2009年ニュース

5月30日土曜日

・韓国とアメリカの情報当局は、北韓東北部、咸鏡北道のミサイル発射基地で、「デポドン2号」の発射準備の兆候を確認したと述べました。KBSテレビが政府関係者の話として伝えたところによりますと、北韓咸鏡北道の花台(ファデ)郡舞水端(ムスダン)里にあるミサイル発射基地で、ミサイル発射準備の兆候が見られるうえ、平壌近くにあるミサイル製造施設でも車両の動きが活発になっている様子がとらえられたということです。またミサイルの部品などを乗せた貨物列車が、発射台のある舞水端里に向かって移動する動きもとらえたとして、詳しい状況を調べています。別の当局者によりますと、北韓が発射準備している長距離ミサイルは、先月打ち上げた長距離ロケットを使った 射程距離4000キロ以上の「デポドン2号」と推定されています。これに先立って、アメリカのCNNテレビやAP通信など複数のメディアは、29日、アメリカの偵察衛星が北韓東海岸のミサイル発射施設付近で車両の動きが活発になっている様子をとらえたと伝えました。韓米情報当局は、このように北韓がミサイル発射準備を急いでいることについて、来月16日に予定されている韓米首脳会談を狙っているのではないかと分析しています。

・北韓は、国連安全保障理事会がさきの核実験に対する制裁決議の採択を目指していることについて、「さらなる自衛措置をとる」と反発する声明をだしました。北韓外務省の報道官は29日、朝鮮中央通信を通じて声明を発表し、「これまでの核実験のほとんどは、安保理常任理事国の5カ国によって行われてきた」と反発し、「安保理がこれ以上の挑発を行えば、われわれはさらなる自衛的措置をとることを避けられなくなる」としています。この自衛的措置が具体的に何を指すのかは、声明は示していませんが、北韓はさきのロケットの打ち上げに対する安保理の決定に対抗する形で、今回、核実験を行ったもので、さらに長距離弾道ミサイルの発射も辞さないと説明しています。北韓はまた声明の中で、「安保理が北韓に対する制裁を可能にしているのは、アメリカと、アメリカに追従した勢力に責任がある」として、中国とロシアも間接的に批判しています。さらに、「韓半島の休戦協定締結の当事者は安保理が作った国連軍司令部であり、今回の安保理の敵対行為は、休戦協定破棄につながる」とも主張しました。

・シンガポールで開かれているアジア太平洋地域の安全保障国際会議で、アメリカのゲーツ国防長官は、「北韓を核保有国として認めない」としたうえで、「北韓の脅威に対して、アメリカは手をこまねいてはいない」と警告しました。この会議でゲーツ国防長官は、核実験を強行した北韓について、「北韓を核保有国として受け入れるつもりはない」と述べ、厳しい制裁を科す必要があると強調しました。そのうえで、「北韓がアメリカやアジアの同盟諸国を脅かす動きをとるならば、アメリカは手をこまねいてはいない」と警告しました。

逝去した盧武鉉前大統領の遺骨が30日未明、自宅近くの寺に安置されました。盧武鉉前大統領の遺体は、29日、ソウルの王宮、景福宮で行われた告別式の後、本人の遺言に従って火葬に付され、遺骨は30日午前1時半ごろ、自宅がある韓国南部、慶尚南道金海市のポンハマウルに到着しました。そして遺族や側近、住民らおよそ1000人が見守る中、親の位牌のある寺に安置されました。この遺骨は、四十九日が過ぎてから自宅近くの山の墓に納められます。

・先月の鉱工業生産の減少幅が、半年ぶりに一桁台にとどまりました。統計庁が29日発表した産業活動動向によりますと、先月4月の鉱工業生産は、去年4月に比べて8.2%の減少となりました。鉱工業生産は去年11月から毎月二桁台の大きな減少が続いていましたが、減少幅が一桁台にとどまったのは半年振りです。これについて統計庁は、「今回の結果は景気回復のシグナルとして受け止められるが、まだ本格的な回復と判断するのはむずかしい」と慎重な立場を示しています。

5月29日金曜日

・盧武鉉前大統領の国民葬による告別式が29日、ソウルの王宮、景福宮で各界の代表や外国からの使節が参列してしめやかに執り行われました。告別式は午前11時過ぎに始まり、遺族をはじめ、李明博大統領、金大中元大統領、金泳三元大統領の他、政財界の代表、海外の弔問使節、市民代表など、2500人あまりが参列しました。アメリカからはスティーブンソン韓国駐在大使が、日本からは福田康夫前首相が弔問使節として参列しました。告別式は、盧武鉉前大統領の遺影と遺族が入場して始まり、故人に対する黙祷、故人の略歴紹介の後、葬儀委員会の共同委員長を務めた韓昇洙国務総理と韓明淑元国務総理が弔辞を述べました。この中で、韓昇洙国務総理は、「盧武鉉前大統領は人権と民主主義の発展、権威主義の克服のために生涯を捧げた」と、その功績を称え、盧武鉉政権で国務総理を務めた韓明淑元国務総理は、「盧武鉉前大統領は国民の心に中に永遠に残る大統領になるだろう。盧武鉉前大統領の足跡をたどって、盧武鉉前大統領の夢、大韓民国の夢を実現させていきたい」述べました。続いて仏教やキリスト教など宗教関係者による儀式、故人の生前の姿を紹介する映像の上映、献花などが行われ、最後に陸海空軍の儀仗隊が弔砲を撃ちました。告別式は午後0時20分頃終わり、盧武鉉前大統領の遺体を乗せた霊柩車は路上で国民と別れを告げる祭祀を執り行うため、ソウル市庁前広場に向かいました。

・盧武鉉前大統領の告別式に参列した李明博大統領が、霊前に菊の花を供えているとき、参列していた民主党の白元宇(ペク・ウォンウ)議員が立ち上がり、「大統領は謝罪せよ」、「政治的殺人者」などと大声で叫びながら李明博大統領に向かって歩き出しました。白元宇議員はすぐに警護員らに取り押さえられ、李明博大統領は花を供えた後、席に戻り、告別式の進行には大きな影響はありませんでした。告別式では李明博大統領と盧武鉉前大統領の遺族が直接言葉を交わすことはありませんでした。

・29日にソウルで行われた盧武鉉前大統領の告別式に続いて、一般市民が参加する路上での祭祀がソウル市庁前広場で行われました。この祭祀は、遺族や告別式の参列者、一般市民などが霊柩車の後から歩いてソウル市庁前広場まで移動して、午後0時40分頃から始まりました。会場には市民など10万人以上が集まり、2002年の大統領選挙の際に盧武鉉前大統領のシンボルカラーだった黄色い帽子をかぶったり、スカーフをつけたりしたため、あたりは黄色一色に染まりました。祭祀では、盧武鉉前大統領の逝去を悼む詩の朗読、伝統音楽の名人アン・スクソンさんによる死を悼む歌、歌手のヤン・ヒウンさんやアン・チファンさんによる盧武鉉前大統領の愛唱歌の歌唱、死を悼む伝統舞踊、遺書の朗読などが行われました。

・逝去した盧武鉉前大統領の遺体は告別式の後、本人の遺言に従って火葬に付され、遺骨が29日夜、自宅がある韓国南部の慶尚南道金海市ポンハ村に向かいました。

・三星グループの李健熙前会長が、転換社債を不当に安い価格で発行して子会社などに売却する方法で息子に経営権を継承したとして、脱税と背任の疑いで起訴された事件で、最高裁に当たる大法院は29日、無罪の判決を言い渡しました。この事件は李健熙前会長が息子に経営権を継承するために不当に安い価格で転換社債を発行し、息子が大株主の子会社に売却したとするもので、ソウル高等裁判所は脱税については有罪判決を言い渡しましたが、転換社債の発行については無罪を言い渡していました。三星グループの経営権継承をめぐっては市民団体などが疑惑を提起し、社会問題になっていましたが、大法院が無罪判決を言い渡したことで、一段落することになりました。

・韓国では28日、新たに4人が新型インフルエンザに感染したことが確認され、感染者は33人になりました。新たに感染が確認された4人のうち2人は最近入国した英語学校の外国人講師で、他の2人は夏休みを迎えてアメリカから帰国した留学生などです。疾病管理本部は、アメリカとカナダ、日本に留学している学生などは15万4000人あまりいて、夏休みに帰国する人が増えるため、水際対策を徹底する一方、入国した後で感染が確認されるケースが出ていることから、空港での水際対策だけでは不十分だとして、国内での2次感染を防ぐ対策も合わせて進めていくことにしました。

・韓国がPSI=大量破壊兵器拡散防止構想へ全面的に参加することに反発して、北韓が武力行使の可能性を警告している中で、韓半島西の西海の軍事境界線に当たる北方限界線付近で操業する中国の漁船が大幅に減り、軍当局が注目しています。軍の関係者によりますと、北方限界線付近では今月26日の時点で280隻あまりの中国漁船が操業していましたが、その後、中国漁船は大幅に減り、今のところこの付近で操業しているのは100隻あまりだということです。軍当局は、中国漁船の減少が、北韓がこの海域で挑発行為に出る可能性と関係があるかどうかを分析する一方、北韓軍の動向を注視しているとしています。

・今年1月から3月までの第1四半期に1人暮らしを除く世帯の所得と支出がいずれも統計を取り始めた2003年以来、もっとも大幅に減少したことがわかりました。統計庁が発表した今年第1四半期の家計調査によりますと、1人暮らしを除く世帯の月平均の実質所得は、311万6000ウォンで、前の年の同じ期間に比べて3%減少しました。また消費支出は、191万6000ウォンで、前の年に比べて6.8%減少しました。実質所得と消費支出が同時にマイナスになったのは統計を取り始めた2003年以来初めてで、減少幅ももっとも大きくなっています。

5月28日木曜日

・韓国国防部は、地下核実験を行った北韓の挑発行為に備えて、北韓に対する情報監視態勢=ウォッチコンを第3段階から第2段階に引き上げ、情報監視活動を強化しました。国防部は28日、北韓が2回目の核実験を強行し、韓半島西の西海での武力行使を示唆していることを受けて、この日の午前7時15分を期してウォッチコンを1段階引き上げたと発表しました。韓国軍とアメリカ軍はこれに基づいて、情報衛星や偵察機などを利用した情報収集と監視活動の回数を増やすなど、警戒態勢を強化しました。ウォッチコンは5段階に分かれており、北韓と対峙している韓国は通常3段階目を維持しています。第2段階は北韓の脅威の徴候が顕著なときに発令されます。

・国連安全保障理事会は、北韓が2回目の核実験を強行したことを受けて、北韓に対する新しい決議案の採択を目指して協議を進めていますが、近く草案を関係国に回覧する見通しです。国連の関係者によりますと、北韓に対する新しい決議案の草案は、アメリカと日本が中心になって作成しており、28日午後にも理事国など関係国に回覧され、最終的な調整を経て、来週初めにも安保理の全体会議に上程されるということです。アメリカと日本が作成している草案は、3年前に採択された決議1718号より制裁の内容が強化されており、大量破壊兵器だけでなく通常兵器も輸出入禁止の対象に含める他、北韓の船舶に対する臨検の強化や中東やヨーロッパにある北韓関連の金融機関の口座を凍結することなどが含まれるということです。

・ロシア外務省は27日、北韓の大使を呼んで、北韓が核実験を強行したことに遺憾の意を表明するとともに、6か国協議に復帰するよう促しました。ロシア外務省はこの日、声明を発表し、北韓が2回目の核実験を強行し、相次いで短距離ミサイルを発射したことに対して、深い遺憾の意を表明し、北韓が速やかに6カ国協議に復帰するよう求めました。ロシア外務省は北韓が2回目の核実験を強行した25日には、「核実験は北東アジアの緊張を高め、域内の平和と安定を脅かす行為で、国連安保理の決議1718号に違反するものだ」とする声明を発表しています。ロシアはこの声明を発表したのに加えて、28日と29日の2日間に平壌で開かれる予定だった通商経済及び科学技術委員会の会議を無期延期にするなど、これまでになく北韓を強く非難する態度に出ています。

・盧武鉉前大統領の告別式が29日、ソウルの王宮、景福宮で、国民葬として執り行われます。盧武鉉前大統領の遺体は安置されているふるさとの慶尚南道のボンハ村で、この日午前5時に出棺式を行った後、ソウルに向けて出発します。告別式は午前11時から始まり、李明博大統領や金大中元大統領、金泳三元大統領などの他、政官界の指導者や外交使節、遺族など、2500人あまりが参列する予定です。告別式は、故人に対する黙祷、略歴紹介、葬儀委員長の弔辞、生前の姿を写した映像の上映、遺族などの献花の順で行われます。式場に入場できなかった人たちのために、式場の外には大型スクリーンが設置され、告別式の模様を中継する予定です。

・盧武鉉前大統領が逝去したとき、警護員はそばにいなかったことが分かりました。警察は27日、盧武鉉前大統領の逝去と関連して3回目の調査結果を発表しました。それによりますと、警察の当初の発表とは違って、盧武鉉前大統領が自宅の裏山の崖から身を投げたとき、警護員はそばにいなかったということです。盧武鉉前大統領は23日早朝に自宅を出て、警護員とともに裏山の崖に到着、午前6時14分に警護員に近くの寺に僧侶がいるかどうかを確認するよう指示し、警護員は盧武鉉前大統領を崖に残したまま寺に向かったということです。警護員が崖に戻ったときには盧武鉉前大統領の姿は見当たらず、その後、午前6時45分に崖の下で発見されたということです。この警護員は警察の調べに対して、前大統領をそばで警護しなければならないのに、1人にしておいたことで責任を追及されるのを恐れて、前大統領が身を投げるときは現場にいたと証言したということです。

・夏休みを迎えて外国から帰国する留学生が増えるため、新型インフルエンザが広がるのではないかと憂慮されています。疾病管理本部によりますと、アメリカのテキサスから20日に帰国した女子留学生が新型インフルエンザに感染していることが26日に確認されました。この留学生は23日に咳などの症状があると保健所に届け出て、感染が確認されました。また、26日にはアメリカのサンフランシスコから帰国した男子留学生が推定患者に分類されました。疾病管理本部は夏休みを迎えて帰国する留学生が増えるものと見て、現地の大使館などを通じて、帰国した留学生は症状がなくても1週間程度は外出を控えよう呼びかけることにしています。韓国で新型インフルエンザに感染している人は、28日午後5時現在で、推定患者を含めて32人になり、このうち韓国人は17人です。

・経常収支が3か月連続で黒字になりました。韓国銀行が28日に発表したところによりますと、4月の経常収支は42億8000万ドルで、史上最大の黒字を記録した3月に比べると23億7000万ドル減りましたが、2月と3月に続いて3か月連続で黒字になりました。輸出が減っているにもかかわらず、経常収支が黒字になっているのは、輸出よりも輸入が大きく減っているためです。4月の輸出は303億ドルで1年前より22.6%減りましたが、輸入は241億4000万ドルで35.7%減り、貿易収支は黒字を維持しています。韓国銀行は、経常収支が3か月連続で黒字になっているものの、輸出と輸入がともに減る典型的な不況型の黒字だとして、景気が完全に回復するまではこうした状態が続くものと見ています。

・夢の舞台といわれるサッカーのヨーロッパチャンピオンズリーグの決勝戦が28日、ローマで行われ、マンチェスターユナイテッドのパク・チソン選手がアジアの選手としては初めて出場しました。マンチェスターユナイテッドとバルセロナが対戦した決勝戦で、パク・チソン選手は先発で出場し、数回に渡ってシュートを放つなど、活躍しましたが、得点にはつながりませんでした。パク・チソン選手はマンチェスターユナイテッドが1−0でリードされていた後半21分に交代しました。決勝戦では、バルセロナが2−0でマンチェスターユナイテッドを破り、3年ぶりの優勝を果たしました。

5月27日水曜日

・韓国の今年第1四半期のGDP=国内総生産は、OECD=経済協力開発機構の加盟国の中で唯一プラス成長になり、景気回復を最も早く遂げていることが分かりました。企画財政部などが27日に明らかにしたところによりますと、韓国の今年第1四半期のGDP=国内総生産は、前の四半期より0.1%増加しました。GDPが前の四半期より増えたのはOECDに加盟している30か国のうち韓国だけで、韓国の景気後退に歯止めがかかっていることを示しています。韓国の前の四半期と比べたGDPの成長率は、去年の第1四半期が1.1%、第2四半期が0.4%、第3四半期が0.2%となった後、世界的な景気後退で第4四半期は一気にマイナス5.1%に落ち込みましたが、今年の第1四半期に再びプラス成長を達成し、韓国経済の強い回復力が伺えます。

・与党ハンナラ党は27日、北韓の核実験実施を受けて、韓半島有事の際に軍の指揮をとる作戦統制権が2012年4月にアメリカ軍から韓国軍に返還されることになっているのを再検討するよう政府に要請しました。ハンナラ党の趙允旋(チョ・ユンソン)報道官はこの日の記者会見で、「党として、戦時作戦統制権のアメリカ軍から韓国軍への返還を再検討するよう政府に求めた。6月に行われる韓米首脳会談でこの問題を議題にする必要があるかどうかについても検討を求めた」と述べました。ハンナラ党はこの日、韓昇洙(ハン・スンス)国務総理やハンナラ党の朴熹太(パク・ヒテ)代表などが出席して開かれた政府与党連絡会議で、韓半島の安全保障が脅かされているだけに、戦時作戦統制権のアメリカ軍から韓国軍への返還を再検討する必要性が持ち上がっているとして、このように求めたということです。政府とハンナラ党は、北韓が2回目の地下核実験を実施し、相次いでミサイルを発射したことを受けて、韓半島の危機に備えるには強固な韓米同盟による「核の傘」が重要であるという認識で、アメリカと今後の協調体制について協議していくことにしています。

・このところ短距離ミサイルを相次いで発射している北韓は、26日夜も、東海(日本海)の海岸から短距離ミサイル1発を発射しました。国防部は27日、北韓が26日午後9時10分頃、東海(日本海)の海岸から短距離ミサイル1発を発射し、現在詳しい状況の把握に努めていると明らかにしました。北韓はこの日、これに先立って2発の短距離ミサイルを発射しています。また、北韓は25日に短距離ミサイル3発を発射したと伝えられていましたが、そのうち1発は発射準備が行われただけで、実際には発射されなかったことが分かり、これまで北韓が発射したミサイルは25日に2発、26日に3発の合わせて5発です。

