2009年ニュース

7月31日金曜日

・朝鮮王朝時代の医学書「東医宝鑑」が世界文化遺産に登録されました。東医宝鑑は、朝鮮王朝時代の医学者、許浚(ホ・ジュン)が、当時の医学を体系的にまとめたもので、宣祖王の命を受けて1596年に執筆を始め、1613年に完成させました。ユネスコ文化財委員会は31日、国際諮問会議を開き、この東医宝鑑を世界文化遺産のリストに登録することを決めました。ユネスコ文化財委員会は、東医宝鑑は当時の東アジアの医学を集大成したもので、この地域の医学の発展に大きく貢献したと、登録の理由を説明しました。

・統一部は31日、北韓の農業を支援しているNGOのワールドビジョンの北韓訪問を承認しました。統一部が民間団体の北韓訪問を承認したのは、北韓が5月に2回目の核実験を強行して以来、初めてです。ワールドビジョンの関係者は8月1日から8日まで北韓を訪問し、すでに提供している種芋で栽培を始めている農場を視察する予定です。韓国政府は、北韓が2回目の核実験を強行した後、開城工業団地の関係者や金剛山観光地区の施設管理者を除いて、民間団体の北韓訪問を制限していました。しかし、政府は最近になって、北韓に対する民間団体の人道支援は政治や安全保障問題と切り離して進めていくという原則を再確認し、民間レベルの人道支援については選別して承認する方針を明らかにしていました。

・防衛事業庁は31日、韓国で初めて生産したヘリコプターの試作1号機を公開しました。慶尚南道泗川市にある韓国宇宙産業の工場で公開にあたって行われた記念式には、李明博大統領をはじめ、開発に加わった関係者らが出席し、李明博大統領は「ヘリコプターの開発が韓国の技術で短い期間に成功した。これが契機になって21世紀には航空宇宙産業をますます発展させていきたい」とあいさつしました。「スリオン」と名付けられたこのヘリコプターは、防衛事業庁が軍の老朽化したヘリコプターを交替させるために1兆3000億ウォンを投じて開発し、3年がかりで完成させました。このヘリコプターはパイロットのほか、武装した兵士10人を乗せることができ、2700メートルの上空で静止飛行することもできます。

・韓国のいか釣り漁船「ヨンアン号」が30日朝、韓半島東の東海の南北境界線にあたる北方限界線付近で、北韓軍にだ捕されましたが、北韓当局はまだこの問題について公式には言及していません。ヨンアン号は4人が乗っており、衛星を利用して位置を測定するGPS=全地球測位システムが故障して北上したものと見られています。北韓側は30日午後3時に行われた南北海事当局間の通信で、この漁船を関係機関が調査していることを認めましたが、その後、この問題について公式には言及していません。統一部は、船舶が漂流などの理由で越境した場合は、一定の調査を経て、乗組員を送還するが南北間の慣例だとして、北韓側にこの漁船を送還するよう継続して求めていくことにしています。一方、韓半島西の西海では30日、北韓の漁船が北方限界線を越えて韓国側の海域に入ってきました。海軍の関係者によると、この漁船に続いて北韓の警備艇が南下したため、ただちに北上するよう求めましたが、北韓の警備艇は30分程度韓国側の海域にとどまった後、漁船をえい航して北上したということです。

・労働部は31日、来年の最低賃金を8月3日に告示すると発表しました。労働部によりますと、来年の最低賃金は時給4110ウォン、およそ310円で、今年の4000ウォンより2.75%引き上げられました。この最低賃金は来年1月1日から12月31日まで、すべての事業所で適用されます。

・韓国のメーカー、三星電子とLG電子の携帯電話が世界市場でのシェアを大きく伸ばしました。市場調査機関のIDCとSAの資料によりますと、三星電子とLG電子の携帯電話の販売は、第2四半期にはタッチスクリーン式携帯電話の販売が好調で、前の年の同じ期間に比べて大きく増えました、IDCの資料では、三星電子の第2四半期の販売量は前の年の同じ期間に比べて14.2%増え、LG電子は6%増えました。同じ期間、ノキアはマイナス15.4%、モトローラはマイナス47%、ソニーエリックソンはマイナス43,4%と、いずれも販売量が減っています。これによって携帯電話の世界市場のシェアは、三星電子が19.4%に、LG電子が11.1%に伸びました。

・大学在学中に政府の学費融資制度を利用して融資を受けたものの、景気の悪化で卒業後に就職できず、返済できない人が増えているため、政府は来年から新しい制度を取り入れることにしました。政府の学費融資制度で融資を受けた人は、これまでは卒業後に所得があるかどうかにかかわらず返済しなければなりませんでしたが、来年からは一定の所得を得るようになってから返済を始めることができます。また、これまでは学費の一部だけを借りていましたが、来年からは全額を借りることができるようになり、低所得層の子女に対しては生活費として年間200万ウォンが無償で支給されます。融資を受けられるのは年間所得が4839万ウォン以下の世帯の大学生で、成績の平均がC以上となっています。

・大手企業が直接運営する中規模のスーパーマーケットが、中小の自営業者の強い反発に直面しています。大手企業が最近、大型スーパーマーケットのほかに、地域の商圏に合わせて中規模のスーパーマーケットを次々とオープンしていますが、地元の自営業者は、こうした中規模のスーパーマーケットが増えれば、中小の店はつぶれてしまうとして反発を強めています。また、市民団体も、中規模のスーパーマーケットがオープンすれば、その地域にある中小の自営業者がつぶれてしまうのは目に見えており、大手企業は流通市場全体を独占しようとしていると批判しています。このように世論が悪化している中で、流通大手の新世界やロッテなどは、中規模のスーパーマーケットの新規開店を保留しています。

7月30日木曜日

・東海で操業していた韓国のいか釣り漁船が30日早朝、海上の南北軍事境界線である北方限界線(NLL)を越えて北韓の領海に入り、北韓の警備艇にだ捕されました。韓国軍の合同参謀本部によりますと、だ捕されたのは30トン級のイカ釣り漁船で、北韓の警備艇に付き添われて北韓の港に向かったということです。この漁船は、29日午後、韓国北東部にある巨津(コジン)港を出港して操業していましたが、途中で衛星を利用して位置を測定するGPS=全地球測位システムが故障して、誤って北韓の領海に入ったものとみられます。この漁船には、船長をはじめ4人が乗り組んでいるもようです。韓国軍当局が現在、北韓に対し、国際的な商船のネットワークを使って、漁船を人道的に配慮して引渡すよう求めており、政府も漁船と乗組員の早期解放を求める内容の電話通知文を北韓側に送るなど、統一部を中心に北韓と多方面で交渉を進めています。

・国連の潘基文(パン・ギムン)事務総長は29日、北韓が核問題をめぐってアメリカとの直接対話を求める意思を表明したことを支持する考えを示しました。潘基文事務総長は、この日、国連本部で記者会見し、「北韓の核問題をめぐる6か国協議は依然として有効な方法だが、北韓がこれを拒否しているので、必要なら別の形の対話が行われるべきだ」と述べました。これは、北韓の申善虎(シン・ソンホ)国連大使が24日、「アメリカとの対話に反対しない。われわれは共通の関心事について協議する用意がある」と述べたのに対して初めて支持する立場を示したものです。潘基文事務総長はまた、「北韓の核問題を解決するために、国連事務総長として何でもする用意があり、平壤(ピョンヤン)を訪れることも含まれる」と強調しましたが、北韓を訪問する時期については、「まだ具体的には答えられない」と述べました。北韓の核問題をめぐってアメリカは、6か国協議の枠内で北韓との対話に応じる姿勢を貫いている一方、アメリカの専門チームが来週ロシアを訪れて北韓に対する制裁を履行する方法について協議することにしているなど、北韓に対して圧力を強めていく姿勢を示しています。こうした中で、潘基文事務総長が、米朝間の対話の端緒を開く役割を果たせるかどうか、注目が集まっています。

・与党ハンナラ党がメディア関連法の改正案を強行採決した影響で、李明博大統領とハンナラ党に対する支持率が急激に落ちています。ハンナラ党のシンクタンク、汝矣島(ヨイド)研究所が25日に行った世論調査で、李明博大統領の国政運営に対する国民の支持率は33.1%に止まりました。汝矣島(ヨイド)研究所が今月初めに発表した世論調査で李明博大統領の支持率は41.2%だったため、わずか2週間余りで10ポイント以上落ちたことになります。また、ハンナラ党の支持率は26.3%で、今月初めの33.5%からやはり大幅に落ちています。一方、民主党の支持率は26.1%で、今年初めとほぼ同じ水準となっています。ハンナラ党の張光根(チャン・グァングン)事務総長は、「メディア関連法を本会議で成立させる過程で、与党がことを円滑に運べなかったことが原因とみられる。しかし、失った支持が民主党に向かったわけではないので、すぐに回復できると思う」と話しています。

・新型インフルエンザに感染し、重い肺炎を併発した患者が韓国で初めて確認されました。保健福祉家族部の中央インフルエンザ対策本部は30日、新型インフルエンザに感染した20歳の陸軍兵士が肺炎を併発し、首都圏の病院に入院して治療を受けていると発表しました。この男性は、一時、重い症状でしたが、抗ウィルス剤や抗生剤の投与など治療の効果が現われ、今は安定した容態だということです。この男性は、最近、外国に行ったことはなく、新型インフルエンザの感染者と接触したこともないため、感染の原因が分からない地域社会での2次感染によるものとみられています。肺炎はインフルエンザの合併症で最も多い病気ですが、韓国で新型インフルエンザに感染して肺炎を併発した患者が確認されたのは初めてです。

・韓国の今年下半期の企業の景気と消費の見通しがOECD=経済協力開発機構の加盟国の中で最も明るいことが分かりました。企画財政部が30日に明らかにしたところによりますと、OECDが各国の企業の景気と消費の見通しを分析した結果、韓国のビジネス信頼感指数は101.2で、OECDの平均94.7を6.5ポイント上回ってOECDに加盟している30か国のうち、最も高かったということです。ビジネス信頼感指数は、6か月後の企業の景気を示すもので、100以上なら景気が上向き、100未満なら景気が後退することを意味します。このため、今回の調査結果で、韓国の景気は年末頃から本格的な回復に向かうとみられます。一方、消費について予測する消費者信頼感指数で韓国は103.5となり、OECDの平均96.9を6.6ポイント上回り、やはりOECD加盟国の中で最も高くなっています。

・去年第4四半期に初めて黒字になっていた韓国の観光収支が、今年の第2四半期に再び赤字になりました。韓国銀行が30日に明らかにしたところによりますと、観光収支は去年第3四半期には15億4800万ドルの赤字でしたが、第4四半期には5億2200万ドルの黒字に転じました。観光収支が黒字となったのは統計を取り始めた2006年以来、初めてで、続く今年第1四半期も5億2900万ドルの黒字でした。しかし、第2四半期には4億2900万ドルの赤字となり、再び赤字に転落しました。このように海外での支出が再び増加しているのは、ウォン高が進んでいる上、第2四半期に入って景気が回復に転じたという消費者の認識が広がったためとみられます。

・今年の夏は、猛暑や熱帯夜がほとんどなく、平年に比べると涼しい気候が続いています。気象庁によりますと、今月1日から29日までのソウルの平均気温は24度8分で、平年より1度2分低いなど、10大都市の平均気温は24度1分と、30年間の平均気温より0度9分低くなっています。また、10大都市で、明け方の最低気温が25度を上回る熱帯夜になったのは延べ11日に止まり、去年の32日に比べると3分の1に過ぎません。このうち、ソウルで熱帯夜を記録したのはわずか1日で、去年までの平均8.8日を大幅に下回り、春川(チュンチョン)と大田(テジョン)では熱帯夜が1日もありませんでした。気象庁は、今年の夏は韓半島の上空に冷たい空気が流れ込んで、高温多湿な北太平洋高気圧が北に勢力を伸ばせないため、涼しい夏になっており、このような気候は来月上旬まで続く見通しだと説明しています。

・大規模な整備が進められていたソウル市中心部の「光化門(クァンファムン)広場」が来月1日から一般に開放されます。光化門広場は、幅34メートル、長さ550メートルで、テーマ別に韓国の歴史が一目で分かる歴史広場と都市文化広場に整備されました。このうち、以前からあった、豊臣秀吉軍を破った救国の英雄、李舜臣(イ・スンシン)将軍の銅像の周辺には高さが18メートルまで達する噴水が設置され、広場の両側には浅い水路も造られています。光化門広場では、体の不自由な人が自由に行き来できるように段差や階段をなくしており、地下鉄5号線から光化門広場につながる地下道にはソウル市のシンボルに指定された伝説の動物「ヘチ」のオブジェが設置されています。さらに、李舜臣将軍の銅像から北に250メートル離れた場所に、朝鮮王朝の4代目の国王で、数多くの業績をあげた名君、世宗大王の銅像が、「ハングルの日」に合わせて10月9日に建てられる予定です。光化門広場の竣工式は来月1日、ソウル市の呉世勲(オ・セフン)市長や韓昇洙(ハン・スンス)国務総理などが出席して行われます。

7月29日水曜日

・先月の経常収支が大幅な黒字となり、今年上半期の経常収支は217億ドルを超えて過去最高の黒字となりました。韓国銀行が29日に発表した6月の国際収支動向によりますと、先月の経常収支は54億3000万ドルの黒字となり、これまで最も多かった3月の66億5000万ドルに次ぐ規模となりました。これによって経常収支は2月から5か月連続の黒字となり、上半期の経常収支は217億5000万ドルの黒字となって、上半期では過去最高を記録しました。このように経常収支の黒字幅が大きくなったのは商品収支の黒字幅が大きかったためです。6月は輸入と輸出がいずれも去年の同じ期間より減少しましたが、輸入の減少率(33.0%)が輸出の減少率(22.5%)を大きく上回った結果、商品収支の黒字幅は前の月の48億8000万ドルから66億1000万ドルに拡大しました。

・アメリカ通商代表部(USTR)は28日、韓米FTA=自由貿易協定の議会での批准を前に、各界の利害関係者を対象に意見の集約を始めました。韓国外交通商部が28日に明らかにしたところによりますと、アメリカ通商代表部は27日付の官報で、韓米FTAに関する各界の意見を9月15日までに集約すると公告しました。オバマ大統領が就任してから、アメリカ政府が韓米FTAに関する意見を各界から公式に集約するのは初めてで、韓米両国の議会で2年以上足踏み状態を続けているFTAの批准に前向きな影響を与えるかどうか、関心が集まっています。これについて、韓国外交通商部の関係者は、「アメリカでは自動車業界を中心に、韓米FTAに関する否定的な意見が多かったが、今回の意見集約によって前向きな意見が多く出され、年内に批准案が可決されることを期待している」と話しています。

・李明博大統領は28日、空席となっている検察総長に金o圭(キム・ジュンギュ)前大田高等検察庁検事長を、公正取引委員長に鄭浩烈(チョン・ホヨル)成均館大学教授をそれぞれ内定しました。検察総長に内定した金o圭氏は、ソウル出身の54歳で、ソウル大学を卒業後、検察官になり、法務部法務室長や大田地方検察庁検事長、大田高等検察庁検事長などを歴任しています。大統領府青瓦台の李東官(イ・ドングァン)報道官はこの人事について、「金o圭氏はコミュニケーションを重視し、柔軟で合理的なリーダーシップを備えているので、検察組織を安定化させるうえで最も適している上、検察の改革を推し進められる人材である」と説明しています。内定の発表を受けて金o圭氏は、「今は国民のために検察が変ぼうする時だと思う。検察官の心構えや仕事に臨む姿勢を変えていかなければならない」と述べ、検察を変革していく考えを示しました。一方、長官級の公正取引委員長に内定した鄭浩烈氏は、慶尚北道永川(ヨンチョン)出身で、ソウル大学卒業後、韓国保険学会副会長などを経て、現在は成均館大学法学科教授のほか、公正取引委員会競争政策諮問委員長や韓国競争法学会長などを務めています。検察総長の人事をめぐっては、李明博大統領が先月21日にソウル中央地方検察庁の検事長の千成寛(チョン・ソングァン)氏を内定しましたが、今月13日に国会で開かれた人事聴聞会で、企業家とのゴルフ旅行などの疑惑についてうそをついたことなどで道徳性が問われ、千成寛氏は翌日になって内定を辞退していました。

・韓国の公営企業の一つ、韓国観光公社の社長にドイツ出身で、韓国に帰化した男性が内定しました。これは与党ハンナラ党の関係者が28日に明らかにしたもので、新しい社長に内定したのはドイツ出身で、1986年に韓国籍を取得したイ・チャム氏(55歳)です。公営企業の社長に帰化した韓国人が内定したのは今回が初めてです。イ・チャム氏は、韓国政策放送(KTV)で観光の発展や韓国料理のグローバル化などに関する番組の進行役を努めるなど、放送番組やテレビドラマなどで活発に活動しています。

・韓国政府は28日の閣議で、地球温暖化対策の一環として、夏に時計の針を1時間進める「サマータイム」制度を来年から導入することを前向きに検討することを決めました。サマータイム制度は、夏の間、時計の針を1時間進めた時刻を標準時間にするもので、韓国ではソウルオリンピックが開かれた1988年など、これまでに12回実施されています。28日の閣議では、国務総理傘下の経済人文社会研究会が、ソウル大学経済研究所など7つの研究機関によって行われたサマータイム制度の導入効果に関する研究結果を報告しました。それによりますと、4月から9月までサマータイム制度を導入すると、年間の電力消費量が0.13〜0.25%減少し、年間341億〜653億ウォンの省エネ効果が得られるということです。また、交通部門では、通勤時間の分散や交通事故の減少などで、年間808億〜919億ウォンの経済効果があるものと分析され、サマータイム制度の導入による経済効果は合わせて1362億ウォンに上るということです。このため、政府はサマータイム制度を来年から導入することを前向きに検討するとともに、経済界や労働界と協力して定時退社運動を繰り広げて、サマータイム制度の導入による労働時間の延長を防ぐ対策も検討することにしています。しかし、一部ではサマータイム制度に対する懸念の声が上がっていることを考慮して、導入するかどうかは世論の動向を見ながら慎重に判断するとしています。

・中国の税関が北韓に密輸されようとしていた、ミサイルの開発にも使われる「バナジウム」という金属を押収していたことが明らかになりました。これは中国のインターネット・ニュースサイト丹東日報が28日報じたもので、中国東北部の丹東の税関は24日、北韓に輸出される物品が積まれていた車を調べたところ、果物の箱の中に隠されていた「バナジウム」およそ70キロを見つけ、押収したということです。見つかったバナジウムは68本の小さいビンに入っており、20万元(およそ3600万ウォン)に相当するということです。バナジウムは、熱や磨耗に耐える性質が優れたレアメタル・希少金属で、ミサイルの開発にも使われているため、中国はバナジウムの輸出を厳しく規制しています。中国は特に北韓が5月に行った核実験に対する国連安全保障理事会の決議に基づく制裁措置を履行するため、北韓への輸出規制を強化しているものとみられます。

・政府は、金融取引や不動産取引などをする際に本人であることを確認する手段の一つである印鑑証明が必要な事務を、年内に60%減らし、5年以内に印鑑証明制度を完全に廃止することを決めました。行政安全部は29日に開かれた国家競争力強化委員会で、こうした内容を柱とする印鑑証明制度の変更案を明らかにしました。印鑑証明制度は、日本の植民地時代の1914年に導入されて以来、取引の際に本人であることを確認する手段として利用されており、現在、国民全体の66.5%に当たるおよそ3300万人の印鑑が登録されて、去年は証明書の発行件数が4800万件に上っています。政府は印鑑証明制度に代わる手段として、電子認証システムを拡充し、利用環境を整備して、来年末までに「電子委任状制度」や「本人署名確認書制度」を導入するとしています。行政安全部の関係者は、「印鑑証明制度がなくなれば、公務員の人件費や、証明・発行などにかかる費用が減り、事件・事故や法的紛争が大幅に減ることが期待される」と話しています。

7月28日火曜日

・28日の韓国株式市場の総合株価指数は、週明けの27日に一気に値上がりした後も上昇を続けて、終値は1526.03と、去年8月以来の最高値となりました。総合株価指数(KOSPI)は、アメリカで本格化している決算発表で、企業の実績が市場の予想を上回ったことと、韓国でも三星など大手企業の実績が改善したことなどを好感して、今月14日から上昇を続けていました。そして28日には10営業日連続の上昇に対する警戒ムードが流れて午前中は下落したものの、三星重工業が今年第2四半期に3兆2000億ウォンを超える最大の売り上げを記録したことが好材料になるなど、今後への期待感から買い注文が多くなって、結局、終値は1526.03と、11営業日連続で上昇し、去年8月以来の最高値となりました。最近の株価上昇について、大手の現代証券では、今年下半期には景気の回復と企業の実績改善が著しくなる可能性があるので、下半期には総合株価指数が1700を上まわるという見通しを示しました。

・企業が雇用している非正規労働者との契約期間が2年になれば、正社員に採用することを義務付けた非正規職保護法がかえって大量解雇につながっている現実を踏まえて、与党ハンナラ党はこの法律の施行を猶予するための検討を止めて、法律を抜本的に見直す作業に取りかかりました。ハンナラ党の安相洙(アン・サンス)院内代表は28日の党内会議で、非正規職保護法の施行を猶予することにこだわらず、党内に担当チームを設けて法律を抜本的に見直すことによって問題解決をはかる考えを示しました。2007年に施行された非正規職保護法について、与党ハンナラ党は、企業が正社員への採用を渋る結果、解雇される非正規労働者が増えて雇用不安や経済危機などにつながる恐れがあるとして、この法律の施行を2年間猶予する案を示していたのに対して、野党民主党は法律の施行を猶予すると、かえって非正規労働者が増えるとして反対していました。また政府も契約社員など非正規労働者の契約期間を2年から4年に延ばす法案を国会に提出していますが、李永熙(イ・ヨンヒ)労働部長官は27日「政府案を主張するつもりはない」と述べて、事実上法案を撤回する考えを示していました。このためハンナラ党は近く労働部と協議して、非正規職保護法が施行されてから持ち上がっている課題とその対応策、非正規労働者への支援案などをまとめる予定です。ハンナラ党は代案として、企業に対して非正規労働者の雇用に当たって制限を義務付けることや、非正規労働者を一定の割合で正社員として採用するよう義務付けることなどを検討しているもようです。これに対して民主党の丁世均(チョン・セギュン)代表は「ハンナラ党や政府の方針転換は遅きに失した感はあるが、幸いであると述べました。

