ギター初心者に向けて
Yahoo!の知恵袋などを見ていると、とにかく多いのが「ギターを始めたいのですが、何を買えばいいですか??」とか「おすすめの初心者セットを教えてください」という質問です。いくらお節介な私でも、同じ回答を何回も投げるのは非常に面倒くさいと思ったのが、このページを作成した理由です。なので、知恵袋の回答並みに簡潔に書いていきます。
エレキとアコギの違い
エレクトリックギターとは、弦振動を電気信号に変換するピックアップを搭載して、その電気信号をアンプで増幅してスピーカーで音を鳴らします。なので音を出すためにはアンプが必要となります。そのアンプの能力によっては非常に大きな音を出す事が可能ですが、逆にヘッドフォンを利用すれば深夜でも弾く事ができるくらいに小さな音となります。また、エフェクターなどにより電気信号を加工する事により様々な音を出す事が可能です。
アコースティックギターとは、電気的な仕掛けを持たないギターです。弦の振動をふくよかに響かせるため、一般的には大き目の箱型のボディとなっています。細分すると、スチール弦を使うフォーク系と、ナイロン弦を使うクラシック系に分けられます。一般的なJ-POPなどで使われるのはフォーク系で、フュージョンやクラシック、フラメンコなどではクラシック系が使用されます。電気的な仕組みを持たないので音量の調整が不可能で、体育館規模では全体に聴こえず、深夜の練習は不可能という不便な面もあります。
何を買えばいいの??
エレクトリックギター、つまりエレキに関して必要な物は以下の通りです。
●ギター本体
●アンプ … エレキはギターだけでは音が出ません。必ずアンプとセットで揃える必要があります。
●シールド … エレキとアンプを繋ぐコードです。
●ピック … ギターの弦を弾く時に使います。
●ピッチパイプもしくは音叉 … ギターの弦を正しい音程に合わせる時に使います。
最低限これだけあれば大丈夫です。その他にあった方がいい物は以下です。
●予備の弦 … 弦は消耗品なので突然切れる事があります。その時のために備えます。
●クロス … ギターを拭く専用の布です。ボディや弦などを拭いて綺麗にします。
●ストラップ … 立って弾く時にギターを肩から吊るすベルトのような物です。
●ケース … ギターを持って外出する時はもちろん、保管する時にも役立ちます。
●スタンド … ちょっと置く時に便利です。
●ワインダー … ペグをグルグル回す道具です。弦交換の時に非常に便利です。
他にも、ギターの知識や練習方法などが載っている教則本や教則DVDなどがあれば、取りあえず始める事ができます。
アコースティックギター、つまりアコギに関しては、もっとシンプルです。
●ギター本体
●ピック … ギターの弦を弾く時に使います。
●ピッチパイプもしくは音叉 … ギターの弦を正しい音程に合わせる時に使います。
最低限これだけあれば大丈夫です。その他にあった方がいい物は、エレキと同じです。
必ず最初に習得しなければいけないのはチューニングです。弦やギター本体は温度や湿度で微妙に変化します。つまりチューニングは常に変化しており、1回合わせたから大丈夫というわけではありません。なので、チューニングができなければギターは弾けません。
チューニングは音程を合わせる作業です。なので耳で聞いて行うの正しい方法です。初心者のうちからチューナーを頼って、音なのに目で見て合わせようとするのは避けましょう。
コードは最初に全部覚える必要はありません。自分が弾きたい曲を練習するうえで出てきたコードを覚えていけば、気が付いた時には多くのコードを覚えているでしょう。
必要な物の価格
失敗しないための最低限の価格です。あくまでも私が考えている価格であって、人によっては異論を唱える方もいると思います。なので、あくまでも参考として頂きたいと思います。カッコ内は、可能であればこれだけあった方がさらに良いという価格です。
エレクトリックギター
●ギター本体 … ¥30,000〜(¥50,000〜)
●アンプ … ¥10,000〜(¥15,000〜)
●シールド(3m) … ¥1,000〜(¥2,000〜)
●ピック … ¥100〜
●ピッチパイプ … ¥500〜
●予備の弦 … ¥500〜
●クロス … ¥300〜
●ストラップ … ¥500〜
●ケース … ¥3,000〜
●スタンド … ¥500〜
●ワインダー … ¥200〜
アコースティックギター
●ギター … ¥30,000〜(¥50,000〜)
通販での購入