・北韓が核実験を実施し、短距離ミサイルを相次いで発射したことを受けて、アメリカ政府は26日、北韓に対する追加の制裁措置として、テロ支援国の再指定や金融制裁などを検討していることを明らかにしました。アメリカ国務省のケリー報道官は26日の定例会見で、「我々はあらゆる選択肢を検討している」とした上で、北韓をテロ支援国に再指定することも検討しているかという質問に対しては、「それも明白な検討の対象となるだろう」と答えました。一方、アメリカ財務省の関係者は26日、ロイター通信の取材に対し、北韓に対する追加の金融制裁を検討していることを明らかにしました。この関係者は、北韓は依然、限定的ながら国際金融システムにアクセスできているが、それをできなくする「広範囲な権限」をアメリカ財務省は持っているとした上で、「それに関する選択肢をわれわれは検討している」と述べました。

・李明博大統領は、盧武鉉前大統領の弔問のため遺体が安置されている慶尚南道金海市の峰下(ポンハ)マウルを訪れる当初の方針を変更し、29日にソウルの王宮、景福宮(キョンボクグン)で国民葬として執り行われる告別式に出席することになりました。大統領府青瓦台の李東官(イ・ドングァン)報道官は27日、盧武鉉前大統領の告別式の式場が慶尚南道金海市の公設運動場からソウルの景福宮に変更になったことを受け、李明博大統領が告別式に出席することになった」と述べました。李東官報道官は、その背景について、「盧武鉉前大統領側が李明博大統領の峰下マウルでの弔問は現地の雰囲気に配慮して思いとどまるよう伝えてきているほか、北韓の核実験と短距離ミサイル発射の後で国の安全保障上のきわめて重大な局面にあることから方針を変更した」と説明しました。 一方、全国各地に設けられた弔問所には今も多くの人が弔問に訪れています。行政安全部によりますと、26日午後5時現在、全国の地方自治体が設けた弔問所は93か所に上っています。また、政党や宗教団体、市民団体なども全国の221か所に弔問所を設けています。盧武鉉前大統領の遺体が安置された、峰下マウルには27日午前0時までに、延べ70万人が弔問に訪れたということです。

・韓国で新型インフルエンザへの感染が27日だけで新たに2人確認され、感染者は英語塾講師の集団感染を中心に29人になりました。保健福祉家族部の新型インフルエンザ対策本部は27日、新たに2人が新型インフルエンザに感染していることを確認したと発表しました。感染が確認された2人のうち1人は、20日にアメリカから帰国した韓国人女性で、感染したようだと保健所に申し出て検査を受けていました。もう一人は、集団感染した疑いでソウル市内の施設に隔離されていた英語塾の講師で南アフリカ共和国から来た男性で、この英語塾の感染者はこれで20人に上りました。この結果、韓国国内の感染者は英語塾講師の集団感染を中心に29人になりました。

・ソウル市内のタクシーの初乗り料金が来月1日から2400ウォンに値上げされます。ソウル市は27日、消費者物価や原油価格の値上がりに伴って、タクシーの初乗り料金を今の1900ウォンから2400ウォンに、500ウォン12.6%引き上げることを明らかにしました。タクシー料金が引き上げられるのは2005年6月に17.5%引き上げられて以来4年ぶりです。今回引き上げられるのは初乗り料金だけで、距離や時間による料金は今のまま据え置かれます。

5月26日火曜日

・北韓が25日に続いて26日にも短距離ミサイル2発を相次いで発射したことが確認されました。韓国の情報消息筋は、「26日午後、北韓の咸鏡南道咸興(ハムフン)市付近から地対空短距離ミサイルと地対艦短距離ミサイル合わせて2発が相次いで追加発射されたと分析される」と述べました。北韓は、25日午前、地下核実験を行ったのに続いて、午後に射程距離130キロの地対空ミサイル1発を、夕方にも2発の短距離ミサイルを発射しています。

・北韓が25日に2回目の核実験を行い、短距離ミサイル3発を発射したことを受けて、韓国政府はこれまで参加を見合わせていたPSI=大量破壊兵器の拡散防止構想に全面参加すると26日、発表しました。外交通商部の文太暎(ムン・テヨン)報道官は26日、「政府は大量破壊兵器とミサイルの拡散という世界の平和と安全保障に及ぼす深刻な脅威に対応するため、2009年5月26日からPSIに全面参加することを決めた」と発表しました。文太暎報道官はまた「南北間で合意した海運合意書はそのまま適用される」と述べて、韓国の領海内を通る北韓の貨物船に対しては安全な航行が行われることを確認しました。PSI=大量破壊兵器の拡散防止構想は、北韓やイラン、シリアなど大量破壊兵器の開発国の動きを阻止するためにアメリカ、ロシアなど11カ国によって2003年に始まったもので、韓国は2005年から訓練に参観団を派遣するなど、部分的に参加していました。PSIに参加しますと、政府は大量破壊兵器と弾道ミサイルの拡散を阻止するために、韓国の国内法と国際法に基づいて大量破壊兵器を運搬する疑いがある船舶や航空機が韓国の領域を通る場合、その船舶に乗船したり、航空機を着陸させたりして臨検ができるようになります。北韓はこれまで韓国政府が PSIに全面的に参加すれば、北韓に対する宣戦布告とみなすと警告していたことから、北韓の今後の出方が注目されます。

・北韓が2回目の核実験を行ったと発表したことを受けて、国連の安全保障理事会は韓国時間で26日未明に緊急会合を開き、北韓の核実験を非難するとともに、新たな決議の採択に向けた作業に着手することで合意しました。国連安保理の緊急会合は、常任理事国5カ国と非常任10カ国の代表が出席しておよそ30分間に渡って開かれました。会合の後、議長国ロシアのチュルキン国連大使は声明発表し、「国連安保理は北韓の核実験に対して強く反対し非難する。北韓の行動は核実験などの活動を禁じた2006年の国連決議1718号に違反するものだ」と厳しく述べるとともに、「安保理の加盟国は直ちに新たな決議の採択に向けて作業を開始することで合意した」と明らかにしました。これを受けて国連の主な当事国は、26日夜に会合して北韓に対する制裁を盛り込んだ決議案をまとめることにしています。今回の決議案には3年前の決議より実効性のある制裁内容を盛り込む方向で作業が進められる見通しですが、北韓との友好関係を維持している中国とロシアが北韓に対する制裁内容にどこまで同意するかが注目されます。

・李明博大統領は26日午前、アメリカのオバマ大統領と電話会談を行い、北韓の核実験に対して共同で強力に対応していくことで合意しました。韓米首脳の電話会談は26日午前8時半からおよそ20分間行われ、この席で李明博大統領は「北韓が最初の核実験を行った後に、制裁ではなく国際社会との対話が再開されたことなど見返りがあったことを参考にする必要がある。今回はそのようなことがないように国際社会が緊密に協調して対応しなければならない」という考えを示し、韓国がPSI=大量破壊兵器の拡散防止構想に全面的に参加する方針を示しました。これに対してオバマ大統領は「PSIへの参加決定を歓迎する。PSIには韓国の参加が非常に重要で、国際的な指導力を示したことを高く評価する」と述べたうえで、北韓の核実験について、「国連の安全保障理事会で強力な決議を採択する必要があるので、決議案に具体的な内容が盛り込まれるよう努力する」と述べました。

・北韓が西の海=西海でも短距離ミサイルを発射する兆候が捉えられ、韓国軍は北韓軍の動向を注意深く見守っています。政府消息筋は26日「北韓は平安南道の沖合いを今週25日から27日までの3日間、航行禁止区域に指定した。近日中に短距離ミサイルを発射する可能性が高いとみられる」と述べました。北韓が発射準備を進めているミサイルは、射程距離が90キロのシルクウォーム・ミサイルを160キロに改良した地対艦ミサイルとみられています。北韓は25日午前、北韓北東部の咸鏡北道で核実験を行った後、正午過ぎにはロケットの発射基地がある咸鏡北道花台(ファデ)郡舞水端(ムスダン)里で短距離ミサイル1発を発射し、さらに午後5時過ぎには北韓東部の江原道(カンウォンド)元山(ウォンサン)から短距離ミサイル2発を相次いで発射しました。これを受けて韓国軍は26日午前、金泰榮(キム・テヨン)合同参謀本部議長が主催して全軍指揮官会議を開き、韓半島の安全保障体制をチェックし、今後の軍事計画を協議しました。

・北韓が核実験を行ったと発表したことから、政府は韓国人の安全のために、26日から開城工業団地の関係者と金剛山の観光施設の維持に必要なスタッフを除いて、民間団体の北韓入りを当分の間認めないことにしました。統一部の千海成(チョン・ヘソン)報道官は25日「北韓が核実験を行った現状を踏まえた上で、国民の安全を考慮し、26日から平壌や金剛山周辺地域など民間団体による北韓訪問は留保することになった。ただし開城工業団地の事業は継続するという方針に従って、開城工業団地の関係者の北韓訪問は認める」と述べました。26日には北韓住民に配る練炭や金剛山で森林を造成するのに必要な農薬などを提供するため、韓国で北韓への支援を行っている民間団体が北韓を訪問する予定でした。

・亡くなった盧武鉉前大統領の告別式は、国民葬として29日午前11時からソウルの王宮、景福宮(キョンボックン)で執り行われることになりました。政府は26日、盧武鉉前大統領の遺族と協議した結果、盧武鉉前大統領の告別式を遺族の希望を受けて、ソウル中心部にある王宮の景福宮で執り行うことを決めました。盧武鉉前大統領の告別式は国民葬として営まれ、韓昇洙(ハン・スンス)国務総理と韓明淑(ハン・ミョスク)元国務総理が共同で委員長を務める委員会をおよそ1000人で構成し、この委員会が招待者や具体的な手続きなどを遺族と協議して決めていくことにしています。また遺族によりますと、盧武鉉前大統領の墓地は故郷の慶尚南道金海(キムヘ)市峰下(ボンハ)マウルにある自宅近くの山に造成されるということです。ところで盧武鉉前大統領を追悼する弔問所は全国の地方自治体や宗教団体、市民団体などによっても自主的に設けられ、25日午後6時現在、地方自治体で82か所、民間による弔問所は197か所に増えました。

・麻生首相は26日、東京にある韓国大使館に設けられた盧武鉉前大統領の弔問所を訪れ、故人の冥福を祈りました。麻生首相は26日午前9時半前に韓国大使館を訪れ、芳名録に「日本国内閣総理大臣麻生太郎」と記帳した後、弔問所に向かい、盧武鉉前大統領の遺影に献花して故人の冥福を祈りました。そして権哲賢(クォン・チョルヒョン)駐日大使が弔問に感謝することばを述べたのに対し、麻生首相は硬い表情で「盧武鉉前大統領とは私が外相をつとめていた時にお会いしたことがあります。弔問するのは当たり前です」と述べました。これに先立って小泉元首相は25日午後、韓国大使館を訪れて弔問しました。

・消費心理指数が1年ぶりに基準値の100を上まわり、景気回復に向けた期待感が大きくなっていることを裏付けました。韓国銀行が全国のおよそ2200世帯を対象に行った5月の消費者動向調査によりますと、経済生活に対する消費者の心理を総合的に示す消費心理指数は105と、前の月に比べて7ポイント上昇し、1年ぶりに基準値の100を上回りました。消費心理指数は今の生活状況や消費支出の見通し、景気判断など6項目にわたって指数を出し、総合的な指数が100を上まわると、今後の景気がよくなると思う人がそうでないと判断する人より多いことを意味します。これについて韓国銀行の関係者は「国民所得と雇用の減少ぶりが鈍くなり、株式など資産の価値が上昇したことなどから、今後の景気に期待感を持つ人が多くなったようだ。しかし消費や投資はまだ回復したとはみられず、原油価格が上昇する可能性など不安材料もあるため、今後の消費心理指数が100以上を保ち続けるかどうかは、見極める必要がある」と分析しています。

5月25日月曜日

・北韓は25日、2回目の地下核実験を行ったのに続いて、短距離ミサイルも発射しました。北韓の朝鮮中央通信によりますと、「北韓は自衛的な核の抑止力を強化する措置として、2009年5月25日、2回目の地下核実験を行い、核実験は成功した。今回の核実験は爆発力とコントロール技術の面でさらに高いレベルで安全に行われた」と主張しています。そして朝鮮中央通信は「核実験の結果、核兵器の威力をさらに高め、核の技術を発展させていく科学技術的な問題を円満に解決できた」と評価しています。これに先立って韓国政府は「25日午前9時54分、北韓の咸鏡北道でマグニチュード4.5の地震が発生したが、これは人工的な地震で、北韓による地下核実験のようだ」としていました。北韓が地下核実験を強行したのを受けて、李明博大統領は25日午後、外交・安全保障に関する最高会議である国家安全保障会議(NSC)を緊急に開き、北韓に対して失望感を表すとともに、政府はいかなる状況でも戸惑うことなく毅然とした態度で対応し、国民が安保の面で不安を感じることがないよう指示しました。一方、北韓は25日、ロケットの発射基地がある咸鏡北道花台(ファデ)郡舞水端(ムスダン)里から射程距離130キロの地対空短距離ミサイル1発を発射したもようで、韓国とアメリカの情報当局が詳しい分析作業を行っています。北韓は先週、北韓北東部の海域に当たる咸鏡北道金策(キムチェク)市の沿岸から沖合いおよそ130キロを航行禁止区域に指定しており、近く短距離ミサイルを発射するのではないかとみられていました。

・北韓が地下核実験を強行したことから、韓国軍の合同参謀本部は25日正午を期して、全軍の警戒体勢を強化し、西の海=西海や軍事境界線などで北韓が挑発してくる可能性に備えるよう指示しました。また政府は北韓の核実験によって北韓軍と偶発的な衝突が起きる可能性を警告するレベルを最高レベルの「レッド」にするとともに、国防部と合同参謀本部はそれぞれ対策チームを稼動させました。

・北韓が2回目の地下核実験を強行したことから、統一部は北韓に滞在している韓国人の安全対策をまとめています。統一部は北韓の核実験が報道された直後の25日午後、緊急会議を開きました。会議では、開城工業団地や平壌など北韓に滞在している韓国人の身辺の安全を確保するために、現地での連絡体制を点検するとともに、南北関係が落ち着くまで、北韓に滞在するスタッフを最小限にするかどうか協議しました。統一部は、今年4月に北韓が長距離ロケットを発射した際には、開城工業団地の維持に必要な最小限のスタッフだけの北韓訪問を認め、民間団体の北韓訪問を制限していました。

・北韓が2回目の地下核実験を強行したことを受けて、韓国と日本の外相は25日、訪問先で外相会談を行い、国連安全保障理事会で対応していくことで合意しました。ベトナムのハノイで開かれる第9回ASEM=アジア・ヨーロッパ首脳会議の外相会議に出席している柳明桓(ユ・ミョンファン)外交通商部長官は、中曽根外相と会談し、北韓が実施した地下核実験への対応について話し合いました。この席で両外相は、北韓が地下核実験を行ったことの重大性を踏まえて、なるべく早く国連の安全保障理事会を招集して対応することで合意しました。

・亡くなった盧武鉉前大統領の納棺が25日未明、未亡人の権良淑(クォン・ヤンスク)女史など遺族が見守る中でしめやかに執り行われました。権良淑女史は盧武鉉前大統領の突然の訃報に接して大きなショックを受けてやつれ、車椅子に乗って遺体の安置所に向かいました。納棺には権良淑女史をはじめ、長男のコンホ氏、長女のチョン・ヨン氏、そして盧武鉉前大統領の実の兄のコンピョン氏、それに側近が立ち会いました。盧武鉉前政権で大統領府青瓦台の広報担当首席秘書官をつとめた千皓宣(チョン・ホソン)氏は、納棺を見守った後、「盧武鉉前大統領は眠っているような安らかな表情だった」と伝えました。盧武鉉前大統領の遺体が安置されている峰下マウルの弔問所には夜の間も弔問客の列が続きました。

・北韓の金正日国防委員長は盧武鉉前大統領の逝去を受けて遺族に弔電を送ったと北韓の朝鮮中央通信が25日報じました。

・韓国で新型インフルエンザに感染した人はさらに増えて22人になりました。保健福祉家族部が設けた中央インフルエンザ対策本部によりますと、ソウル市内にある英語塾の募集に応じて、英語の講師になる研修を受けて、同じ宿泊施設に泊まっていた外国人と韓国人のうち15人の感染が確認されるなど、25日午前0時現在で、合わせて22人の感染が確認されました。この宿泊施設に泊まっていた外国人たちは団体生活をしていましたが、研修の後は自由な時間を過ごし、22日は地方に出かけたことが分かっており、保健当局はソウル市内や外国人の訪問先などで2次感染の患者が出る可能性があるとみています。

・フランス南部のカンヌで開かれたカンヌ国際映画祭で、パク・チャヌク監督の映画「コウモリ」が審査委員賞を受賞し、パク・チャヌク監督は2004年に次いで2度目の受賞となりました。審査委員賞はカンヌ映画祭でコンペ部門の作品に贈られる賞のうち、「パルムドール」、「審査委員大賞」に次ぐ3番目の賞です。パク・チャヌク監督は2004年に「オールド・ボーイ」でカンヌ映画祭の「審査委員大賞」を受賞しており、これでカンヌ映画祭では2度目の受賞となりました。パク・チャヌク監督は受賞した後、「創作の楽しみが映画を作り出す原動力です。映画制作は最初から最後まで楽しく、その楽しみの最終段階がカンヌ映画祭に招待されることです」と、喜びを述べました。