・今年5月に北韓が核実験を強行したため政府が制限していた民間団体による北韓への人道支援をこのほど段階的に認める方針を示したことから、民間団体はこれまで保留していた支援事業を再開する動きをみせています。このうち、北韓に練炭を支援してきた民間団体は、政府が北韓入りできる人数や支援品などを具体的に決めれば、来月に金剛山と開城にそれぞれ5万枚の練炭を支援する計画です。また北韓への医療支援を行っている民間団体は、メンバーが来月に北韓を訪問する方向で調整を進めており、北韓に医薬品の生産施設や小児科病院を建設する計画を再開したいとしています。また他の医療支援団体は、中断したままとなっている健康診断センターの建設計画を再開するとしています。

・韓国戦争の休戦記念日の27日、アメリカのホワイトハウスや議会議事堂などアメリカ全域の主な官公庁で弔旗が掲揚されました。これはアメリカの上下両院で「韓国戦争参戦勇士認定法」が成立したことを受けて、オバマ大統領が今月24日に布告文を発表し、韓国戦争で休戦協定が結ばれた7月27日を記念日に指定して、連邦政府のすべての官公庁では星条旗を弔旗にして掲揚するよう要請したことによるものです。オバマ大統領はこの布告文の中で「韓国戦争の休戦協定が結ばれてから56年経った今もアメリカ人は韓国戦争に参戦した勇士たちの勇気と犠牲に感謝している」と述べて、すべてのアメリカ人がこの日に韓国戦争に参戦して犠牲になった兵士を弔い、感謝する適切な記念式などを行うよう呼びかけていました。アメリカで星条旗が弔旗として掲揚されるのはこれまではメモリアルデー(戦没者追悼記念日)だけで、個別の戦争で弔旗を掲揚する記念日を指定したことはありませんでした。

・インターネットで銀行業務を行うインターネット・バンキングの加入者が5500万人を超えました。韓国銀行が28日まとめた韓国のインターネット・バンキング・サービスの現状によりますと、インターネット・バンキングの加入者は、6月末現在で韓国の人口を上回る5557万人となりました。このうち個人の加入者は5300万人で企業は300万社でした。また今年4月から6月末までの第2四半期のインターネット・バンキングの利用件数は1日平均2690万件で第1四半期より2%増え、金額では28兆3500億ウォンで5%増えました。またインターネット・バンキングのように銀行の窓口を利用しない銀行業務は全体の80%を超えています。

・韓国と日本のプロ野球チームが8月1日に釜山で親善試合を行います。この試合は釜山市と福岡市の交流20周年を記念して、釜山に本拠地をおくロッテ・ジャイアンツと、福岡が本拠地のソフトバンクホークスの2軍同士によって今週末の8月1日、釜山の社稷球場で行われることになっています。この試合にはソフトバンクホークスのファンクラブなど日本から1000人あまりの応援団も釜山を訪れる予定で、釜山市と福岡市との友情を深めることが期待されると釜山市の関係者は話しています。

・ソウル市はソウルで生活している外国人に生活情報を提供して、ソウル市のイベントにも参加してもらうことを主な内容とする「外国人感動プロジェクト」を今月31日から始めることになりました。ソウル市によりますと、市内には去年暮れ現在でおよそ25万5000人の外国人が住んでおり、「外国人感動プロジェクト」はこうした外国人に住み心地のよい街作りを進めるとともに、多文化が共存するソウルを世界的にアピールするために行うものです。具体的には、ソウルに1年以上滞在している外国人に交通や住居、文化などの情報を盛り込んだ案内パンフレットを送って生活の便宜をはかるとともに、ソウルで開かれる各種の国際的な行事やイベントに外国人がボランティアとして積極的に参加できるようにし、さらにソウルの王宮やワールドカップ競技場など観光スポットを外国人が見学するなどのプログラムを設けています。

7月27日月曜日

・韓国政府は27日、国連安全保障理事会が北韓による2回目の核実験を受けて採択した制裁決議1874号に基づいて、その実施計画書を安保理に提出しました。政府関係者によると、この実施計画書は「核やミサイルに関連した物資の禁輸措置や金融部門の制裁措置を忠実に実施する」という内容で、「危険な物資を運んでいると見られる北韓の船舶が韓国の海域に入ってきた場合には必要な措置を取る」という内容も含まれているということです。また、金融制裁については、これまでの朝鮮鉱業開発貿易会社と端川商業銀行、朝鮮嶺峰総合会社に加えて、安全保障理事会の制裁委員会が対象に含めた個人5人と五つの機関についても取り引きを禁じることにしています。

・北韓は最近、「アメリカとの対話に反対しない」という考えを繰り返して表明しています。23日に閉幕したARF閣僚会議に出席した北韓代表団の李興植(リ・フンシク)外務省国際機構局長は、6か国協議は終わったとしながらも、「アメリカとの対話には反対しない」として、アメリカと直接対話する用意があることを表明しました。また、24日には、国連駐在北韓代表部の辛善虎(シン・ソンホ)大使が外国メディアとの会見で、「アメリカとの対話に反対しない。共通の関心事について協議する用意がある」と述べました。このように最近、北韓がアメリカとの対話に前向きな姿勢を示しているのは、核実験や長距離ミサイルの発射など、持っているカードを事実上使い果たし、国連安保理の制裁決議に基づいた国際社会の圧力が強くなっているためだとみられます。北韓はこのようにアメリカに対しては対話に応じる姿勢を示していますが、北韓の朝鮮中央放送が26日のニュースで、来月17日から27日まで行われる予定の韓米合同軍事演習は北韓を攻撃するための演習だと強く非難するなど、一方では強硬な姿勢を崩していません。

・アメリカのクリントン国務長官は、「北韓が対話のテーブルに復帰することを希望するが、対話の形式は6か国協議が望ましい」という考えを示しました。クリントン国務長官は27日、NBCテレビに出演し、「アメリカは依然として北韓が核放棄に向けた協議に復帰することを望んでいる」と述べた上で、「北韓は6か国協議が終わったとしているが、それは北韓だけの主張で、対話の形式は関係国がすべて参加する6か国協議が望ましい」と強調しました。また、「アメリカは中国が北韓に対する制裁と関連して取っている前向きな姿勢に満足している」と述べ、「中国が積極的に制裁に加わっている今、北韓はこれまでになく孤立している」と指摘しました。このようにアメリカと北韓はともに対話に応じる用意があるとしていますが、北韓がアメリカとの直接対話を望んでいるのに対して、アメリカは6か国協議の再開を望んでおり、実際に対話が再開されるまでには時間がかかりそうです。

・李明博大統領は27日、光復節に行う特別赦免では、生活苦が原因で犯罪を犯した人を対象にする考えを示しました。李明博大統領は、KBSラジオで放送された20回目のラジオ演説で、「長引く不況で生活苦が原因で罪を犯す人が増えている」と指摘し、8月15日の光復節で行う大統領特別赦免では、生活苦が原因で軽度の罪を犯した人を赦免の対象に含める考えを示しました。また、李明博大統領は、教育対策として、家庭で学習塾などに支出するいわゆる私教育費の負担が大きくなっているので、塾などに通わなくても、誰でも大学に進学できるようにするために、公教育を充実させていきたい述べました。一方、国会でこのほど与党ハンナラ党が可決成立させたメディア関連法については、与野党が合意できなったのは残念だが、放送通信分野の競争力を高めるためにはこれ以上施行を遅らせることができない問題だったと述べました。

・消費心理指数が4か月連続で上昇し、7年ぶりで最も高い水準に達しました。韓国銀行が27日に発表した「7月の消費者動向」によりますと、消費者心理指数は109で、前の月の106より3ポイント上昇しました。これは2002年第3四半期の114以来、最も高い水準です。消費者心理指数は、100を上回ると今後景気がよくなると判断する人が多いことを意味し、100を下回ると景気が悪くなると判断する人が多いことを意味します。一方、現在の生活水準を示す指数は92で、前の月より3ポイント上昇し、現在の景気を判断する指数は96で、前の月より5ポイント上昇しました。韓国銀行の関係者は、生活水準や景気に関する指数は100以下にとどまっているものの上昇する傾向が続いており、一方で株や不動産の価格が上昇し、生産や消費も改善されていることが、将来の景気を判断する消費者心理指数の上昇につながったとしています。

・ソウル近郊の鉄道建設現場で25日に鉄の構造物が落下した事故で、死亡した人が5人に増えました。事故が起きたのは議政府市の鉄道建設現場で、地上12メートルに高架の線路を建設していたところ、長さ90メートルの鉄骨構造物がクレーンで移動中に落下しました。この事故で作業員4人が死亡していましたが、入院して治療を受けていた1人が27日に死亡し、死亡者は5人に増えました。警察は何らかの理由でクレーンがバランスを崩したものと見て、原因を調査しています。

・韓国で最近人気を集めている伝統酒「マッコリ」が海外でも人気が高くなっています。マッコリは主に米を醗酵させて作る濁り酒で、ほのかな酸味があって、値段が安いため庶民に親しまれている伝統酒です。関税庁が27日に発表したところによりますと、このところマッコリの輸出が増え、今年上半期は2635トン、金額では213万4000ドルに上りました。これは前の年に比べて量では16%、金額では13%増えたことになります。マッコリが最も多く輸出されているのは日本で、上半期の輸出全体の89%を占め、次いでアメリカ、中国、オーストラリア、ベトナム、香港、タイ、シンガポールの順でした。マッコリが人気を集めているのは、味や安さに加えて、醗酵する過程で発生する乳酸菌が健康によい上、悪酔いしないことなどが理解されてきたためと見られます。一方、マッコリとともに庶民の酒とされている焼酎の輸出はやや減っています。今年上半期の焼酎の輸出は3万6694トン、金額では5069万ドルで、量と金額ともに7%程度減りました。

7月25日土曜日

・政府は、民間団体による北韓への人道支援事業のため、南北協力基金からの支出を近く再開する方針です。複数の民間団体の関係者によりますと、政府は来週、南北交流協力推進協議会を開き、およそ10あまりの民間団体による北韓に対する人道支援事業のため、南北交流協力基金からの支出を再開することを決める方針だということです。政府は今年に入って、民間による北韓への支援については、各団体が募金などで集めた金額に連動して支援基金を決めるという「マッチングファンド」形式で、例年と同じ規模の100億ウォンあまりを拠出する計画で、今年4月初めまでに支援基金の申請を受け付けることにしていました。しかし3月30日に、北韓にある開城工業団地で勤務していた韓国企業の男性会社員1人を北韓当局が抑留したのに続いて、4月に長距離ロケットを打ち上げ、さらに5月には核実験を行ったことを受けて、基金から支出を保留していました。今回政府が民間団体による支援に基金からの支出を再開することについて、一部では、政府は南北関係の正常化に向けて、柔軟性を見せる思惑を持っているのではないかとする見方も出ています。

・KTXのソウルと全羅南道木浦市を結ぶ湖南(ホナム)高速鉄道が、24日に着工しました。湖南高速鉄道は、ソウルから忠清北道五松(オソン)までは今の京釜高速鉄道を共用しますが、五松と光州の間は現在の湖南線とは別の直線的な高速用線路が建設されます。そしてこれと平行して光州から木浦までの建設にとりかかり、五松−木浦間の230.9キロ間を2017年までに完成させる計画です。このうち第1段階の工事が行われる五松-光州間は、5年後の2014年に開通し、第2段階の光州-木浦間は、2017年に開通します。最高時速350キロで走る湖南高速鉄道が開通すると、ソウルから光州市までの所要時間は、現在の3時間から1時間41分に、ソウルから木浦市までは1時間46分に大きく短縮され、全国が1時間台で結ばれる生活圏となります。

・李明博大統領は、24日、「大都市を中心とする特定の地域で、学習塾などの私教育を受けた、成績のよい人だけが有名な大学に入り、安定した職場に就くような時代は終わった」と強調し、大学入試の見直しをほのめかしたものとみられます。子どものいる家庭で、学習塾などに支出する、いわゆる私教育費が年々増えていることを受けて、政府が様々な対策を立てている中で、李明博大統領は、24日、忠清北道の高校を訪れ、教師や生徒らとの懇談会に出席し、このように述べました。さらに、李明博大統領は、「これからは私教育を受けなくても、創意に富んだ人が優遇される時代になるだろう。大学に行かなくても夢を広げることができる社会にならざるを得ない。大学入試は、学力テストや論述試験ではなく、100%面接で決める時代が来る」と述べました。政府は、最近、私教育費を減らして、公教育を正常化する対策を立てているだけに李明博大統領のこのような発言は、大学入試の見直しをほのめかしたものと受け止められ、注目されています。

・韓国軍とアメリカ軍の連合司令部は、来月17日から韓半島の有事を想定した合同軍事演習「乙支(ウルチ)フリーダムガーディアン」を実施すると発表しました。「乙支(ウルチ)フリーダムガーディアン」は、コンピューターシミュレーションによる仮想の戦闘状況を想定して、これに対応する演習で、韓国軍が作戦を指揮し、アメリカ軍が支援する形で行われます。韓米連合司令部によりますと、今年は、韓国軍5万6000人と、韓国に駐留するアメリカ軍や、海外に駐留するアメリカ軍1万人あまりが参加して、来月27日まで行われます。韓米連合司令部は24日、このような計画を北韓側に正式に通報したということです。最近、北韓は、核問題などをめぐって、韓国やアメリカとの対立姿勢を強めているだけに合同軍事演習に再び反発することも予想されます。

・三星電子は今年の第2四半期に業績が改善して、黒字に転換し、営業利益は世界同時不況前の水準に戻りました。三星電子が24日に発表した今年4月から6月までの第2四半期の売上高が前年同期より12%多い32兆5000億ウォンに上りました。三星電子の業績は、世界同時不況の影響を受けて、去年の第4四半期と今年第1四半期に、連続で赤字でしたが、第2四半期は半導体と液晶パネルの営業損益が黒字に転じたことや、携帯電話が世界市場のシェアを伸ばして全体の20%台を確保したことなどで黒字への転換を果たしました。

・肺炎のため入院している金大中元大統領は22日、「肺塞栓(そくせん)症」を起こして集中治療室に移され、再び人工呼吸器をつけましたが、25日現在、容態は安定しているということです。金大中元大統領の秘書が25日、明らかにしたところによりますと、金元大統領は、体温、脈拍、血圧ともに回復して、容態は全体的に安定した様子で、今朝、婦人の李姫鎬(イ・ヒホ)女史が面会した際は、呼びかけにうなずくなど意思の疎通ができる状態に回復したということです。

・イングランドのプレミアリーグのマンチェスター・ユナイテッドが24日、ソウルで、韓国のプロチーム、ソウルFCと親善試合を行いました。この試合は、マンチェスター・ユナイテッドのアジアツアーの一環として、24日夕方、ソウルのワールドカップスタジアムで行われました。マンチェスターユナイテッドでは、韓国代表の朴智星選手が活躍していることもあって、競技場には、およそ6万5000人あまりのサッカーファンが詰めかけ、国家代表チームの対抗戦を思わせる高い関心を集めました。試合は、マンチェスターユナイテッドが3対2で、FCソウルを下しました。

7月24日金曜日

・韓国銀行は24日、今年第2四半期のGDP=国内総生産の伸び率が、前の期に比べてプラス2.3%になったと発表しました。これは2003年の第4四半期以来、5年半ぶりにもっとも大幅な伸びです。韓国銀行の関係者は、製造業の生産が増加し、企業の設備投資も増えて、消費が回復していることが、GDPの大幅な伸びにつながったと指摘し、政府が景気浮揚策の一環として歳出を拡大した効果が大きく影響したと説明しました。この関係者はさらに、GDPの大幅な伸びは、景気が底をついたとする韓国銀行の見方を裏付けるものだと指摘しました。しかし、1年前に比べた伸び率はマイナス2.5%にとどまって、去年の第4四半期から3期連続でマイナスを記録しており、中長期的にはまだ景気が回復していると判断するのは早いという見方もあります。

・韓国株式市場の総合株価指数が、ほぼ11か月ぶりに1500ポイントを回復しました。24日の韓国株式市場は、前日のニューヨークのダウ指数の上昇を受けて、1508.32で取り引きが始まり、外国人投資家が買いに回って一時1510を上回りましたが、その後、機関投資家と個人投資家が売りに回って、1500付近で取り引きが続き、結局、前の日に比べて6.10ポイント上昇し、1502.59で取り引きを終えました。これは去年8月21日の1512.59以来、ほぼ11か月ぶりの高値です。外国人投資家は8日連続で買い越し、電気・ガス、通信、サービスを除くほとんどの業種が上昇しました。

・世界的に景気の悪化が続いている中で、韓国の自動車最大手の現代自動車は業績が改善し、今年上半期の売上が世界市場で初めて5%を超えました。現代自動車が24日に発表した今年上半期の売上げは、国内向けと輸出がいずれも7兆ウォンを超え、合わせて14兆1120億ウォンに達しました。これは世界の自動車市場のシェアで初めて5%を超えたことになります。営業利益は8000億ウォン台で、去年の同じ期間に比べると32%減りましたが、経常利益と純利益は10%程度増えました。現代自動車の関係者は、業績が改善していることについて、中国での販売が去年より56%多い25万7000台に達して、日本のメーカーを上回るなど、海外での販売が好調で、国内の需要も回復しているためだと述べました。

・タイで開かれていたARF=ASEAN地域フォーラムの閣僚会議は23日、北韓の核問題をめぐってアメリカと北韓が厳しく対立したまま、議長声明を発表して閉幕しました。会議では北韓の核問題をめぐってアメリカと北韓が厳しく対立し、北韓が、「アメリカは半世紀以上に渡って北韓を核で脅し、今も韓国に大量破壊兵器を持ち込んでいる」とアメリカを非難したのに対して、アメリカは、「北韓の主張は根拠がなく、北韓が核を放棄すればすべての問題は解消される」と強調しました。また、アメリカのクリントン国務長官は記者会見で、「北韓が核を放棄すれば国際社会が北韓を支援するが、核を放棄しなければ制裁措置を強化するだろう」と述べ、これに対して、北韓の代表は記者会見で、「北韓が核開発を進めているのは、体制の安全と自主権を守るためで、金には替えられない」と述べて、譲りませんでした。一方、会議で採択された議長声明には、北韓に対して核実験を非難し、6か国協議への復帰を促すアメリカなどの主張が盛り込まれた一方で、「韓半島情勢の悪化はアメリカによる北韓に対する敵対視政策が生み出したものだ」とする北韓の主張も盛り込まれました。北韓の主張が議長声明に盛り込まれたのは、議長国のタイが北韓の要求を断りきれなかったためと見られています。

・ソウルを流れる漢江の南側を東西に走る地下鉄9号線が24日、開通しました。開通したのはソウル市江南の新論?駅から金浦空港駅までの25.5キロで、この区間には25の駅があります。一番列車は金浦空港方面に向けて新論?駅など三つの駅から、新論?駅方面へ向けては金浦空港駅など四つの駅から、いずれも午前7時に同時に出発しました。地下鉄9号線には九つの駅にだけ停車する快速列車も運行され、これを利用すると新論?駅と金浦空港駅の間を30分で結びます。さらに金浦空港駅では仁川国際空港に乗り入れている仁川空港鉄道に乗り換えることが出来ます。基本の運賃は900ウォンで、距離によって加算されます。

・国会で22日、大企業や新聞社の放送事業への進出を認めるメディア関連法の改正案が与党ハンナラ党によって可決、成立したことを受けて、野党民主党の代表が議員の辞職届を出すなど、野党の反発が強まっています。民主党の丁世均代表は24日、国会事務局に議員の辞職届を提出し、秘書官らが議員会館から撤収を始めました。丁世均代表は記者会見で、「ハンナラ党による不法で暴力を伴った強行採決は無効だ」と主張し、「議員職を辞退して、国民とともに闘っていく」と述べました。また、この日開かれた民主党の議員総会では、民主党議員のほとんどが辞職届を書き、国会事務局に提出するかどうかは丁世均代表に一任しました。

・韓国の公正取引委員会は23日、世界最大の携帯電話部品メーカのアメリカのクアルコム社に対して、2600億ウォンの制裁金を科すことにしたと発表しました。これは公正取引委員会が決定した制裁金としては史上最高額です。公正取引委員会によりますと、クアルコム社は、携帯電話の核心となる部品のCDMAチップセットを販売する際に、購入する会社が全体の85%以上をクアルコム社のチップセットを使う場合にリベートを提供した他、CDMAの基本的な技術に関する特許使用料を割り引きするなどして、公正な競争を妨げたとしています。公正取引委員会はまた、クアルコム社のこうした行為が、CDMAチップセットを開発している韓国や台湾の企業の市場進出を不当に妨げたと指摘しました。クアルコム社については、同じような理由でEUや日本でも調査が進められています。

・韓国人の78%がアメリカに好感を持っていることが分かりました。アメリカの調査機関ピュー・リサーチ・センターは、25か国の2万6000人あまりを対象にアメリカに対する認識を調査して、その結果を23日に発表しました。それによりますと、韓国では、18歳以上の男女702人を対象に調査した結果、78%が「アメリカに好感を持っている」と答え、「好感を持っていない」と答えた人は19%にとどまりました。2007年の調査では、58%が「好感を持っている」と答え、去年の調査では70%が「好感を持っている」と答えており、アメリカに対する好感度が年々高くなっています。アメリカに対する好感度は、日本では去年の50%から今年は59%に、中国では41%から47%に好感度が増しています。

・プロサッカーKリーグFCソウルの李青龍(イ・チョンヨン)選手がイングランドのプレミアリーグに進出することになりました。FCソウルは24日、プレミアリーグのボルトン・ワンダラーズとの間で、李青龍選手の移籍に合意したと発表しました。契約期間は3年で、移籍料は41億ウォン、年俸は15億ウォンと推定されています。李青龍選手は韓国の代表チームでも活躍していますが、今年21歳で、プレミアリーグに進出した韓国人選手の中では最年少です。