現代ではインターネットの普及によって、自宅に居ながらにして物が買える通販の利用が大きくなっています。ギターの販売も漏れずに通販サイトが溢れています。しかし、経験者は口を揃えて「ギターを通販で買うのはやめた方がいい」と言います。なぜかと言うと、たとえ機械による工業製品で同じ機種だとしても、ギターは天然の木材を使用しているために個体差があり、その見極めが通販ではできない事、また、人間が抱きかかえて演奏する物なので、買う前に手に取れない通販では、実際に物が届いて手にした時に違和感があっても後の祭りである事、などが理由として挙げられます。これには私も納得するところではありますが、果たして初めてギターを手にする初心者が、個体差の見極めや持った時の違和感に気付くだろうかは疑問に思います。それらの懸念は経験者だから分かる事であり、初めてギターを持った未経験者にとっては、それがその時点での標準となり、「なるほど、ギターとはこういう物なんだ」と初めて認識する事となる訳です。なので、もちろん楽器屋に出向いて実際に見て触って買うのが最良ですが、どうしても楽器屋に行けない環境の人は通販でも構わないと私は思います。
初心者セットについて(1)
初心者セットとは、ギターを始めてみたい人けど何を買えばいいのか分からない人に向けて必要な物を揃えて便利に、しかも非常に安価で販売している物を総称して呼んでいます。だいたい1万円〜2万円くらいで必要な物が一通り手に入りますから、お金は無いけどギターを弾いてみたい中学生や高校生を中心に人気があるようです。しかし、価格に見合った落とし穴も当然ありますので、いくつかの例を以下に記します。
1.品質が非常に悪く、検査や調整をちゃんと行っていないため、そのままでは使えない場合がある。
2.耐久性が非常に低く、下手をすると数日で壊れる場合がある。
3.言うまでも無く非常に音が悪い。
初心者セットに関しては賛否両論あります。とにかくギターを始めたいけど金が無い、やってみたいけど挫折するかもしれない、などの理由があるなら、とにかく早い段階でギターに触れてみる機会を設けるためにも、安価で手を出しやすい初心者セットの購入はひとつの手段として有効だと思います。また、経験者が改造や無造作に扱う事を目的として買う場合には何の問題も無いでしょう。
ただし私は個人的に、初心者ゆえに初心者セットを買う事には反対しています。理由は、調整などがちゃんとされておらず、また耐久性が低いため、すぐに何らかのトラブルが発生し、しかし何も知らない分からない初心者ではトラブルかどうかの判断もできず、当然ながら対処もできず、それが原因で挫折する場合が多々あるからです。
次の「初心者セットについて(2)」では、実際に私が手にした初心者向けギターについて詳しく述べています。
初心者セットについて(2)
ここでは、参考として私が実際に安物の代表のひとつである、Legend LST-Xを手にした時の事を書いていきます。
安物ギターを買った理由は、取りあえず気軽に弾けて、多少ぶつけたりしても気にならないような安物のギターが欲しいと思った事でした。そこでいろいろ調べて、ボディ材などから判断してヤフオクで探して見つけたのがLegendのLST-Xでした。送料など込みこみで¥5000くらいなので、新品の約半額ですね。
届いてすぐに弦を外してフレットを磨いたんですが、その時にナゼか全部バラしてみようと思って、ネックとピックガードを外してみました。そこで驚いたのが、ネックとボディの間に木くずが挟まっていて、それがポロポロと取れた事でした。これってもしかして、木くずを綺麗に取り除いてからネックを取り付けたら仕込角度が変わるんじゃないかい??との疑問が的中して、ネックはボディトップ側に傾斜して固定されました。つまり木くずはシムの代用となっていて、ネックを外さなければ仕込角は変わらなかったけど、木くずが挟まっていてボディとネックが密着しておらず、それは音にも悪影響を与えたでしょう。また、木くずを取り除いたら前述したように欠陥ギターとなってしまったのです。どっちもどっちな品質の悪さです。結局ネックポケットを削って仕込角度を整えてネックを取り付けました。
その後バラしたLST-Xを組み上げて弦を張ってみると、さっきまで真っ直ぐだったネックが思いっ切り順反りになってしまいました。弦を張っただけでこんなに曲がるネックは見た事が無かったので「やっぱり安物はダメだな」なんて思ったのですが、ロッドを回してみると、半周ほど手応え無く回った後で急に重くなりました。つまりロッドが緩み切っていたんですね。で、いったん弦を緩めて適当にロッドを締めてから再度チューニングをすると、ちゃんと真っ直ぐのままです。なんなんだ、このギターは??って感じでした。