5月23日土曜日

・盧武鉉(ノ・ムヒョン)前大統領が23日朝、韓国南部にある自宅の裏山で岩から飛び降りて死亡し、遺書を残していることなどから自殺したものと見られています。慶尚南道警察庁によりますと、盧武鉉前大統領は23日午前6時40分頃、自宅近くの慶尚南道金海市の峰下(ポンハ)マウルの山に警護員1人と一緒に登っている途中で滑落し、頭に重傷を負い、病院に運ばれましたが、死亡したということです。警察は、盧武鉉前大統領の死亡を確認するとともに、自殺した可能性もあるとみて、詳しく調べています。一方、盧武鉉前大統領の側近は盧武鉉前大統領は自殺をはかって死亡し、遺書も残していることを明らかにしました。盧武鉉前大統領の側近で大統領府青瓦台の文在寅(ムン・ジェイン)前秘書室長は23日、盧前大統領の遺体が安置されている病院で記者会見し、「同行していた警護員によると、盧前大統領は、登山中に岩から飛び降りて、頭などに大けがをして直ちに病院に運ばれたが、午前9時半ころ、死亡した」と述べました。

・盧武鉉前大統領が家族に宛てた遺書には不正資金疑惑をめぐって、検察の捜査を受けて追い込まれていた心情が書かれていたことがわかりました。盧武鉉前大統領の遺族側が公開した遺書は、大統領自らがパソコンで作成したファイルに残っていて、ファイルが最後に貯蔵されたのは、自殺を図るおよそ1時間前の23日午前5時21分でした。盧武鉉前大統領は遺書で、「これまでとてもつらかった。多くの人を苦しめた。本を読むこともできない」と心情を記していたということです。さらに「恨まないでもらいたい。生と死は一つではないか。火葬して、自宅の周辺に小さな石碑を一つ建ててほしい」との願いを書き残しています。

・盧武鉉前大統領は、大統領在任中に親族が後援者から合わせて600万ドルを超える不正な資金を受け取ったとされる疑惑で、先月30日、検察の事情聴取を受けており、検察の捜査に追い詰められて自殺したのではないかとする見方が強まっています。

・盧武鉉前大統領が死亡したことを受けて、李明博大統領は、23日、哀悼の意を表明しました。大統領府青瓦台のイ・ドングァン報道官によりますと、李明博大統領は、「とても信じられない。悲痛なことで悲しみに耐えない」として遺族に深い哀悼の意を表明しました。

・盧武鉉前大統領の死亡を聞いた国民は大きな衝撃を受けており、主な日刊紙は一斉に号外を出すことにしています。KBSテレビがソウル駅や高速バスターミナルなどでソウル市民にインタビューしたところ、いずれも「大きな衝撃を受けた」と述べました。そして中には、「前大統領が退任してわずか1年あまりで、不幸にこの世を絶ったとは実感できない。いくら悪いことをしても大統領をしていた人が検察の捜査を受けている最中に自殺したのはとても残念なことだ。盧武鉉前大統領が自殺に至った経緯は今後明らかにされなければならない」と話す人もいました。一方、朝鮮日報や中央日報、東亜日報など、主な日刊紙は23日、盧武鉉前大統領の死亡を受けて、号外を出すことを決めました。日刊紙が号外を出すのは、2002年のサッカーのワールドカップ大会と、西海で起きた南北海軍の衝突事件以来です。

・盧武鉉前大統領の死亡を受けて、政府は、23日午前、ハン・スンス国務総理の主宰で、緊急閣僚会議を開き、 盧武鉉前大統領の葬儀は、遺族が希望すれば前大統領にふさわしい礼遇で「国民葬」として営む方針を決めました。国民葬は、閣議の審議を経て、大統領が承認して正式に決まり、国務総理が葬儀委員長を、行政安全部長官が葬儀執行委員長を務めることになります。政府は今後、遺族と葬儀の手続きなどについて意見を調整することにしています。

・盧武鉉前大統領の死亡を受けて、日本の麻生首相は、23日、哀悼の意を表明しました。「太平洋・島サミット」に出席するため北海道を訪れている麻生首相は23日、記者団に向けて、「盧武鉉前大統領が亡くなったことについて、韓国政府の発表をまだ聞いていないが、心から哀悼の意を表するとともにご冥福を祈る」と述べました。

・盧武鉉前大統領の死亡を受けて、法務部は、盧武鉉前大統領の親族が後援者から不正な資金を受け取ったとされる疑惑をめぐる捜査を終了する方針を明らかにしました。法務部は、23日、金慶漢(キム・ギョンハン)長官の名前で声明を発表し、「盧武鉉前大統領の死亡は衝撃で悲嘆にくれざるを得ない」と哀悼の意を表明するとともに、「これまで進められてきた盧武鉉前大統領に関する捜査は終了するだろう」と明らかにしました。検察は、これまで、盧武鉉前大統領の後援者で脱税などの罪で起訴されている企業経営者から盧前大統領の妻や姪の夫などに合わせて600万ドルあまりの不正資金が、盧武鉉前大統領の在任中に渡された疑惑について捜査しており、先月30日には、盧武鉉前大統領を呼んで事情聴取し、来週にも前大統領を起訴するかどうか最終的に決める方針でした。

・李明博大統領は23日、ソウルを訪れているEU=ヨーロッパ連合の議長国を務めるチェコのクラウス大統領と会談し、韓国とEUとのFTA=自由貿易協定を早期に妥結し、相互の関係をさらに強化させることで合意しました。

・英語講師になろうと韓国に滞在中の23歳のアメリカ人女性が新型インフルエンザに感染していることが23日確認され、これで韓国で新型インフルエンザに感染した人は5人になりました。

・日本でも放送された人気ドラマ「大長今、宮廷女官チャングムの誓い」に出演した女優ヨ・ウンゲさんが、22日、持病の肺がんで亡くなりました。69歳でした。

・忠清南道唐津(タンジン)郡のビニールハウスを利用した水田で、22日、早くも今年初めての稲刈りが行われ、韓国でも二期作が可能になるものとみられています。

5月22日金曜日

・日本経済新聞社主催の国際会議「アジアの未来」に出席するため日本を訪問している韓昇洙(ハン・スンス)国務総理は22日、麻生太郎首相と会談しました。会談で両首相は、両国の関係が多様な分野で発展していることを高く評価し、さらに未来志向的で成熟したパートナーシップを強化していくために努力することで合意しました。また、北韓の核問題や長距離ミサイル問題についても意見を交わし、問題を解決していくために緊密に協力していくことでも合意しました。韓昇洙国務総理はこの席で、韓国政府の「低炭素グリーン政策」について説明し、韓国と日本、中国の3か国が環境の分野でも協力していく必要があると強調する一方、部品素材産業の分野で両国が協力を強めるために日本政府の積極的な関与を要請しました。

・ソウルで開かれていたC40=世界大都市気候変動会議は21日、「低炭素都市」を目指すことを共通の目標とした「ソウル宣言」を採択して閉会しました。C40は、温室効果ガスの削減に取り組むため、2005年にロンドン市長の提案で創設されたネットワークで、3回目となったソウル会議には76の都市から市長や環境専門家など400人あまりが参加しました。採択されたソウル宣言は、今年末にデンマークのコペンハーゲンで開かれる気候変動枠組み条約締約国会議に向けて、「すべての都市に気候変動対策に取り組む役割や権限、資源が与えられなければならない」として、温暖化対策を進めるに当たっての都市の重要性を強調し、「低炭素都市」を目指すことを共通の目標としています。

・韓国人の男性1人が成田空港の検疫で、新型インフルエンザに感染していることが確認されました。この男性は、アメリカのシカゴ発のユナイテッド航空で21日午後に成田空港に到着しましたが、38度の高熱を発していたため、機内で検査したところA型インフルエンザの陽性反応を示し、その後に行った遺伝子検査の結果、新型インフルエンザに感染していることが確認されました。この男性は感染症指定医療機関に入院し、機内で近くに座っていた乗客11人は一たん空港近くの施設に留め置かれましたが、濃厚接触者については自宅で健康状態を監視するという日本政府の新しい方針に基づいて、22日午前中に停留措置が解除されました。

・韓国とEU=ヨーロッパ連合は自国の利益を守る政策に関連して協力を強めるための「反競争的行為に関する協力協定」を締結することになりました。公正取引委員会が22日明らかにしたところによりますと、李明博大統領は23日、EUの議長国を務めるチェコのクラウス大統領と会談する予定で、この会談が終わった後、韓国とEUの外相がこの協定に署名するということです。「反競争的行為に関する協力協定」は、相手国の企業に対して公正取引法などの競争関連法を適用する場合、相手国の利益を慎重に考慮して決定し、実際に制裁を加える場合は、その旨を事前に相手国に通告することになっています。また、毎年定期的にこの分野の懸案を話し合う協議会を開催することにしています。

・韓国の出生率は世界で最も低く、平均寿命は79歳と世界で28番目に長くなっていることが分かりました。WHO=世界保健機関がこのほど発表した「2009年世界保健統計」によりますと、女性1人が一生に生む子どもの人数を示す合計特殊出生率は、韓国は1.2人で、世界でもっとも低くなっています。韓国の他、チェコ、ポーランド、ウクライナなど8か国の平均出生率が1.2人でもっとも低く、次いで、日本やロシア、ルーマニア、ギリシャなどは1.3人でした。アメリカは2.1人、フランスは1.9人、イギリスは1.8人と比較的高い水準となり、出生率がもっとも高いのはアフリカのニジェールで7.2人でした。一方、韓国人の平均寿命は男性が76歳、女性が82歳、男女の平均では79歳で、世界で28番目でした。

・与党ハンナラ党と第1野党民主党はこのほど、新しい院内代表を選びましたが、それぞれ「強い与党」と「強い野党」を提唱しており、6月に開かれる国会で与野党の対立が予想されています。与党ハンナラ党の安商守(アン・サンス)院内代表は李明博大統領に近い立場ですが、院内代表を選ぶ党内選挙から「強い与党」を提唱し、野党とは対話と妥協を模索するが、原則のない取り引きはしないとして、強硬な姿勢を保っています。一方、第1野党民主党の李康來(イ・カンレ)院内代表は、党内では非主流に属していますが、こちらも「強い野党」を提唱しており、李明博政権が進めている数々の悪い政策を退けるとして、強硬な姿勢を保っています。与野党の最大の争点となっているメディア関連法の改正については、ハンナラ党の安商守院内代表は、野党はこの改正案を採決することで合意しているので、その約束を守るべきだとしているのに対して、民主党の?康來院内代表は、改正案は李明博政権が進めている代表的な悪い法律だとして、譲歩できないとする立場を示しています。このように与野党の院内代表がともに強硬的な姿勢を保っているため、6月に開かれる国会でも与野党の対立は避けられない見通しです。

・韓国南部の全羅南道新安郡の海水浴場が今シーズン、全国で初めての海開きをしました。全羅南道によりますと、今月初めから最高気温が30度前後まで上がり、例年より早く海を訪れる観光客が増え、新安郡の羽田海水浴場では22日、全国でもっとも早く、住民や観光客400人あまりが参加して海開きの行事が開かれました。全羅南道では、29日に莞島郡の明沙十里海水浴場が、30日には務安郡のホルトン海水浴場が海開きする予定で、その他の海水浴場も6月中に海開きする予定です。全羅南道にある海水浴場は遠浅で波も高くなく、水温も海水浴に適していて、毎年多くの観光客が訪れます。全羅南道は今年は580万人あまりが訪れるものと予想しており、各種の催しを準備して、観光客を迎えることにしています。

5月21日木曜日

・最高裁判所に当たる大法院は21日、植物状態になった人の家族が延命治療を止めるよう求めた裁判で、尊厳死を認める判決を言い渡しました。この裁判は、植物人間の状態になっている75歳の女性の家族が、入院先の病院を相手取って無意味な延命治療を止めるよう求めていたもので、一審と二審で、患者の人工呼吸器を取り外すことを認める判決が出ていました。大法院は、患者が高齢で、意識を回復する可能性がない場合の延命治療は無意味で、患者は前々から延命治療を拒否すると表明していたので、今も自然に死を迎えようとする意思があると判断できるとして、人工呼吸器を取り外すことを認めました。一方、ソウル大学病院はこれに先立って今月18日、末期がんの患者などが延命治療を拒否すれば、延命治療をしない方針を決め、末期がんで入院中の76歳の男性と85歳の女性が延命治療を拒否する意思を明らかにしたとして、2人に対して心肺蘇生術や人工呼吸器、血液の透析など、一切の延命治療をしないことにしました。尊厳死を認める判決が確定したのはこれが初めてで、今後、医療界や宗教界を中心に少なくない波紋が予想されます。

・政府は20日、韓昇洙国務総理が主催する関係閣僚会議を開き、都心での大規模な集会を原則として認めない方針を決めました。また、集会で違法行為をした者は現場で逮捕し、関係法を厳格に適用して処罰することにしました。政府がこうした方針を決めたのは、今月16日に韓国中部の大田市で開かれた民主労総所属の貨物連帯が中心になった集会で、参加者と警察官が衝突して、参加者32人に逮捕令状が出されるなど、各種の集会が過激になっていることを受けたものです。韓昇洙国務総理は会議で、「政府がトラックに対する燃料費の補助や高速道路の通行料の割引などの対策を打ち出している中で、貨物連帯の組合員などが警察官に危害を及ぼす恐れがある竹やりを持って対抗する過激な集会が開かれたのは遺憾だ」として上で、「違法な集会が繰り返されると経済の回復にも悪影響を及ぼす」と強調しました。一方、労働界は政府のこうした方針に対して、民主労総所属の労働組合の多くが今月下旬から大規模なストライキを予定しており、6月には民主労総が中心となった大規模な集会も予定されているため、政府が民主労総の指導部を事前に逮捕して、結集力を弱くする狙いがあるとして反発しています。

・アメリカのオバマ大統領は20日、韓米FTA=自由貿易協定は両国の繁栄につながるという考えを示しました。オバマ大統領はホワイトハウスで韓国の韓悳洙(ハン・ドクス)アメリカ駐在大使から信任状を受け取った席で、韓国の民主化と経済成長を高く評価するとともに、「韓国はアメリカの7番目の貿易相手国で、韓米FTAは両国の繁栄につながるだろう」と述べました。オバマ大統領は、先月ロンドンで開かれたG20サミットの際に李明博大統領と会談した席でも、「FTAが議会で批准されるよう強い意欲を持って臨んでいる」と述べ、韓米FTAについて前向きな姿勢を示していました。

・アメリカのクリントン国務長官は20日、議会上院の歳出委員会の公聴会に出席し、北韓が6か国協議に復帰し、義務を履行しなければ、北韓に対する支援はしないという立場を明らかにしました。クリントン長官は、2010年度の国務省予算案に含まれている北韓に対する経済支援基金9800万ドルについて、「北韓が自発的に6か国協議に復帰して、これまでの合意についての義務を履行しない限り、この基金からは1ドルも支出しない」と述べました。これは北韓が6か国協議に復帰し、合意事項を履行しなければ、北韓に対して一切の支援をしないことを確認したもので、北韓に圧力をかける狙いがあるものと見られます。

・第1野党民主党の千正培(チョン・ジョンベ)議員が20日、平壌を訪れました。現職の国会議員が平壌を訪問したのは、去年11月に民主労働党の姜基甲(カン・ギガプ)代表など民主労働党の指導部が訪問して以来、6か月ぶりのことで、関心が寄せられています。千正培議員は北韓を支援している団体「民族助け合い運動」の共同代表として、この団体の関係者とともに平壌を訪問しました。千正培議員は23日まで北韓にとどまり、この団体が支援している病院や製薬会社、共同農場などを見て回る予定です。千正培議員は出発に先立って、「民間レベルの交流の一環として訪問するので、政治的な意味はない」としながらも、「南北関係がこう着状態に陥っている中で政府が現職の国会議員の北韓訪問を許可したことはそれなりの意味がある」と述べました。また、「北韓でどんな人に会うかまだ分からないが、北韓が何を考えているのかに耳を傾けることにしており、この訪問が南北関係が改善される契機になればと思う」と述べました。

・アメリカのニューヨークに住んでいる韓国人5人が、新型インフルエンザに感染していたことが分かりました。ニューヨークの韓国総領事館によりますと、20日現在、ニューヨークに住んでいる韓国人の小学生と中学生合わせて5人が新型インフルエンザに感染していることが確認されました。5人はいずれも症状が回復に向かっているということです。在米韓国人で新型インフルエンザの感染が確認されたのはこれが初めてです。一方、アメリカでは新型インフルエンザで入院して治療を受けていた44歳の男性が20日、死亡し、新型インフルエンザによる死亡者は8人になりました。

・登山家の朴英碩(パク・ヨンソク、46)氏が率いるエベレスト南西壁遠征隊は20日、エベレスト登頂に成功しました。遠征隊が挑んだのはエベレストを南西壁から登るコースで、地形が険しく、これまで誰も成功したことがない未踏のコースです。朴英碩氏をはじめとする遠征隊は韓国時間で20日午前0時40分に標高8500メートルのキャンプを出発し、14時間20分の悪戦苦闘の末に標高8850メートルのエベレストの登頂に成功しました。コリアンルートと名付けられたこのコースは、朴英碩氏が2007年にも挑みましたが、2人の隊員が事故で死亡するなどして、失敗しました。朴英碩氏がこのコースに挑んだのは今回が5回目です。

・景気後退の影響で、去年は所得の格差がこれまで最も大きい水準になったことが分かりました。企画財政部と統計庁がまとめた資料によりますと、都市に住む世帯の所得分配の不平等さを測る指数であるジニ係数は0.325で、2007年の0.324に比べて0.001ポイント上昇しました。ジニ係数は所得の格差を0から1までの範囲で数値にしたもので、0に近いほど格差が少なく、1に近いほど格差が大きいことを意味します。統計庁は1990年からジニ係数の統計を取り始めたところ、1999年に初めて0.3を超え、2004年以降は続けて上昇し、所得格差が広がっています。ジニ係数が0.35以上になると所得の格差が「極めて大きい」ことを意味しますが、去年のジニ係数は0.325になり、所得の格差が「相当大きい」とされる段階に入りました。

5月20日水曜日

・李明博大統領とASEAN=東南アジア諸国連合10か国の首脳が一堂に集まって国際的な懸案を話し合う「韓国・ASEAN特別サミット」が来月1日と2日に済州島で開かれると、大統領府青瓦台が20日発表しました。韓国・ASEAN特別サミットは、韓国とASEANが協力関係を樹立して20周年になるのを記念して開かれるもので、初日に韓国とASEANの相互協力関係を発展させるための具体策を話し合い、2日目には国際的な経済危機や気候変動、エネルギーや食糧問題などグローバルな課題について協力を強化するために協議し、共同声明を発表することになっています。李明博大統領は今回の特別サミットを契機に「新アジア外交」に本格的に乗り出して、韓国のアジアでのリーダー的な地位を確立し、ASEAN諸国との共同繁栄に向けた協力関係をさらに強化する方針です。

