない原因を追究するべく、もっとも可能性が高い回路の間違いを中心に確認しようと老眼に鞭打って、前回も活躍した虫眼鏡やテスターを駆使して回路図と実物をすみからすみまで見比べました。

    相変わらず肩の凝る作業ですが、1時間ほどチェックを続けたところ、オペアンプの4ピンがグランドに繋がっていない事を発見しました。

    回路図

    早速そこを修正してギターとアンプの間に繋げてみたところ、ちゃんと音が出ました。

    やったー!!と喜んだのも束の間、ちょっと待て、アンプはプリ側のボリュームを上げて歪むセッティングなのに、出ている音はメッチャ普通にクリーンなんですけど。

    つまり出力が思いっ切り小さいという訳です。えー、なんでやねん!!

    それでも一応は音が出てるので、多分きっと回路は間違っていないのではなかろうかと思われるので、となると次はパーツの間違いを中心に確認せにゃならんとですか。

    果たしてこいつはちゃんと完成するんでしょうかね。

    今回の見た目は前回とほとんど変わらなかったので、ON-OFFで点灯-消灯するLEDのための回路図を載せました。これでノイズが軽減できるらしいです。

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  • 2017年3月4日 (土)

    と言う訳でパーツの間違いを中心に再度の回路チェックです。

    前回は回路の導通のみを確認したため、どちらかというとテスターの使用に重きを置いていたのですが、今回は抵抗のカラーコードやコンデンサーの文字などを見る事がメインとなるため、虫眼鏡が大活躍しました。が、虫眼鏡を使うと裸眼よりは見えるのですが、両目で見る事ができないため、左右を交互に使ったとは言え、非常に目が疲れました。

    Orange Squeezer

    また今回使用した抵抗は大きさが小さい事もあるのですが、本体がクリーム色のためにカラーコードの区別が容易ではなく、例えば黄色などは全然見えないなど、確認に物凄く手間取りました。次回何か作る時は、もう少し大きめで本体の色が違う物をチョイスしたいと思います。

    そんなこんなで約4時間もかけて隅から隅までチェックしたのですが、パーツの間違いもコンデンサーの極性間違いも発見できませんでした。うーむむむ、いったい何が原因で出力が小さいのか分からないままです。はてさてどうしたもんでしょう。

    で、閃いたのは、FETの足の認識ミスかもしれないという事です。

    余談ですが、オレンジ・スクイーザーにはいくつかの種類があって、それぞれで使用されているパーツに違いがあります。例えばFETの場合、アメリカ製では2N5457が使われているのですが、日本製では2SK30となっています。

    2SK246

    私が今回使用したFETは、パーツを購入した千石電商では前出の両方が在庫切れだったため、2SK30の代替品となる2SK246を選んだのですが、これの足の並びは2SK30とは異なります。それは作る前に調べて把握していたのですが、足の並びの画像を見て、私は何の疑いもなく物凄く自然に「頭の方から見た並び」と思い込んでしまったのです。

    ところがアレコレ調べているうちに、FETはドレインとソースが逆でも正常に動作するという記事も発見しました。ならば私が足の並びの見方を間違えたとしても大丈夫なはずです。となると正常に動作していない現状の原因が分かりません。

    なのでとにかくFETを正常に付け替えるしか道が無いので、加えて前述の記事が本当ならドレインとソースを逆にしても大丈夫だろうという気持ちも手伝って、取りあえず足を入れ替えてみました。前回の画像と比べるとFETの向きが変わってるのが分かると思います。

    すると何と思いがけなくも正常に動作したのです。うっわ、マジで?? やったー!!

    が、ここでいろんな疑問が出てきます。果たして逆に付けても大丈夫なのか、だったら最初は正常に動作しなかったのは何故か、そもそも足の並びの正解はなにか云々。

    次回に続きます。

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  • 2017年3月12日 (日)

    その後も少しネットで検索して調べてみたのですが、結局よく分からなかったため、Yahoo!知恵袋に質問してみました。質問内容は「2SK30というFETはドレインとソースを逆付けしても大丈夫なのか、大丈夫だとすると逆に付け直した後で正常に動作したのはなぜか、そもそも足の並びは頭の方から見た並びなのか足の方から見た並びなのか」という3点です。

    Orange Squeezer

    するとド素人の私でも理解できるレベルに噛み砕いた非常に丁寧で親切な回答を頂きました。要約すると、まず私が認識していたFETの足の並び順はまったく逆で、図解は足の方向から見た並び順が正解である事、さらに本来2SK30はドレインとソースの相対性がよいので逆付けしても大丈夫なのだが、オレンジ・スクイーザーの回路に使用するとなると話は別で、そもそもオリジナルの2N5457と2SK30(代替の2SK246も)は似ても似付かない物らしく、なので逆付けした事で不安定となり正常に動作しなかったとの事らしいです。

    その似ても似付かないのがどの程度のレベルなのかというと、ゲートソース間電圧が-0.2V、ドレインソース間電圧が1V辺りでのドレイン電流が、2N5457は0.3mA弱、2SK246は3mA強と10倍以上も異なり、同じ条件下では2SK246の方がドレインソース間の抵抗が非常に低いため、オペアンプに加わる電圧も低くなるとの事です。ぶっちゃけ、よく分かってませんが(笑)

    しかもありがたい事に、2N5457をネット販売している店のリンクまで貼ってくれたので、早速購入しました。100円のパーツを2個買っただけで送料やら代金振込み手数料やらでトータル700円も支払わなきゃならなかったのは大きな誤算でしたが。

    数日後にパーツが届いたのでFETを交換しました。画像で前回とも前々回ともFETの向きが違うのが分かると思います。その結果ですが、音が全然違います。あくまでも私の感覚を稚拙な言葉に置き換えての表現なので分かりづらいと思いますが、2SK30の時は無理やりコンプレッションを作り出していた感じなのに対して、2N5457に交換後は非常に自然で無理がないコンプ感です。なぜそうなるのかの理論はド素人の私には分かりませんが、喩えるならば、化学調味料や添加物で無理やり味を調えているのと、素材の美味さをそのまま活かした自然な味付けくらいの違いです。って、余計に分からないか(笑)

    いずれにしろ、遠い昔に少し鳴らしただけで記憶の奥深くに僅かに残っていたそのままの音が出た事は、ここまでの紆余曲折もあって結構かなり嬉しいです。

    あとはケースを加工してエフェクターらしくする作業ですね。

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