私はギターに関する知識が多少はあったため、このような事態になっても自分で対処できましたが、果たして初心者はどうでしょうか。エレキギターの調整個所はたくさんあります。通常のチューニングはもちろん、前述したトラスロッド、オクターブチェック、ブリッジもしくはサドルの高さ、ピックアップの高さ、アーム付きの場合はスプリング調整など、ギターを初めて手にした初心者がこれらをちゃんと行えるはずがありません。調整の存在すら知らないかもしれません。
ある程度の価格のギターは、そこそこ品質がしっかりしているため、これらの調整がそれなりに行ってあります。それだけでも何も知らない初心者にとっては雲泥の差です。すべての初心者セットがそうだとは言いませんが、そうである確立は高いでしょう。ギターの弾きやすさに直結する調整は非常に大事で、これがちゃんと成されていないために弾きづらいまま頑張って弾いていても、それは上達の妨げにしかならず、結果として挫折してしまう人もいるかもしれません。
これから初めてのギターを買おうと思ってる人が事前にこのページを見る事は稀かもしれませんが、初心者だからこそ安物ギターは避けた方が無難だという事を少しでも理解してくれたら幸いです。
激安ギター勝手に比較
とは言いつつも、初めてギターを買う人が経済的に優しい激安ギターを求めようとする気持ちは分からなくはないので、今まで私が試奏も含めて弾いた事のある激安ギターに関して、独断と偏見に満ちた優劣を付けてみようと思います。
各ギターのレポートは私の個人的な感想なので、反対意見もあると思います。あくまでも参考程度としてください。音に関しては、あえて言及しません。というか、全部が「チープな音」の一言となってしまうので、言及できません。
1.Legend (レジェンド)、Blitz (ブリッツ)
ここに挙げた中では一番いい印象を持ちました。さすが老舗のARIAが販売しているだけはあると思います。が、右の画像のコンター部分の色が違うように、塗りつぶしカラーのボディの中身は何を使ってるか分かりません。カタログスペックはアルダーなのに。
2.Mavis (メイビス)
イシバシ楽器が製作・販売しているブランドです。製造メーカーは知りませんが、人件費が安い海外なのは間違いないでしょう。老舗の楽器屋が販売しているだけあって、違和感なく弾く事ができます。ただし、一部の機種では「どう考えても設計ミスじゃないの??」という疑問を抱かざるを得ない物があるのも事実だったりします。
3.Tony Smith (トニースミス)
後述する Photogenic などを手掛けるキョーリツコーポレーションが販売しているギターです。激安なのに違和感なく弾けました。なので Photogenic よりも上と評価しました。もしかしたらColtが作ってるのかもしれないと推測できなくもないです。
4.PLAYTECH (プレイテック)
サウンドハウスが製作・販売しているブランドです。これも製造メーカーは知りません。安くする事を最大の目標にしてるのかどうか分かりませんが、仕上げの雑さが気になります。とは言いつつも、好みの問題ではあるのですが、私は個人的に音がそれなりにいいと思ってたりします。あくまでもそれなりですが。
5.Photogenic (フォトジェニック)
激安ギターの代表とも言えるフォトジェニは、キョーリツコーポレーションが販売しています。SELDER (セルダー)、Maison (メイソン)とブランド名が違うだけで中身は同じ物です。さすがにコレはちょっと、という印象を持ちました。残念ながら選びたくない物ですね。
初心者の練習方法
初心者は練習方法すら分からないと思います。一番いいのはギター教室に通ってプロの講師に教えてもらう事です。しかしそれは経済的にも時間的にも余裕がないと難しい話です。お金もかからず自分の時間に合わせて練習するなら、何と言っても教則本です。楽器屋で初心者向けの適当な教則本を1冊買ってきて、それ読んで学びながら練習すればいいでしょう。初心者向けの教則本に書かれてる事はみなほぼ同じですから、自分でちょっと立ち読みしてみて気に入った本を買えばいいです。
教則本ばかりやっていては飽きてしまうので、並行して自分が演奏したい曲の練習もするといいでしょう。もちろんすぐには弾けませんが、そこに出てくるコードを覚えたり、チョーキングなどのテクニックをマスターしたりと順番に進めれば、ゆっくりでもその曲を通して弾けるようになる頃には、ある程度の知識と技術を習得できている事でしょう。