・保健福祉家族部は新型インフルエンザが日本などで広がっていることを受けて、感染者を早期に発見して迅速に対応するために、全国の医療機関と学校での監視体制を大幅に強化する方針を決めました。保健当局が20日まとめた対策によりますと、全国の内科、小児科、家庭医学科、耳鼻咽喉科の病院など医療機関は、急に発熱した呼吸器疾患の患者がいるかどうかの診療内容を毎日、管内の保健所に届け出ることになりました。また全国の教育庁は、小中高校で欠席者の統計を毎日取って、特定の地域で欠席者が急に増えた場合は保健当局に報告して実態調査に乗り出すよう協力することにしています。保健当局によりますと、20日午前0時現在、韓国で新型インフルエンザにかかったのではないかという届け出は609件あり、このうちベトナム人女性1人を含む4人の感染が確認され、545人は異常がないことが分かり、残る58人は検査が行われているということです。

・北韓にある開城工業団地で韓国企業の社員1人が北韓当局によって2か月近く抑留されているため、一部で開城工業団地にいる韓国人を撤収させるべきだとする意見が出ていることについて、政府は20日、開城工業団地で操業している韓国企業の関係者全員の撤収は考慮していないことを明らかにしました。与党ハンナラ党の鄭夢準最高委員は20日の党内会議で、開城工業団地に抑留されている韓国企業の社員の解放に向けた政府の措置はほとんどされていないと批判し、事態を解決するため開城工業団地から韓国人を撤収させるべきだという考えを示していました。これについて統一部の金好年(キム・ホニョン)報道官は20日、「政府は現在、韓国人の撤収は考慮しておらず、開城工業団地の安定的な発展に向けて努力している」と述べました。金好年報道官はまた「政府は北韓当局に抑留されている社員の解放や開城工業団地の運営をめぐって南北実務協議を開くよう、北韓に働きかけているが、北韓からまだこれといった反応はみられない」と述べました。そして開城工業団地の状況について、金好年報道官は「20日は韓国から469人が開城工業団地に向かい、午後には430人あまりが帰ってくる予定で、出入りは正常に行われている。北韓に滞在している韓国人は1100人あまりで、このうち開城工業団地に滞在しているのは1045人だ」と説明しました。

・アメリカのCIA=中央情報局のパネッタ長官は19日、アメリカで開かれた国際政策についての会議に出席し、北韓の金正日国防委員長の健康問題などを取り上げ、北韓内部が不安定な状態になっていることを憂慮していると述べました。パネッタ長官はその根拠として金正日国防委員長の健康異常と不確実な後継者問題、経済危機、それに慢性的な食糧難を上げました。パネッタ長官はまた「北韓は核兵器とミサイルの技術を輸出しようとしているのではないかとみられ、アメリカの関係機関が情報を収集している」と述べました。一方、クリントン国務長官は19日、ワシントンでオバマ政権の外交政策を説明する初めての外信記者との会見に臨みましたが、北韓についてまったく触れず、 アメリカは北韓の瀬戸際戦術への不必要な刺激を避ける一方で、北韓に対する監視体制は継続しているものとみられています。

・韓昇洙(ハン・スンス)国務総理は 麻生首相と会談するため、21日と22日の2日間、日本を訪問する予定です。韓昇洙国務総理は日本訪問中に麻生首相と会談して、未来志向的なパートナー関係をさらに深めるために意見を交わすことにしています。また日本のマスコミが主催する国際会議に出席して、韓国政府の低炭素技術を使ったグリーン成長に向けた政策を紹介するとともに、グリーン成長のために韓日中3か国が協力を強化するよう提案する予定です。また韓昇洙国務総理は部品素材を生産する中小企業が集まっている東京の大田区を訪れて企業を視察し、韓国への投資を呼びかけることにしています。

・韓国の国家競争力は今年は去年より4ランク上昇して27位となりました。国家競争力は、スイスの国際経営開発研究所(IMD)が世界の主な国と地域を対象に毎年、総合的に評価して報告書をまとめているものです。国際経営開発研究所が20日発表した報告書によりますと、韓国の国家競争力は主な57か国のうち27位で、去年の31位から4ランクアップしました。具体的にみますと、評価される分野のうち企業の効率性、政府の効率性、インフラの構築、経済の成果がいずれも改善しています。そして、細かい項目別では長期失業率や商品の輸出規模、雇用、科学のインフラなどでは高く評価されたのに対して、観光による収入、企業関連の法律、研究開発のための施設、物価、社会的インフラなどは低い評価を受けました。国家競争力の1位はこれまでと同じくアメリカで、2位は香港、3位はシンガポールでした。

・フランス南部のカンヌで開かれている国際映画祭にこれまでで最も多い10本が招待された韓国映画は、試写会で高い評価を受けるとともに、同時に行われている映画を販売するフィルム・マーケットで売れ行きが好調です。今年のカンヌ国際映画祭は、世界的な不況のあおりを受けて、フィルム・マーケットの参加者と契約件数がともに20%から30%ほど減少したと伝えられています。こうした中で、コンペ部門にノミネートされている韓国映画「コウモリ」はスペインなど5か国に、「ある視点」部門に招待された「マザー」はポルトガルなど4か国に販売することが決まりました。また韓国でも人気を集めている「7級公務員」は日本、中国などアジアの10か国に販売され、「海雲台」と「金氏漂流記」はアジアとヨーロッパ諸国への販売が決まりました。韓国の映画配給会社の関係者は「今年のカンヌ映画祭は、経済危機と新型インフルエンザで例年より訪れるバイヤーが大きく減ったが、韓国映画の販売実績は去年とほぼ同じで、中でも『マザー』の人気が高い」と現地の雰囲気を伝えています。

5月19日火曜日

・韓国株式市場は前日のニューヨーク株式市場が大幅に値上がりした影響を受けて、40ポイント以上も上昇し、今年の最高値となりました。19日の韓国株式市場は取り引き開始から外国人投資家の買い注文が続いて、総合株価指数は前日より30ポイントあまり上昇した1416.95でスタートしました。これは前日のニューヨーク株式市場が住宅に関連する企業の決算がよかったことなどから、平均株価の終値が8500を超えるという大幅に値上がりした影響を受けたものです。その結果、総合株価指数(KOSPI)は前日より41.53ポイントも上昇した1428.21と今年の最高値を更新して、取り引きを終えました。またソウル外国為替市場は株価の上昇にともなってウォン高が進み、日本の円100円に対するウォン相場は前日より27ウォンあまりもウォン高の1296ウォン16銭となり、アメリカドル1ドルは1249ウォン50銭で10ウォンのウォン高となりました。

・新型インフルエンザの広がりに備えて、韓国では今年9月までに300万人分のワクチンを製造できるものとみられています。食品医薬品安全庁は18日「WHO=世界保健機関から韓国のワクチン製造会社に6月頃、ワクチン製造用のウィルス株が提供される予定で、韓国の製造施設では9月末までに300万人分を生産できると見込まれる」と明らかにしました。保健福祉家族部は今月中に、具体的な生産量を決める予定です。ところで、韓国の研究チームが新型インフルエンザのワクチンを世界で初めて開発したという報道について、食品医薬品安全庁の関係者は18日、「インフルエンザのワクチンはWHOのウィルス株で生産し、動物実験と臨床実験を経て、安全性と有効性が認められたうえで、国レベルでその効果を検証する手続きを踏まなければならない」として、韓国の研究チームが開発したというワクチンは、実験室で作られた「ウィルス株の候補」にあたるのではないかという見解を示しました。

・旅客機を乗り換えるため仁川国際空港に立ち寄った22歳のベトナム人女性が新型インフルエンザに感染していることが19日確認され、これで韓国で新型インフルエンザに感染した人は4人になりました。

・世界の80都市の市長や代表団が集まり、地球温暖化などへの対応を話し合う「C40気候変動ソウル会議」が19日から3日間の日程で始まりました。C40は、2005年にロンドン市長の提案で温室効果ガスの削減に取り組むため、世界の主な40都市が参加して創設されたネットワークで、3回目となったソウル会議には80の都市から市長や代表団400人あまりが出席しました。開会式で主催都市ソウル市の呉世勲(オ・セフン)市長は、「都市は気候変動の原因を作り出しているが、同時に最大の被害者でもあり、気候変動問題を解決するカギを握っている。ソウル会議で世界が注目する具体的で実行可能な気候変動への対応策が出ることを期待している」と述べました。また、アメリカのクリントン元大統領は基調演説を行い、「温室効果ガスを2050年までに80%削減しないと致命的な状況に陥る」と指摘したうえで、「太陽熱や風力発電、ビルのエネルギー効率化などによって多くの雇用を創出することができる」と述べました。

・ソウル大学病院は18日、末期がんの患者が延命治療の中断を望む場合は、法的な手続きを経てこれを認める方針を決めたことを明らかにしました。ソウル大学病院は、最近開いた医療倫理委員会で、末期がんの患者が心肺蘇生(そせい)術などの延命治療を受けるかどうかを前もって選択する事前医療指示書を取り入れることを正式に決めたということです。韓国で事前医療指示書が取り入れられるのはこれが初めてです。事前医療指示書は、延命治療として心肺蘇生術や人工呼吸器、血液透析治療などを受けるかどうかを患者本人が事前に選んだことを示すもので、これは事実上、末期がん患者か、その代理人が延命治療の中断を求める場合、病院は事前医療指示書にもとづいてこれを受け入れることを意味します。

・韓国の盧武鉉前政権当時、北韓で韓国に対する政策などを事実上総括していた朝鮮労働党の崔承哲(チェ・スンチョル)前統一戦線部首席副部長が、政策の失敗を理由に、去年処刑されていたことが分かりました。 北韓の情勢に詳しい情報筋が18日に伝えたところによりますと、崔承哲前副部長が処刑された表向きの理由は南北交流に絡む個人的な不正とされていますが、実際には、韓国の新政権の北韓に対する政策についての判断を誤ったことと、韓国の太陽政策が北韓の社会に及ぼした影響などについて、責任を問われたということです。崔承哲前副部長は、政権内部の強硬派が反対したにもかかわらず、盧武鉉政権当時に韓国との関係進展を強く推し進め、第2回南北首脳会談の実現に向けて第一線で指揮しましたが、韓国で政権が交替した後南北関係が悪化したことから、政策判断の失敗などすべての責任を負わされ「スケープ・ゴート」になったということです。一方、韓国統一部は、崔承哲前副部長が処刑されたという情報について、「確認していない」としています。

・熟成したキムチを食べると鳥インフルエンザ(AI)ウィルスに感染しても治りやすいことを示す実験結果が出されました。韓国食品研究院は18日、キムチが鳥インフルエンザを抑制する効果について研究した結果、キムチに鳥インフルエンザのウィルスを抑える顕著な効果があることが確認されたと明らかにしました。それによりますと、研究チームは、ねずみ42匹を3つのグループに分け、1つ目のグループには普通の飼料を、2つ目のグループにはキムチを低濃度に抽出した飼料を、3つ目のグループにはキムチを高濃度に抽出した飼料をそれぞれ4週間与えました。そして、5週間目にねずみに鳥インフルエンザのウィルスを注入したところ、生存率は、普通の飼料を与えたグループは73%、低濃度のキムチを与えたグループは86%、高濃度のキムチを与えたグループは100%となり、キムチをたくさん食べたねずみほど生存率が高くなりました。研究チームは、白菜やとうがらし粉、にんにく、しょうがなどが入った普通のキムチを使ったということで、どの成分が鳥インフルエンザに効果があるかを引き続き研究する必要があるとしており、新型インフルエンザのウィルスに対しても抑制効果があるかどうか実験を行うことにしています。

・韓国と日本の友好促進を目指す「ジャパンウィーク2009」が、18日江原道の春川(チュンチョン)国立博物館で開幕しました。「ジャパンウィーク2009」では、江原(カンウォン)大学や翰林(ハンリム)大学などを会場に24日まで日本の伝統画や人形の展示会、音楽の公演、映画上映、お茶会などが開かれます。ジャパンウィークは1998年の韓日首脳会談をきっかけに、両国の地方間の交流を促進し、日本に対する関心を高めるのを目的に始まり、毎年、韓国の地方都市で開催されています。

5月18日月曜日

・韓国の大学教授が新型インフルエンザのワクチンの開発に成功しました。ワクチンを開発したのは忠清南道にある忠南大学獣医学部の徐相熙(ソ・サンヒ)教授が率いる研究チームです。忠南大学によりますと、徐相熙教授の研究チームはアメリカのCDC=疾病対策センターから新型インフルエンザのワクチン開発に必要な標準ウィルスを譲り受けてから11日後の先週15日、遺伝子組み換え技術を利用して人体に毒性がなく、大量生産が可能なワクチンの開発に成功しました。徐相熙教授は、「アメリカの疾病対策センターに問い合わせたところ、アメリカでは新型インフルエンザのワクチンがまだ開発されていないことが確認できたので、このワクチンは多分世界で初めて開発したものと思う」と述べました。そのうえで徐相熙教授は、「このワクチンは人類の健康のために、韓国だけでなく、世界の研究機関や製薬会社の要請があれば、条件をつけずに無償で提供するとWHO=世界保健機関に連絡した。アメリカの疾病対策センターは“非常に重要な開発”だとして、ワクチンを分けてほしいと要請してきた」と述べました。徐相熙教授の研究チームが開発したワクチンは今後、人体に及ぼす影響など基本的な安全性にかかわる実験を経て、今年9月にも一般に販売される見通しです。

・仁川国際空港で旅客機を乗り換えようとしていたベトナム人の女性が新型インフルエンザに感染した疑いがあり、隔離されました。疾病管理本部が発表したところによりますと、22歳のベトナム人女性はアメリカのシアトルからアシアナ航空271便で17日午後6時半に仁川国際空港に着きました。この女性は仁川空港で旅客機を乗り換えてベトナムに向かう予定でしたが、空港の検疫台で38度4分の高熱が確認され、新型インフルエンザの検査を2度受けた結果、いずれも陽性反応が出たため、疾病管理本部はこの女性を隔離し、最終検査を行っています。疾病管理本部はまたこの女性と同じ旅客機に乗っていた乗客209人のうち、韓国に入国した101人と客室乗務員の追跡調査に入るとともに、別の旅客機に乗り換えた93人のリストを到着予定国に送りました。またこの女性と同じ旅客機の中で半径2メートル以内に座っていた16人のうち12人に対して、自宅で隔離する措置を取り、4人に対しては行方の把握を急いでいます。

・北韓が開城工業団地の運営をめぐるこれまでの契約を無効にすると宣言したことなどを受けて、韓国政府が北韓に対して18日に開催するよう提案していた実務協議は、北韓が反応を示さなかったことから、開催できませんでした。北韓は先週15日、韓国企業が操業している北韓の開城工業団地について、土地の賃貸料などこれまでの契約を無効にすると宣言したうえで、北韓が示す新しい条件を受け入れないならば、撤収してもかまわないと主張しました。これを受けて、韓国政府は先週末、この問題について実務者が話し合う南北協議を18日も開くよう北韓に提案していました。しかし統一部は18日、午前10時までに、北韓が韓国側の提案に対して何ら反応を示していないことを確認しました。これについて、玄仁澤(ヒョン・インテク)統一部長官は18日、開城工業団地は危機を迎えているという認識を示したうえで、「北韓は韓国政府が提案した南北実務協議に応じて、問題解決に協力しなければならない」と述べました。政府は18日午後、開城工業団地に入居している企業の関係者と懇談会を開いて企業側の意見をまとめ、対応策を検討したうえで、北韓に対して改めて、協議の開催を求めていく方針です。

・今から29年前に韓国南部の都市、光州市で起きた5.18民主化運動の記念式典が18日午前、光州市の国立墓地で執り行われました。5.18光州民主化運動は、1980年5月18日に韓国南部にある全羅南道の道庁所在地だった光州(クァンジュ)市で起きたもので、民主化を求める運動家とそれを支持する大学生や市民らが鎮圧に当たった軍と衝突して、154人が死亡、70人が行方不明になり、けがや拘禁された人を合わせた被害者は公式な発表で4300人を上回っています。18日の記念式典には韓昇洙(ハン・スンス)国務総理をはじめ、政府や与野党の代表、犠牲者の遺族や光州市民などおよそ2500人が出席し、あいさつに立った韓昇洙国務総理は「29年前の光州民主化運動は、過酷な状況の中でも屈することなく、力を合わせて民主化を勝ち取った誇らしい歴史だ」と評価したうえで、「あの時の精神と教訓を生かせば、私たちはいかなる苦しみや苦難も克服することができる」と述べて、今の経済危機の克服に向けて国民が一致団結するよう呼びかけました。

・世界の主な都市が連携して温室効果ガスの削減に向けた対策を話し合うC40気候変動ソウル会議が19日から3日間の日程で始まります。この会議は2005年にロンドン市長の提案で世界の主な40都市を会員として創設されたもので、今回のソウル会議には世界80都市の市長など代表団が参加します。そして会議では、▼世界的な経済危機の中で気候変動へ対応する低炭素技術によって費用を削減し、雇用の創出ができるかどうかをはじめ、▼低炭素都市を実現するための政策、▼温室効果ガスの削減に向けた政府と企業・市民の協力などについて話し合う予定です。19日の開会式ではアメリカのクリントン元大統領が基調演説をして、気候変動への対応がいかに重要かをアピールすることにしています。そして最終日の21日には、世界の都市が気候変動に対応する意気込みや温室効果ガスの削減案を盛り込む「ソウル宣言」を採択することにしています。また18日からは気候変動博覧会も同時に開かれ、韓国の大企業、三星や現代、ポスコなどが取り組んでいる再生エネルギーに関連した先端技術と製品が展示されます。