7月23日木曜日

・今の国会で最大の争点となっているメディア関連法の改正案が22日、与党ハンナラ党の賛成多数で可決・成立したことを受けて、野党民主党は投票は無効だとして、国会の外で闘争を繰り広げるなど強硬な姿勢を貫く方針を示しました。民主党は、ハンナラ党がメディア関連法を可決・成立させた直後の22日夕方から国会本会議場に座り込み、23日午前に議員総会を開いて今後の闘争方法について話し合いました。この席で民主党の丁世均(チョン・セギュン)代表は、「ハンナラ党と李明博政権は、国民が望んでいない法律を一方的に成立させ、国民は怒りを覚えている。民主党はメディア関連法改正案を阻止する闘争では負けたが、実質は勝ったも同じだ」と評価しました。そして、民主党は、この週末にほかの野党や社会団体などとともに集会を開くなど国会の外で本格的な闘争を繰り広げ、全国を回りながらこうした集会を開いていくことになりました。一方、ハンナラ党は、メディア関連法の改正案を可決・成立させたことに対する反発を警戒しながら、国民生活の改善に向けた政策に力を入れていくとしています。ハンナラ党の朴熹太(パク・ヒテ)代表は23日の党内会議で、「民主党が真夏に国会の外で闘争をしたところで国民は歓迎しないだろう。ハンナラ党はこれから国民生活の改善に全力を尽くしていく」と述べました。このようにメディア関連法の改正案は成立しましたが、与野党は激しく対立したままで、9月の通常国会や10月に行われる国会議員の再選挙・補欠選挙まで続く可能性もあるものとみられます。

・韓国、アメリカ、日本を含む27か国の外相がアジア太平洋地域の安全保障について話し合うASEAN=東南アジア諸国連合の地域フォーラム、ARFの閣僚会議が23日にタイのプーケットで開かれました。今回のARFで参加国は、北韓の核問題やミャンマーの民主化をめぐる情勢など、地域の安全保障問題について意見を交わす見通しで、夕方に議長声明を発表して閉幕します。議長声明には、北韓の核実験とミサイル発射を強く非難し、北韓に対して核問題の平和的解決に向けて6か国協議に復帰するよう促す内容が盛り込まれる一方で、北韓の立場を示す文言も含まれる可能性が高いものとみられます。この会議で韓国外交通商部の柳明桓(ユ・ミョンファン)長官は、北韓の核問題など北東アジア情勢に関する韓国の立場を表明し、国際社会の理解と支持を取り付けるものとみられます。一方、これに先立って、アメリカのクリントン国務長官は22日記者会見し、「北韓が完全な非核化に同意すれば、米朝関係の正常化を含めたインセンティブを提供する」と述べており、これに対して北韓はARF閣僚会議で自らの立場を表明するとみられ、注目を集めています。

・アメリカ太平洋軍のキーティング司令官は22日、北韓の金正日国防委員長が権力を移譲した場合に備えて対処する計画を用意していることを明らかにしました。キーティング司令官はこの日の記者会見で、「北韓では金正日国防委員長が権力を譲ったり、統治力を失ったりした場合に何が起こるか分からない」とした上で、「関連省庁はこれに備えて対処する多様な計画を用意しており、命令があればすぐに実行に移す」と強調しました。アメリカ軍の高官が、金正日国防委員長の権力委譲に備えて対処する計画について公式に触れたのはこれが初めてです。キーティング司令官はしかし、「計画はダイナミックに変化し続けるもので、我々は北韓の状況を常に見守っている」と述べ、状況によって計画が変わる可能性があることを示唆しました。

・新型インフルエンザの2次感染が広がり、これまでの感染者が1000人を超えました。保健福祉家族部の中央インフルエンザ対策本部は22日、国内の航空会社の乗務員3人を含む、68人の感染が新たに確認されたと発表しました。航空会社の乗務員3人は、検疫所と保健所の検査で感染が確認されており、保健当局は、3人と同じ飛行機に乗っていた乗客について検査を行っています。また、最近は外国に行ってきたことがなく、インフルエンザの感染者と接触したこともない10人の感染が確認され、地域での2次感染が続いていることが分かりました。このうち143人が入院して治療を受けており、215人が自宅に隔離された状態で治療を受けています。自宅で隔離した状態で行う治療は、21日に国家伝染病の危機段階がこれまでの「注意」から「警戒」に1段階引き上げられたのに伴って、患者の状態や感染の可能性などを考慮してできるようになった措置です。

・去年1年間の韓国の輸出は世界で12番目、輸入は10番目に多かったことが分かりました。WTO=世界貿易機関が22日に発表した「世界貿易報告書」によりますと、去年の韓国の輸出額は4200億ドルで世界で12番目に多く、世界全体の輸出額の2.6%を占めたことが分かりました。国別では、ドイツの輸出額が1兆4700億ドルで最も多く、次いで中国(1兆4300億ドル)、アメリカ(1兆3000億ドル)、日本(7820億ドル)の順となっています。また、去年の韓国の輸入額は4350億ドルで10番目に多く、世界全体の輸入額の2.7%を占めました。

・創作物の著作権の保護を強化するため、違反した人への制裁を厳しくして改正された著作権法が23日から施行されました。これによって、政府は、著作権者の許諾を得ず、著作物を常習的にインターネットで流通させた人に対して警告し、3回以上警告を受けると、その人のアカウントの使用が停止されるだけでなく、その人が不法に利用したサイトのすべての個人アカウントの使用が最大で6か月間停止されます。また、違法な流通の窓口としての役割をした、オンラインサービスの提供者も、3回以上警告を受けると同じような制裁を受け、アカウント停止命令を履行しなかった場合には1000万ウォン以下の罰金が科せられます。改正された著作権法については、一般のインターネットユーザーから不満の声が上がっていますが、文化体育観光部は、「著作権法の改正は、経済的利益を得るために、常習的に違法行為をする者を規制するためのもので、営利目的でない一般ユーザーのブログなどは規制の対象ではない」と説明しています。しかし、改正された著作権法の施行について、一部では、法律が過度に厳しく適用されたり、乱用されたりすると、表現の自由が侵害される恐れがあるという声も上がっています。

・韓国の成人男性の喫煙率が、この1年間で再び上昇したことが分かりました。保健福祉家族部が22日に明らかにしたところによりますと、今年上半期の成人男性の喫煙率は41.1%で、去年の同じ期間より0.7ポイント上昇しました。成人男性の喫煙率は、たばこを値上げする一方、韓国がたばこ規制枠組み条約(FCTC)に加入した2005年に大幅に下落し、その後も減り続けて、去年6月には底を打っていましたが、去年下半期から再び上昇に転じました。一方、今年上半期の成人女性の喫煙率は3.6%で、去年の同じ期間より0.1ポイント下がり、今年上半期の成人全体の喫煙率は22.1%で、去年の同じ期間より0.2ポイント上昇しました。保健福祉部では、喫煙率を再び下げるために、たばこのパッケージに喫煙の有害性を警告する絵を入れるほか、公園や病院などの公共施設全体を喫煙区域に指定することなどの対策を実施するとしています。

7月22日水曜日

・今の国会で与野党が激しく対立し最大の争点となっているメディア関連法の改正案が国会議長の職権で上程されて本会議に送られ、与党ハンナラ党の賛成多数で可決・成立しました。メディア関連法の改正案は新聞社や財閥に放送事業を認めることを主な内容とする新聞法、放送法、IPTV法と、3つの改正案で、野党民主党がこれに強く反対していたことから、与野党は週明けから修正案を出し合って妥結をはかってきました。しかし双方の意見の差を縮めることができず、ハンナラ党の安商守(アン・サンス)院内代表は22日午前、議員総会で民主党との交渉が決裂したことを宣言し、午後にはメディア関連法の改正案を国会議長の職権で上程するよう、金炯?(キム・ヒョンオ)国会議長に要請するとともに、本会議場の議長席をハンナラ党の議員100人あまりで守る体制を取りました。ハンナラ党の要請を受けた金炯?議長は、「与野党の交渉をこれ以上長引かせても意味がないので、国会法の手順に沿って22日の本会議でメディア関連法改正案の採決を行う」と述べて、議長による職権で上程しました。本会議場でハンナラ党と民主党の議員によるもみ合いや小競り合いが続く中で、金炯?議長はその後、議長役を李允盛(イ・ユンソン)副議長に引き継ぎ、これを受けて李允盛副議長が本会議場の秩序維持のために警護権を発動して、警官60人が警備に当たる中で、採決が行われました。その結果、改正案のうち、新聞法は在籍議員162人のうち賛成152、棄権10で、放送法は在籍議員153人のうち賛成150、棄権3で、そしてIPTV法は在籍議員161人の満場一致でそれぞれ可決・成立しました。これに対して民主党は、投票したハンナラ党議員の一部に代理投票があったうえ、放送法の採決では副議長が投票の終結を宣言した後に、採決に必要な人数に達していなかったことが分かって再投票したので、採決は無効だと抗議しました。こうしてメディア関連法の改正案は去年暮れに国会に提出されて、およそ7か月で成立しましたが、与野党の対立は今後、さらにエスカレートすることが避けられない見通しです。

・従業員の整理解雇に反対して、労働組合が2か月以上ストライキを続けている双龍(サンヨン)自動車の平沢(ピョンテク)工場で21日、投入されていた警察が労働組合員との激しい衝突の末、組合側が占拠していたプレス工場2か所を確保しました。双龍自動車の平沢工場では、工場に立てこもっている組合員に対して20日、裁判所の強制執行が行われる予定でしたが、組合員がゴムを使った大型のパチンコでボルトを発射するなどして抵抗したため、強制執行には失敗していました。このため、京畿道地方警察庁は21日朝から警察官600人あまりを動員して、工場の正門と南門、北門から組合員が集結している塗装工場に向けて距離をつめながら徐々に進みました。これに対して、組合側は、塗装工場の屋上からゴムを使った大型のパチンコでボルトとナットを発射する一方、鉄パイプを振り回したり、火炎瓶を投げつけたりして激しく対抗しました。しかし、警察は午後6時半ごろになって組合側が占拠していたプレス第2工場と新プレス工場から組合員を相次いで退去させました。警察がプレス工場を確保したことで、プレス工場は今後、整理解雇の対象ではない社員が管理して業務再開に向けて準備するということです。

・メディア関連法の改正と、労使紛争が続いている双龍(サンヨン)自動車の工場へ警察官が動員されたことなどに反発して、韓国の2大労働組合組織の一つ、民主労総=全国民主労働組合総連盟が22日から全面ストに入りました。金属労組や言論労組などが所属している民主労組はこの日午後、従業員の解雇に反対してストライキを行っている労働組合と警察の対立が続いている双龍自動車の平沢(ピョンテク)工場に近い平沢駅で、金属労組の組合員5000人あまりが集まってスト決議大会を開き、政府と双龍自動車の経営側に対して、工場内に動員された警察官を直ちに撤退させることや、水道やガスの供給中断など人権を侵害する措置をやめるよう求める一方、関連の起亜自動車支部や協力会社の支部などの組合員8万人が部分ストに入りました。民主労組はまた、この日午後、ソウルの汝矣島(ヨイド)で言論労組や保健医療労組、首都圏の労組幹部など5000人あまりによる集会を開き、与党ハンナラ党に対して、新聞社や大企業に放送事業への参入を認めることを骨子とするメディア関連法の改正案や、国会で争点となっている非正規職保護法の改正案を強行採決しないよう求めました。一方、KBSの労働組合もメディア関連法改正案に反対して22日午前6時から全面ストに入りました。KBSの労働組合がストに入ったのは、1999年に、政府が進めていた財閥やマスコミが衛星放送に参加することを認める統合放送法に反対してストを行って以来10年ぶりです。

・太陽が月に隠れる日食が、22日午前から、インド、中国、日本などで観測されましたが、韓国では太陽の一部がかける「部分日食」が見られ、これに合わせて各地で多彩なイベントが繰り広げられました。韓国天文研究院によりますと、この日、インド、中国、日本などアジア各国と太平洋の一部地域では月が太陽を完全に覆う「皆既日食」が史上最も長い6分あまりにわたって観測され、韓国では部分日食がおよそ2時間40分にわたって観測されました。太陽が月に隠れる割合は地域によって異なり、ほとんどの地域がおよそ80%でしたが、南部の済州島では93%以上となりました。太陽が最も大きく欠けた済州島では、公園に小学生やアマチュア写真家などおよそ1000人が集まり、観測用のめがねや太陽フィルターが取り付けられた望遠鏡などを使って日食を観測しました。また、釜山市の海雲台(ヘウンデ)海水浴場では天体望遠鏡10台を使って日食を観測するイベントが開かれ、700人あまりの市民が参加したため望遠鏡の前には100メートル近い列ができていました。このほか、大田(テジョン)や大邱(テグ)など、全国40か所あまりでイベントが開かれ、市民たちが日食の観測を楽しみました。

・アメリカのクリントン国務長官は21日、タイのプーケットで開かれるASEAN=東南アジア諸国連合の地域フォーラム、ARFの席で、北韓と対話する予定はないと明らかにしました。クリントン国務長官はこの日、訪問先のインドでアメリカ・フォックスニュースのインタビューに応じ、「オランダで今年4月に開かれたアフガニスタン復興支援会議にイラン代表が出席したが、私は彼らに話しかけなかったし、彼らも私に話しかけなかった。北韓ともそのときと同じような状況になるだろう」と述べました。クリントン国務長官はまた、北韓の代表と同じ会議室に入るのかという質問に対し、「そのときになってみないと分からないが、我々は北韓と対話する気はない。我々が関心を持っているのは、北韓が交渉のテーブルに復帰し、韓半島の非核化に向けた交渉を続けることだ」と述べ、北韓に対して厳しい姿勢を示しました。クリントン国務長官はさらに、「北韓は我々が何を求めているかを知っているはずだ」と強調し、北韓が立場を変えない限り北韓との対話はありえないという立場を示しました。一方、北韓の代表を務める朴根光(パク・グングァン)大使は、21日午後プーケット入りし、アメリカと接触するかどうかを聞く記者の質問に対し、「状況を見守っていく」と答えたということです。

・新型インフルエンザへの2次感染が広がっていることを受けて、保健福祉家族部は21日、国家伝染病の危機段階をこれまでより1段階上の「警戒」に引き上げるなど、新型インフルエンザに対する新たな対応策を打ち出しました。保健福祉家族部の中央インフルエンザ対策本部はこの日、関係部処や専門家による危機評価会議を開き、国家伝染病の危機段階をこれまでの「注意」から「警戒」に1段階引き上げることを決めました。国家伝染病の危機段階は、低い方から「関心」、「注意」、「警戒」、「深刻」の4段階に分かれています。今回、危機段階が引き上げられたのは、夏休みで海外旅行をした人や宗教のイベントなどで海外から入国する人の中に新型インフルエンザに感染した人がいるため、集団感染が増えて、地域社会での2次感染が広がっていることから、秋には大流行する可能性が高いと判断したためです。これによって、地方自治体にもインフルエンザ対策本部が設置されて、患者の調査や管理、診療を担当することになり、複数の市や道にまたがる集団感染はこれまで通りに疾病管理本部が担当します。政府はまた、これまでの検疫と隔離を中心とした対策から、治療を中心にして被害を最小限に抑える対策に切り替えることを決め、それぞれの市や道で指定されている553の治療拠点病院に抗ウィルス剤やマスクなどを支給し、患者の診療に向けた体制を整備するとしています。

・韓国南部の島、済州島(チェジュド)の景観がスイスの財団が発表している「新・世界七不思議」の最終候補地に選ばれました。「新・世界七不思議」は、世界中からの投票によって決められる現代版の世界七不思議で、2007年に1回目が発表されています。スイスに本拠を置くニュー・セブン・ワンダース財団は22日、2回目の発表に向けて、2007年から今月初めまでインターネット上で行ってきた2度にわたる投票の結果、441の候補地を71に絞り込み、さらに専門家による会議を経て済州島を含む28の最終候補地を選定したことを明らかにしました。最終候補地には韓国の済州島をはじめ、アメリカのグランドキャニオンやスイスのマッターホルン、アフリカのキリマンジャロ、南米アマゾンの熱帯雨林などが含まれています。財団では今年8月から2011年下半期にかけて、世界のインターネットユーザーによる最終投票を行い、世界七不思議を決めるとしています。

7月21日火曜日

・メディア関連法の改正案をめぐって、国会で厳しく対立している与野党は、20日に続いて21日も折衝を続けていますが、立場の違いは依然として大きく、交渉が妥結するかどうかは不透明な状況です。メディア関連法は、与党ハンナラ党が新聞社や大企業に放送事業への参入を認めることを骨子とする改正案を今の国会で成立させたいとしているのに対して、野党民主党は財閥が放送事業に参入すれば、放送の公共性と公益性が侵害される恐れが大きいとして強く反対しています。与野党は20日午後、院内代表による協議を行い、この席でハンナラ党は新聞社の放送事業への参入を受け入れれば、法律の発効を3年後に先送りするという修正案を民主党に提案したもようです。これに対して民主党はポイントは特定の新聞社が放送事業に進出することで、ハンナラ党はその新聞社を通じて放送をはじめとする言論を掌握して政権を維持しようとしていると批判しました。民主党はまた21日、金炯オ国会議長がこの改正案を職権で上程することを防ぐために、所属議員84人全員が議員を辞職することも検討していると述べました。また政策でハンナラ党に協調している自由先進党の李会昌(イ・フェチャン)代表は、「ハンナラ党の政策は一貫性に欠けている」と批判しており、メディア関連法をめぐる与野党の対立は国会が会期末を迎える今週末に向けて、一層エスカレートしています。

・民放の労働組合などで組織している全国言論労組は、与党ハンナラ党が進めているメディア関連法の改正に反対して21日から3度目のストライキに入りました。言論労組に入っている地上波民放のMBC、SBS、EBS(教育放送)などの組合員は、21日午前6時から番組制作を拒否して、メディア関連法の改正に反対する集会に参加しており、地方の新聞社の組合員もこの集会に加わっています。また言論労組に所属していないKBSは22日午前6時からストライキに入る予定です。言論労組は新聞社や財閥に放送事業を認めることを主な内容とするメディア関連法の改正に反対して、去年暮れに13日間に渡って最初のストライキを行ったのに続いて、今年2月下旬にも6日間のストライキを行いました。

・韓国の経済は下降局面がほぼ終わっているので、経済危機の後の政策をまとめる必要があると、政府の総合経済政策研究機関の韓国開発研究院が分析しました。韓国開発研究院がまとめた報告書によりますと、韓国の景気は下降局面がほぼ終わっており、今後は経済危機直後の経済政策をまとめる必要があるとしています。そのためにまず去年暮れの経済危機の際に政府がとった都市銀行が抱えている外貨建て債務の保証は、銀行経営の肥大化を招き、景気の足腰を再び弱める結果につながりかねないとして、取りやめるよう指摘しました。また現在の政策金利が2%前後と低く、不動産バブルなどの副作用を引き起こす恐れがあるので、金利を引き上げるべきだとしています。韓国開発研究院はこのほか中小企業への支援事業の窓口を一本化することや、金融部門で政府の介入を抑えること、さらに国際環境の変化に積極的に対応することも重要だとしています。

・北韓が核開発計画を断念すれば、国際社会はおよそ400億ドル相当の包括的な支援を行うことが関係国の間で検討されていると、イギリスの日刊紙フィナンシャル・タイムズが20日報道しました。それによりますと、韓国は北韓の非核化に向けて具体的で包括的な支援案を取りまとめており、その規模は400億ドルに上り、アジア開発銀行と世界銀行、それに関係国が参加して資金調達し、北韓の経済発展に絞って使われるということです。具体的には北韓の5か所に自由貿易地帯を設け、その中で100あまりの輸出企業を育てる一方、鉄道や道路、通信網を整備して、労働者30万人を配置する計画で、6か国協議の韓国首席代表の魏聖洛(ウィ・ソンナク)韓半島平和交渉本部長がこのほどアメリカの大手投資銀行ゴールドマンサックスなどの投資者に説明しており、今後、関係国との協議でさらに具体化する見通しだということです。

・韓国最大手のメーカー三星電子は、世界で初めて40ナノ工程を適用した次世代Dラム半導体の量産を開始することになりました。三星電子は21日、40ナノ級の工程を適用した2ギガビット(Gb)容量のDラム半導体の量産を今月末から開始すると発表しました。ナノは10億分の1メートルという単位で、小さければ小さいほど、半導体を製造する際の薄く丸いシリコン板の上に組み込む回路の幅を縮め、性能を向上させることができるもので、三星電子は40ナノ級のDラム半導体を開発から6か月で量産体制に入ることになります。これについて三星電子は「40ナノ級のDラム半導体は、現在、最も好評を得ている50ナノ級より電力消費が少ないため環境にやさしいうえ、高性能の製品を製造できるようになった。今後、サーバー用の機材からノート型パソコンまで、大容量を必要とする製品に利用する計画だ」と述べました。

・ことし上半期の南北間の交易は、北韓が核実験を強行し、ミサイルを相次いで発射するなど韓半島で緊張が高まったことから低調で、去年の上半期に比べて27%減りました。関税庁が21日まとめた今年1月から6月末までの上半期の南北間の交易は合わせて6億5000万ドルで、去年の同じ期間より27%減少しました。このうち北韓向けは2億6000万ドルで、北韓からの持ち込みは3億9000万ドルでした。このように南北間の交易が大幅に減ったのは、北韓が長距離ロケットの発射に続いて地下核実験を強行して韓半島での緊張が高まったためです。韓国政府は北韓による2回目の核実験に対する国連決議を履行するために、北韓向けの貴金属や化粧品、自動車、楽器などの芸術品などぜいたく品の搬出を厳しく制限する方針を決めているため、今年の南北交易は去年より30%近く減少するものとみられます。

・韓国人の自殺率は人口10万人あたりに21.5人で、OECD=経済協力開発機構加盟国の中でもっとも高いことが分かりました。保健福祉家族部が発表したOECDの統計によりますと、韓国人の自殺率は人口10万人あたり21.5人で、OECD加盟国の中で最も高く、OECD平均の11.2人に比べてもほぼ2倍に達しています。

・超大型スーパーマーケットが増えて、在来市場の客足が急減している中で、ほとんどの在来市場で使える商品券の販売が始まりました。この商品券は「オンヌリ商品券」という名前で、これまで地方自治体単位で在来市場が独自に出していた商品券と違って、全国600あまりの在来市場で使うことができ、5000ウォン券と1万ウォン券の2種類があります。商品券を発行している中小企業庁はことし100億ウォン分の商品券を出して、売れ行きを見極めたうえで、さらに増やしていきたいとしており、これによって超大型スーパーマーケットに客を奪われている在来市場にどれだけ客足が戻るか注目されています。

