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★原生林と水源の山 甲武信岳登頂記★ 1999年8月23日〜25日

木賊山巻き道から甲武信岳@1日目
 秩父鉄道三峰口駅13:38 => 秩父湖バス停14:08/14:15
 =>川又バス停 14:35 / 川又 → 柳小屋(18:50)
A2日目
 柳小屋(6:20)→千丈の滝(8:50)→甲武信岳山頂(14:30/15:40)
 →荒川水源往復(往復約30分)→笹平避難小屋(17:20)
B3日目
 笹平(6:50)→雁坂峠(11:00/12:30)→川又(16:30)
 / 川又バス停 16:50 => 秩父湖バス停 17:10/17:24
 => 三峰口駅17:54 

※このコースタイムは、途中休憩時間も含むややゆっくりめの時間です。
 2万5000分の1地形図:金峰山・雁坂峠・中津峡
入川軌道埼玉・山梨・長野の県境にあり、
奥秩父の中心部にそびえる甲武信(こぶし)岳は、
標高2475m、埼玉県の最高峰です。
(本当はすぐそばの三宝山のほうが8mほど高いのですが・・)

甲武信岳はあまり目立たない地味な山でありますが、
深い原生林に包まれて、今なお自然を多く残しています。

甲武信岳は「日本百名山」にも指名され、登山者も多いですが、
埼玉側からの入山ルートは距離が長いため歩く人が少なく、
静かな山歩きが楽しめます。
柳小屋川又バス停を降り、荒川の源流の入川渓谷ぞいの道を歩きます。
渓谷沿いの道は自然林が多く、さらに道は比較的なだらかなため、
のんびり歩くことができます。
途中、森林軌道あとの道を歩き、川又から4時間ほど歩くと、
入川ぞいに建てられた柳小屋に到着します。

柳小屋は無人ですが、きれいな小屋です。
私はこの小屋に泊まりました。
真の沢林道次の日はいよいよ、入川のさらに奥地、
荒川源流部である真の沢林道を歩きます。
柳小屋から5分ほどの十文字峠への股の沢林道の分岐点を過ぎると、
あたりはブナの原生林となります。

ブナの林は、雨をたっぷり貯える天然のダム。
10日前に降った記録的な豪雨もしっかり貯え、
じわじわと優しく下流に流します。
真の沢キノコが多く生える道を歩き、徐々に標高をあげていくと、
道の下側に豪快な音をたてて流れ落ちる千丈の滝が
木々の間から見ることができます。

登山道は、その滝の上側の沢を横切ります。
うっかりすると滝に飲み込まれてしまうので、
増水時には特に気をつけて渡ってください。

標高2000m以上の山から流れ落ちる水は、
夏でも手が痛くなるほど冷たいです。
トリカブト沢を横切ると、道も険しくなり、標高をどんどん稼いでいきます。
道のわきには、紫色の美しい花が咲いていました。

この花は、有名な毒草であるトリカブトです。
へたに食べてしまうと、命を落とすかもしれません。
コメツガ林夏の登山は暑さとの闘い(?)なのですが、
高度が上がるにつれ、頬にあたる風がひんやりしてきます。

標高も1800mを超えると、みごとなコメツガの林になります。
笹が生えて、気持ちいい林ですね。
さらにつづらおりの坂道を登り、
標高も2300mほどまで来ると、
こんどはシラビソの林となります。

コメツガとちがって白くすらっとした樹皮と、
まわりのうっそうとしたコケとのコントラストがすてきです。
山頂右手から十文字峠からの登山道と合流すると、
山頂まではあと一息です。

山頂の一帯は視界が開け、天気さえよければ
南アルプスから北アルプス、八ヶ岳、
富士山などなど雄大なパノラマを楽しむことができます。
立ち枯れ山頂からは、甲武信小屋の方向へ下山します。
このあたりのシラビソの林では、
尾根の南側のところどころに立ち枯れが目立ちます。
一説によると、関東地方の大気汚染の影響といわれています。

このような立ち枯れは、この先雁坂峠までところどころに見られ、
ひどい場所では一面木ががいこつのようになって、
地肌がむきだしとなっているところもあります。
荒川源流さて、甲武信岳は信濃(千曲)川、荒川の源流の山でもあります。
それぞれの源流には、源流の碑が建てられています。
荒川の源流は、山頂から10分ほど下った
甲武信小屋からさらに約10分ほど下った場所にあります。

苔むした林の間から、川が誕生していました。
露岩の破風山今度は、甲武信岳から笹平避難小屋を経て、
雁坂峠に向かいます。
途中の、強い風で背が縮まった木々と
ところどころにちらばった露岩が特徴的な
破風(はふ)山(2318m)を通過します。

私が登ったときは、薄日がさして、
自分の影が反対側の霧に虹とともに現れる、
幻想的な「ブロッケン現象」を体験することができました。
破風山を過ぎ、ゆるやかなアップダウンのある道を
歩いていきます。
雁坂峠に近づくと、あたりは草原となり、
視界が大きく広がります。
手前に見えるのは、水晶山(2158m)です。
尾根ぞいの登山道は、徐々に標高を落としながら、
この先雲取山までえんえんと続いています。
雁坂峠の風景雁坂峠は、標高約2100m。
つい最近の雁坂トンネルの開通まで、
埼玉と山梨を結ぶ交通路として利用されてきました。
黒々とした針葉樹の原生林の埼玉側と、明るい草原の山梨側
との対比が印象的です。

天気に恵まれれば、雄大な展望を楽しみながら、
のんびり昼寝をしてみるのもいいでしょう。
雁坂峠の草原では、夏になると一面お花畑となります。
私が登ったときはすでに盛夏を過ぎていたので、
お花の種類もあまり多くなかったのですが、
それでも白いウスユキソウ、ウメバチソウ、
ピンク色のシモツケソウ、黄色いオトギリソウと、
所々に咲く可憐な花を楽しむことができました。
※柳小屋〜甲武信岳の真の沢林道は現在、非一般コースとなっています。入山の際は、十分気をつけてください。
 埼玉側から甲武信岳に登山される場合は、柳小屋から十文字峠を経由する「股の沢コース」、栃本バス停から尾根沿いに登る
 「十文字峠コース」を利用されるといいでしょう。
※甲武信岳へは長野県川上村の「梓山(あずさやま)」バス停から十文字峠経由(登り約5時間)、
山梨県三富村の「西沢渓谷」バス停から(登り約4時間)のコースも利用できます。
◆◇ おまけ・・ 登山道でみつけたきのこたち◇◆

この他にも多くのきのこと出会うことができます。
クチベニタケムラサキシメジヤマイグチベニテングタケ
(毒)
ドクツルタケ
(超猛毒!)