・韓国では輸出より輸入の減少が大きくなるいわゆる「不況型黒字」がさらに膨らみ、4月の貿易収支の黒字は3月の記録を更新して史上最高となりました。関税庁が18日まとめた4月の輸出入動向によりますと、輸出は304億1800万ドルと、去年の同じ月に比べて19.6%減り、6か月連続でマイナスとなりました。また輸入は247億3000万ドルと去年同期に比べて35.6%も減り、やはり6か月連続のマイナスでした。この結果、4月の貿易収支は差し引き57億8800万ドルの黒字となり、史上最高だった今年3月の42億8600万ドルよりさらに15億ドル増えて史上最高を更新しました。貿易収支を国別にみますと、アメリカとEU=ヨーロッパ連合、中国に対しては黒字になったのに対して、日本に対しては24億ドルの赤字で、中東諸国向けも17億ドルの赤字となりました。

・韓国では毎年5月の第3月曜日は「成人の日」で、20歳を迎えた若者たちの成人を祝う行事が各地で行われました。成人の日を迎えた18日、ソウル市は鐘路区にある王宮「慶熙宮」で伝統的な成人式が行われ、外国人留学生16人を含む200人が伝統衣装を身にまとって式に臨み、成人としてのプライドと責任を自覚していました。また朝鮮時代に儒教を受け継いだ最高学府の成均館があったソウル市の成均館大学など、全国の大学でも成人の日にちなんだ多彩なイベントが行われました。

・アメリカの女子プロゴルフツアー(LPGA)で、韓国のオ・ジヨン選手が今シーズン初優勝しました。アメリカニュージャージー州で行われたサイベースクラシックで、オ・ジヨン選手は18日の最終ラウンドで、通算14アンダーとし、ノルウェーのスーザン・ペテルセン選手を4打差で抑えて、今シーズン初優勝を手にしました。これでオ・ジヨン選手はLPGAツアーにデビューして以来、去年に続いて2度目の優勝を果たしました。またこのツアーのトップ10には韓国人選手が4人も入り、依然として韓国勢の活躍が目だっています。

5月16日土曜日

・北韓が開城工業団地の契約を無効にするとしたうえで、北韓が示す新しい条件を受け入れないならば、韓国企業は撤収してもかまわないとしていることについて、大統領府青瓦台の関係者は15日、強い遺憾の意を表しました。青瓦台の関係者は「韓国政府が北韓との対話をはかっている最中に、北韓が一方的に要求を出し、韓国に受け入れを強要していることは、遺憾と言わざるを得ない」と述べました。そして「北韓が抑留している韓国企業の社員を解放することが先決の課題であり、北韓がこの問題を一切、取り上げないと主張していることは話にならない」と述べました。また別の政府関係者も「北韓との関係では政経分離を原則としているが、韓国の国民をこのような形で抑留することは容認できない」として、北韓は韓国政府の提案を受け入れるよう求めました。

・政府は北韓の意図を分析するとともに、開城工業団地の運営などを話し合う南北当局間の協議の再開に向けた対策と、開城工業団地が閉鎖される最悪の場合も含めた対策作りを進めています。政府当局者は「北韓の発表や通知文を分析すると、北韓は開城工業団地を閉鎖する手順を今後、踏んでいくものとみられるが、これらの作業が今すぐ始められるとは考えられない」と述べ、政府は当面、南北協議の再開に向けて力を入れていく方針を示しました。これについて玄仁澤(ヒョン・インテク)統一部長官は、16日午前中に関係部署と対策を協議したのに続いて、午後は開城工業団地関係者との対策会議に臨みました。そして統一部が15日午前に北韓に提案した南北協議に北韓が応じるようさらに求めるとともに、北韓が会談の日時などを修正提案してきた場合、前向きに検討することになりました。これとともに政府は、北韓が韓国との協議なしに一方的に開城工業団地を閉鎖するなど極端な選択をしてきた場合、企業がこうむる損失をどのように補償するかについても検討したもようです。

・北韓の開城工業団地から韓国企業が撤退することになれば、韓国企業がこうむる損害は6兆2000億ウォンに上るものとみられています。国会が政府から受け取った報告書によりますと、開城工業団地が閉鎖された場合、韓国政府と100社あまりの進出企業が受ける被害額は、電力、通信、鉄道、道路、団地施設などのインフラ整備をはじめ、各企業の工場と設備への投資の1兆1000億ウォン、それにその企業の売り上げの損失、また部品の納入や流通などの関係企業の売り上げの損失など、合わせて6兆2000億ウォンになるとしています。このうち開城工業団地の事業を最初から手がけている民間企業、現代峨山(アサン)の投資8000億ウォンは回収不可能となります。

・北韓駐在のスウェーデン大使は15日、北韓当局に抑留されているアメリカ人の女性記者2人と面会したことを、アメリカ国務省が明らかにしました。アメリカのケーブルテレビの女性記者2人は、今年3月17日、中国と北韓との国境地帯で取材中に、国境を越えたとして北韓軍兵士に拘束されたもので、北韓は今月14日、不法入国と敵対行為の罪が立証されたとして、2人を来月、裁判にかけると発表していました。アメリカ国務省のケリー報道官は「北韓駐在スウェーデン大使は、アメリカに代わって15日、抑留されているアメリカ人記者2人に会った」と述べましたが、面会の際の話の内容や健康状態など具体的な内容については明らかにしませんでした。北韓がアメリカ人記者との面会を認めたのは、今年3月30日以来、およそ7週間ぶりで、北韓が記者たちを裁判にかけると報道した翌日に行われたことから、その背景が注目されます。

・ルノー三星が韓国の自動車メーカーとしては初めて電気自動車の量産体制を進めることを発表しました。ルノー三星が15日に開かれたセミナーで自動車部品業界の関係者を対象に発表したところによりますと、ルノー三星は来年、2010年に電気自動車のテストを行ったうえ、翌11年10月以降に釜山工場で中型の電気自動車の量産を始め、まず済州島のレンタカー会社や官公署などでモデル的に使ってもらったあと、2013年からタクシーや一般向けに販売を始めるとしています。この計画についてルノー三星の関係者は「電気自動車を6年間生産すると、5兆ウォンの生産誘発効果が見込まれる。電気自動車の開発に成功すれば、海外に向けても輸出する」と述べました。韓国では現代自動車と起亜自動車が今年下半期からハイブリッドカーを販売することにしており、ルノー三星が電気自動車を生産することになれば、韓国の自動車産業も本格的なエコカー時代に入ることになります。

・韓昇洙(ハン・スンス)国務総理は16日、ハンセン病の施設となっている全羅南道高興(コフン)郡小鹿(ソロク)島を韓国の国務総理としては初めて訪れ、これまで社会的な差別を受けてきたハンセン病患者と家族に謝罪しました。韓昇洙国務総理は16日、小鹿島のハンセン病専門病院で行われた「全国ハンセン病家族の日」の記念行事に出席し、「韓国の国務総理が小鹿島を訪れるのに多くの年月がかかりました。これまで社会的な冷遇や差別、偏見の中で、言い表せない苦痛を強いられたハンセン病のみなさんと家族に対して政府を代表して謝罪します」と公式に謝罪しました。韓昇洙国務総理はまた「政府はみなさんが受けた社会的な阻害を意思の疎通に、挫折を希望に変えることができるよう最善を尽くします」と述べ、今後はハンセン病患者に向けた福祉制度を強化していくという考えを示しました。韓国のハンセン病患者は、植民地時代だった1910年代に、この小鹿島に強制移住させられて労働を強いられてきましたが、韓国が独立した後も隔離政策が続いて、人権侵害だという指摘が出ていました。

・韓国と中国の青年団体が、黄砂が発生する砂漠の広がりを防ごうと、共同で砂漠に植樹をしました。植樹をしたのは韓国の韓中文化青少年協会の大学生60人と、中国の共産主義青年団所属の大学生20人で、15日、内モンゴルに広がるホブチ砂漠を訪れ、強い風によって舞い上がる砂ぼこりの中、松の木60本あまりを植えました。この行事に参加したKOICA=韓国国際協力団の朴大元(パク・デウォン)総裁は、「ホブチ砂漠での緑化事業は、万里の長城を築くほど難しいと中国でいわれている。しかし万里の長城も人間が築き上げたものなので、砂漠の緑化事業も不可能ではない」と述べました。この行事には中国共産主義青年団を指導している盧雍政書記も出席し、砂漠の緑化事業への中国政府の関心の高さをうかがわせました。植樹を終えた韓国の大学生は「中国の砂漠から発生する黄砂の影響は、韓国でも年々深刻になっているが、実際に現地を訪れて、その深刻さが実感できた。植樹した木が森に成長して黄砂が発生しないようになることを祈ります」と話していました。

・フランスのカンヌで開かれている国際映画祭で、コンペ部門にノミネートされている韓国映画「コウモリ」の試写会が現地時間で15日夜行われ、映画の上映後、監督や俳優たちにおよそ8分間の起立拍手が贈られました。映画「コウモリ」は、2004年に「オールドボーイ」でカンヌ映画祭で審査委員大賞を受賞したパク・チャヌク監督の新作で、パク・チャヌク監督や主人公役のソン・ガンホさん、キム・オクビンさんらも出席して、開幕3日目の15日午後10時半過ぎからリュミエール大劇場で試写会が始まりました。観客たちは残酷な場面では悲鳴を上げたり、所々で笑い声を出し、2時間少しで上映が終わると、映画制作者に向かっておよそ8分間、起立拍手が贈られ、俳優たちはこれに手を振って応えました。「コウモリ」は韓国では4月30日から公開されていますが、絶賛と酷評が入り混じっており、カンヌ国際映画祭という国際舞台でどのような評価が出されるかに関心が寄せられています。

5月15日金曜日

・韓国企業が操業している北韓にある開城工業団地の運営をめぐって、北韓は15日、韓国に対して土地の賃貸料など、これまでの契約を無効にすると宣言したうえで、北韓が示す新しい条件を受け入れないなら、開城工業団地から撤収してもかまわないと主張し、南北関係のこう着状態が長引くことは避けられない見通しとなりました。北韓の朝鮮中央通信が15日報道したところによりますと、北韓の中央特区開発指導総局は、開城工業地区管理委員会を通じて韓国側に送った通知文で、開城工業団地で北韓が適用している土地の賃貸料や北韓従業員への賃金、各種の税金などの契約を無効にすると宣言しました。その上で北韓は「2000年の南北首脳会談の精神を否定するような者に、恩恵を与えることはできない。開城工業団地で操業している韓国企業と関係者は北韓が示す新しい条件を無条件で受け入れるべきで、その意思がなければ開城工業団地から撤収してもかまわない」としています。北韓はさらに「韓国は開城工業団地の契約見直しについてわれわれが提案した実務者の接触を受け入れず、事態を悪化させた責任を負うことになるだろう。今後の事態がどのように厳しくなっていくかは韓国側の出方にかかっている」と主張しました。

・北韓が開城工業団地をめぐるこれまでの契約を無効にすると一方的に宣言したことについて、政府は15日、無責任な措置だと非難し、「韓国政府は北韓の一方的な措置を受け入れることはできない」として深い遺憾の意を表明しました。統一部の金好年(キム・ホニョン)スポークスマンは15日、北韓が開城工業団地の契約を無効にするとした通知文を送ってきたのに対してこのように述べるとともに、「開城工業団地の問題は南北間の対話で解決していかなければならない」として、北韓に対して一方的な措置を直ちに撤回し、韓国が提案した通り、来週の南北協議に応じるよう求めました。

・韓国の金宗フン(キム・ジョンフン)通商交渉本部長は14日、ワシントンで、アメリカ通商代表部のカーク代表と会談し、議会での批准が遅れている韓米FTA=自由貿易協定について、両国の利益になる方向で速やかに批准されるべきだという認識で一致しました。金宗フン本部長は会談後の記者会見で、「カーク代表と十分意見を交わし、韓米FTAが両国の利益にとって重要だという認識で一致した」した上で、「協定文の内容を修正するのは適切ではないという考えをはっきり伝えた」と述べ、再交渉や追加交渉は考えていないことを強調しました。その上で、アメリカで民主党を中心に協定文を修正するよう要求が出ている自動車と関連した内容については、「今回の会談では具体的に触れなかったが、今後、アメリカが何らかの要求をしてくれば、韓国としてはそれ相応の見返りを要求する可能性がある」と述べ、議会が批准する時期については、「年内に批准される可能性もある」という考えを示しました。

・第1野党民主党の院内代表選挙が15日、国会で行われ、中道派の李康来(イ・カンレ)議員が選ばれました。民主党の院内代表選挙は、今の国会議員になってから2人目の院内代表を選ぶもので、3人が立候補して、民主党の在籍議員84人のうち75人が投票しました。1回目の投票では李康来議員が35票を得票して1位になりましたが、過半数に達しなかったため、得票数が1位と2位の候補者で争う2回目の投票に持ち込まれた結果、李康来議員が46票を得票して、2位の金富謙(キム・ブキョム)議員に大差をつけて院内代表に選ばれました。李康来議員は全羅北道が選挙区の3期目で、金大中政権のときに大統領府青瓦台の政務首席秘書官を務め、2000年の国会議員選挙で初当選し、党内では中道派として知られています。李康来議員は当選のあいさつで、「鮮明で強力な政策を進めて野党としての存在感を高め、落ち込んでいる党の支持率を年末まで25%に引き上げたい」と述べました。民主党は、このほど行われた国会議員の再選挙で党の推薦を受けられず無所属で出馬して当選した鄭東泳(チョン・ドンヨン)議員の復党問題などで党の意見が対立しており、いかに党を結束させ、議席の過半数を占めている与党ハンナラ党を相手にどのように国会運営に臨んでいくかが当面の課題になりそうです。

・アメリカのクリントン国務長官は14日、記者団に対して、北韓が拘束しているアメリカ人の女性記者2人の裁判を来月4日行うと明らかにしたことについて、「北韓が問題を解決する意思があることを示すシグナルだ」と述べ、歓迎する意向を表明しました。クリントン長官のこうした発言は、最近、イランが拘束していたアメリカ人の女性記者に有罪判決を言い渡し、その後に釈放した例があるため、北韓もこうした手順を踏む可能性があるという判断から出たものと見られます。

・アメリカのゲーツ国防長官は14日、議会の上院軍事委員会の公聴会に出席し、アメリカ本土に配備している迎撃ミサイルだけでも北韓の長距離弾道ミサイルに対応する能力は十分にあると述べました。この中でゲーツ国防長官は、「アメリカ本土には30基の迎撃ミサイルが配備されており、予算の削減によって44基に増やす計画が中止されても、大きな問題はない」として上で、「現在の30基だけでも当分は北韓の長距離弾道ミサイルに十分対応できる」と述べました。アメリカの国防長官が迎撃ミサイルについて、北韓の長距離弾頭ミサイルと関連づけて言及したのはこれが初めてです。

・尹晉驕iユン・ズンヒョン)企画財政部長官は、マイナス成長が第1四半期で終わる可能性があるという考えを示しました。尹晉髓キ官は15日、ソウルのプレスセンターで開かれた新聞放送編集者協会主催の懇談会に出席し、「世界的に経済が悪化しているにもかかわらず、韓国では景気後退にブレーキがかかっている」と述べました。韓国は、去年9月の世界的な金融危機以後、前の四半期と比べた成長率はマイナスにとどまっていましたが、今年の第1四半期の経済成長率は前の四半期に比べて0.1%のプラスに転じました。尹晉髓キ官はこうした点を指摘し、今後とも経済成長率は緩やかに上昇する可能性が高いと指摘し、輸出や国内消費が萎縮している中でも、政府の雇用対策などで雇用事情もある程度改善されているという認識を示しました。

・韓国で繁殖を目指して飼育されている国際保護鳥トキの3個目の卵がふ化しました。去年10月に中国から贈られたトキのつがい、雄の「洋洲」と雌の「龍亭」は韓国南部の慶尚南道昌寧郡の繁殖施設で飼育され、これまで2回に渡って卵を産んでいます。そして、このうち2回目に産んだ卵3個のうち1つがこのほどふ化しました。1回目に産んだ卵のうち1個と2回目に産んだ卵のうち1個はすでにふ化しており、残っている1個は18日頃にふ化する見通しです。すでに生まれているトキの赤ちゃんは人工飼育器で育てられており、健康状態はよいということです。昌寧郡の関係者は、もう1つの卵がふ化した後に、赤ちゃんのDNA検査をして雄か雌かを判別することにしていると話しています。トキは韓国では1978年に非武装地帯の板門店の近くで目撃されたのを最後に姿が見られなくなり、中国から贈られたトキの人工繁殖を手がけています。

5月14日木曜日

・北韓の朝鮮中央通信は14日、北韓に拘束されているアメリカ人の女性記者2人に対する裁判が来月4日に開かれると報じました。2人は、ケーブルテレビのカレントTVの記者で、3月17日に中国との国境地帯で取材中に、国境を越えたとして北韓軍兵士に拘束されました。朝鮮中央通信は2人の罪状については明らかにしませんでしたが、3月31日の報道では、この2人について不法入国と敵対行為の罪が立証されたとしました。不法入国の場合、2年以下の労働教化刑が適用され、朝鮮民族に対する敵対行為の罪が適用されれば5年以上10年以下の労働教化刑という重い刑を言い渡される可能性もあります。アメリカが国連安全保障理事会で長距離ミサイルを発射した北韓を非難する議長声明の採択を主導するなどして、米朝関係は悪化しており、2人の記者が実刑判決を言い渡される可能性が高いという見方がある一方で、2人に有罪を認めさせて裁判を終結し、その後で釈放する可能性があるという見方も出ています。

・最高裁判所に当たる大法院は14日、去年4月に行われた第18代国会議員選挙の際に、公職選挙法で禁止されている政治資金の受け渡しをした罪で起訴された親朴連帯の議員3人に対して、当選無効に当たる判決を言い渡しました。このうち親朴連帯の共同代表を務める徐清源(ソ・チョンウォン)議員は、第18代国会議員選挙で、比例代表の候補に特別党費という名目で30億ウォンずつの政治献金を要求して、公職選挙法違反の罪で起訴され、大法院は懲役1年の判決を言い渡しました。また、政治献金を出した梁貞禮(ヤン・ジョンレ)議員と金魯植(キム・ノシク)議員にはそれぞれ懲役10ヶ月と懲役1年の判決を言い渡しました。3人とも執行猶予がつきましたが、懲役を言い渡されたため、当選が無効になりました。3人はいずれも比例代表議員で、比例代表議員の当選が無効になった場合は次の順位の候補に議席が受け継がれないので、国会の議席数は299議席から296議席に減ることになりました。これで第18代国会議員選挙で当選した議員のうち9人が選挙法違反で当選が無効になりました。