7月20日月曜日

・メディア関連法の改正案をめぐって、国会で厳しく対立している与野党は、週明けの20日、院内代表同士が会談する予定ですが、立場の違いは大きく、改正案の取り扱いは今週、山場を迎える見通しです。メディア関連法をめぐっては、与党ハンナラ党が新聞社や大企業に放送事業への参入を認めることを骨子とする改正案を今の臨時国会で成立させることを目指しているのに対して、野党民主党は財閥が放送事業に参入すれば、放送の公共性と公益性が侵害される恐れが大きいとして反対しています。非正規職保護法に続いて、メディア関連法をめぐる与野党の対立によって臨時国会は空転が続き、ハンナラ党は先週末、国会議長の職権による改正案の上程を要請する方針を決めていました。しかし金炯オ(キム・ヒョンオ)国会議長は、メディア関連法の改正案は与野党が話し合って本会議で採決するよう求めており、さらにハンナラ党内の2大勢力の一つを率いている朴槿恵(パク・グネ)元代表が国会議長の職権による上程に反対する考えを示して、ハンナラ党内の結束にひびが入り、こうした中で野党民主党の丁世均(チョン・セギュン)代表が19日から法律の改正に反対して国会で断食に入りました。このため与野党は20日に院内代表同士が協議して、それぞれの修正案を示し、妥結を図ることにしていますが、双方の意見の食い違いが大きいことを確認するだけにとどまる見通しで、メディア関連法の改正案の取り扱いは、会期末を迎える今週に大きな山場を迎える見通しです。

・新型インフルエンザの集団感染が地方でも確認され、感染者が大幅に増えていることから、保健当局は20日、新型インフルエンザへの対応を、これまでの「予防」から「治療」中心に切り替える方針です。保健福祉家族部の中央インフルエンザ対策本部によりますと、外国から帰ってきた韓国人や韓国に入国した外国人の中で新型インフルエンザに感染する人が増えているのに加えて、地方でも2次感染が広がっています。このうち釜山市にある小学校では、児童や教師など31人が新型インフルエンザに感染したことが確認されましたが、いずれも外国に出かけたことはなく、特定の感染者と接触したこともないため、地域で起きた2次感染とみられており、この小学校の感染者はさらに増えるものとみられています。また18日には京畿道にある高校の生徒や教師28人の感染が確認されるなど、新型インフルエンザの感染者はソウルをはじめ、江原道春川(チュンチョン)市、釜山市などで20日午前9時現在865人に上っており、このうち154人が隔離治療を受けていますが、重症者はいないということです。このため保健当局は20日に開いた対策会議で、新型インフルエンザの感染がほぼ全国に拡大しているとみられるため、感染者全員に対して、精密調査を実施するのは意味がなくなったとして、新型インフルエンザへの今後の対応を隔離などの「予防」から「治療」に切り替える方針です。

・北韓の核問題をめぐる6か国協議で韓国の首席代表をつとめる魏聖洛(ウィ・ソンナク)韓半島平和交渉本部長は、19日、韓国を訪問しているアメリカのキャンベル国務次官補と会い、北韓の核問題などについて協議しました。魏聖洛韓半島平和交渉本部長は協議を始める前の冒頭発言で、「キャンベル国務次官補は重要な時期に韓国を訪問した。国連安全保障理事会が決めた北韓に対する制裁を忠実に履行することは重要だが、北韓との対話再開に向けた方法を模索することも検討しなければならない」という考えを示しました。これについてキャンベル国務次官補は「いつになく韓米両国の協調が重要な時期なので、両国はさらに緊密に協力していかなればならない」と述べました。キャンベル国務次官補は協議に先立って19日「北韓が重大で後戻りできないような措置をとるなら、アメリカを初めとする関係諸国は北韓が魅力を感じるような包括的なパッケージを提供する用意があると、アメリカで北韓の核問題などを担当するボスワース特別代表やソン・キム首席代表などが明らかにしている」と述べており、20日の協議では国連安全保障理事会が決議した北韓に対する制裁の履行と、6か国協議の再開に加えて、アメリカが北韓に示す「包括的なパッケージ」についても重点的に意見を交換したものとみられます。

・ソウル市を流れる漢江の南側を東西に走る地下鉄9号線が今月24日から商業運転を始めることになりました。2001年から工事が始まった地下鉄9号線は、ソウル南西部の開花(ケファ)と金浦空港、国会議事堂のある汝矣島(ヨイド)などを経て、江南区の新論?(シンノンヒョン)とを結ぶ第1期区間、25.5キロメートルが完成し、ことし6月に商業運転を始める予定でしたが、運賃を徴収するシステムのプログラムなどに問題が生じて、運転開始が遅れていました。これについてソウル市は20日、「プログラムの修正が終わり、数回のテスト運行で安全性が確認されたので、今月24日午前7時から商業運転を開始することを決めた」と発表しました。地下鉄9号線には25の駅があり、交通カードを利用した場合の基本料金は900ウォン、日本円でおよそ65円です。

・麻薬探知犬の体細胞を利用して誕生したクローン犬6匹が麻薬探知犬として正式に認定され、19日から仁川国際空港などの税関に配置されました。麻薬探知犬の訓練を行っている関税庁は、おととしソウル大学が進めていたクローン犬プロジェクトに、麻薬探知犬として活動していた「チェイス」という名前のラブラドドール・レトリバー種を提供し、ソウル大学は体細胞をコピーするクローン技術を利用して、「チェイス」のクローン犬7匹を誕生させました。この7匹は関税庁の探知犬訓練センターで1年あまり訓練を受け、このうち、訓練中に怪我をした1匹を除く6匹がこのほど麻薬探知犬として正式な認定を受けました。6匹の麻薬探知犬は19日から仁川国際空港や金浦空港、仁川税関などに配置されました。

・パキスタンのカシミール地区、ヒマラヤ山脈にあるナンガパルバットの登頂に成功したものの、下山中に崖から転落して無念の死を遂げた韓国人女性登山家コ・ミヨンさん(41)の遺体が19日、韓国に帰ってきました。コ・ミヨンさんの遺体は仁川空港からソウル市内の病院に運ばれ、21日に告別式を行った後、火葬に付されて、遺骨の半分は故郷に、残りは故人が目指していたヒマラヤの3つの峰に韓国人登山家らによって撒かれる予定です。政府は、8000メートル級のヒマラヤの高い峰14のうち、11の峰の登頂に成功した故コ・ミヨンさんに、韓国のスポーツの発展に大きく寄与したとして、20日、勲章を贈りました。

7月18日土曜日

・金炯オ(キム・ヒョンオ)国会議長が、憲法制定日の制憲節だった17日、来年6月の地方選挙までに憲法を改正するよう提案し、波紋を投げかけています。金炯?国会議長は、制憲節の記念式典で、「憲法改正はこれ以上、遅らせることができない時代の要求だ」として、「国会に憲法改正特別委員会を設置するとともに、22年間改正されなかった憲法を、来年6月の地方選挙までに改正しよう」と提案しました。これについて大統領府青瓦台は国会での憲法改正の論議は可能であるが、国民の合意が前提にならなければならないと、慎重な姿勢を示しています。また政界は、いまの臨時国会はメディア関連法の改正をめぐって、与野党が厳しく対立している状況であるため、憲法改正の必要性には共感を示しているものの、その時期や方向についてはそれぞれ異なっており、金炯オ国会議長の呼びかけが直ちに具体化することはむずかしい状況です。

・北韓が対話のテーブルに復帰する方法を模索しているもようだと、アメリカのホワイトハウスの関係者が述べました。ホワイトハウスで核やミサイル問題を担当しているセイモア調整官は、北韓が緊張を和らげ対話に復帰する方法を模索していると分析し、その根拠として国連の北韓制裁に対する北韓の反応が比較的おだやかで、アメリカの独立記念日にあたって発射した北韓のミサイルも憂慮すべきレベルではなかったこと、それに核やミサイルの関連物資を積んでいたのではないかとみられた北韓の貨物船カンナム号を引き返させたことなどを挙げました。セイモア調整官はしかし北韓との交渉が再開されても、双方の意見の隔たりがあまりにも大きいため、進展は期待できないとしています。一方、アメリカ国務省のクローリー次官補は17日の記者会見で、「北韓が非核化に向けたプロセスに戻るまで国連決議を履行する」と、北韓に対する制裁を続ける考えを示しました。クローリー次官補はまた「対話を拒否する北韓に対して、アメリカのアプローチを変える時期ではないか」という質問について「われわれは北韓を待っていない。北韓に反抗の代価を支払わせるように努力しており、同時に大量破壊兵器の技術や兵器がほかの国に拡散しないような措置をとっている。そのため、新たなアプローチと呼べそうなものを持っている」と述べ、オバマ政権の対北韓政策に何らかの変化があることを示唆しました。

・ことしの日本の防衛白書が閣議で報告され、その中に東海(日本海)に浮かぶ島、独島(ドクト、日本名竹島)を日本の領土だと記述していることについて、韓国の外交通商部と国防部は遺憾の意を表明するとともに、韓国駐在日本大使館の関係者を呼んで厳重に抗議しました。日本の防衛白書で独島についての記述は2005年以降5年連続で、外交通商部は外交ルートを通じて、日本側に是正を求めるとともに、韓国駐在日本大使館の関係者を呼んで厳重に抗議しました。また国防部は17日、声明を出し、「独島問題について、去年、日本政府に対して強い遺憾表明とともに、関連内容の削除を求めたにもかかわらず、歴史的、地理的、国際法的に韓国の領土が明白な独島を、ことしの防衛白書で再び日本の領土だと主張していることは、決して容認できない。日本の独島領有権の主張が韓日間の未来志向的な成熟したパートナー関係の発展を妨げる足かせになることを日本政府は深く認識する必要がある」と述べ、韓国駐在日本大使館の武官を呼んで抗議しました。韓国政府の対応については、日本が防衛白書を通じて独島の領有権を5年連続主張しているのに、韓国政府は日本政府の閣議で報告された後に抗議しているのは、対応が遅いのではないかという指摘が出されています。

・韓国最大手の通信会社、KTの労働組合が韓国の2大労働組合組織の一つ、民主労総=全国民主労働組合総連盟から脱退することを決めました。KT労組は17日、全国450あまりの支部で組合員を対象に民主労総からの脱退の是非を問う投票を行った結果、在籍組合員2万8000人あまりのうち95%が投票に参加して、投票者の95%が脱退に賛成したと発表しました。KT労組は民主労総が過度な政治闘争と内部の派閥対立で、労働組合の上部組織としての役割を果たしていないため脱退するとしており、組合員の投票結果を受けて来週明けに脱退手続きをとることにしています。KT労組は、民主労総では現代自動車労組、起亜自動車労組に次ぐ3番目に大きな労組で、IT部門の加盟労組のほとんどを占めており、KT労組の脱退で民主労総は組合員数が66万人から63万人に3万人減るうえ、IT部門のほかの中小労組の脱退につながるドミノ現象が起きることも予想されます。民主労総からは今年に入って仁川地下鉄公社の労組とソウル都市鉄道公社の労組など10の組合が脱退しており、ソウルメトロ労組も近々脱退することを検討しています。しかし民主労総には、今後、13万人にのぼる公務員労組が加入する予定で、民主労総のパワーが全体的に弱まることはないものとみられます。

・ソウル市内の高校で、生徒23人が新型インフルエンザの感染が確認されるなど、2次感染が広がっており、感染者の数は700人を超えました。保健福祉家族部の中央インフルエンザ対策本部は、17日、ソウルの高校で新型インフルエンザの感染者が23人発生したことが確認されたと発表しました。この高校では最近、発熱を訴える生徒が増えていたため、保健所で症状がみられる生徒を対象に精密検査を行ってわかったものです。しかし正確な感染経路が分かっておらず、先週、京畿道富川市の小学校での感染者数が20人を超えるなど、地域社会での2次感染が広がっています。これで韓国の新型インフルエンザの感染者は727人に増え、このうち142人が隔離治療を受けています。

・韓国と日本の国民がともに交流しあう、「韓日交流お祭り」のイベントがことし9月に東京で開かれる見通しです。このイベントは官民合同の「韓日交流おまつり実行委員会」が毎年行っているもので、ことしは韓国ではなく、9月20日と21日の2日間、東京の六本木を中心に行われます。期間中は、韓国と日本の国民によるのど自慢大会をはじめ、韓国の国技のテコンドーや伝統舞踊の公演と、韓日民間団体の公演、韓国の工芸品の体験と販売などが行われる予定で、合同のパレードも検討しています。

7月17日金曜日

・金炯オ(キム・ヒョンオ)国会議長が17日、国会に憲法改正特別委員会を設置することを提案しました。金炯オ国会議長は、17日、憲法記念日にあたる制憲節の記念式典に出席し、「韓国が大きく跳躍し、先進国になるためには22年前に改正された憲法を、今の事情に合わせて改正する必要がある。この歴史的課題に取り組むために、できるだけ早く国会に憲法改正特別委員会を設置し、国会で憲法改正論議を正式に始めるべきだ」と述べました。そして「改正される憲法は、時代の変化を反映した先進的な憲法、けん制とバランス機能を重視する権力分散の憲法、国民の代議機関である国会が中心となった国民統合憲法にすべきだと」述べました。韓国では盧武鉉前政権のときから憲法改正論議が表面化し、与野党がともに憲法改正の必要性に共感したものの、国会は新聞社や大企業の放送事業への進出を認めるメディア関連法の改正をめぐって与野党が厳しく対立しており、李明博政権になってからは憲法改正をめぐる具体的な論議は進んでいません。

・国連安全保障理事会は、核実験を行った北韓に対する制裁として、北韓の個人と団体について資産凍結と渡航禁止措置を取ることを決め、韓国時間で17日、具体的なリストを発表しました。資産凍結と渡航禁止措置の対象なった個人は合わせて5人で、北韓原子力総局の李済善(リ・ジェソン)総局長と、ファン・ソクハ局長、核開発に関連しているとみられる南川江貿易会社のユン・ホジン代表などが含まれています。北韓の核開発で、安保理が個人を制裁対象にしたのはこれが初めてです。また団体では、原子力総局の傘下にある「南川l江貿易会社」、核・ミサイル開発関連の金融取り引きをしているとみられ、イランにある「香港エレクトロニクス」など、5つが制裁対象とされました。これで安保理の制裁対象になった北韓の機関や団体は合わせて8つになりました。国連安保理のこうした措置に対して、国連北韓代表部のパク・ドクフン次席大使は、「安保理決議そのものを認めないので、制裁対象のリストも認めることはできない。北韓は安保理による制裁とは関係なく北韓の方式で生きていく」と述べました。

・統一部は、国連安全保障理事会が北韓の個人と団体について資産凍結と渡航禁止措置を取るなどの制裁を決めたことを受けて、こうした制裁内容を誠実に実行していく方針を明らかにしました。統一部の千海成(チョン・ヘソン)報道官は17日、「韓国政府は今後、制裁対象となった北韓の個人や団体、機関と一切の取り引きを禁じる」と述べました。また、外交通商部の関係者は、「制裁の対象となった個人と団体について、統一部や企画財政部など関係部署と協議して、制裁を誠実に履行していく。制裁の対象となった北韓の5つの団体と機関は、いずれも北韓の対外貿易で重要な役割を果たしており、北韓の対外活動はある程度の制限を受けるだろう」と述べました。

・金大中元大統領が肺炎のためソウルの病院に入院し、一時呼吸混乱に陥りましたが、その後、安定を取り戻しつつあります。金大中元大統領は肺炎で14日に入院し治療を受けていましたが、16日未明に呼吸混乱に陥ったため、人工呼吸器を取り付けました。病院関係者によりますと、金大中元大統領は人工呼吸器を取り付けた状態で、血圧はやや不安定なものの、呼吸や脈拍は比較的安定しているということです。ただ、意識がある場合に人工呼吸器を取り付けると苦痛を伴うので、人為的に睡眠状態を維持しているということです。病院関係者は、今のところ危篤状態にあるわけではないが、金大中元大統領は今年85歳と高齢なうえ、過去に心臓や腎臓の疾患があることから、集中治療室で注意深く観察していると話しています。

・自動車最大手の現代自動車と半導体最大手の三星電子が共同で、自動車用の半導体を開発することにしました。知識経済部が明らかにしたところによりますと、現代自動車と三星電子は16日、「自動車と半導体の生産協力に関する覚書」を締結しました。現代自動車と三星電子はこの覚書にもとづいて100億ウォンずつを投資、さらに政府が100億ウォンを支援して、合わせて300億ウォンの開発費をもとに研究開発を進めることにしています。開発するのは、自動駐車システム、スマートキーシステム、燃費向上のためのセンサー用などに使う半導体で、2012年から現代自動車が製造する自動車に取り付けることにしています。

・ソマリア沖での海賊対策にあたる韓国海軍の駆逐艦が交代することになり、新たに大祚栄(テージョヨン)艦5500トンが16日、ソマリアに向けて出港しました。ソマリア沖には3月から韓国海軍の文武大王(ムーンムテワン)艦が派遣されて、各国の船を護衛し海賊対策にあたっていますが、大祚栄艦は現地に到着すると、文武大王艦と交代することになります。大祚栄艦は年末までソマリア沖で任務を遂行する予定です。一方、韓国に帰ることになった文武大王艦は、韓国だけでなく外国の船も護衛し、実際に外国の貨物船6隻を海賊から救出する成果をあげています。

・韓国南部の全羅南道高興(コフン)郡ウェナロ島にある羅老(ナロ)宇宙センターから今月30日に打ち上げる予定だった「ナロ号=KSLV-1」の打ち上げが延期されました。韓国航空宇宙研究院によりますと、今月30日に科学衛星2号を搭載したナロ号を打ち上げる予定でしたが、1段目のロケットを担当しているロシア側が、ロケットの最終点検の段階で問題が発生し、韓国側への引き渡しが延期されることになったということです。ナロ号は1段目のロケットをロシアが、2段目のロケットを韓国の技術陣が製作して、今月20日にナロ宇宙センターで両方を組み合わせる予定でしたが、1段目のロケットの正式引渡しが遅れることになったため、ロケットの組み合わせや打ち上げの日程がともに延期されることになりました。ナロ宇宙センターは6月に完成したばかりで、韓国では初めて自力でロケットを打ち上げることになり、関心が寄せられていました。韓国航空宇宙研究院は、ロシアでの1段目ロケットの点検が終わる連絡を待って、今月末にも再び打ち上げ日程を決めることにしています。

・インドネシアの首都ジャカルタの中心部にある2つのホテルで、17日、相次いで爆発が起こり韓国人もけがをしているもようです。爆発があったのは、ジャカルタのリッツ・カールトンホテルとマリオットホテルで、ロイター通信はこの爆発で6人が死亡したと報じています。一方、韓国のYTNが爆発が起きたときにホテルにいた韓国モデル協会の会長に電話で聞いたところ、「ホテルで朝食をとっている最中に爆発が起こり、爆風で自分を含めて周辺で20人ほどがけがをした」と話していたということです。外交通商部は現地の大使館を通じて韓国人の安否を調べていますが、今のところこの会長のほかには、けがをした韓国人は確認されていないもようです。

7月16日木曜日

・李明博大統領は、8月中旬以降に国務総理を含めた大幅な内閣改造に踏み切る方向で検討しているもようです。李明博大統領はまた、今後の人事の大きな原則として、道徳性を重要な基準にするなど、実用主義を優先させてきたこれまでの方針を変えるものとみられています。これに先立って、李明博大統領は、鄭東基(チョン・ドンギ)民政担当首席秘書官が、次の検察総長に内定していたソウル中央地方検察庁長の千成寛(チョン・ソングァン)氏の就任辞退の責任を取るとして辞意を表明したことを受けて、7月末ごろに大統領府青瓦台の鄭正佶(チョン・ジョンギル)大統領室長を含む参謀陣の大幅な人事交替を行うものとみられます。その後、8月初めごろに人事刷新の方向性を決め、8月中旬以降に内閣改造を行う方向で検討しているもようです。青瓦台の関係者は16日、内閣改造について「李明博大統領は内閣の構成を完全に変えなければならない状況だ」と述べ、内閣改造の規模が国務総理を含む大幅なものになることを示唆しました。また、別の青瓦台の関係者は、「候補者に対してより厳しく道徳性を検証するために、内閣改造が多少遅れる可能性もある」と述べました。

・北韓のナンバーツー、金永南(キム・ヨンナム)最高人民会議常任委員長は15日、「6カ国協議は永遠に終わった」と述べました。金永南常任委員長は、エジプトで開かれている非同盟諸国首脳会議に出席して、「北韓の主権が否定されている今の状況では、いかなる対話や交渉もありえない。アメリカや関係の国が主権と平等の原則を放棄したため、6カ国協議は永遠に終わった」と強調しました。金永南常任委員長はまた「アメリカは敵対的な行動で深刻な対立を招いており、こうした状況では核による抑止力を強化せざるを得ない」と主張しました。これに対して、アメリカのヒラリー・クリントン国務長官は、ワシントンで「韓半島の完全かつ検証可能な非核化に向けた強力な共同努力を長期的に行っていく」と述べ、周辺国とともに北韓に対する圧力を強化していく考えをはっきりと表明しました。クリントン国務長官はまた「問題の解決を先送りすることは決して正当化できるものではなく、対話の機会を与えるのにも限界がある」と強調しました。アメリカは、来週21日からタイのプーケットで開かれるASEAN=東南アジア諸国連合の地域フォーラム、ARFの席で、北韓側と会う予定はないとしています。

・国連安全保障理事会は、北韓の核やミサイルの開発計画に関わっている組織と個人を制裁の対象として指定することで、おおむね合意していることが分かりました。資産の凍結や渡航禁止などの措置が検討されているのは、北韓の核兵器開発に関係する北韓の企業や銀行など4つか5つの組織と、政府高官や科学者ら7、8人です。北韓に対する国連安全保障理事会の制裁の対象に個人が含まれるのは初めてで、個人の制裁対象には、原子力総局の李済善(リ・ジェソン)総局長や、廉英(リョム・ヨン)局長、黄錫夏(ファン・ソクハ)局長のほか、寧辺原子力研究センターの関係者や、核・ミサイル関連物資を扱う貿易会社の社長の名前などが挙がっていると読売新聞が報じました。安全保障理事会の関係者によりますと、安保理は、早ければ16日の夜または17日の朝に会議を開いて、制裁案を最終確定するということです。