よく、効率のいい練習方法とか効果的な練習方法を質問する人がいますが、そんなものはありません。特に基礎的な知識や技術は地道に進めるのが最も効果的で効率的です。また、何日くらい練習したら弾けるようになるかという質問も多いのですが、それは個人の練習時間や習得スキルによって異なるので具体的には分かりません。そういう事を気にするヒマがあったら練習してください。
エレキギターの種類
エレキギターの種類は無数にあると言っても過言ではありません。細かく言えば、ボディの形がちょっと違うだけでも異なるモデルとなる場合があるからです。また、プロのギタリストがメーカーと契約して専用のモデルを作ってもらうという事も多々あります。そうするとギタリストの数だけギターの種類があるという事になります。それらを全部ここで取り上げるのは不可能ですし無意味ですので、代表的な機種に絞って簡単に説明していきます。なお、記事の中で呼称する名前に関しては厳密に区別していない場合がありますのでご了承ください。
●ストラトキャスタータイプ
アメリカのフェンダー社が販売しているストラトキャスターと同じ形をしている機種の総称です。ボディにアッシュやアルダーという緻密で堅めの材を使用して、25.5inchのロングスケールで鳴らす弦は高域が特徴の張りがある響きとなり、それを最大限に引き出すシングルコイルピックアップを搭載する事によって、スカーン!と抜ける気持ちいい音が出るのが特徴です。ピックアップ(PU)は3発搭載され、5Pスイッチとの組み合わせで幅広い音作りができます。逆に低域が響く太い音は苦手です。ボディにはコンターと呼ばれる削り込みが施され、抱いた時のフィット感は秀逸です。また、トレモロアームを装備しているのも大きな特徴です。これは弦のテンションとスプリングの張力でバランスを取ってフローティングさせたブリッジをアームで意図的に動かして弦のテンションを変化させ、人間業では不可能なダイナミックなビブラートや音程の変化を行う物です。非常に大きな効果がある一方でチューニングが安定しずらいという短所もありますが、調整次第で十分に対応できます。
●レスポールタイプ
アメリカのギブソン社が販売しているレスポールと同じ形をしている機種の総称です。レスポールタイプは「カスタム」「ジュニア」「レコーディング」「スペシャル」など多くの種類があるので、代表的なスタンダードを例にとって記述します。ボディにはトップ(表側)に非常に緻密で堅くて重いメイプルを、バック(裏側)には柔らかめのマホガニーを使用し、それらを張り合わせる事によって、アタックが良く出て高域を響かせるメイプルと、中低域のふくよかで粘り強い響きが特徴のマホガニーの美味しいとこ取りな響きが得られ、それを最大限に引き出すハムバッキングピックアップを搭載する事によって、倍音が豊かで太く芯のある音が出るのが特徴です。ストラトタイプと比較すると、ボディは重いしハイポジションが弾きづらいしアームは無いしと、まるでいいところが無いようですが、世界中のギタリストが好んで使用しているのは、それだけ音に魅力があるからに他なりません。
他にも初心者が知っておいて損は無いメジャーなところで、テレキャスとかSGとかいろいろあるけど、気が向いたら追記します。
TAB譜とは??
TAB譜とは、楽譜の音符の音程を出すために、どの弦のどのフレットを押さえればいいかを視覚的に表示したものです。
画像の上段の5線は通常の楽譜で、下段の6線がTAB譜です。6本の線はギターの弦を表していて、上から下へ1〜6弦に相当します。線の上に書かれている数値は押さえるフレットになります。つまり画像の一番最初の音を出すためには、3弦の9フレットを押さえればいいわけです。
また、TAB譜にはギターを演奏する上で必要なテクニックが表示される場合があります。画像のTAB譜の中に T とあるのはタッピングです。他にも Ch = チョーキング、H.O = ハンマリング、P.O = プリングなどがあります。波線はビブラートですね。
このように、楽譜が読めなくてもギターが弾けるTAB譜は非常にありがたい存在なのですが、TAB譜は演奏者が自分で書いた物ではなく、ほとんどが第三者が耳コピして起こした物です。なのでピンポイントで音程が間違ってて合わない場合もありますし、メロディは合ってるけど演奏者の動画とポジションが違う場合などが多々あります。TAB譜はあくまでも参考程度にとどめ、自分が思っている音を出せばいいでしょう。
画像の曲が何だか分かる人はいますか?? 非常に特徴のあるソロなんで簡単だと思いますが。
エフェクターとは??