・ソマリア沖で民間船舶の護送任務に当たっている韓国海軍の文武大王艦が今度はエジプトの貨物船をアメリカの艦艇と共同で海賊から救出しました。合同参謀本部によりますと、文武大王艦は13日、イエメン南方137キロの海上を航海中に、エジプト船籍の貨物船(7万4000トン)が海賊から救出して欲しいと要請してきました。文武大王艦は即刻狙撃兵を乗せたヘリコプターを出動させる一方、アメリカが主導する連合海軍司令部に状況を知らせました。韓国海軍のヘリコプターは威嚇飛行を行う一方で、信号弾を打ち上げてアメリカ海軍の艦艇に正確な位置を知らせ、間もなく現場に到着したアメリカ海軍の駆逐艦とともに海賊を撃退しました。韓国海軍はこれまでも外国の民間船舶を度々救出していますが、他の国の海軍と共同作戦で海賊を撃退したのは初めてです。

・韓国では初めて手足口病による死亡者が出ました。疾病管理本部が明らかにしたところによりますと、死亡したのは生後12ヶ月の女の子で、先月28日に手や足に水疱ができて、今月3日に入院して治療を受けていましたが、症状が悪化して、5日に死亡しました。中国では2008年から手足口病が流行し、これまでおよそ29万人が感染して、90人以上が死亡したと伝えられています。疾病管理本部は、手足口病の原因となっているエンテロウイルス71を検査したところ、中国で流行している手足口病のウイルスと遺伝子構造が98%以上一致したため、ウイルスが韓国に侵入した経路を調査しています。

・企画財政部は14日、景気対策として編成された補正予算について、効果的な執行を促す指針を初めて作り、関係部署や地方自治体に示しました。企画財政部はこの中で、雇用の創出などに関連する予算の執行は、景気の動向や地域の労働市場の動向などを考慮して、適切な時期に適正な金額を支出して、その効果を最大に上げるよう指示する一方、100億ウォン以上の予算を投じる新規事業については、関係部署に具体的な支出計画を提出させることにしました。企画財政部がこうした指針を関係部署や地方自治体に示したのは、今回の補正予算が28兆4000億ウォンとこれまでになく大規模で、適切に支出しなければ景気対策の効果が半減するためです。

・総合政策研究機関の韓国開発研究院は14日、今年の韓国の経済成長率の見通しに関する報告書を発表しました。それによりますと、経済成長率は第2四半期にマイナス4.1%で底をつき、第3四半期にはマイナス3.4%とやや回復し、第四半期には2.7%とプラスに転じて景気回復に向かうとしており、年間ではマイナス2.3%になると予測しています。こうした見通しは、政府の見通しであるマイナス2%よりやや低くなっていますが、韓国銀行と三星経済研究所のマイナス2.4%、LG経済研究所のマイナス2.1%、現代経済研究所のマイナス2.2%とほぼ同じ水準で、IMF=国際通貨基金のマイナス4%に比べると楽観的な見通しを示しています。報告書は、経済成長率が順調に回復するためには、当分は流動性の拡大政策を続け、景気がある程度回復する兆しが見え始めたときは金利引き上げなどの方法で流動性を回収する必要があると指摘しました。

・韓国では初めて潮の干満で海水が移動するエネルギーを電力に変える潮力発電所が完成し、稼働を始めました。韓国南部の全羅南道珍島郡にある珍島潮力発電所の竣工式が14日行われ、政府や自治体の関係者、それに地域住民など、出席したおよそ500人が韓国で初めてとなる潮力発電所の完成を祝いました。この発電所は2005年から4年をかけて工事が行われていたもので、発電容量が1000キロワットと、430世帯が使用できる電力を生産します。この発電所は2013年までに発電容量を9万キロワットに増やし、珍島郡の年間電力需要の3.3倍に当たる4万6000世帯が使用できる電力を生産する計画です。

5月13日水曜日

・カザフスタンを国賓として訪れている李明博大統領は13日午後、首都アスタナの大統領宮でナザルバエフ大統領と首脳会談を行い、「両国間の実質的協力拡大に向けた行動計画」を採択しました。この行動計画には、経済や通商に加えて、エネルギーや資源、インフラ、建設、文化、労働、保健など様々な分野で両国が協力する内容が具体的に盛り込まれています。両首脳はまた、両国関係を政治、経済、人的交流などすべての分野で協力する「戦略的パートナー関係」に格上げすることで合意しました。そして、両首脳は、カザフスタンの海上での石油探査事業や銅鉱山の開発など、資源の共同開発を強化する了解覚書を締結するなど、実質的な関係強化に向けて具体的な措置を取ることで一致しました。さらに李明博大統領は、カザフスタンが進めているユーラシア大陸の運送・交通拠点建設計画に支持を表明し、ナザルバエフ大統領は6か国協議を通じて北韓の核問題を解決しようとする韓国の政策を支持しました。このほか、両政府は、気候変動への対応をはじめとする農業や保健分野での協力強化、国際的なテロへの対応に向けた協力でも合意しました。

・韓国とペルーのFTA=自由貿易協定の締結に向けた2回目の交渉が11日、ペルーで始まりました。両国は今回の交渉で、商品・サービス、投資、電子商取引など12の分野に分かれて4日間に渡って交渉します。交渉では、協定の文案について集中的に協議するとともに、それぞれの分野の主な争点で意見の歩み寄りをはかり、商品・サービス、投資、政府調達分野で市場を開放する日程などについても話し合う予定です。ペルーとのFTAが締結されれば、韓国は石油やガス、金、銀などの天然資源を有利な条件で輸入し、こうした資源の開発権を確保しやすくなる一方、農水産物や織物などの輸入が増えるものと予想されています。

・新型インフルエンザの感染者が中国でも確認されたことを受けて、疾病管理本部は13日、検疫を大幅に強化する方針を明らかにしました。それによりますと、疾病管理本部は、中国で新型インフルエンザが広がると、その規模や速度を予測できないため、中国から韓国に入港する船舶については、港湾の検疫官が乗り込んで感染の疑いがある人を分類し、容体によって隔離などの措置を取ることにしています。また、国際線の航空機内で発熱や咳など新型インフルエンザの疑いがある症状がある人が確認された場合は、その人と、2メートル以内の座席に座っていた人を空港内の隔離施設に隔離することにしました。疾病管理本部は、「新型インフルエンザの発生国が30か国に拡大しているうえ、感染者が確認された日本と中国から毎日およそ3万人が入国していることから、決して安心できる状況ではない」としたうえで、発熱や咳などの症状がある人は出国する際に特に注意するよう呼びかけました。韓国では13日午前0時までに、新型インフルエンザに感染したのではないかという届出は421人からあり、このうち373人は感染していないことが確認されており、45人について検査が行われています。

・大韓赤十字社は、家族が南北に離れ離れになった離散家族の第1世代が高齢化していることを踏まえ、死亡した後でも家族関係を確認できるように、遺伝子情報を登録しておく、「離散家族遺伝子銀行」を設立する計画です。大韓赤十字社のキム・ヨンチョル事務総長は、離散家族遺伝子銀行の設立に踏み切る背景について「高齢の離散家族は去年1年間だけでも、およそ5000人が亡くなっているので、設立することにした」と説明しています。大韓赤十字社は、この計画をすでに統一部に提案しており、統一部も9月末に施行される南北離散家族の生死確認および交流促進法の趣旨に沿って前向きに検討するとしています。大韓赤十字社は、とりあえず5000人を対象に遺伝子検査を行うとしてもおよそ10億ウォンの費用がかかるものとみており、政府の支援は欠かせないとしています。また、遺伝子検査の結果などの個人情報を大韓赤十字社が保管することが適切かどうかについて法律的な検討が必要だとしています。

・政府は13日、環境に配慮したグリーン成長を達成するため、グリーンIT・グリーン技術の先進国を目指して、2013年までに12兆ウォンを投資し50万人規模の雇用を生み出す方針を決めました。大統領直属のグリーン成長委員会はこの日、韓昇洙(ハン・スンス)国務総理や金炯国(キム・ヒョングク)委員長が出席して3回目の会議を開き、こうした内容を盛り込んだグリーンIT国家戦略やグリーン技術商用化戦略などを決めました。それによりますと、まず政府はグリーンIT国家戦略として、環境にやさしいグリーンIT製品の開発や、現在より10倍速いインターネットの構築など9つの目標を設定し、今年から2013年までの5年間4兆2000億ウォンを投資することにしています。これによって2013年までに7兆5000億ウォンの生産誘発効果と5万2000人の新規雇用、1800万炭素トンの二酸化炭素の排出削減が見込まれます。政府はまた、グリーン技術大国に向けた基盤を強化するためのグリーン技術商用化戦略として、27の重点技術を選んで、2012年までに8兆4000億ウォンを投入することにしています。そして2012年までに高効率のシリコン太陽電池やLPGハイブリッドカー、高効率薄型LEDなどの技術を商用化し、2020年までに燃料電池による電気自動車、2次電池、原子力水素システムの開発に集中投資することにしています。

・最近ウォン高が進んでいることについて、企画財政部の尹増鉉(ユン・ジュンヒョン)長官は13日、このままでは企業の採算性が悪化する可能性があるとの見方を示しました。韓国のウォンに対する為替レートは、アメリカドルの場合、この2か月間に、1ドル当たり240ウォンのウォン高、日本の円100円では230ウォンのウォン高となっています。このようなウォン高について尹増鉉長官はこの日ソウルの銀行会館で開かれた政策フォーラムに出席し、「第1四半期はウォン安が輸出企業の実績を押し上げたが、最近は状況が変わってきた。去年からの急激なウォン安がこのところ安定に向かい、このままウォン高が続けば企業の採算性はかなり悪化することもあり得る」と述べました。尹増鉉長官はまた、一部で景気が底を打ったという見方が出ていることについて、「景気底入れ論については、もう少し様子を見守る必要がある。景気が急落する勢いがおさまり、速度が緩やかにはなっているものの、景気の後退は続いている」として、厳しい見方を示しました。

・北韓の核問題などについて協議するために、中国、韓国、日本を相次いで訪れたアメリカのボスワース特別代表は12日、帰国を前に、北韓を訪問することも検討していくという考えを示しました。ボスワース特別代表は、帰国前の12日朝、東京のホテルで記者団に対し、「北韓訪問はアメリカだけで決める問題ではないが、今後数週間ワシントンで検討する。各国とも電話で連絡を取り合うことになる」と述べ、北韓訪問を6か国協議の関係国と連携しながら検討していく考えを示しました。ボスワース特別代表はまた、北韓が核実験の実施も辞さないと表明していることについて、「それは間違った方向に足を踏み入れることになるので、北韓がそうしないことを望んでいる」として、「6か国協議の参加国は対話と交渉が問題解決に向けた最も有効な方法だと信じている」と述べ、対話と交渉によって事態を打開したい考えを強調しました。一方、アメリカ国務省のケリー報道官は12日の記者会見で、ボスワース特別代表が北韓訪問を検討すると言及したことについて、「北韓を6か国協議に復帰させることがその目標で、6か国協議の枠組みの中でなら北韓との直接対話を考慮できると発言したものだ」とし、北韓訪問を検討する目標は6か国協議を再開して韓半島を非核化することであることを明確にしました。

・13日に開幕する第62回カンヌ国際映画祭に、韓国映画はこれまでで最も多い10本が招待されました。巨匠の新作がズラリと並んだコンペティション=競争部門には、2004年に「オールドボーイ」で審査委員大賞を受賞したパク・チャンウク監督の新作「コウモリ」がノミネートされ、「コウモリ」で主演した俳優ソン・ガンホさんがパク・チャンウク監督とともに受賞を目指します。また、ポン・ジュンホ監督の「マザー」がある視点部門に招待されました。「マザー」は16日に現地で上映される予定で、ポン・ジュンホ監督や主演のキム・ヘジャ、ウォンビンなども出席することにしています。一方、監督週間部門に招待されたのは、ホン・サンス監督の「よく知りもしないのに」で、16日に試写会と記者会見が行われます。さらに、故シン・サンオク監督が1987年に制作した「燕山君(ヨンサングン)」が古典映画を紹介するクラシック部門に招待されています。このほか、韓国とフランスの合作映画「旅行者」やムン・ソンヒョク監督の「6時間」などを含めてこれまでで最も多い10本の韓国映画が招待されました。第62回カンヌ国際映画祭は、13日から24日までの12日間、南フランスのカンヌで開催されます。

5月12日火曜日

・アメリカは韓国に対して、アフガニスタンに韓国軍工兵部隊の派兵を非公式に要請してきたもようです。政府消息筋は12日「アメリカ国防総省の関係者がこのほど韓米連合軍司令部と韓国駐留アメリカ軍の将官などを通じて、韓国軍の工兵部隊をアフガニスタンに派兵するよう要請してきたと承知している」と述べました。この消息筋はまた「アメリカはアフガニスタンでイスラム原理主義勢力、タリバンの掃討作戦を展開するとともに、国土の再建にも乗り出す計画で、韓国軍の工兵部隊には再建計画に寄与することを希望している」と述べました。これについて別の消息筋は「アフガニスタンに派兵するかどうかを広く議論する時期がきた。韓国軍はアフガニスタン34の州の一部を担当して、現地の軍人や警察官を養成する訓練を支援するとともに、工兵部隊による再建作業を行うことも検討できる」と説明しました。実際に国防部と外交通商部など関係部署がアフガニスタンへの派兵について真剣に検討していると伝えられています。これに先立って政府は先週6日、アフガニスタンに救急車など500万ドル相当の装備を支援するとともに、民間の再建チーム(PRT)を25人から85人に増員すると発表しています。

・中央アジア2か国を訪問している李明博大統領は11日、ウズベキスタンで中央アジアの貿易拠点であるウズベキスタンの地理的メリットと韓国が誇る世界的なIT=情報通信技術を融合させて産業を発展させる21世紀の新しいシルクロードを作ることを提案しました。李明博大統領はウズベキスタン訪問2日目の11日、首都タシケントで開かれた韓国・ウズベキスタン成長フォーラムに出席して基調演説を行い、両国による経済・産業協力をさらに強化する必要性を力説してこのように提案しました。この中で李大統領は「韓国はすでにウズベキスタンの経済自由地域を中心に陸上や航空など多様な物流分野で協力している。韓国が世界で初めて商用化に成功したワイブロを基盤としてウズベキスタンにIT網を構築するなどして、デジタル技術を取り入れた新しいシルクロードを構築する必要がある」と強調しました。これに先立ってウズベキスタンのカリモフ大統領は歓迎のあいさつで「李明博大統領は先見の明をもって遠くを見据えている。韓国とウズベキスタンの経済を統合させる構想を発表したい」と述べて、韓国との経済協力に意欲を示しました。

・韓国の中央銀行、韓国銀行は12日、金融通貨委員会を開いて、政策金利を2%に据え置くことを決めました。韓国銀行が金利の据え置きを決めたのは今年3月から3か月連続です。今回の据え置きは、景気の急激な低迷に歯止めがかかったとみられるものの、回復に向かったとは判断できないため、現状を見極めようとしたためだと分析されています。韓国の今年1月から3月までの第1四半期のGDP=国内総生産は去年の第4四半期に比べて0.1%成長して、事実上、足踏み状態となりました。また韓国の経済を牽引している輸出は振るわず、今年4月の輸出額は去年の同じ期間に比べて22%減少しました。これについて韓国銀行の関係者は「金融部門で安定的な基調が見え始めているが、肌で感じる景気には回復のシグナルが見えないため、金利の引き上げは厳しい」と述べて、今後、内外の経済状況を見極めながら、政策金利を引き上げるかどうか決めていく方針を示しました。

・政府で情報通信分野を担当する放送通信委員会の崔時仲(チェ・シジュン)委員長は11日、日本を訪れて、鳩山総務相と会談し、放送のデジタル化など放送通信分野で韓国と日本が協力を強化する了解覚書を締結しました。この了解覚書は放送と通信を融合させたサービスや移動通信サービス、地上波放送のデジタルへの転換、個人情報の保護と迷惑メールへの対応、電波の管理など幅広い分野で協力を強化することを骨子としています。崔時仲委員長は締結にあたって「韓国と日本の放送通信分野を担当する政府機関同士が、環境が急変している放送通信分野の新たな課題に対して政策や知恵を共有して互いに発展していくことを期待している」と述べました。これについて鳩山総務相は、韓国の優れたIT技術を高く評価したうえで、「移動通信サービス、ブロードバンドサービスなどの分野で両国の協力がさらに深まることを期待する」と答えました。

・政府は12日の閣議で企画財政部、統一部、法務部、法制処の4つの部処の組織改正を議決し、世界的な経済危機に対応するため進めている中央官庁35部処の組織改編が一段落しました。それによりますと、統一部は、北韓に対する情報収集と分析機能を強化するために情報分析局を、北韓政策に関する国民的な合意を見出すために政策広報課を新設します。代わりに「小さな政府」を目指すとして北韓に対する人道支援や離散家族、それに北韓の人権関連業務を担当する人道協力局を廃止し、関連業務は他の室や局がそれぞれ担当することになりました。また法務部は組織改編によって出入国管理業務と犯罪の被害者を保護支援する機能を強化することにしています。この結果、中央官庁の15の部、2つの処、13の庁、5つの委員会などあわせて35部処の組織改編は一段落しました。

・死亡した人や脳死状態になった人が生前に臓器を提供する約束をしていた場合は、遺族が反対しても臓器の提供ができるようにする法律の改正案が示されました。保健福祉家族部は12日「臓器提供を活性化する制度の改善案」を発表しました。韓国では死亡した人や脳死と判定された人から臓器の提供を受けるには、これまでは生前に臓器提供の意思を示していたとしても遺族2人以上の同意が必要で、提供を受けられないケースが多いという指摘が相次いでいました。保健福祉家族部が示した改善案によりますと、生前に臓器提供の意思を示した人が死亡したり脳死状態になったりすれば、遺族の同意がなくても臓器の提供ができるようになり、さらに生前に臓器提供の意思を示していなくて脳死した人の場合は配偶者や直系の遺族1人の同意があれば臓器の提供が可能になります。保健福祉家族部はこのような内容を盛り込んだ法律の改正案を今月中に決めて、9月の通常国会に提出する方針です。