・来月末に予定されていた韓国、中国、日本の3カ国首脳会談が、日本の衆議院選挙の日程と重なるため、延期が避けられなくなったと日本経済新聞が16日報じました。韓中日首脳会談は、去年日本で1回目が開催されて今年で2回目となり、8月30日ごろに中国の温家宝首相の出身地、天津で開かれる予定でした。しかし、日本政府と与党が21日に衆議院を解散し、来月30日に総選挙を行うことで合意したため、韓中日首脳会談や、選挙直後に開かれるWTO=世界貿易機関の閣僚会合への日本側の出席が難しい状況になっています。日本の外務省は、中国と韓国の政府に対して、来月の韓中日首脳会談に麻生首相が出席することは難しいという見解を伝えたということです。また日本の外務省は、韓中日首脳会談を年内に開催したいと考えていますが、中国が10月に建国60周年の記念行事を控えているため、日程の調整が難航する可能性があるということです。

・韓国の失業率の増加幅は、OECD=経済協力開発機構加盟国の平均の3分の1で、雇用状況はほかの先進国に比べると、それほど悪いとはいえないことが分かりました。企画財政部などが16日、明らかにしたところによりますと、OECDがまとめた加盟国の失業率動向についての報告書で、韓国の5月の失業率の上昇率は、1年前に比べて0.8ポイントの上昇で、OECD平均の2.4ポイントの上昇を大きく下回っています。5月の失業率の前年同月比の上昇幅は、ドイツが0.3ポイントで最も小さく、次いでオランダが0.4ポイント、オーストリアが0.7ポイント、韓国が0.8ポイント、ポーランド0.9ポイント、日本が1.2ポイントの順となっています。企画財政部の関係者は、「世界的な景気低迷の中で失業率の上昇が続いているのは確かだが、公共労働の拡大や積極的な景気てこ入れ策で、ほかの先進国に比べると雇用状況はこれでも良いほうだ」と説明しています。

・首都圏の小学校の児童13人など、新型インフルエンザの感染が確認された人が大幅に増え、累計の感染者数が600人を超えました。保健福祉家族部によりますと、新型インフルエンザの感染者は、12日に新型インフルエンザに感染した児童が確認されたため前倒しして夏休みに入っていた首都圏の小学校で、新たに13人の児童と35歳の男性教師の感染が確認されたのに加えて、新型インフルエンザの感染者が発生して開催が途中で中止された国際合唱大会の会場である慶尚南道昌原(チャンウォン)市で、新たに8人の感染が確認されました。このほか、タイと台湾を経由して韓国に来た日本人1人や、タイから帰国した韓国人女性1人、ニュージーランドから帰国した女の子の感染が確認されるなどして、感染者は615人に増え、このうち174人が隔離治療を受けています。保健福祉家族部伝染病対応センターの全柄律(チョン・ビョンユル)センター長は、「新型インフルエンザの集団感染が発生した小学校の場合、早目の夏休みに入っているので、これ以上の大規模な感染はないだろう。しかし学校の夏休みと企業の夏の休暇シーズンに集団感染が起きることが考えられる」として注意を呼びかけています。

・最近の判決を分析すると、姦通罪の処罰を定める刑法241条が事実上有名無実化していると、中央日報が16日、報じました。中央日報によりますと、去年1年間に1審であるソウル中央地方法院で審理された32件の姦通事件の判決を分析した結果、32件のうち15件は告訴取り下げなどで公訴が棄却されており、残りの17件のうち16件については執行猶予が言い渡されていました。全国的にみても、姦通の疑いで逮捕された人は2004年の569人から去年は10人と、急激に減っています。また、起訴された人は去年初めて1000人を下回り、裁判で実刑が言い渡された人は42人にとどまりました。これは、2000年までは原則的に拘束捜査を行い、求刑が1年以上だった検察の基準が、最近では不拘束捜査が原則となって、ほかの重い罪を犯している場合にだけ拘束するようになっており、求刑も8カ月以上になるなど、大幅に緩和されたためとみられます。その理由について大検察庁は、姦通罪そのものが憲法に違反しているのではないかという論議など、社会の認識が次第に変わってきていることを挙げています。

・活発な梅雨前線の影響で、釜山など南部で大雨が降り、被害が出ています。気象庁によりますと、降り始めから16日午前11時までの各地の雨量は、釜山275ミリ、慶尚南道河東(ハドン)が226ミリ、慶尚南道鎭海(チンヘ)が214ミリなどとなっており、なかでも釜山市南区大淵洞(テヨンドン)では16日午前7時20分からの1時間に86ミリという、バケツをひっくり返したような大雨が降りました。この大雨で、釜山市では、16日、市内の293の小学校が休校になったほか、中心部の主な道路が浸水して通行止めになり、空の便やフェリーの欠航が相次ぎました。また慶尚南道馬山(マサン)と昌原(チャンウォン)で土砂崩れがあり、住宅2棟が土砂に埋もれて、中にいた2人が死亡しました。さらに、馬山市では、中心部の三さ路が腰の高さまで浸水して通行止めとなり、鎭海でも道路15カ所が通行止めになりました。気象庁は、南部地方はさらに最大で100ミリの雨が降るとみて注意を呼びかけています。

7月15日水曜日

・次の検察総長に内定していたソウル中央地方検察庁長の千成寛(チョン・ソングァン)氏(52)が、国会の人事聴聞会翌日の14日、就任を辞退しました。千成寛氏の辞退表明は大検察庁の報道官を通じて14日夜行われ、「今回の人事聴聞会で国民の皆さんに心配をかけ、責任を痛感している」と述べました。検察総長内定者に対する国会の人事聴聞会制度が2003年に導入されて以来、就任を辞退したのはこれが初めてです。千成寛氏は先月21日、法務部長官から次期検察総長に指名されましたが、ソウル江南の高級アパートを購入した資金の出所や、金銭取り引きのある企業家とのゴルフ旅行疑惑、夫人の高級ブランド品購入などをめぐって道徳性が問われ、国会の人事聴聞会で説得力のある説明ができませんでした。このため政界だけでなく、検察内部からも検察総長には不適切だという批判があり、自ら辞退することにしたものとみられています。

・次の検察総長に内定していたソウル中央地方検察庁長の千成寛(チョン・ソングァン)氏(52)が就任を辞退したことを受けて、李明博大統領は15日、首席秘書官会議で、千成寛氏の内定を撤回しました。また、この会議で鄭東基(チョン・ドンギ)民情担当首席秘書官が責任を取るとして辞意を表明しました。大統領府青瓦台の李東官(イ・ドングァン)報道官によりますと、李明博大統領は、「ほかでもない検察の最高責任者になろうとしている者が国会の聴聞会でうそをついたことは受け入れられない。政府に対する国民の信頼に関わる問題であるだけに、内定を撤回せざるを得ない」と述べたということです。千成寛氏は、国会の人事聴聞会で、金銭取り引きのある企業家とのゴルフ旅行疑惑を否定しましたが、疑惑が事実であることが確認され、うそをついたことが明らかになっていました。これと関連し、鄭東基首席秘書官は、「検察総長内定者の選定や検証の手順で失策があり、大統領に迷惑をかけて申し訳ない。担当者としてすべての責任を取る」として、辞意を表明したということです。

・韓国駐留アメリカ軍のシャープ司令官は14日の会見で、韓米ミサイル指針の改正について、「韓国政府からまだ要請を受けておらず、今すぐ検討する必要はないと思う」と語りました。韓国はアメリカとの間でミサイル指針を結び、韓国が持つミサイルを射程距離300キロ以内、弾頭の重さを500キログラム以下に制限することを申し合わせていますが、北韓が最近、韓半島全域を射程距離とするミサイルを発射していることから、韓国もさらに長い射程距離のミサイルを持つようにすべきだという声が高まっています。この問題についてシャープ司令官は14日、「これはアメリカ国務省と韓国政府が議論すべき事柄であるため、国務省に直接聞いてみるべきだ」と述べました。シャープ司令官はさらに、「韓米同盟は、北韓のいかなる攻撃に対しても防御できるほど強固なものである」と強調し、「北韓は核実験やミサイル発射による威かくを止めて非核化の道を進むべきであり、住民の生活を改善させることに、より集中すべきだ」と語りました。

・韓国陸軍部隊の中東レバノンへの派兵を、さらに1年半延長する派兵延長同意案が15日の国会本会議で可決成立しました。これによって、今週18日に派兵の期限切れを迎える韓国陸軍の「東明(トンミョン)部隊」の活動期間が、2011年1月まで延長されることになりました。東明部隊は工兵・通信・医務・輸送など、およそ360人で構成され、2007年7月から国連平和維持軍の一員としてレバノンに派遣されて、去年、派兵期間が1年延長されています。

・広域自治体の長としては全国で初めて、済州道の金泰煥(キム・テファン)知事に対して解職の是非を問う住民投票が行われることになりました。済州道選挙管理委員会は15日、全体会議を開き、金泰煥知事のリコール、解職を請求して住民団体が集めた署名を検討した結果、有効署名数が5144人と、リコール成立に必要な署名数を上回ったことを確認し、投票の請求は適法だとする内容の請求要旨を公表しました。これによって早ければ8月26日にも、遅い場合でも9日2日には金泰煥知事の解職の是非を問う住民リコール投票が実施される見通しとなりました。この住民リコール投票では、有権者名簿に載っている道民の3分の1以上が投票して投票者の過半数がリコールに賛成すると、知事の職を失います。済州道は今年4月、政府の関連部署と海軍基地の建設に関する協約(MOU)を締結しており、これに反対する道内の住民団体が「金泰煥知事は住民の反対や対立を解決するための努力をせず、道議会を無視するなど、独りよがりの行政をしている」として、署名簿を先月29日に提出していました。

・ソウルと東部の江原道(カンウォンド)春川(チュンチョン)を結ぶ新しい高速道路のソウル・春川高速道路が15日開通しました。この高速道路は民間資本によって2004年8月から5年かけて工事が進められていたもので、ソウル市江東区ハイル洞と江原道春川市ドンサン面の間、61.4キロを結び、韓半島を南北に貫く中央高速道路ともつながっています。通行料金は全区間通行が5900ウォンで、8か所のインターチェンジとジャンクション、2か所の休憩所が設けられており、スキー場やキャンプ場などのレジャー施設が多い江原道春川方面への慢性的な渋滞が大きく改善される見通しです。

・プロ野球、三星ライオンズの梁刳q(ヤン・ジュンヒョク)選手が、韓国のプロ野球史上、初めてホームラン350本を達成しました。梁刳q選手は、14日にホームグラウンドの大邱球場で行われた斗山(トゥサン)ベアーズとの試合で、1回の第1打席で右側フェンスを超える3ランホームランを放ちました。今年40歳になる梁刳q選手は、1993年にプロ野球にデビューして以来、17シーズン、2057試合でホームラン350本を達成し、韓国のプロ野球史上、新しい記録を打ちたてました。梁刳q選手は、去年を除く毎年、二桁のホームランを放ち続け、今年も5月10日に341本目のホームランを放って、個人通算最多ホームラン記録を塗り替えました。その後2カ月でホームラン350本目を達成しました。ホームラン記録で梁刳q選手に続いているのは、SKの朴勍完(パク・ギョンワン)選手の295本で、かなりの開きがあるため、当分、梁刳q選手の記録が塗り替えられることはないものとみられています。

7月14日火曜日

・李明博大統領は13日、訪問先のスウェーデンで「北韓に肥料や食糧を支援するからといって必ずしも南北関係がうまくいくとは保障できない」と述べました。李明博大統領はスウェーデンのストックホルムで行われた韓国人同胞との懇談会で、「孤立を深めている北韓は韓国から毎年食糧支援だけ受けており、問題を起こしては国際社会がそれを補ってやるということが繰り返されてきたので、北韓自らが発展するチャンスを逃してしまった」と述べ、北韓が核兵器開発計画を断念すれば、韓国は道路など社会間接資本を提供するなどして、北韓の発展を支援する考えを示しました。李大統領はまた「北韓住民は飢えが続いているため次々に北韓を脱出し、第3国を転々とする苦しい日々を送っており、同じ民族として心が痛む。北韓住民を思いやり、自立させることができるのは韓国しかない」と強調しました。李明博大統領はさらに北韓が大量破壊兵器開発を断念すれば、韓国は国際社会とともに進んだ農業技術や経済交流のノウハウを伝えたい。もはや北韓が判断する時だ」と述べました。李明博大統領は14日午後、帰国しました。

・北韓南部の開城市にある開城工業団地の土地の使用料や従業員の賃金をめぐって南北間の政府協議が空回りしていますが、北韓当局は開城工業団地に進出している韓国企業のために、新たに従業員700人を送りこんだことが確認され、北韓のねらいが注目されます。開城工業団地に進出している韓国の衣類メーカーの関係者によりますと、先月、北韓当局から新たに50人の従業員が送り込まれてきた。40代から高校を卒業したばかりの若者もいて、開城工業団地全体ではおよそ700人が新たに配置された。北韓は今後も人手が足りなければさらに送りこむと連絡してきたということです。これについて開城工業団地企業協議会の関係者は「北韓は誠意を尽くしていることを強調しようとするジェスチャーではないかと思う。今後、南北当局による開城工業団地の土地の使用料や従業員の賃金をめぐる協議で進展がなければ、北韓は『自分たちはやるべきことは全部やった』と強調して、賃金を引き上げるべきだとしている来月から従業員の賃金を一人あたり月300ドルに引き上げることを一方的に通告してくる可能性がある」と分析しています。企業関係者によりますと、これまで生産ラインは人手不足が続いていましたが、最近は南北関係の悪化などで製品の受注が減っているため、新たに割り当てられた従業員の採用をキャンセルする工場も出てくることも予想されるということです。

・国連安全保障理事会で北韓に対する制裁決議案の具体的実行策が協議されている中、中国は北韓の一般公務員の中国旅行を禁止する制裁に同意する意向を示したと、アメリカのブルームバーグ通信が14日、報道しました。ブルームバーグ通信は国連駐在中国次席大使へのインタビューを伝え、中国は北韓の一部の公務員の中国旅行を禁止し、資産を凍結するというアメリカの提案を拒否しないと述べたということです。北韓の個人に対する制裁に中国が同意するのは初めてですが、制裁の対象となる北韓の公務員の範囲は具体的に示しませんでした。

・韓国とEU=ヨーロッパ連合とのFTA=自由貿易協定の交渉が妥結したことで、韓国製品のEU向け輸出が拡大される反面、豚肉など農業分野では大きな打撃を受けることが憂慮されています。協定文書はまだ明らかになっていませんが、工業製品の場合、EU向けの韓国製自動車に対する関税10%は、毎年2%ずつ、5年間ですべて撤廃されるのをはじめ、テレビは14%、繊維は4%、タイヤは4.5%の関税が引き下げられ、価格競争力がそれぞれ高くなる見通しです。これらによって長期的には韓国のGDP=国内総生産を5%高めるとともに、6万人の雇用創出が期待できると、韓国貿易協会では展望しています。しかしEUから輸入されるワインにかけられている関税15%は、即時撤廃されるとともに、高級乗用車や化粧品、ブランド物の関税もなくなる一方、現在、25%の関税がかけられている豚肉は、関税がなくなるため韓国産豚肉のおよそ半額の値段で輸入されるとみられています。このため、全国農民会など農民・畜産団体は、政府が進めているFTAは工業製品を優先して農業に犠牲を強いるものだとして、政府に対策をまとめるよう要求しています。

・非正規職保護法が今月から施行されたのにともなって、1日平均333人の非正規労働者が解雇されていることが分かりました。労働部の「非正規職非常対策本部」がまとめた報告書によりますと、労働部の勤労監督官が契約社員など非正規労働者が勤務している51万8000社あまりのうち、8900社を電話で調査したところによりますと、契約満期となって解雇された人は、対象者全体の73%にあたる4300人でしたが、法律の趣旨に沿って正規職になったのは27%の1600人にとどまりました。李永熙労働部長官は14日午後、国会環境労働委員会の与野党の幹事3人に対してこのような現状を説明し、非正規労働者の失業を最小限に食い止めるために法律の施行を猶予することと、国が支援金を出すことを求めました。2007年に作られた非正規職保護法によりますと、企業は契約期間が2年になった非正規労働者を正社員に採用することが義務付けられ、これができない場合は、今月1日から解雇することになっています。この法律をめぐって、与党のハンナラ党と自由先進党は事態の悪化を防ぐために、法律の施行を1−2年猶予することを主張しているのに対して、野党民主党は契約期間を延ばすだけでは、かえって非正規労働者を増やす結果を招きかねないとして反対しており、国会での攻防が続いています。

・連続殺人や子どもをねらった性的な暴力などの重大な犯罪を犯した犯人は今後、顔や名前を公開することになる見通しです。政府は14日の閣議で、このような内容を盛り込んだ「特定強力犯罪処罰特別法」の改正案を決めました。それによりますと、検察と警察は、犯行手段が残忍で重大な被害が発生した強力犯罪について、被疑者の顔や名前、年齢を公開できるようにしています。法務部はその理由として、殺人や強姦など強力犯罪の発生率がこの5年間に高くなっており、連続殺人や子どもへの性的な虐待や殺人が後を絶たない。このような状況の中で、国民の知る権利を保障し、極悪犯罪を予防する効果を高めるために、凶悪犯罪を犯した被疑者の顔などを公開できる法的な根拠をもうけることにしたと説明しています。韓国では2005年に国家人権委員会が人権保護を理由に被疑者の顔や名前を公開しないよう政府に勧告したことから、警察はこの勧告にしたがって、被疑者の顔を公開しないとする内部規定を設けていました。しかし今年2月に、見知らぬ女性6人を次々に殺害した男の逮捕がきっかけとなり、凶悪犯罪者の人権よりも国民の知る権利と犯罪予防が重要だという世論が高まり、新聞の中には被疑者の顔と名前を公開する社も出ていました。

・ソウルの小学校の一部が14日から夏休みに入りました。14日に夏休みに入ったのはソウル市陽川(ヤンチョン)区にあるモグン小学校です。ソウルと首都圏の京畿道のほとんどの小学校は今週末の17日か18日から夏休みに入ります。夏休みは、だいたい38日間で、来月26日前後に2学期が始まるまで子どもたちの楽しい日々が続きます。

7月13日月曜日

・韓国とEU=ヨーロッパ連合とのFTA=自由貿易協定が交渉をはじめておよそ2年で妥結しました。スウェーデンを訪問している李明博大統領は韓国時間で13日午後、EU=ヨーロッパ連合の議長でもあるスウェーデンのラインフェルト首相と首脳会談を行い、この席で、韓国とEUとのFTA交渉の妥結を宣言しました。世界で1位と2位を争うヨーロッパとアメリカの両方とFTA交渉を結んだのは韓国が初めてで、韓国は今後、双方をつなぐアジアの自由貿易の拠点としての役割が期待されます。これについて政府関係者は、韓国とEUとのFTA交渉が妥結したので、今後法律の見直し作業に取り組み、来年早々には署名をし各国の国会での批准を経て、来年上半期中にFTAが公式に発効することが期待されると述べました。李明博大統領はFTA交渉の妥結が間近だった13日朝、KBSの第一ラジオなどを通じて行ったラジオ演説で、「韓国とEUとのFTAが発効すれば、ヨーロッパの27か国との交渉が妥結することになるため、どの国とのFTAより韓国の貿易に画期的な変化をもたらすと思う」と述べました。

・スウェーデンの情報通信メーカーのエリクソンは、向こう5年間に韓国に対して15億ドル、韓国ウォンにしておよそ2兆ウォンを投資することになりました。これはエリクソンのハンス・ベストベリー会長が現地時間で12日午前、スウェーデンを訪問している李明博大統領に明らかにしたものです。大統領府青瓦台の発表によりますと、エリクソンのベストベリー会長はこの席で「今こそ韓国に投資する時だ」と述べて、第4世代の移動通信と環境技術の分野で韓国に研究開発センターを新設し、韓国支社のスタッフの数を今の80人から1000人に増やすなど、向こう5年間に2兆ウォンを投資するという意向を示しました。これに対して李明博大統領は「エリクソンが韓国の大企業だけでなく、中小企業とも交流・協力することを期待する」と答え、公正な競争ができるように投資環境をさらに整備する考えを示しました。

・北韓の金正日国防委員長はすい臓がんを患っていると、韓国のニュース専門ケーブルテレビのYTNが報道したことについて、統一部はそのようなことは知らないと述べました。YTNは13日、韓国と中国の複数の消息筋の話として、北韓の金正日国防委員長はすい臓がんを患っており、余命は5年以内だろうと報道しました。これについて統一部は13日の会見で「金正日国防委員長について特定の病名を取り上げて報道されたが、政府としては何も知らない」という見解を示しました。また国家情報院も初めて聞く話だとしています。

・北韓の核問題をめぐる6か国協議で議長をつとめている中国の武大偉外務次官が12日韓国入りし、韓国側と協議しています。武大偉外務次官は13日、韓国の首席代表をつとめている外交通商部の魏聖洛(ウィ・ソンナク)韓半島平和交渉本部長と協議しました。武大偉外務次官はこの席で「韓中両国が率直に突っ込んで意見交換することが重要だ」と述べ、これについて魏聖洛本部長は「きょうの協議では突っ込んで協議し、武大偉外務次官の旅の疲れを吹き飛ばしてあげたい」と答えました。武大偉外務次官は協議に先立って記者団に対して「今の協議は国連安全保障理事会の決議をどのように履行するかにフォーカスが当てられている。6か国協議の再開についても意見を交換する予定だ」と述べました。武大偉外務次官はまた玄仁澤(ヒョン・インテク)統一部長官とも意見交換し、韓半島に平和と安定を維持することが重要だという認識で一致するとともに、そのためには平和的な方法で韓半島の非核化を実現する必要性に共感したということです。武大偉外務次官は今月2日から6か国協議の参加国であるロシア、アメリカ、日本、韓国を歴訪して各国の首席代表らと協議しており、韓国には14日午前まで滞在します。

・国会の外交通商統一委員会は13日、国連の平和維持軍として中東のレバノンに派遣されている韓国陸軍の「東明部隊」の活動をさらに1年6か月間延長する派遣延長同意案を可決し、本会議に送りました。外交通商統一委員会には民主党議員が出席しませんでしたが、与党ハンナラ党をはじめ自由先進党の議員らが出席して、同意案を審議・可決して、本会議に送りました。派兵延長同意案は今週15日、本会議で表決される予定です。韓国陸軍の東明部隊は工兵・通信・医務・輸送などおよそ360人で構成され、2007年7月から国連の平和維持軍としてレバノンに派遣されて、去年 派兵期間が1年延長されています。東明部隊はこれまで延べ1万2000人の住民への医療活動のほか、テロ行為の車両、37件を摘発し、レバノンの領空を侵犯した航空機を46回識別するなどの活動を行っています。