ギタリストにとってのエフェクターとは、ギターとアンプの間に接続し、ギターから出力された信号を加工して幅広い音作りをするための道具と思っていいでしょう。効果として大きく分けると、歪み、レベル、周波数、残響、空間、音程などがあります。
●歪み … いわゆるディストーションです。軽いクランチからハードなメタルまで、様々な種類があります。
●レベル … コンプレッサーやリミッターなど、ギター信号のレベルを一定に保つように働きます。
●周波数 … イコライザーやワウなど、特定の周波数を増減させて音質を変化させます。
●残響 … リバーブやディレイなど、音を残して文字通り残響を作り出します。
●空間 … コーラスやフランジャーなど、ショートディレイをゆっくりと変化させた位相を作り出します。
●音程 … ピッチシフターやオクターバーなど、原音と異なる音程の音を作り出します。
●電源 … エフェクターに電源を供給します。1台で多数のエフェクターに供給できるパワーサプライは便利です。
これらを個別に小さくした物がコンパクトタイプ、多種多様の効果の物をひとつにまとめた物がマルチと呼ばれています。どちらがいいかは使用する人や欲しい音によって変わってきますので一概には言えません。
知恵袋などでよく見かけるのが「おすすめのエフェクターを教えてください」という質問ですが、上記した内容からも分かるように、欲しい音が分からないと何をすすめていいのかも分かりません。逆に言えば、欲しい音が明確になってないならエフェクターは必要ないという事です。
ピックアップの原理と種類
エレキギターのピックアップは電磁誘導の原理で弦振動を電気信号に変換しています。電磁誘導とは、簡単に言うと、磁界が動くと電流が発生するという現象で、逆に言うと、電気が流れると磁界が発生するという事で、いわゆる電磁石がそれです。つまりエレキギターのピックアップは、磁石の周囲にエナメル線を巻いてコイルを作り、磁性体である弦を振動させる事で磁界を動かし、コイルに電流を発生させているわけです。
ピックアップには大きく分けてシングルコイルとハムバッキングがあります。他にもアクティブやピエゾなどありますが、特殊ですので割愛します。
●シングルコイル
文字通りにコイルがひとつのピックアップです。一般的に7,000〜8,000ターンのコイルであるため、インピーダンスが低く、若干パワーが物足りない分、高域が良く出るのが特徴です。クリアでのコードカッティングでも各弦の音の粒立ちがよく、歪ませても濁った感じにならないために幅広い音楽に対応できます。逆に言うと、低域の強い芯のある太い音は苦手となります。また、ギターのキャビティ内にしっかりとしたシールド処理を施さないとハムノイズを拾いやすい欠点があり、そのため多くのストラトタイプではセンターPUを逆巻き逆磁極にしてハーフトーン時にノイズを消す仕様となってます。
●ハムバッキング(ハムバッカー)
コイルをふたつ並べたピックアップです。そのふたつは磁極が逆でコイルの巻き方向も逆になっています。これらを直列に繋ぐ事によって、信号の流れは同方向、磁極に関係なくコイルに入り込んだハムノイズは打ち消す仕組みになっています。ひとつのコイルは一般的に5,000〜6,000ターンであり、シングルコイルと比較するとコイルの巻き数が増えるため、パワーがある半面、インピーダンスが大きくなって高域が出づらくなります。逆に言うと、中低域がよく出る芯があって太い音であり、歪ませた時に迫力があってよく伸び、クリーン時には丸みを帯びた暖かい音となります。
ノイズについて
エレキギターを弾く時に「ジー」というノイズが出る事が多々あります。これはハムノイズと言って、ピックアップや回路が周囲の家電製品から発せられる電磁波を拾って鳴るノイズです。通常は弦に触れると小さくなりますが、これは回路のコールドがブリッジに繋げられており、そこから弦を介して人体に繋がる事でノイズ信号をアースに落として消す仕組みとなっているからです。つまり、弦に触れてもノイズが小さくならないなら、それはギターのアース接続不良と言えます。
解決方法は、ギターのキャビティ内をしっかりとシールドする事です。ドータイトなどの電導塗料を塗布したり、アルミテープなどの電導テープを貼ったりしてキャビティ内を完全に電導性の壁で覆い隠し、その壁に回路のコールドを接続する事によってシールドします。他にも、周囲のテレビやパソコン、できれば蛍光灯などの電源を切ったり、アンプの電源をタコ足配線から取らないようにしたりすると軽減する場合があります。
何れにしろ、エレキギターにノイズは付き物です。いろいろと工夫して上手く付き合っていきましょう。