・韓国の独立映画「金ばえ」がスペインのバルセロナで開かれたアジアン映画祭でグランプリを受賞しました。映画配給会社によりますと、今年11回目を迎えたバルセロナ・アジアン映画祭で10日、「金ばえ」はグランプリに選ばれ、トロフィーとともに、スペインとアジアの交流団体が提供する賞金6000ユーロ、韓国ウォンでおよそ1億ウォンが贈られました。「金ばえ」はこれまでロッテルダム映画祭など3つの映画祭でグランプリを獲得するなど、海外の8つの映画祭で11の賞を受賞しました。ヤン・イクジュン監督がメガホンをとった「金ばえ」は、子供の頃に父親の暴力を受けて成長した男性が偶然出会った女子高校生によって暖かい家族愛を感じていくという内容で、韓国では先月16日に公開されて、12万人近くの観客を動員し独立映画としては異例のヒットを続けています。

5月11日月曜日

・中央アジアのウズベキスタンを国賓として訪問している李明博大統領は11日、カリモフ大統領と首脳会談を行い、両国が経済協力をさらに強化していくことなどを主な内容とする共同声明を発表しました。両国はまたウズベキスタンにある地下資源の5つの鉱区を共同で探査する事業の基本合意書と、ウズベキスタンの心臓手術センターに韓国が医療機器を供給する借款契約を結ぶなどエネルギー、資源、産業、金融面にわたる12件の了解覚書を締結しました。両国はまた資源開発と技術分野で投資協力を強化し、天然ガス田の開発やウズベキスタンの空港の近代化事業などを共同で進めることになりました。さらに首脳会談では世界的な金融危機だけでなく、テロや麻薬の密売、核拡散など国際的な脅威にも共同で対応することで意見をともにしました。そのうえで、ウズベキスタンのカリモフ大統領は、6か国協議を通じて北韓の核問題を解決しようとする韓国政府の方針に支持を表明し、李明博大統領はカリモフ大統領に韓国を訪問するよう招請しました。李大統領は12日にはウズベキスタンのサマルカンドにある歴史的な遺跡を視察した後、次の訪問国カザフスタンに向かいます。

・世界的に広がっている新型インフルエンザは、韓国では感染が疑われる人が8日間、出ていない状態が続いています。疾病管理本部によりますと、11日午前0時までに、新型インフルエンザにかかっているのではないかという届け出は334人からありました。このうち感染が確認された3人は治療が終わって退院しており、307人は感染していないことが確認されています。そして残りの24人については検査が行われていますが、3人が退院した後は、感染の疑いがある人は報告されておらず、沈静化の局面に入っています。しかし保健当局はヨーロッパなどで感染者が増えていることや、日本で4人の感染者が発生したことなどから、当分の間は、検疫と監視体制を続けるとしています。ところで保健当局は、アメリカから日本に向かう旅客機に搭乗していた日本人の高校生が新型インフルエンザに感染したため、同じ旅客機に乗っていた韓国人24人と外国人6人の合わせて30人が成田空港で乗り継いで韓国に入国したことを確認し、追跡調査を行いましたが、今のところ、新型インフルエンザの感染は確認されていません。

・IMF=国際通貨基金は、世界的な景気低迷の中で、韓国の今年の経常収支が先進諸国で8番目に多い黒字になるという見通しを示しました。IMFがこのほど修正してまとめた経済展望によりますと、先進33か国の経常収支の見通しで、韓国については「去年の64億ドルの赤字から今年は207億ドルの黒字となり、黒字の規模は世界で8番目になる」と分析しています。これはウォン安が続いた為替レートの影響に加えて、輸出より輸入が大きく減って貿易収支が大幅な黒字になると見込まれているためだということです。今年の見通しで経常収支の黒字が最も大きいと見込まれているのは日本の763億ドルで、2位はドイツ、3位はノルウェーの順で、アメリカは3923億ドルの赤字になると予想されています。

・ロシアのプーチン首相は11日からの日本訪問を前に10日、日本のマスコミと行った記者会見で北韓の核問題について、落ち着いた対応を求めるとともに、「周辺国が軍備拡張競争に走ることは間違いだ」と述べました。プーチン首相はこの中で北韓が長距離ロケットを発射した後の北韓の核問題などをめぐる状況について、各国が感情的に対応するのは望ましくないとして、落ち着いて対応するよう呼びかけました。その上で、プーチン首相は「北韓の核問題がきっかけになってアジアの周辺国が不安感を高め、軍備拡張競争に走るのは間違いだ」と述べ、こうした動きに警戒感を示しました。事実上、ロシアの権力を握っているプーチン首相はこれまで北韓問題についてほとんど触れたことはなく、今回の日本訪問中に6か国協議の再開などについて日本側と協議するかどうか注目されます。

・アメリカで北韓の核問題などを担当しているボスワース特別代表は11日、韓国訪問を終えて日本に向かいました。ボスワース特別代表は韓国に滞在中、韓国政府の当局者と会って、北韓が核開発を再開すると発表したことなどについて、これ以上事態が悪化することを防ぐとともに、6か国協議を早期に再開する方法などについて意見を交わしました。しかし、この席で韓国もアメリカも、北韓の強硬な姿勢に対する有効な手だてを示すことはできず、ボスワース特別代表は北韓が追加の核実験を決めれば、相応の代価を支払うことになると警告したものの、「北韓の行動を統制することはできない」と述べました。北韓情勢に詳しい韓国政府の当局者も、ボスワース特別代表と会合した後、北韓の核開発を防ぐ打開策はないとする懐疑的な考え方を示しました。

・病気などの治療を目的に韓国を訪れる外国人のための専用ビザが新設されました。これは韓国で治療を受けたいと希望する外国人へのビザの発給に時間がかかって、治療に適切な時期を失ってしまうケースがあるため、韓国の医療機関が、外国人の患者に対するビザ発給の手続きを簡素化するよう求めていたものです。法務部と保健福祉家族部によりますと、11日から新設された医療ビザは、外国人がこれまでの診療記録と治療費の支払いを保証する財産証明書、それに韓国の病院での治療を予約した書類を提出すれば、90日間または1年以内に滞在できるビザを受けることができます。韓国では関係の法律が改正されて今月1日から総合病院などが外国人の患者を外国で直接誘致できるようになっており、今年1年間に、8万人の外国人患者が韓国の病院で治療を受ける見通しです。

・韓国のプロ野球、三星ライオンズの梁刳q(ヤン・ジュンヒョク)選手(40)は先週9日、個人通算で341号目のホームランを放ち、韓国のプロ野球の新記録を達成しました。梁刳q選手は9日、ホームグランドの大邱球場で行われたLGツインズとの試合で、6回裏に左側フェンスを超えるソロホームランを放ちました。これは個人通算で341号目のホームランとなり、梁刳q選手はこれまでの最多記録だった張鐘薫(チャン・ジョンフン)元選手の340本を超える新記録を達成しました。これで梁刳q選手は1993年にプロ野球にデビューして以来、最多ホームランのほかに最多安打(2216本)、最多打点(1326)など打撃部門で8つの記録を持つことになりました。

5月9日土曜日

・李明博大統領は10日から5日間の日程で、中央アジアのウズベキスタンとカザフスタンの2か国を国賓として訪問します。李明博大統領は今回の訪問で、ウズベキスタンのカリモフ大統領、カザフスタンのナザルバエフ大統領と、それぞれ首脳会談を行い、主にエネルギーや資源での協力について意見を交わす予定です。大統領府青瓦台の関係者は今回の中央アジア訪問について「ウズベキスタンのカリモフ大統領との会談では、現地の天然ガス田の開発や空港の近代化について、カザフスタンのナザルバエフ大統領とは、石炭火力発電所の建設、鉱山の探査に韓国企業が参入することについて協議する。両大統領に対しては、李明博大統領がソウル市長を務めていた際に、名誉ソウル市民証を贈っていて、李大統領とは格別な縁がある」と話しています。

・アメリカは、北韓に対して米朝間の協議に応じる用意があることを示していますが、北韓はこれを拒否しており、6カ国協議の再開など今の事態の打開は厳しい見通しです。アメリカの北韓担当のボスワース特別代表は8日、ソウルを訪れて韓国の6カ国協議担当者と協議しましたが、「アメリカは北韓問題の解決に役立つならば、米朝間の協議にも応じる用意がある」と述べ、北韓と対話する意思を示しました。しかしボスワース特別代表は「北韓が2回目の核実験を行うならば、相応の代価を支払うことになるだろう」と警告し、韓国首席代表の魏聖洛(ウィ・ソンナク)韓半島平和交渉本部長も「北韓が核実験という挑発的な行動をとる ならば、何事もなかったように見過ごすわけにはいかないだろう」と述べました。これに対して北韓外務省は8日、声明を出し「われわれを敵対視している相手と会ってもなんらプラスにならない。すでに明らかにしたように、核の抑止力を強化していく」と主張しました。また北韓外務省は「オバマ政権が発足して100日間の政策を見守った結果、北韓政策に変化がないことが分かった」と批判し、当分の間、6カ国協議に復帰する意思がないことを示しました。北韓外務省のこの声明について、ボスワース特別代表は「オバマ大統領は交渉と対話を通じて、直面した問題を解決すると約束した。われわれが北韓を敵対視する政策を持っていると解釈することはできない」と強調しました。これについて北韓専門家は、「北韓は時間稼ぎをして核保有国として認められ、アメリカとの交渉を有利にさせていくねらいを持っている」と分析しており、当分の間、6カ国協議や米朝間の協議の再開は厳しくなる見通しです。

・アメリカで急速に広がっている新型インフルエンザは、韓国では感染が疑われるという届け出が6日間もなく、沈静局面に入ったのではないかという観測も出ています。疾病管理本部によりますと、新型インフルエンザにかかっているのではないかという自己申告が9日午前0時までに284人からありました。このうち感染が確認された3人は治療が終わって退院しており、224人は感染していなかったことが確認されています。残りの57人については分析が行われています。この57人も6日前の3日までの自己申告で、その後はこうした申告もないことから、韓国での新型インフルエンザは沈静局面に入ったのではないかという観測も出ています。しかし保健当局は、日本で感染者が確認されたほか、ヨーロッパなどで感染者が増えており、WHO=世界保健機関も警報レベルを「フェーズ6」に引き上げることを検討していることなどから、韓国の警報レベルも今の「注意」を維持する方針です。

・世界的な不況の中で、韓国の自動車の輸出の台数は減っていますが、アメリカや西ヨーロッパ、中国など世界の主な自動車市場での韓国車の販売シェアは逆に上がっていることがわかりました。自動車業界によりますと、今年1月から3月までの3か月間に韓国製自動車の販売占有率はアメリカで7.5%となり、去年の同じ期間に比べておよそ3ポイント高くなりました。また同じ期間中の中国での占有率は7.2%と、去年同期に比べて1.2ポイント上昇し、西ヨーロッパ市場でも0.5ポイント上がって3.7%になりました。世界的な自動車市場の不況で、韓国車の輸出台数も減少していますが、このように海外市場で販売シェアを伸ばしていることについて業界では、現地でのマーケッティングを強化し、中型乗用車と小型乗用車の分野での性能、価格、燃費のよさなどを前面に打ち出していることが消費者に受け入れられ、販売量の減少を最小限に食い止めているものと分析しています。

・経営が行き詰まり、日本の会社更生法にあたる法定管理に入った双龍自動車は、8日、従業員2400人の削減計画を労働部に提出しました。しかし労働組合は、これに反発して断続的なストライキを行っており、整理解雇をめぐって労使が対立しています。裁判所が依頼した会計法人がこのほど、双龍自動車の経営状態を調査したところ、大幅な人員削減などの構造調整を前提にした場合、清算するよりは存続させた方の価値が高いという報告がまとめられました。これを受けて双龍自動車は、2650人を整理解雇することを主な内容とする、先月まとめた経営正常化策を進めるとして、希望退職を申請した240人あまりを除く2400人を整理解雇する計画書を8日、労働部に提出しました。これに対して双龍自動車の労働組合は、整理解雇は経営破たんさせた経営陣の責任を労働者に転嫁させるものであり、受け入れられないとして断続的にストライキを行っています。双龍自動車の労使は来週、交渉を行う予定ですが、その結果によってはストライキがさらに続く可能性もあり、経営正常化までの道のりは厳しい見通しです。

・きびしい不況で働く場所が減っていることから、仕事を多くの人で分かち合う「ワークシェアリング」に参加している企業や地方自治体などは、およそ1700にのぼっていることが分かりました。労働部が今月3日、従業員100人以上の企業や地方自治体など6800の組織を対象に調べた結果、全体の25%にあたる1700がワークシェアリングに参加していることが確認されました。そしてこのワークシェアリングによって2万1800人の雇用を創出していることがわかりました。この人たちの76%はインターン社員やパートタイムなど非正規職であるということです。

・独立プロダクションの映画の祭典、全羅北道全州市の全州国際映画祭が8日閉幕し、最優秀の映画にフィリピン映画の「下水溝」が選ばれました。今年の全州国際映画祭は「自由・独立・疎通」をテーマで行われ、参加した510の作品を審査した結果、最優秀映画賞にあたる「ウソク賞」に、貧しい街に住む2人の少年の空虚な想いを描いたフィリピン映画の「下水溝」が選ばれました。今年で10回目となった全州国際映画祭は、開幕を飾った映画の入場券が前売り開始2分で売り切れるなど、9日間に歴代最高の7万人の観客を集めました。全州映画祭は年々増える観客需要に応えて、来年は上映館と宿泊施設をさらに増やす計画です。

5月8日金曜日

・アメリカで北韓問題を担当するボズワース特別代表が8日午後、韓国を訪問し、6か国協議の再開に向けた対応などについて意見を交わしました。ボズワース特別代表は、6か国協議の再開をはじめ、北韓が核燃料棒の再処理や核実験を行うとしていることへの対応などについて話し合うため、6か国協議の関係国を訪問しています。ボズワース特別代表はこの日、柳明桓(ユ・ミョンファン)外交通商部長官や6か国協議の韓国代表を務める魏聖洛(ウィ・ソンラク)平和交渉本部長と会談して、6か国協議の再開や、北韓による核開発の再開について協議しました。会談の内容は明らかにされていませんが、会談後、ボズワース代表は、「問題を解決するために北韓と対話する用意がある」という認識を示し、「アメリカには、2国間、または多国間の枠組みの中で北韓と対話する用意がある」と述べ、対話を通じて事態の打開を目指すオバマ政権の方針を改めて強調しました。ところで、これに先立ってボズワーズ代表は、中国を訪れ、対話のために北韓を訪問する用意があるとするメッセージを伝えたと見られていますが、北韓は核開発の再開を宣言するなど強硬な姿勢を保っているだけに、ボズワース代表の訪問を受け入れるかどうかは不透明な状況です。

・北韓外務省の報道官は8日、アメリカと直接対話をするのは意味がないと述べ、アメリカを強く非難しました。北韓外務省の報道官は朝鮮中央通信とのインタビューで、オバマ政権が発足してから100日の動きを見守った結果、北韓に対する敵対政策はブッシュ政権のときと全く変わっていないことが明らかになったと主張しました。また、「アメリカの敵対政策が続いているだけに核の抑止力を確保することが重要だ」とした上で、「北韓を敵とみなしている相手と対話をしても得るものは何もない」と強調しました。さらに、北韓外務省の報道官は、「北韓が最近、国防力の強化に努めているのは、国家の安全と民族の自主権を守るためで、誰かの関心を引いて対話をしようという狙いは全くない」と述べました。

・アメリカ議会下院の歳出委員会が、北韓に対するエネルギー支援など、北韓の非核化に関連した予算を全額削減したと、アメリカの自由アジア放送が8日、報じました。それによりますと、下院の歳出委員会は7日の全体会議で2009年度の補正予算案を審議し、その中で、北韓に対するエネルギー支援に必要な予算など、北韓の非核化に関連して国務省が要請した予算9500万ドルを全額削減しました。下院の歳出委員会は、北韓は国際社会の非難を無視して長距離弾道ミサイルを発射し、国連安全保障理事会の決議に違反しただけでなく、核施設を再稼動し、再び核実験を行うと宣言している他、アメリカ人記者を拘束しているためだと、削減の理由を説明しました。下院の歳出委員会は、もし北韓が対話のテーブルに戻り、6か国協議の約束を守れば、エネルギー支援を考慮するとしています。

・北韓にある開城工業団地の運営をめぐって南北当局者の2回目の接触が近く行われる見通しです。開城工業団地の運営をめぐっては、先月21日に南北当局者による接触が行われましたが、北韓が韓国企業で働いている北韓労働者の賃上げや借地料の早期支払いを求めたのに対して、韓国は開城工業団地で身柄を拘束されている韓国企業の社員の釈放を求めるなど、双方がそれぞれの要求を伝えただけで終わりました。韓国政府は、北韓が今月4日に送ってきた通知文で、2回目の接触を早く行うよう催促したことから、日程や場所、議題などを盛り込んだ通知文を北韓に送ることにしており、近く2回目の接触が行われる見通しです。韓国政府は2回目の接触でも、身柄を拘束されている韓国企業の社員の釈放を重要な議題の一つとして取り上げる方針ですが、北韓は、この問題は情報当局が調査しているので、開城工業団地とは別の問題だという立場を取っています。

・企画財政部は8日、教育や放送、医療などのサービス産業を活性化するため、様々な規制を大幅に緩和することを盛り込んだ対策を発表しました。それによりますと、まず教育分野では、仁川市の松島など経済自由区域に設立される外国系の小中高校などに、韓国人が定員の30%まで入学できるように規制を緩和し、優れた外国系の教育機関を誘致するために、外国系の教育機関が出す利益を本国に送金できるようにするとしています。また、外国系の大学については、学生数によって最小限確保しなければならない教育施設を、複数の大学が共同で使用できるようにします。企画財政部は、教育市場を部分的に開放することによって、外国の投資を促し、国内の教育機関との競争によって、教育の質を高める効果も期待できるとしています。一方、放送分野では、報道、教養、娯楽、スポーツなど、多様なジャンルの番組を編成できる総合編成放送チャンネルの事業者を年内に選定することにしました。今のところケーブルテレビや衛星放送は、報道、スポーツ、娯楽などの中で、特定の一つのジャンルだけを放送できますが、総合編成放送チャンネルはジャンルを問わず多様な番組を放送できるようになります。