・女子ゴルフの海外メジャー大会の一つ、「全米女子オープン選手権」で、韓国のチ・ウンヒ選手が逆転優勝しました。韓国時間で13日未明、アメリカのペンシルベニア州のソーコンバレー・カントリークラブで行われた最終ラウンドで、チ・ウンヒ選手は通算イーブンパーで優勝しました。またキム・インギョン選手が3位に入るなど韓国人選手5人がトップ10入りを果たしました。チ・ウンヒ選手が優勝したことで、韓国人選手はアメリカで3週連続の優勝行進を続けています。

・インドのカラコルム山脈の高い峰、ナンガ・パルバットの登頂に成功し、下山中に転落して行方不明となっていた韓国人の女性登山家、コ・ミヨンさんが、倒れた姿で発見されましたが、死亡しているもようです。女性登山家のコ・ミヨンさん(41)は韓国時間で今月10日、パキスタン北東部に近いインドの海抜8126メートルのナンガ・パルバットの登頂に成功しました。そして下山中の11日午後、海抜6200メートルの地点で足を踏み外して崖下に転落しました。KBSが現地で取材した映像によりますと、コ・ミヨンさんは1500メートル下に転がり落ちて頭を強打しているもようで出血もみられ、動かないことから死亡したものとみられています。コ・ミヨンさんの登山チームはパキスタン政府の協力を得てヘリコプターを飛ばしましたが、現場は悪天候が続いて近づくことができない状態だということです。

・韓半島に停滞している梅雨前線が発達して中部地方を中心に最高300ミリを超える大雨となり、3人が死亡、2人が行方不明となっています。気象庁によりますと、降り始めから12日の夜11時までの各地の雨量は、京畿道利川(イチョン)の304ミリを最高に、水原(スウォン)272ミリ、楊平(ヤンピョン)242ミリ、江原道横城(フェンソン)234ミリなどとなっています。この大雨で江原道横城の国道で乗用車が3メートル下の渓谷に転落し、運転していた67歳の男性が死亡するなど3人が死亡し、2人が行方不明になりました。まとまった雨が降った京畿道東部の利川、西部の華城(ファソン)などを中心に24世帯、55人が住宅などに被害を受け、水原では一時、川の水が急激に増えたため住民500人あまりが緊急避難しました。また道路は、ソウルで19か所、京畿道で28か所通行止めになりました。そして京畿道、江原道、忠清南道など24の市と郡で農耕地5400ヘクタールが水につかりました。政府の災害安全対策本部は、南下していた梅雨前線が13日夜には再び北上するとして、注意を呼びかけています。

7月11日土曜日

・韓国とアメリカの政府機関のウェブサイトが何者かから大規模なハッカー攻撃を受けて、一時、機能がマヒした事件について、国家情報院は北韓の朝鮮人民軍総参謀部偵察局に所属する「110号研究所」というサイバーテロ部隊が関与しているとする見方を示しました。今回のサイバー攻撃について、国家情報院は10日、与党ハンナラ党の指導部と非公開の懇談会を開き、このように報告しました。それによりますと、今回のサイバー攻撃に先立って、北韓人民軍総参謀部が、ハッカー部隊に対して、韓国の通信網を破壊するように命じ、実際に先月30日、韓国情報保護振興院など2か所のウェブサイトが攻撃を受けたということです。この攻撃は中国瀋陽にある北韓のハッカー組織による可能性が高いとみて、追跡しているということです。北韓は1990年代初めからサイバー部隊を養成しており、訓練を受けたハッカー組織は複数あるものとみられています。

・政府機関などのウェブサイトに対するサイバー攻撃は、10日夕方からいったん小康状態に入りました。放送通信委員会によりますと、今月7日から続いていたサイバー攻撃は10日夕方からはほとんどなくなり、一般家庭などのパソコンの被害もみられなくなったということです。一方、放送通信委員会に11日午前8時までに寄せられたパソコンの被害報告は合わせて424件でした。しかし週末を迎えて、再びサイバー攻撃が始まる可能性もあり、気がつかない間にパソコンがウィルスに感染し、さらに被害が広がるおそれがあるとして、放送通信委員会はテレビや新聞などを通じて、今回のウィルスを駆除するソフトをインターネットからダウンロードするよう国民に呼びかけています。

・国防部は、敵のサイバー攻撃から韓国軍の情報などを防衛するための、「サイバー司令部」を来年発足させる見通しです。国防部関係者が10日、明らかにしたところによりますと、現在、各部隊に散らばっているサイバー技術者を、まず陸軍の機務司令部に集め、400人から500人規模のサイバー部隊を新設して司令部機能を持たせる予定で、2012年までには完全な体制を整えることを目指すということです。国防部のサイバー司令部の創設計画は、最近、北韓が中国を経由して韓国のウェブサイトに対するハッキングを試みるケースが増えていることによるものとみられています。またアメリカ国防総省も先月23日、サイバー司令部と部隊を創設すると発表しており、今後の韓米連合作戦を遂行するためにも、韓国軍もサイバー戦に備える体制を整えなければならないと判断したものとみられています。

・韓国とEU=ヨーロッパ連合の間のFTA=自由貿易協定の交渉が大詰めを迎え、韓国時間で13日に行われる李明博大統領とEU議長国のスウェーデン首相との首脳会談で、妥結が公式に宣言されるものとみられています。イタリアでのG8=主要8か国首脳会議に出席していた李明博大統領は10日、イタリアのベルルスコーニ首相と会談しました。この席で李明博大統領は、ベルルスコーニ首相に対して、小型自動車産業への打撃が憂慮されるとして、韓国とEUのFTAについて消極的な立場を示していたことについて、「韓国が輸出する主な車種は中型車であり、FTAが妥結すれば、イタリア製の医薬品や衣類などの韓国での競争力がより高くなる」と説明しました。これによって、ベルルスコーニ首相も前向きな考えを示したということです。一方、今回の李明博大統領に随行している外交通商部の金宗?(キム・ジョンフン)通商交渉本部長は、ベルギーのブリュッセルで開かれていた、通商政策を調整するEUの「133条委員会」で、韓国とEUとのFTA交渉の結果を支持することで意見が一致したことを明らかにしました。

・日本の公正取引委員会は、テレビなどに使われるブラウン管をめぐって、日本と韓国のメーカー3社が国際的な価格カルテルを結んでいた疑いが強まったとして、合わせて数十億円の課徴金納付命令を出す見通しです。日本のメディアが11日伝えたところによりますと、テレビなどに使われるブラウン管を生産する、日本のパナソニック、韓国の三星、韓国のLGの東南アジアにある子会社の合わせて5社が、2005年から2007年までの間に数回にわたって会合し、価格カルテルを結んでいた疑いが強まったとして、排除措置命令を出すとともに、総額数十億円規模の課徴金納付命令を出す見通しです。日本の公正取引委員会が海外の企業に課徴金の納付を命ずるのは初めてのことになります。

・韓国の国家代表クラスのサッカー選手、イ・ヨンピョ選手(32)が、サウジアラビアのアル・ヒラルで活躍することになりました。イ・ヨンピョ選手は、今シーズンまでドイツのブンデスリーガのボルシア・ドルトムントで活躍していましたが、11日、サウジアラビアのプロチーム、アル・ヒラルに移籍したと発表しました。契約期間は1年で、年俸は明らかにされていませんが、イギリスのメディアが伝えたところによりますと、100万ユーロ、ウォンに換算して17億8000万ウォン以上とみられています。

7月10日金曜日

・イタリアで開かれているG8、主要8か国首脳会議に出席している李明博大統領は、9日、韓国の温室効果ガスの削減目標を今年中に決定して発表するという考えを示しました。李明博大統領は会議で、2020年までの温室効果ガスの削減目標を今年中に決め、発表するという考えを明らかにし、さらに次世代電力網の「スマートグリッド技術」の開発を11月までに完了させ、韓国だけでなく各国がこのシステムを導入できるよう協力していきたいと述べました。スマートグリッド技術は、これまでの電力供給システムにIT=情報技術を融合させた次世代の技術で、エネルギーの消費を6%減らし、温室効果ガスも4.6%減らすことができるとされています。また李明博大統領は、国際貿易を活発化させるために、WTO=世界貿易機関で進められている貿易円滑化交渉を早期に妥結させる必要があると強調しました。

・韓国銀行は下半期の経済成長率はプラスに転じるものの、その幅はさほど大きくならないという見通しを発表しました。韓国銀行が10日発表した「下半期の経済展望」によりますと、下半期の経済成長率は、去年下半期に比べてプラス0.2%の成長率となり、マイナス3.4%だった上半期からプラスに転じるという見通しをたてています。そして今年1年間の経済成長率についても、当初予想のマイナス2.4%からマイナス1.6%に上方修正しています。また来年の経済成長率について韓国銀行は、世界経済が緩やかに回復するので韓国の経済成長率は3.6%まで上昇するだろうとしています。一方、雇用は上半期に16万人あまりの雇用が減少したのに対して、下半期には7万人の減少と減少幅が下がり、失業率は上半期の3.8%から3.5%にやや改善されるということです。

・韓国とアメリカの政府機関などのサイトが何者かから大規模なサイバー攻撃を受けたことについて、国家情報院はサイバー攻撃に利用された86種類のIPアドレスを手がかりに捜査を進めています。国家情報院が10日、明らかにしたところによりますと、インターネットに接続したパソコンなどを特定できるこれらのIPアドレスは、アメリカ、日本、グアテマラ、中国など16カ国に分散していますが、この中に北韓は含まれていないということです。国家情報院の関係者は、北韓は先月27日、アメリカが主導するサイバー戦対応訓練である「サイバーストーム」に韓国が参加したことを強く批判する声明を発表しており、今回のサイバー攻撃は北韓、または北韓追従勢力による攻撃の可能性が高いと分析しています。しかしIPアドレスを追跡して攻撃の発信地を突き止めることは簡単ではなく、相当な時間がかかる見通しです。

・開城工業団地の運営をめぐる南北当局間の協議で、開城工業団地の運営を管轄している北韓の中央特区開発指導総局は10日、「南北間の協議が韓国側の不誠実な態度によって決裂の危機に直面している」という談話を発表しました。この談話で北側は、「これまでの4回の協議で韓国の正体が完全に明らかになった」としたうえで、「われわれが配慮と誠意を持って協議に応じているにもかかわらず、韓国側は不誠実な態度で北韓の配慮を冒とくしており、こうした状況で果たして問題を解決できるのかどうか疑わざるを得ない」と述べています。そして中央特区開発指導総局の報道官は、「韓国はより誠実に協議に応じるべきで、開城工業団地の存亡はあくまでも韓国側の対応にかかっている」と述べました。

・5月23日に亡くなった盧武鉉前大統領の遺骨が、逝去から49日目にあたる10日、慶尚南道金海市烽下(ボンハ)マウルの自宅近くの墓地に納骨されました。盧武鉉前大統領の遺骨は5月29日に国民葬が行われた後、烽下マウルの寺の浄土院に安置されていました。10日は四十九日法要が午前中に浄土院で行われ、この後、遺骨は墓地に運ばれて、正午から4大宗教による納骨の儀式が1時間半にわたって行われました。まず遺族と各界代表が献花と焼香をしたあと遺骨を墓に納め、弔砲の発射、黙とうをしました。墓地は、盧武鉉前大統領の遺言に従って質素な作りとなり、小さな石碑が建てられました。この法要が行われている間、烽下マウルの広場では追悼祭が行われ、盧武鉉前大統領の支持者や一般市民が前大統領をしのびました。

・海外旅行をしたこともなく、周りに新型インフルエンザに感染した人がいなかったにもかかわらず新型インフルエンザに感染した、いわゆる2次感染と推定される患者が韓国で初めて確認されました。保健福祉家族部の中央インフルエンザ対策本部によりますと、この患者は36歳の女性で、今月3日から高熱やのどの痛みなどの症状が出て、精密検査をしたところ、新型インフルエンザに感染していることが確認されました。疫学調査チームは、通常の新型インフルエンザの潜伏期間の2倍に当たる14日間の間にこの女性と接触した人について調べましたが、この女性の周りには最近海外旅行をした人や新型インフルエンザに感染した人はいなかったということです。またこの女性が働いている保育園の園児や職員など20人についても精密検査をしましたが、新型インフルエンザの症状はありませんでした。これで韓国の新型インフルエンザの感染者は9日の時点で367人となり、このほかに疑わしいとされる患者は6人、隔離して治療中の患者は91人になりました。

・農林水産食品部は10日、畜産品加工業者のトンバン流通とハンイルファームスの豚肉加工場が、日本政府の公式輸入作業場に指定されたと発表しました。これによって、これら2カ所の作業場で熱処理加工された豚肉製品が日本へ輸出されることになりました。熱処理された加工食品は、70度以上で30分以上熱を加えて加工した製品で、ソーセージや豚カツなどが含まれます。日本政府は、韓国で口てい疫や豚コレラなどの家畜伝染病は発生したことを受けて、2000年から韓国産豚肉の輸入を禁止していましたが、9年ぶりに熱処理された豚肉加工品について、韓国からの輸入が再開されることになりました。さらに農林水産食品部は、韓国の豚肉の主な産地である済州島産の豚肉の日本への輸出を再開するため、日本政府と協議を続けていますが、検討作業は最終段階に入っており、年内にも豚肉そのものの日本への輸出が再開される可能性も出ています。

・出産率が下がっている影響で、韓国の人口は40年後の2050年には今より640万人減る見通しです。統計庁が10日、発表したところによりますと、今年の世界の人口は68億2900万人でした。そのうち韓国の人口は4875万人で、世界で26位となっています。しかし韓国の人口は徐々に減少し、2050年には今より640万人減って4234万人になり、順位も46位に下がるということです。こうした人口の減少は、低い出産率によるもので、2005年から2010年までの世界の平均出産率は2.56人とされていますが、同じ期間の韓国の出産率は半分以下の1.13人にとどまっています。

7月9日木曜日

・7日から始まった国内外の政府機関などのウェブサイトを標的にしたハッカーによる「分散サービス妨害攻撃(DDoS攻撃)」が、その対象を広げており、9日午後6時には3回目のサイバー攻撃が行われるのではないかという予想が出ています。7日に韓国やアメリカの政府機関など25のサイトに対するサイバー攻撃が行われたのに続いて、8日の午後6時頃から、2回目のサイバー攻撃が、韓国の国家情報院サイバー安全センターや行政安全部、インターネットポータルサイト、それに一部の銀行など、16のサイトに対して行われました。これらのサイトは一時接続障害が起き、その後、正常に戻りましたが、一部のサイトでは、接続が不能になってサービスを提供できなくなるなど、被害が広がっています。これを受けて、警察は、2回目のサイバー攻撃についても捜査を始めました。こうした中、行政安全部は、9日午後6時から、3回目のサイバー攻撃が予想されると9日明らかにしました。それによりますと、3回目の攻撃が予想されているサイトは一部インターネットポータルサイトや行政安全部の電子政府サイト、一部銀行など合わせて7つだということです。一方、アメリカの政府関係者は8日、「サイバー攻撃を仕掛けたインターネットのアドレスは、追跡した結果、北韓であることが分かった」と明らかにした上で、「これは今回の攻撃に北韓政府が関わっていることを意味しているわけではない」と、慎重な姿勢を示しました。

・ヨーロッパ3か国を歴訪している李明博大統領は、8日午後ポーランドから次の訪問先であるイタリアの首都ローマに入りました。李明博大統領は、現地時間の9日、バチカンのローマ法王庁を訪れ、法王ベネディクト16世を表敬訪問する予定です。韓国の大統領がローマ法王と面会するのは3回目で、双方は韓国のカトリック教とローマ法王庁の関係を発展させる方法について話し合うとともに、北韓の人権問題などについて意見を交わすものとみられます。李明博大統領はその後、イタリアのラクイラで開かれるサミット・主要国首脳会議に出席し、貿易関連の首脳会議と主要経済国フォーラム(MEF)に出席して貿易や気候変動、食糧安保について協議することにしています。さらに、李明博大統領は、カナダのハーパー首相、ロシアのメドベージェフ大統領と相次いで首脳会談を行い、両国との協力を強化する方法などについて話し合うとともに、北韓の核問題への対応で、協力を求める方針です。

・政府は、国連安全保障理事会が採択した北韓に対する制裁決議を履行するために、ワインや貴金属、毛皮類など、ぜいたく品の北韓への搬出を厳しく制限することを決めました。統一部は9日、「国連安保理の決議を履行する第1段階の措置として、安保理が制裁の対象としたぜいたく品などを北韓に持ち出すときは、その度に政府の承認を受けるよう義務付ける内容を盛り込んだ『搬出・承認対象物品と承認手続きに関する告示』と、『南北往来者の携帯禁止品と処理方法の改正案』を10日から施行する」と明らかにしました。統一部はその背景について、「今回の措置は、2006年に北韓の核実験に対する制裁のために採択された安保理決議によって制裁の対象となった従来型兵器や大量破壊兵器と関連する物資、それにぜいたく品などが北韓に入らないように厳しく統制するためのものである」と説明しています。対象となったぜいたく品はワインを含む酒類や化粧品、毛皮製品、貴金属、自動車など13品目です。

・北韓の金正日(キム・ジョンイル)国防委員長が平壌(ピョンヤン)体育館で開催された故金日成国家主席15周忌中央追悼大会に出席した様子を収めた映像が公開されました。これは、北韓の朝鮮中央通信が放映したもので、金正日国防委員長の映像が公開されたのは4月9日の第12期最高人民会議の初会議以来3か月ぶりです。朝鮮中央通信によりますと、金日成主席が死去してから15年を迎えた8日、平壌体育館で開かれた中央追悼大会には金正日国防委員長も出席しました。映像の中で、金正日国防委員長は足をやや引きずりながら入場して席に着き、大会が始まってからは立って黙とうをささげるなど、3か月前とほぼ変わらない様子を見せましたが、口元が右側に若干ゆがんでおり、また以前より髪の毛がかなり薄く、やせて衰弱したように見えます。大会では、金永南(キム・ヨンナム)最高人民会議常任委員長が演説し、故金日成主席と、金正日国防委員長の業績をたたえるとともに、北韓が行った4月のロケット発射と5月の核実験について、「成功裏に行えたことは、敬愛する将軍の自主的信念などによってもたらされた民族史的勝利だ」と強調しました。北韓は、故金日成主席の追悼大会を5年ごとに開いており、金正日国防委員長は1999年と2004年の大会にも出席しています。

・梅雨前線の北上にともなって、ソウル・京畿道・江原道など中部地方を中心に、8日夜から大雨が降り続き、ソウルでは国立中央図書館の天井が崩れ落ちるなど被害が相次いでいます。気象庁は9日午後2時までに、ソウルと京畿道、仁川、そして江原道の一部に大雨警報を出しました。大雨警報は、12時間に150ミリ以上の雨量が予想される際に出しています。ソウル市内では、9日正午過ぎ、中心部にある南大門警察署の隣にあるビルの建設工事現場で、強い風を伴った大雨のため、外壁のタイル数百枚がはげ落ち、けがをした人はいませんでしたが、一帯の道路で2時間あまりにわたって交通が混雑しました。またソウル市ソチョ区にある国立中央図書館の天井が、漏れた雨水がたまって崩れ落ち、作業員4人がけがをしました。さらにソウル市内を流れる中浪(チュンリャン)川の水位が高くなったため付近を通っている東部幹線道路が全区間で通行止めになっています。

・韓国の中央銀行、韓国銀行は9日、金融通貨委員会を開き、政策金利を現在の2.00%に据え置くことを決定しました。政策金利が据え置かれるのは5か月連続で、韓国銀行は、5.25%だった政策金利を、去年10月から毎月引き下げ、今年2月には過去最低の2.0%まで引き下げています。今回、金利を据え置くことになったのは、景気はまだ本格的な回復軌道に乗っていない上、6月の消費者物価の上昇率が2.0%と落ち着いているためだということです。韓国銀行の関係者は、「景気回復の兆しは出ているものの、まだ弱い水準なので、こうした状況で政策金利を上げれば、景気全体に悪い影響を与えかねないので、もう少し見守る必要がある」と説明しています。

・韓国で最大手の自動車メーカー、現代自動車が国内で初めてハイブリッドカーの販売を始めました。現代自動車は8日、京畿道でハイブリッドカーの発表会を開き、本格的な販売を開始しました。現代自動車のハイブリッドカーは3年7か月をかけて2500億ウォンを投入して研究開発したもので、世界で初めて燃料にLPGを使い、炭素の排出量が少なく、効率の高い、環境に配慮した車種になっています。特に、電気モーターやバッテリーなどの4つの中核となる部品を国産化しており、現代自動車のヤン・ウンチョル研究開発本部長は、「中核の部品をすべて国産化したことで今後電気自動車や燃料自動車など環境にやさしい自動車の開発に向けて土台を築くことができた」と話しています。販売価格は、仕様によって2000万ウォンから2300万ウォン台で、現代自動車は国内市場で今年7500台、来年からは年間1万5000台の販売を見込んでいます。

・韓国の男女の賃金格差が、去年はOECD=経済協力開発機構の加盟国で最も大きかったことが分かりました。企画財政部などが9日に明らかにしたところによりますと、OECDは、このほど社会・労働報告書を分析した結果、韓国の去年の賃金は男性が女性を平均38%上回り、OECDの加盟国30か国の平均18.8%の2倍に上り、男女の賃金差別が最も深刻だと指摘しました。その背景について、OECDは、韓国では根深い男女差別意識がある上、男性は女性より正社員が多く、高所得の職種、専門職に多く就いているためだと分析しています。

・韓国人男性のゲノム地図を韓国の研究チームが完成させました。ソウル大学医科大学遺伝体医学研究所が、30代の韓国人男性のゲノムを完全に解読し、その結果をまとめた論文が9日、イギリスの科学誌「ネイチャー」の電子版に掲載されました。男性1人のゲノム地図を完成させたのは国内で初めてで、世界でもアメリカ、イギリス、中国に次いで4番目だということです。ゲノム地図は、人が生まれつき持っている体質が全遺伝情報(ヒトゲノム)のどの部分で決まっているのか、その所在地を示す遺伝情報の「地図」で、ゲノム地図が一般化すると、がんや心臓病など、将来かかりやすい病気を予測して事前に予防することができるようになります。このため、研究グループは、完成した韓国人のゲノム塩基配列地図が韓国人だけの遺伝的な特性の分析や疾病と関係がある遺伝因子の発見などに貢献し、個人ゲノム配列の解析による遺伝医学や、患者個人に合わせた医療などが早期に実現できるものと期待しています。

7月8日水曜日

・大統領府青瓦台や国会など主な政府機関のインターネットウェブサイトや一部ポータルサイトなどが7日午後にハッカーによる分散サービス妨害攻撃(DDoS攻撃)を受け、接続障害が発生しました。韓国情報保護振興院(KISA)は8日、ウェブサイトへのサイバー攻撃の一種である「分散サービス妨害攻撃(DDoS攻撃)」で、国内の一部のサイトで、アクセスが遅れたり、アクセスできなくなったりする障害が起きていると明らかにしました。「分散サービス妨害攻撃(DDoS攻撃)」は、通常ウイルス感染した一般利用者のパソコンを通じて、膨大なデータを特定サイトに送信し、業務に必要なデータのやり取りを妨害するサイバー攻撃です。発表によりますと、7日午後6時から青瓦台や国会、国防部、外交通商部、一部銀行や新聞社のサイトなど国内の11のサイトと、海外の14のサイトで接続障害が出でいるということです。ほとんどのサイトは午後10時ごろまでに正常に戻りましたが、青瓦台などの一部のサイトは8日午後も障害が続いています。

・大統領府青瓦台や国会など国の機関をはじめ、大手メディアや金融機関の25のサイトが7日午後に、サイバー攻撃の「分散サービス妨害攻撃(DDoS攻撃)」を受けて接続が不能な状態になり、検察と警察が捜査に乗り出しました。ソウル中央地方検察庁の先端犯罪捜査部は8日、サイバー攻撃を受けたサイトの具体的な被害状況を確認するとともに、青瓦台など主な政府機関や一部メディアのウェブサイトが同時多発的に攻撃を受けたことから、ハッカーによる意図的な攻撃とみて、攻撃を受けたサイトのアクセス記録などを確認しています。一方、警察は、警察庁サイバーテロ対応センター長を本部長とする捜査チームをつくり、韓国情報保護振興院などに捜査官を派遣して経緯を確認するとともに、インターネット・プロトコル(IP)のアドレスを追跡して攻撃がどこから始まったかを捜査しています。警察はさらに、被害を受けた機関のアクセス記録などの証拠を確保し、攻撃に使われたコンピュータの規模や所在地を追跡して、アメリカなど関連国と捜査協力を行うことにしています。放送通信委員会は、この攻撃に使われるウイルスに感染したパソコンが国内だけで1万8000台に上るとして、パソコンの利用者に対し、ウィルスを駆除するなど、注意するよう呼びかけています。

・ポーランドを訪れている李明博大統領は8日午後、カチンスキ大統領と首脳会談を行い、原子力発電を含むエネルギーや防衛産業などの分野で両国が協力を強化することで合意しました。李明博大統領とカチンスキ大統領はこの席でポーランドが建設を進めている8000億ウォン規模のLNGターミナルと原子力発電事業に韓国の企業が参入する方向で積極的に検討することになりました。両首脳はまた軍事・防衛産業の分野でも協力を強化することで合意するとともに、締結交渉が詰めの段階に入っている韓国とEU=ヨーロッパ連合のFTA=自由貿易協定が早期に妥結できるように、ポーランドも協力することを確認しました。両首脳はさらに、北韓の核実験とミサイル発射は国際社会の平和と安定を脅かす行為であるという認識で一致し、国連安全保障理事会の決議を忠実に履行していくことでも意見をともにしました。李明博大統領は9日未明にローマに向かい、ローマ法王ベネディクト16世と会見することにしています。

・国会の企画財政委員会は8日、国税庁長に内定している公正取引委員会の委員長を務めた白容鎬(ペク・ヨンホ)氏に対する人事聴聞会を開きました。聴聞会で、野党民主党の議員は、白容鎬氏が2000年に京畿道にあるアパートを売った際に、取引価格を実際より低く申告して脱税した疑いがあるほか、不自然な住所の移転を繰り返し、短期間で財産が急激に増えたことなどから、投機目的で不動産売買をしているとして、これが事実なら、国税庁長になる資格はないと主張しました。また、与党ハンナラ党の一部の議員も、白容鎬氏が保険会社や証券会社などの社外取締役を務めていた際、一部の会社から得た収入の申告漏れがあったのではないかと問いただしました。これに対して、白容鎬氏は、「公職者に就くことが内定している者として、不動産投機などの疑いが持たれていることを残念に思うが、事実とは異なる」と述べました。国会は、人事聴聞会の報告書を作成し、本会議での審議を経て李明博大統領に提出します。

・脱北者が韓国で定着できるように支援するための教育研修施設、ハナ院が8日、設立から10周年を迎え、政界や学会などの関係者が出席して記念式が行われ、主な施設を初めてメディアに公開しました。統一部の玄仁沢(ヒョン・インテク)長官が催した記念式には、金炯?(キム・ヒョンオ)国会議長や金文洙(キム・ムンス)京畿道知事をはじめ、学会、ボランティア団体、脱北者団体の関係者など450人が出席しました。ハナ院は、北韓を逃れて韓国に来た脱北者に対して、精神的な安定や、文化的な違いの克服、社会的・経済的な自立を支援するために1999年に京畿道安城市に設立され、今月3日には京畿道楊州(ヤンジュ)市に男性専用の分院ができました。ハナ院では、脱北者を対象に、12週間、合わせて420時間に渡って、民主主義や資本主義、市場経済などについての教育を施し、進路の指導や基礎的な職業訓練も行っています。設立初年度の1999年に28人が教育を受けて以来、ここで教育を受ける脱北者は年々増え続けて、これまでに1万4000人あまりに上っています。統一部は、韓国での定着を望む脱北者が増え続けていることから、最大500人の脱北者が同時に教育を受けられる第2のハナ院を設立することにしています。

・韓国の今年の1人当たりのGDP=国内総生産は1万6000ドル台に落ち込むという見通しが出ました。三星経済研究所やLG経済研究院など、国内の主な民間の経済研究機関が8日に明らかにしたところによりますと、韓国の1人当たりのGDPは、2007年に2万1655ドルと、初めて2万ドルを突破した後、2008年に1万9106ドルに減ったのに続いて2年連続で減少し、今年は4、5年前の水準に後退して1万6000ドル台に落ち込むことが予想されるということです。1人当たりのGDPが2年連続で減少するのは通貨危機に見舞われた1997年と1998年以来、11年ぶりです。企画財政部の関係者は、「世界的な経済危機で成長率がマイナスになった上、ウォンの相場も下落したため、1人当たりのGDPが減るのは当然だ」と説明しています。

・日本の海上自衛隊の艦艇が8日、江原道の東海(トンヘ)港に初めて入港しました。韓国海軍の第1艦隊司令部によりますと、6日と7日に東海(日本海)の隠岐諸島の北側で行われた、韓国海軍と日本の自衛隊による韓日捜索・救難共同訓練に参加した、海上自衛隊の艦艇、「おおなみ」と「あぶくま」の2隻が、8日午前9時に東海港に入港したということです。この訓練は、遭難した船舶の捜索や救助に当たるための能力を高め、協力体制を整備するとともに、軍事面での交流と友好関係を強化するために実施されるもので、1999年に初めて実施されて以来、今回が6回目となりますが、海上自衛隊の艦艇が東海港に入港するのは初めてです。海上自衛隊の艦艇2隻は、東海港で韓国海軍をはじめ、政府関係者や軍の関係者など250人あまりの歓迎を受けており、韓国海軍第1艦隊は、これをきっかけに、両国海軍の連携を強化できるものと期待しています。

7月7日火曜日

・アメリカは韓国のミサイルの開発を制限している韓米ミサイル指針を改めるための協議をする用意があると伝えてきたもようです。韓国駐留アメリカ軍と国会の関係者などによりますと、韓国駐留アメリカ軍のシャープ司令官は今月2日、国会の国防委員会に所属している議員の秘書たちを招いて行った政策説明会で「韓国が韓米ミサイル指針を改正するよう提案してくれば、韓米定例安保協議会などで話し合うことができる」と述べたということです。韓国はアメリカと結んだミサイル指針で、韓国が開発できるミサイルを射程距離が300キロ以内、弾頭の重量は500キロ以内に制限しています。しかし北韓が今年4月に大陸間弾道ミサイル(ICBM)と同じ長距離ロケットを発射したのに続いて、今月4日には韓半島全域が射程圏内に入るスカッド・ミサイルとノドン・ミサイルを発射したことから、韓国では南北間でミサイルの戦力に不均衡が大きくなっているとして、韓米ミサイル指針を見直す必要があるとする意見が持ち上がっていました。

・李明博大統領は、イタリアで開かれるサミット・主要国首脳会議に出席し、合わせてポーランドとスウェーデンを公式訪問するため、韓国時間で7日午前、最初の訪問国ポーランドに向けて出発しました。李明博大統領は7日午後にポーランドの首都ワルシャワにつき、韓国人同胞との懇談会に臨んだ後、8日にカチンスキ大統領と首脳会談を行う予定です。李明博大統領は続いて9日にローマに向かい、ローマ法王ベネディクト16世と会談した後、イタリアのラクイラで開かれるサミット・主要国首脳会議に出席して貿易、気候変動、食糧安保について協議することにしています。またサミットに出席した各国の首脳と個別に会談して、核実験やミサイル発射を強行した北韓への対応などをめぐって意見を交わす予定です。李明博大統領はこのあと11日に最後の訪問国、スウェーデンに向かい、カール16世グスタフ国王と会見し、13日にはEU=ヨーロッパ連合の議長でもあるラインフェルト首相と首脳会談を行って、ITなど先端科学技術や原子力分野での協力などについて協議し、14日午前に帰国します。

・国連の安全保障理事会は、現地時間で6日午後、北韓が弾道ミサイルを相次いで発射したことを強く非難しました。国連安保理は6日、北韓が今月4日に弾道ミサイル7発を東海に向けて発射したことを受けて、非公開で全体会議を開きました。会議の後、議長をつとめるウガンダのルグンダ大使はマスコミ向けの談話を発表し、「北韓のミサイル発射は国際社会の安全を脅かすもので、北韓は国連安保理決議1874号に明記されている義務を履行すべきだ」と強調しました。ルグンダ大使はまた「北韓問題の関係国はこの地域での状況を悪化させるようないかなる行動も自制するよう求める」と述べて、韓半島をめぐる問題を平和的で外交的に解決するよう要請しました。ルグンダ大使の談話は安保理理事国の意見をまとめて発表する性格のもので、追加の決議案や議長声明などは採択されませんでした。これについて国連の外交官は「今回、北韓が発射したのは大陸間弾道ミサイル(ICBM)ではなかった上、先月採択された安保理の決議を加盟国が実行している段階なので、新たな決議案や議長声明は採択されなかった」と説明しました。

・北韓にある開城工業団地で勤務していた韓国企業の男性会社員1人が北韓当局に抑留されて7日で100日となりましたが、南北当局の実務協議が決裂したことなどから、韓国人の解放の見通しは不透明な情勢です。この事件は今年の3月30日、開城工業団地で勤務していた韓国の企業、現代峨山(アサン)の男性会社員が、北韓の体制を非難し、女性従業員に北韓を脱出するようそそのかしたとして、北韓当局に抑留されたもので、韓国政府や企業関係者による男性会社員との面会は認められず、安否も確認されていません。こうした中で今月2日に開城で行われた南北当局の実務協議で韓国は、北韓に対してこの男性会社員の解放を求めましたが、実務協議は次の日程も決めることができないまま決裂し、北韓との対話チャンネルは閉ざされてたままになっています。

・発達した梅雨前線の影響で、釜山や全羅道など南部地方は6日夕方から集中的な大雨に見舞われ、1人が死亡し、住宅や農地が浸水するなどの被害が出ました。災難安全対策本部のまとめによりますと、全羅南道 羅州(ナジュ)市では6日午後の降り始めから7日午前10時までに271ミリの雨量が観測されました。この大雨で7日午前7時半過ぎに農作業をしていた62歳の女性が水路に落ちておぼれて死亡したのをはじめ、住宅168棟が床上または床下浸水し、農地2000ヘクタールが冠水しました。また全羅南道新安(シンアン)郡でも住宅108棟が浸水し、農地820ヘクタールが浸水したり流されたりしました。釜山では降り始めから7日午前9時半までに206ミリの雨量が観測され、一部の道路が浸水して通行止めになり、地下商店街にある30店舗が浸水しました。気象庁によりますと、降り始めからの雨量は7日午前10時現在、全羅南道新安郡慈恩(ジャウン)島の299.5ミリを最高に、羅州市271ミリ、光州市176ミリなどとなっています。この雨は8日にかけてさらに40ミリから最高120ミリ降ることが予想されるとして、気象庁は住民に対して大雨による被害にあわないよう注意を呼びかけています。

・韓国で新型インフルエンザの感染が確認された人が、空港で入国者の感染をチェックしていた検疫スタッフなど 300人を超えました。保健福祉家族部の中央インフルエンザ対策本部は、仁川国際空港の検疫所で入国者に新型インフルエンザの感染をチェックしていた男性スタッフ2人が3日、感染したのに続いて、6日には女性スタッフ2人の感染が確認されたと発表しました。このほかアメリカやフィリピン、オーストラリアなどから入国した韓国人などの感染が確認され、7日午前9時現在、感染者は307人に増え、このうち75人が隔離治療を受けているということです。

・今年上半期の6か月間に韓国を訪れた外国人は757万人あまりと、去年の同じ期間より18%あまり増え、これまでで最も多くなりました。これは法務部がまとめたもので、このうち観光を目的に韓国入りした外国人は336万人あまりで、国別では日本人が151万6000人で45%を占めて最も多く、ついで中国人54万6000人(16%)、アメリカ人31万9000人(10%)の順となっています。韓国を訪れた外国人観光客を月別にみますと、1月から4月までの4か月間は日本の円と香港ドルが高かったため、前年同期に比べて20%以上増えましたが、5月に入ってからは新型インフルエンザの影響で大幅な減少に転じました。

7月6日月曜日

・李明博大統領は6日、ソウルにある自宅など一部を除くほとんどの財産、331億ウォンあまりを社会に寄付し、青少年の奨学金と福祉事業に当てることを決めました。李明博大統領の財産を社会に寄付するために今年3月に設けられた委員会の宋正鎬(ソン・ジョンホ)委員長は6日、大統領府・青瓦台で記者会見し、1か月以内に財団を設立して、李明博大統領が寄付した財産で奨学金と福祉事業を行うと発表しました。それによりますと、李明博大統領が寄付した財産はソウルに所有している3つのビルと預金などほとんどの財産にあたる331億ウォンで、これによって李大統領の元に残るのは大統領が退任した後に生活する自宅(44億ウォン)と5億ウォンほどの預金や動産となります。李明博大統領は6日、財団設立に当たって報道文を出し「今まで私を助けてくださったのは経済的に苦しい人々だった。その方々への恩返しは、私の財産を貧しくても一所懸命に生き抜いている人々のために有効に使うことだと思う」と述べました。李明博大統領は国会議員を務めていた1995年に出版した本と、2007年の大統領選挙での公約で財産を寄付すると公言していました。現職の大統領が財産のほとんどを寄付するのは韓国ではもちろん、外国でもまれなことで、韓国人の恵まれない人々への寄付が増えていくきっかけになることが期待されています。

・ソウル市西大門区のアパートの工事現場で高さ50メートルのタワークレーンが、線路の上に倒れ、1人が死亡して、ソウルと釜山を結ぶ高速鉄道、KTXなどの運行に大きな影響が出ています。この事故は6日午前8時20分頃、ソウル市西大門区のアパートの建築工事現場で高さ50メートルのタワークレーンが、近くを走る鉄道、京義線の線路に倒れ、クレーンを操縦していた男性作業員1人が死亡し、線路に電力を供給している電線が切れました。この事故で京義線のうち、ソウル駅と新村駅の間の列車の運行が中止となり、ソウル駅から龍山駅までの区間で電気の供給ができなくなったため、ソウルと釜山を結ぶ幹線鉄道の京釜線を走る高速鉄道KTXと高速列車のセマウル号やムグンファ号は、発着する駅をソウル駅から龍山駅に変えて運行していますが、ダイヤは大幅に乱れています。復旧作業に当たっている旧韓国鉄道公社のKORAILは、完全に復旧するまでにはかなりの時間がかかるとしており、警察と消防当局は目撃者などから話を聞いて、事故の原因を詳しく調べています。

・柳明桓外交通商部長官は6日、韓米原子力協定の改正について、外交通商部と関係部署による担当チームを設けて当たる考えを示しました。柳明桓外交通商部長官は6日、国会の外交通商統一委員会に出席して、韓米原子力協定の改正についての質問に「外交通商部のエネルギー担当大使がこの問題を担当し、関係部署の専門家を集めてチームを作ることを検討している。今年の下半期に韓米間の協議が始まるように準備していきたい」と述べ、今後、韓米原子力協定に原子力を平和的、経済的に利用していくという内容を反映できるように努める方針を示しました。国会の外交通商統一委員会はまた政府の韓米原子力協定の望ましい改正に向けて、「原子力小委員会」を設ける方針を示しました。韓国は1974年にアメリカと締結した原子力協定に基づいて核燃料の再処理をしておらず、このため20基の原子力発電所を稼動している韓国として核を平和的・経済的に利用できる権利を確保する方向で協定を改める必要があるという主張が続いています。

・アメリカはマレーシアで北韓が不正取引に使っていると疑われる口座を見つけ、凍結措置を進めているもようです。韓国政府の当局者は5日「北韓はマレーシアに複数の口座を持っており、アメリカがこの口座を凍結する可能性がある」と述べました。北韓は長距離弾道ロケットを発射した今年4月以前から、中国の銀行口座にあった資金をマレーシアとシンガポールの銀行に仮名の口座を作って分散させているとみられています。今回の金融制裁には2005年にマカオの銀行、バンコ・デルタ・アジアにあった北韓口座の凍結に携わったアメリカの当局者が参加しているとされています。アメリカがマレーシアの北韓口座に対する凍結措置に踏み切った場合、制裁の対象がこれまでのマカオや香港から東南アジア諸国にある口座まで拡大されることを意味し、これは実質的な圧力によって、北韓の態度を変化させようとしているオバマ政権の強い意志が再確認されるケースになると分析されています。

・韓国経済の規模は去年は世界で15番目となり、おととしに比べて1ランク下がり、5年間で4ランク下がりました。世界銀行が6日にまとめた資料によりますと、去年の経済活動の水準を算出した名目GDP=国内総生産で、韓国は9291億ドルとなり、世界で15位でした。 韓国の名目GDPは2003年に11位まで上昇しましたが、2004年にはインドに抜かれて12位となり、その後はブラジル、ロシア、オーストラリアに次々と追い越されました。これと関連してIMF=国際通貨基金は今年4月に発表した世界経済の展望で、韓国の経済規模は今年と来年にそれぞれ16位にまで下がった後、2011年には14位に上るという見通しを示していました。去年の世界経済で1位はアメリカ(14兆2043億ドル)で、2位は日本(4兆9093億ドル)の順でした。

・食堂で一度客に出されて残ったおかずを再び別の客のテーブルに載せる使い回しを禁じた新しい食品衛生法が今月3日に発効したことを受けて、ソウル市は6日から食堂での使いまわしの取り締まりをはじめました。対象となるのは広さ100平方メートル以下の小規模な食堂で、ソウル市の職員と消費者団体のメンバーが合同で、客が多いお昼の時間帯に合わせて市内の食堂を見て回っています。使いまわしを摘発された食堂は15日の営業停止となり、1年に4回摘発されると、営業許可が取り消されます。しかし加工されずに原型をそのまま保っているレタスや唐辛子などは再活用することができ、バナナなど皮を剥く食べ物や、蓋を閉じた容器に入っていて客が自由に小皿に分けて食べるようになっているキムチなども再活用を認めています。

・アメリカの女子プロゴルフツアーのジェイミー・ファー・オーエンス・コーニング・クラシックで、韓国のイ・ウンジョン選手がプレーオフの末に初優勝を飾りました。オハイオ州シルバニアのハイランド・メドーズ・ゴルフクラブで6日に行われた最終ラウンドで、イ・ウンジョン選手は通算18アンダーの266でアメリカのモーガン・ブレッセル選手と並びましたが、プレーオフの末に破って、ツアー初優勝を手にしました。これで韓国人選手のLPGAでの優勝は今シーズン5勝目となりました。

7月4日土曜日

・北韓は2日に続いて4日午前にも、東海に向けて短距離ミサイル3発を発射しました。政府関係者は「北韓が4日午前8時頃、江原道 元山(ウォンサン)付近の旗対嶺(キッテリョン)ミサイル基地からスカッド・ミサイル2発を東海に向けて発射し、午前10時45分にさらに1発を発射した。発射されたミサイルは射程距離が500キロとみられる」と述べました。北韓は先月初めからこのミサイル基地で射程距離3000キロ以上の中距離ミサイルと短距離のスカッド・ミサイルを発射する動きを見せていました。4日に発射されたミサイルは射程距離500キロの地対地ミサイルで、韓国全土が射程圏内に入ります。これについて政府関係者は「2日の短距離ミサイル発射は軍事演習で行われた可能性が大きいと分析されたが、4日のミサイル発射はアメリカの独立記念日の前日に行われたことから、アメリカに対する政治的な意味合いが大きいとみられる」という見方を示しました。北韓は今週2日にも咸鏡南道(ハムギョンナムド)咸興(ハムン)市近くのミサイル基地から地対艦短距離ミサイル4発を発射しています。

・北韓がミサイルを発射したことについて、韓国政府は外交通商部スポークスマンの論評を発表し、「国連安全保障理事会の決議に反する挑発行為である」として遺憾の意を示しました。政府はこの中で、北韓はミサイルと関連したあらゆる活動を禁止した国連安保理の決議1874号などに明白に違反したとして、北東アジアでの緊張を高める行為に深い遺憾の意を表明するとともに、北韓が安保理の決議を誠実に履行するよう求めました。

・検察は3日、政府を批判して政策の転換を求める宣言を発表した全教組=全国教職員労働組合の本部などを国家公務員法違反の疑いで家宅捜索し、今後、全教組の支部長など幹部を召喚する方針を示しました。全教組は先月18日、所属している教員1万人が署名した政府を批判して政策の転換を求める宣言を発表し、これに対して教育科学技術部は、声明の発表を主導した88人を懲戒処分にする一方、該当者を検察に告発していました。これを受けてソウル中央地方検察庁は国家公務員法違反の疑いで全教組の本部とソウル支部を家宅捜索したもので、全教組本部が家宅捜索されたのは全教祖が発足して以来、初めてのことです。検察は家宅捜索で政府批判の宣言に関連する文書やパソコン10台、全教組の名簿などを押収しており、国家公務員法に違反したかどうかを調べることにしています。これに対して全教組は、「検察は政府を批判する宣言と関係のない文書まで押収しており、全教組に対する政治的な意図があることを裏付けている」と述べ、検察の家宅捜索は、今月中に予定している全教組の政府に対する2回目の批判声明を妨害するねらいがあると主張しました。

・去年2月、放火によって全焼した韓国の国宝第1号に指定されている木造建築物「崇禮門(スンレムン)」(通称、南大門)に掲げられていた細長い額、「扁額」が修復され、4日、崇禮門の復元工事現場で、一般に公開されました。崇禮門の扁額は火災の際に縁などが一部損傷を受けたため、文化財庁が専門家に依頼して、昔の拓本資料などを参考にしながら1年あまりにわたって修復作業を進めてきました。扁額が公開された4日には、崇禮門の復元工事現場も久しぶりに公開され、訪れた人たちは工事の進み具体を直接確かめる一方、ミニサイズの扁額から拓本を写しとる体験もしました。文化財庁は今月7日から来月16日まで、景福宮の中にある国立故宮博物館で、修復された崇禮門の扁額と修復の過程や関連資料などを特別展示する予定です。

・韓国で初めてとなるハイブリッドカーの販売が来週から始まる見通しです。韓国で最大手の自動車メーカー、現代自動車は来週から韓国で初めてハイブリッドカーの販売を始める計画です。このハイブリッドカーは、始動する時や加速する時は電気モーターが作動し、走行中はLPガスを燃料とする排気量が1600ccの中型乗用車で、LPガス1リットルで17.8キロを走ることができます。価格は2000万ウォン台と、日本のハイブリッドカーに比べますとおよそ30%ほど安いということです。しかし収益を出すには少なくとも20万台を販売しなければならず、今年下半期からは、性能が優れた日本とドイツのハイブリッドカーが輸入・販売される予定で、今後、韓国独自の技術開発が求められます。

・韓国のカトリック教会でミサを執り行うことができる司祭が5000人を超えました。カトリック教会のソウル大教区が3日発表したところによりますと、先月26日にソウルで司祭になる聖職叙階式が行われて、新たに27人の司祭が誕生し、これで韓国人の司祭は5005人になったということです。これは1845年にキム・デゴン・アンドレアが韓国で初の司祭となってからおよそ160年かかって司祭が5000人を超えたことになります。

・韓国人成人が去年1年間に読んだ本は平均12冊足らずで、12年ぶりに減少しました。文化体育観光部が韓国出版研究所に依頼して去年12月に読書について、全国の成人男女1000人と小学校から高校までの児童・生徒3000人を対象に調べた報告書によりますと、去年、1年間の平均読書量は成人の場合は11.9冊と、前の年より0.2冊減りました。また児童・生徒の読書量は小学生が25.8冊と前年に比べて増えたものの、中学生(10.1冊)と高校生(6.1冊)はそれぞれ減少しました。成人の1日の読書時間は平日は29分、週末は30分と前の年に比べて4−5分ほど減り、本を購入するために使った費用は年平均9600ウォンと前の年より2000ウォン以上も減りました。このように読書量が全般に減っている理由について、文化体育観光部の関係者は「テレビやインターネットなどに触れる時間が増えて、その分、本を読む時間が減ったためとみられる」としています。

7月3日金曜日

・国防部は北韓の核兵器に備えて、核爆発で生じる電磁波=EMPからコンピューターなどを防御するシステムを2014年までに構築することにしました。国防部が3日、発表したところによりますと、2010年から2014年までの間に178兆ウォンを投じて防衛力を増強することにしており、このうち60億ウォンはEMP防御システムの構築に当てることにしています。EMP=電磁パルスは、核爆発などで生じる電磁波で、コンピューターや通信装備の機能を麻痺させます。このため、国防部は政府の通信装備など重要な施設をEMPから防御するシステムを備えることにしています。また、国防部は2015年までに80億ウォンを投じて、北韓全域を監視できる無人偵察機「グローバルホーク」を導入することにしました。アメリカの無人偵察機「グローバルホーク」は地上20キロの上空から赤外線探査装置などで地上にある30センチの大きさの物体を識別することができます。

・北韓は2日の夕方から夜にかけて、短距離ミサイルを合わせて4発発射しました。韓国軍当局の発表によりますと、「北韓は2日午後5時20分、6時、7時50分、9時20分に、咸鏡南道(ハムギョンナムド)咸興(ハムン)市近くのミサイル基地から地対艦短距離ミサイルそれぞれ1発、合わせて4発を東海に向けて発射した。このミサイルの射程距離は100キロと分析された」ということです。北韓がミサイルを発射したのは今年5月29日以来です。韓国軍の関係者は北韓が発射したミサイルはシルクワームミサイルの改良型で、軍事演習の目的で発射したものとみています。韓国軍の関係者はさらに「北韓が先月25日から今月10日までの間、元山(ウォンサン)沿岸の海域を船舶の航行禁止区域に設定していたため、短距離ミサイルの発射は予想されていた。今のところ、江原道など他のミサイル基地からミサイルを発射する動きは捉えられていない」と説明しました。

・オバマ大統領は2日、アメリカの通信社とのインタビューで、「北韓が国際社会に復帰する唯一の道は核を放棄することだ」と述べました。この中でオバマ大統領は、「北韓が国際社会に復帰して経済問題を解決する唯一の道は核を放棄することだ」とした上で、北韓が核実験を強行したことについて、「国連安全保障理事会で採択された北韓に対する制裁措置は順調に進められており、さらなる制裁措置を取る可能性もある」と述べました。オバマ大統領の発言と関連して、ホワイトハウスのギブス報道官は、「北韓が外部にミサイルや核関連技術を輸出できないようにすることがアメリカの最大の関心事だ」とした上で、「アメリカはそのために国際社会と緊密に協力していく」と述べました。

・今の国会で焦点となっている大企業や新聞社に放送事業への参入を認めるメディア関連法の改正案をめぐって、与党ハンナラ党が提案した与野党の代表2人ずつによる「4人会議」を、野党民主党が受け入れることを決めました。しかし、メディア関連法の改正案については、ハンナラ党が今の臨時国会の会期内に採決に持ち込む方針を固めているのに対して、民主党は大企業や新聞社が放送事業に参入した場合の影響について調査し、世論調査なども行う必要があるとしているため、民主党が「4人会議」を受け入れて与野党の協議が再開されても、対立が解消される保証は今のところない状況です。

・柳明桓外交通商部長官は、韓国とアメリカの原子力協定は早い時期に改正する必要があるとする考えを明らかにしました。柳明桓長官は2日、記者会見し、「原子力の利用は様々な理由で増やしていかなければならない状況だ」と前置きした上で、「原子力の平和的利用を促進するための韓米間の協力をより具体的に定める必要がある」と述べました。また、「核燃料の処理について経済的な利益を最大限確保する方向でアメリカと協議を進めたい」と述べました。韓国は現在20基の原子力発電所が稼働していますが、1974年にアメリカとの間で締結した原子力協定に基づいて、核燃料の再処理はしていません。使用済み燃料は毎年700トンあまり出ているため、貯蔵能力は2016年には飽和状態になると見られています。

・女優のチャン・ジャヨンさんが遺書を残して自殺した事件で、事件の鍵を握っているとされる、チャン・ジャヨンさんが所属していた事務所の前の代表が3日、日本から韓国に強制送還されました。この男は先月24日に日本の警察に逮捕され、この日、成田空港から仁川空港に向かう大韓航空機の機内で身柄が韓国の警察に引き渡されました。正午過ぎに仁川空港に到着した前の事務所代表の男は、取材陣の質問に一切答えず、この事件の捜査を担当しているソウル近郊の盆唐警察署に移送されました。警察はこの男を、脅迫、傷害、業務上横領などの疑いで取り調べ、場合によっては酒や性的な接待を受けたと見られる人たちについても再び取り調べるなど、捜査を全面的に再開することにしています。

・韓国南部の全羅北道の小学校で海外旅行から帰国した児童1人が新型インフルエンザに感染していることが確認され、この小学校は韓国では初めて休校になりました。この小学校では、教師2人と児童7人が先月末、姉妹校になっているオーストラリアの小学校を訪問して帰国した後、6年生の児童1人が高熱や鼻水などの症状が出て、精密検査の結果、新型インフルエンザに感染したことが確認されました。このため、この小学校は3日から7日までの5日間、休校することを決め、児童850人は3日午前中の授業を終えて、全員が下校しました。韓国で新型インフルエンザのため学校が休校になったのはこれが初めてです。新型インフルエンザの感染者は2日まで238人が確認され、このうち45人が隔離治療を受けています。

・セルビアのベオグラードで開かれている第25回ユニバーシアード競技大会は3日、男女テコンドーが行われ、韓国は男子個人の型でイ・キソン選手が優勝し、今大会初の金メダルを獲得しました。また、同じくテコンドーの男子団体の型と女子団体の型でも金メダルを獲得し、韓国はテコンドーで合せて3個の金メダルを獲得しました。

7月2日木曜日

・企業が雇用している非正規労働者との契約期間が2年になれば、正社員に採用することを義務付けた非正規職保護法の改正案をめぐる与野党間の交渉が決裂し、今の法律がそのまま適用された初日の1日、解雇された非正規労働者は公営企業だけでおよそ300人に上りました。1日に非正規労働者を解雇した公営企業は韓国土地公社や大韓住宅公社、農協などです。このうち、韓国土地公社は1日、契約期間が6月末で2年になった非正規労働者145人に対して契約満了を通知したことを明らかにしました。韓国土地公社の関係者は、「現行の法律では契約期間が2年となった非正規労働者を正社員として採用するか契約を打ち切らなければならないが、現実では正社員に採用するのは難しいため、やむなく契約満了を通知した」と説明しています。また、大韓住宅公社は、契約期間が2年になった非正規労働者31人に契約満了を通知しました。住宅公社はまだ契約期間が2年になっていない従業員が300人あまりに上っており、法律の改正が行われなければ、大量解雇は避けられないものとみられます。さらに、非正規労働者のおよそ90%を雇用している中小企業でも、正社員の採用は人件費が負担になるため難しく、非正規労働者の解雇は今後も相次ぐものとみられます。労働部は、契約期間が2年になる非正規労働者は毎月6万人、今後1年間で71万人にのぼるものと推測しています。

・李明博大統領は2日、企業が雇用している非正規労働者との契約期間が2年になれば、正社員に採用することを義務付けた非正規職保護法の適用によって非正規労働者が解雇される問題について、根本的かつ総合的な対策が必要だという認識を示しました。李明博大統領はこの日、大韓商工会議所で開かれた官民合同会議で、「国会が適切な期間に渡って法律の適用を猶予し、その間に根本的な解決方法を見出すべきだ。雇用の柔軟性を基本にした、総合的な対策が必要だ」と述べました。李明博大統領はまた、「与野党は政治的な目的ではなく、本当に労働者のためを考えた解決策づくりに取り組まなければならない」と強調しました。

・企業の設備投資を促進するため、5兆ウォン規模の設備投資ファンドがつくられ、企業の研究開発費に対する税制面での支援も大幅に強化されます。企画財政部は2日、李明博大統領と企業の代表が出席して開かれた官民合同会議で、こうした内容を盛り込んだ投資促進策を決めました。それによりますと、政府と産業銀行、国民年金などが5兆ウォン規模の設備投資ファンドをつくり、新しく国の成長をリードする産業や、インフラの構築など、巨額の資金が必要で、リスクが高いビジネスを行う企業に投資することを決めました。設備投資ファンドの対象となる企業には、産業銀行や企業銀行が同じ規模の金額を設備資金として融資することになり、全体の投資額は10兆ウォンに上ります。政府はまた、新しく成長をリードする産業や基礎技術の研究開発費に対する税額控除率をこれまでの3〜6%から20〜35%に引き上げ、特に中小企業に対しては30〜35%にする方針です。これと同時に、企業の資金調達を容易にするため、在庫品や知的財産権を担保に融資をする動産担保制度を導入する一方、社債の発行限度を廃止するなど、社債発行条件を緩和することにしています。政府はこのほか、新しく事業を起こすための手続きを大幅に簡素化し、不動産開発業と航空運送業の登録や免許の条件を緩和するなど、投資に関する規制を幅広く緩和する方針です。

・北韓にある開城工業団地の運営をめぐる韓国と北韓の当局者による3回目の実務協議が2日、開城工業団地の南北経済協力協議事務所で行われましたが、双方の意見の隔たりは埋まらず、これといった進展がないまま終わりました。韓国と北韓の代表団は、午前10時から11時10分まで開かれた午前中の協議で、それぞれ基調発言をして互いの立場を述べ合った後、午後も協議を開くかどうかについて話し合いましたが、合意できず、結局午後は開かれませんでした。このため、2日の実務協議は次の日程を決めることもできず、これといった進展がないまま終わりました。韓国側の代表団は、次の協議の日程は、今後北韓側と連絡をとって決めることになるとしています。

・アメリカ国務省は1日、北韓への食糧支援について、食糧が住民にきちんと渡っていることを確認できなければ、今後の支援はできないという考えを示しました。アメリカ国務省のケリー報道官は、このように述べ、「今のところ、北韓に追加の食糧支援を行う計画はない。食糧支援はそれが適切に使われるという保証がなければ行うことはできない」と強調しました。ケリー報道官はまた、「我々は依然として北韓の住民の生活をとても心配している。しかし、現在、食糧支援に対するモニタリングなど適切な管理手段がないことを憂慮している」と説明しました。アメリカ政府はこれまで、北韓の核実験やミサイル発射に対する制裁措置にもかかわらず、北韓への人道的支援は続けて行くという立場を取ってきましたが、今回の発言は、北韓に対する全面的な圧力が本格化したことをうかがわせています。

・韓国と日本のFTA=自由貿易協定を締結する交渉の再開に向けた実務協議が1日、東京で行われましたが、これといった進展はありませんでした。実務協議が行われたのは、去年12月以来半年ぶりで、今回から首席代表が課長級から審議官級に格上げされました。協議では、FTA交渉を再開するための環境づくりについて両国の状況を確認するとともに、FTAによるメリットや両国の農水産物市場の開放、非関税障壁の撤廃、産業協力、政府調達などについて意見が交わされました。この中で韓国側は、対日貿易赤字の解消や非関税障壁の撤廃など、目に見える進展によってFTAの締結が互いの利益になるという雰囲気をつくることが重要だと指摘しました。これに対し、日本側は、韓国を含む東アジア地域の経済連携協定の重要性を強調し、それによって利益があるという立場からFTA交渉を進める必要があると強調し、双方の意見は平行線を辿りました。

・気象庁が3月末に初めて人工雨を降らせることに成功していたことが分かりました。気象庁が1日に明らかにしたところによりますと、今年3月30日に、江原道太白(テベク)市の広洞(クァンドン)ダムを目標地点にして3回にわたって人工降雨実験を行った結果、20分にわたって人工雨5ミリが降ったということです。気象庁は去年から8回にわたって人工降雨実験を行い、人工雪を降らせることには成功していましたが、人工雨が降ったのはこの時が初めてです。

7月1日水曜日

・企業が雇用している非正規労働者との契約期間が2年になれば、正社員に採用することを義務付けた非正規職保護法の改正案をめぐる与野党間の交渉が30日夜、決裂したため、7月1日から今の法律がそのまま適用されることになり、雇用不安が高まっています。この問題について、与党ハンナラ党は、今の非正規職保護法が適用されると、非正規労働者を解雇する企業が増えて法律の施行から2年が過ぎて法律の適用を受ける7月1日以降に70万人から最大100万人が職を失うとみています。このため、ハンナラ党は、法律の適用を3年間猶予して、2012年からにする改正案を国会に提出していましたが、与野党の交渉を妥結させるため、猶予期間を2年に短縮する妥協案を示していました。これに対して野党民主党は、その2年間でさらに非正規労働者が増える恐れがあるとして、6か月間の準備期間を設定して、その間に政府が非正規労働者を正社員に転換する企業に支援金を提供するなどの対策をまとめるべきだと主張しています。また、民主党はこの法律を適用した場合に出る失業者を30万人程度とみており、ハンナラ党は最大で100万人の大量失業が予想されるとしながら根本的な解決方法を示していないと非難しています。このように与野党の意見の隔たりは埋まらず、非正規職保護法の改正案をめぐる期限内の交渉は決裂しましたが、与野党は、引き続き交渉を続けていくとしています。

・企業が雇用している非正規労働者との契約期間が2年になれば、正社員に採用することを義務付けた非正規職保護法の改正案をめぐる与野党の交渉が30日夜決裂したことを受けて、経済団体は遺憾の意を表し、政界に対して対策づくりに乗り出すよう求めました。全国経済人連合会の「祥根(ペ・サングン)経済本部長は、「企業は非正規労働者の雇用維持を望み、非正規労働者も引き続き働きたいと願っていたが、政界は本来の役割を果たせなかった」と指摘し、早急な対策を求めました。また、大韓商工会議所は、「非正規労働者の大量失業が予想されているにもかかわらず、国会が解決策を見出せなかったことを遺憾に思う」と述べました。さらに、韓国経営者総協会は、「非正規労働者をめぐるこれまでの議論は、雇用市場と企業の現実に目を向けず、労働界の顔色伺いや、政治的な人気取りの手段として利用されてきた」と非難しました。一方、韓国の2大労働組合団体の1つ、民主労総=全国民主労働組合総連盟に所属している非正規労働者50人あまりは、ソウルで記者会見し、政府に対して、非正規労働者を正社員に転換する政策を進めるよう求めました。

・6月の貿易黒字が74億ドルとなり、過去最高を記録しました。知識経済部が1日に発表した「6月の輸出入動向」によりますと、6月の輸出は330億ドル、輸入は256億ドルで、差し引き74億ドルの黒字となり、1か月としてはこれまでで最も多い黒字を記録しました。6月の輸出は、去年の同じ期間に比べて11.3%減少し、減少幅が前の月(マイナス28.5%)より大幅に縮小し、輸入額も、去年の同じ期間より32.3%減り、前の月(マイナス40.3%)より減少幅が縮小しました。6月の輸出が大きく増えたのは、企業が上半期末の業績を上げるために輸出を増やしたためとみられます。一方、今年上半期の輸出は去年の同じ期間に比べて22.3%少ない1661億ドル、輸入は34.6%減った1445億ドルで、貿易黒字は216億ドルとなり、これまで最大だった1998年上半期の黒字199億ドルを上回りました。知識経済部は、今年の下半期の輸出は1950億ドル、輸入は1856億ドル前後になり、100億ドルの貿易黒字が見込まれるとしています。

・ソウルから北韓の新義州(シンイジュ)につながる幹線鉄道、京義線の一部区間で複線電化工事が完成し、1日に開通しました。工事が完成したのは第1区間の軍事境界線に近いムン山(ムンサン)駅からソウル麻浦区(マポグ)上岩洞(サンアムドン)にあるDMC(デジタルメディアシティ)駅までの40.6キロで、国土海洋部は、この日、京畿道(キョンギド)、高陽(コヤン)の幸信(ヘンシン)駅で開通式を行いました。開通式には韓昇洙(ハン・スンス)国務総理をはじめ、国土海洋部の鄭鍾煥(チョン・ジョンファン)長官や市民など500人あまりが出席し、韓昇洙国務総理は、「ソウルと北韓の新義州をつなぐ520キロの京義線はきわめて重要な役割を持っており、複線電化をきっかけに、新義州を経由してヨーロッパまで行ける日が来ることを願っている」と述べました。これに先立って午前5時台に一番列車がムン山駅とDMC駅をそれぞれ出発しました。京義線の複線電化された区間では、10分から15分間隔で1日150回運行され、高揚と坡州(パジュ)地域の住民は、より速くて便利にソウル都心に行けるようになりました。

・北韓にある開城工業団地の運営をめぐる韓国と北韓の当局者による3回目の実務協議が2日、開城工業団地の南北経済協力協議事務所で行われます。今回の協議で韓国側は、北韓に拘束されている韓国人会社員の解放を求めるとともに、先月の実務協議で北韓が要求してきた開城工業団地の土地の使用料と北韓労働者の賃金の引き上げなどについて、これまでの契約を変更することは受け入れられないという立場を改めて示すもようです。その一方で韓国側は、北韓労働者が使う託児所や寄宿舎の建設などは開城工業団地の通行・通関・通信のいわゆる3通問題と合わせて協議できるという方針で交渉に臨むものとみられます。これに対して、北韓側は、賃金と土地の使用料の引き上げなどを要求し、特に土地の使用料について協議するよう求めてくるものと予想されています。

・アメリカは30日、北韓の核やミサイル計画に関わっている疑いがある北韓の貿易会社と、イランに拠点を置く企業に対し、資産凍結や取引禁止などの制裁措置を取りました。 アメリカ国務省はこの日声明を発表し、ウラン濃縮装置の購入に関わってきた北韓の貿易会社、ナムチョンガン貿易(NCG)がアメリカに保有している資産を凍結する措置を取り、アメリカの企業や個人との取引を禁止することを明らかにしました。アメリカ国務省は声明の中で、「ナムチョンガン貿易は平壤にある核関連の企業で、1990年代末以降、ウラン濃縮計画に使われるアルミニウム管やその他の装置の購入に関わってきたため、核関連企業に指定した」と説明しています。一方、これとは別に、アメリカ財務省はこの日声明を発表し、イランに拠点を置く「ホンコン・エレクトロニクス」に対して金融制裁を発動したことを明らかにしました。この企業は、国連安全保障理事会の決議によって資産凍結の対象になっている北韓の銀行などに代わって、数百万ドルを北韓に送金し、核やミサイル計画を支援していたとみられ、アメリカ財務省はこの企業の資産を凍結したほか、アメリカ企業との取引などを禁じました。今回の制裁措置は、北韓が国連安保理決議に基づく金融制裁を避けるためにあらゆる手を使って取引を行う可能性があるとして、アメリカ政府が18日に注意を促してから初めて取られた具体的な措置です。

・サッカーの韓日オールスター戦「JOMOカップ2009」が、8月8日に仁川(インチョン)ワールドカップ競技場で行われます。プロサッカー連盟が30日に明らかにしたところによりますと、2回目となるこの大会は、当初、ソウルのワールドカップ競技場で開催される予定でしたが、8月7日に開幕する「仁川世界都市祭典」に合わせて、開催地を仁川に変更したということです。KリーグとJリーグは7月6日に韓国と日本で同時に記者会見して、出場選手を発表することにしています。