・日本のゴールデンウィークの期間中に、仁川国際空港から韓国を訪れた日本人観光客は去年より40%あまり増えました。仁川国際空港の出入国管理事務所がまとめた資料によりますと、先月28日から5月5日までの間に仁川国際空港から入国した日本人は3万9426人で、去年の同じ期間に比べて40.1%増えました。日本人を含めて同じ期間に入国した外国人は合わせて8万5898人で、外国人全体の入国者も去年に比べて21.9%増えました。国籍別では日本人がもっとも多く、次いで中国、アメリカ、台湾の順でした。

・韓国の若年層がもっとも好きな日本の小説は村上春樹の「喪失の時代」という調査結果が出ました。大韓出版文化協会はこのほど、日本が参加する「ソウル図書展示会」を控えて、20代と30代を対象に日本の小説に関するアンケート調査を行いました。その結果を見ますと、もっとも好きな日本の小説として52%が村上春樹の「喪失の時代」を挙げてトップになり、その他、江國香織と辻仁成共作の「冷静と情熱のあいだ」、吉本ばななの「キッチン」などが挙げられました。また、もっとも好きな日本の小説家は、31%が江國香織を挙げてトップになり、村上春樹、吉本ばななが続きました。

・韓国の青少年が感じている幸福度はOECD加盟国の中でもっとも低いという研究結果が出ました。延世大学社会発展研究所は8日、全国の小学校4年生から高校2年生まで5000人の児童生徒を対象に行ったアンケート調査の結果を2006年にユニセフが行った調査と比較した研究内容を発表しました。それによりますと、韓国の青少年が感じている幸福度は100点満点の平均で71.6点になり、OECD加盟国の中でもっとも低いことが分かりました。「幸せだ」と答えた韓国の青少年は55.4%で、OECD加盟国の平均84。8%に大きく下回りました。しかし、学業成績や学習に対する意欲、進学率などの調査では、韓国の児童生徒の点数は120点で、ベルギーに次いで2位でした。延世大学社会発展研究所は、韓国の青少年は教育や健康、物質的な面では優れた環境に置かれているが、こうした環境は青少年が感じる幸福度と直接には関係がないと指摘しました。

5月7日木曜日

・韓国株式市場は7日、総合株価指数が前の日より7.63ポイント上昇して1401.08ポイントで取り引きを終えました。総合株価指数が終値で1400台を回復したのは、去年10月以来、7か月ぶりです。この日は、前日のアメリカのダウ指数が8500ポイントを回復したことを受けて、総合株価指数は前の日より21.1ポイント上昇した1414.55で取り引きが始まりました。しかし、機関投資家が売りに回って上げ幅が縮小し、午後には1400台を割りましたが、結局は1400台を回復して取り引きを終えました。外国人投資家は5営業日連続で買い越し、個人投資家も買い越しました。業種別では、金融、鉄鋼・金属などが上昇し、中でも銀行株は前の日に比べて平均7.1%も上昇しました。一方、ドルに対するウォン相場は、午後3時現在、1ドル=1262ウォン30銭で取り引きされ、前の日より14ウォン70銭のウォン高となりました。1ドル=1262ウォンは去年末以来のウォン高です。

・韓国の外貨準備高が大きく増えています。韓国銀行によりますと、先月末の外貨準備高は2124億8000万ドルで、前の月に比べて61億4000万ドル増えました。外貨準備高は2月には前の月に比べて2億ドル減りましたが、3月と4月は2か月連続で前の月を上回りました。韓国銀行は外貨準備高が増えていることについて、外貨建て保有資産の運用収益が増える一方で、政府が30億ドル相当の外貨建て債権を発行したためと説明しています。韓国の外貨準備高は3月末の時点で、中国や日本などに次いで世界で6番目に多くなっています。

・韓国で3人目となる新型インフルエンザの感染者が確認されました。保健福祉部によりますと、新たに感染が確認されたのは62歳の女性で、最初に感染が確認された女性と同じ飛行機で先月26日にアメリカのロサンゼルスから帰国していました。この女性はメキシコには行ったことがなく、ロサンゼルスに滞在中に感染したか、機内で感染したかは確認されていません。この女性は今月3日から指定病院に隔離されて治療を受け、今はこれといった症状がなく、7日中にも退院する予定です。韓国で新型インフルエンザの感染が確認されたのはこれが3人目です。ところで、韓国では新型インフルエンザのワクチンの開発が始まりました。忠南大学獣医科学部の研究チームは7日、今月4日にWHO=世界保健機関の公式協力機関であるCDC=アメリカ疾病センターからワクチンの開発に必要な「WHO標準ウィルス」を受け取り、このウィルスでワクチンの開発に着手したと発表しました。

・ソマリア沖のアデン湾で海賊対策にあたっている韓国海軍は6日、パナマ船籍の貨物船を海賊から救出しました。韓国海軍の駆逐艦、文武大王艦はこの日、イエメンの沖合いで韓国の貨物船を護送していましたが、午後4時半頃、パナマ船籍の貨物船から救助の要請を受けて、ヘリコプターを出動させ威嚇飛行などを行って、海賊船17隻を撃退しました。パナマ船籍の貨物船はその後、通常の航路に戻り、無事に航海を続けました。韓国海軍は先月16日から本格的な任務に就いた後、先月17日にはデンマークの貨物船を、今月4日には北韓の貨物船を海賊から救出しています。

・か国協議の韓国首席代表を務める魏聖洛(ウィ・ソンラク)韓半島平和交渉本部長は、7日付のイギリスのフィナンシャルタイムズとのインタビューで、米朝による2国間協議が行われれば、6か国協議を再開する重要な契機になるだろうと述べました。
この中で魏聖洛本部長は、「6か国協議が早期に再開される可能性は低いが、6か国協議の枠組みが廃止されたとは見ていない」とした上で、「過去に6か国協議がこう着状態に陥った際に、アメリカと北韓、中国と北韓による2国間の協議を通じて事態を打開した例がある」と指摘しました。魏聖洛本部長のこうした発言は、北韓が6か国協議はこれ以上必要ないと主張している中で、6か国協議の枠組みを維持すべきだとする関係国のこれまでの立場からは少なからず後退したもので、関心が寄せられています。

・オバマ大統領が就任してから初めて、韓国とアメリカの通商担当閣僚による会議が開かれます。外交通商部によりますと、韓米通商担当閣僚会議が14日にワシントンで開かれる予定で、会議に出席するため金宗?通商交渉本部長が12〜15日までの日程でアメリカを訪問し、カーク通商代表部代表と会談することになっています。外交通商部の関係者は、「今回の通商担当閣僚会議は、来月予定されている韓米首脳会談に先立って、韓米FTA=自由貿易協定の議会での批准について意見を調整するのが目的だ」と述べました。一方、外交通商部の李恵民(イ・ヘミン)FTA交渉代表は7日、記者会見し、今回の通商担当閣僚会議の議題について、「FTAの議会での批准が主な議題になるが、韓国政府はFTAの協定文をいかなる形でも修正することは考えていない」と述べ、再交渉や追加交渉はないという既存の立場を再確認しました。

・海外に移住する人が2年連続で大幅に減っていることが分かりました。外交通商部がまとめた資料によりますと、去年海外に移住した人は2293人で、前の年の4127人から44.4%も減りました。2007年の移住者も前の年より20.3%減っており、海外への移住者は2年連続で減っています。移住した国別に見ますと、アメリカは53.5%、カナダは45.9%、ニュージーランドは60%といずれも減ったのに対して、オーストラリアは16.7%増えました。外交通商部は、海外への移住者が減っている理由について、世界的な景気後退がもっとも大きな理由だと分析しています。

・地球温暖化が問題になっている中で、韓半島の温暖化が世界各地の平均より倍以上早く進んでいるという研究結果が出ました。気象庁が7日に発行した資料集「韓半島の気候変化・現在と未来」によりますと、韓半島の年平均気温は1912年から2008年の96年間に1.7度上昇しました。地球全体の年平均気温は1912年から2005年までに0.74度上昇しており、韓半島の年平均気温は地球全体の平均より2倍以上も上昇していることになります。気象庁は年平均気温が上昇したのは、産業化と都市化が著しく進んだ結果と分析しています。気象庁は、こうした傾向が続けば2100年には韓半島の大気中の二酸化炭素の濃度は今の2倍になり、年平均気温は今より4度以上高くなって、済州島を含む南海岸と東海岸の地域では冬がなくなるところも出てくる可能性があるとしています。

5月6日水曜日

・韓国で新型インフルエンザのヒトからヒトへの二次感染による感染者が初めて確認されました。疾病管理本部は5日、44歳の女性が新型インフルエンザに感染していたことが確認されたと発表しました。この女性は、感染者が出ている地域を旅行したことはなく、2日に初めて感染が確認された51歳の女性と同じ修道院で生活していたことから、二次感染したと断定されました。韓国でヒトからヒトへの二次感染が確認されたのは初めてで、これで韓国での感染者は2人になりました。この女性は4月26日にメキシコから帰国した初めての感染が確認された女性を空港まで出迎えて、修道院まで車に乗せた後、のどの痛みなどの症状を訴えて1日に入院し、隔離治療を受けていましたが、症状はほぼ回復したため、6日に退院しました疾病管理本部によりますと、6日午前0時現在、感染が確認された女性2人はすでに退院し、感染した疑いが強い62歳の女性1人が隔離治療を受けているだけで、3日以降は新型インフルエンザに感染した疑いがあるという届け出がないことから、韓国では新型インフルエンザの感染が沈静化する局面に入ったのではないかという観測も流れています。

・李明博大統領は6日、先月29日に行われた再選挙・補欠選挙で与党ハンナラ党が敗北したことを受けて、派閥を超えて人事を刷新すべきだと指摘しました。李明博大統領はこの日、ハンナラ党の朴熹太(パク・ヒテ)代表と大統領府青瓦台で会談し、「今回の選挙はわれわれ与党に多くのことを考えさせるもので、謙虚に受け止めるべきだ」とした上で、「ハンナラ党は代表を中心に刷新と団結を果たすべきだ」と述べました。そして、朴熹太代表が「党の団結に向けてかつてない強力な措置が求められるため、今後、選挙の結果でわかった国民の意思に沿って党の人事を行っていく」と述べたのに対し、李明博大統領は「党内で派閥云々という話はもういらないだろう」と応えたということです。李明博大統領のこうした発言は、朴熹太代表を再び信任する一方で、他の幹部の入れ替えを含む党の人事の刷新に、派閥を超えて積極的に乗り出すよう要請したものとみられます。

・政府は6日の閣議で、アフガニスタンに人道支援として救急車など500万ドル相当の装備を贈るとともに、現地で活動している医療や職業訓練などの要員を増やすことなどを盛り込んだアフガニスタン支援計画を確定しました。外交通商部の当局者は記者会見で、医療や職業訓練などの要員を25人から3倍以上の85人に増やし、任務も医療支援だけでなく職業訓練やテコンドーの指導などに拡大すると明らかにしました。また、こうした活動に備えて年内に病院や職業訓練センターなどの施設を拡充し、来年1月から医療・職業訓練チームが本格的な活動に入れるようにするということです。外交通商部はこのほか、警察用のオートバイ300台や救急車100台など、500万ドル相当の装備を7月末までに現地に送るとしています。これによって、今年から2011年まで3年間に渡って行われる政府のアフガニスタン支援は、当初の3000万ドルから7410万ドルに拡大されます。政府は今回発表した支援計画以外にも、追加の支援を検討していますが、今のところアフガニスタンへの派兵は検討していないということです。

・韓国政府は5日、新型インフルエンザの感染で被害が拡大しているメキシコに支援することを決めている50万ドル相当の救援物資の一部をメキシコ政府に送りました。支援物資は、血液を保管するための冷蔵庫やビニールの衛生手袋など16種類です。この日、メキシコ市でメキシコ駐在の趙煥復(チョ・ファンボク)韓国大使やメキシコ外務省のアランダ次官などが出席して救護物資の伝達式が行われ、アランダ次官は、「インフルエンザの拡大防止に向けた韓国政府の支援と好意に感謝する。韓国の支援は両国間の友好関係をさらに強化するきっかけとなるだろう」と、感謝の意を示しました。

・アメリカで北韓問題を担当しているボスワース特別代表が、7日から6か国協議の参加国である韓国、日本、中国、ロシアを相次いで訪問し、こう着状態が続いている6か国協議の再開などについて協議することになりました。ボスワース特別代表は6日午後に出発して7日に中国を訪れた後、8日に韓国入りし、続いて11日に日本、12日にロシアを訪れ、14日に帰国することになっています。これについてアメリカ国務省のウッド副報道官は5日の記者会見で、「北韓を交渉のテーブルに復帰させるために6か国協議の参加国と協議することが訪問の目的だ」とした上で、「6か国協議は実用的な枠組みであり、北韓はその中で対話に応じる義務がある」とする一方、「今のところ代表団が北韓を訪問する予定はない」と述べました。

・韓国で初めて、国際保護鳥トキのふ化に成功しました。慶尚南道は5日、去年10月に中国から贈られたトキ、「洋洲」(雄)と「龍亭」(雌)のつがいが産んだ卵の人工ふ化に成功したと発表しました。慶尚南道昌寧郡の繁殖施設で龍亭は4月に6つの卵を産んで、そのうち人工ふ卵器で温めていた卵の1つが4日夜にふ化したということです。また、3つの卵は龍亭が直接温めており、今月中旬ごろに自然ふ化するものと見られています。韓国でトキの人工ふ化に成功したのはこれが初めてです。韓国のトキは1978に板門店周辺で見られたのが最後で、今回、産卵に続いてふ化にも成功したことで、今後トキの繁殖に向けて土台を築く一歩になりました。中国からトキを譲り受けたのは、李明博大統領が去年5月、中国を訪問した際に胡錦濤国家主席に要請し、これに応じて胡錦濤国家主席が10月中旬に1つがいのトキを慶尚南道に寄贈していたものです。これを受けて慶尚南道は昌寧郡とともに韓国最大の湿地、昌寧郡牛浦(ウポ)にトキ復元センターを建設し、2人の専門家を中国に派遣してトキの飼育に関する研修を受けさせるなど、準備を進めてきました。一方、慶尚南道は、今回ふ化したトキのひなの名前を全国から募集すると6日明らかにしました。

・イギリスのプロサッカーチーム、マンチェスター・ユナイテッドの朴智星(パク・ジソン)選手が、チャンピオンズ・リーグで初めてのゴールを決めました。朴智星選手は、5日にロンドンで行われたサッカーのヨーロッパ・チャンピオンズ・リーグ(CL)準決勝第2戦で、アーセナルとの試合に先発出場し、前半8分にロナルドの左クロスを押し込んでゴールを決めました。これは、朴智星選手がマンチェスターに入団して以来、チャンピオンズ・リーグで上げた初の得点です。この試合、マンチェスター・ユナイテッドは3対1で快勝し、去年に続いて2年連続で決勝に進出しました。

5月5日火曜日

・海賊対策のためアフリカのソマリア沖に派遣されている韓国海軍の駆逐艦が、海賊に襲われかけた北韓の貨物船を守っていたことがわかりました。韓国軍の合同参謀本部が4日、発表したところによりますと、ソマリア沖のアデン湾で海賊の動きを警戒していた韓国海軍の駆逐艦、文武大王艦(5,500トン)は、韓国時間で4日午前11時40分頃、付近を航行中の北韓の貨物船、「DABAK SOL」号(6399トン)から、「海賊に襲われそうになっている」という無線連絡を受け、搭載している武装ヘリコプターを直ちに派遣し、海賊船に向かって銃撃を加える体制をとって威嚇したところ、海賊船は急に進路を変えて逃走しました。武装ヘリコプターは、貨物船が危険海域を抜け出るまで上空から見守り、北韓の貨物船は無線で感謝の意を韓国側に伝えてきたということです。韓国政府は、海賊対策のためアフリカのソマリア沖に駆逐艦1隻を派遣し、これまでデンマークの船舶を海賊から守る成果を挙げています。

・カナダで語学研修を受けて帰国した女性1人が、新型インフルエンザに感染した疑いがあり、精密検査が行われています。保健福祉家族部が5日発表したところによりますと、去年6月から先月末までカナダで語学研修を受けたあと帰国した、大邱市の20代の女性に、軽い風邪の症状があり、疾病管理本部が1次検査を行った結果、A型インフルエンザの反応が出たため、新型インフルエンザに感染したかどうかを調べています。一方、新型インフルエンザは、各国で感染が新たに確認されて、世界でこれまでに感染した人は21の国と地域で1400人あまりに拡大したことを受けて、韓国の保健当局も防疫体制をさらに強化することになりました。保健福祉家族部によりますと、現在、疾病管理本部のコールセンターが担当していた海外からの入国者に対する電話調査を、今後は、国民健康保険や国民年金公団のコールセンターでも行うことにしました。これらのコールセンターは、帰国後、電話による相談を行ってからウィルスの潜伏期が終わる7日後に再び症状などを電話で確認することになっています。

・国連の潘基文(パン・ギムン)事務総長は北韓に対し、6か国協議への復帰を改めて要請しました。潘基文国連事務総長は4日、ニューヨークの国連本部で開かれた、来年のNPT=核拡散防止条約の再検討会議に向けた最後の準備委員会で、「6か国協議こそ韓半島の非核化のための最善の手段だと信じている」として、北韓に6か国協議への復帰を求めました。しかし、北韓のパク・ドクン国連次席大使は、4日、ロイター通信とのインタビューで、「アメリカと安保理の主要国が北韓に対する敵対視政策を止めない限り、北韓は6か国協議に復帰するつもりはない」と強調しました。

・北韓外務省は、アメリカのオバマ政権に対して、「前のブッシュ政権と違いがない」として、本格的に非難しました。これは、さきのロケット発射をめぐるアメリカの対応に反発を示したものとみられます。北韓外務省の報道官は4日、朝鮮中央通信を通じて、国連の安全保障理事会がロケット発射を非難する議長声明を採択したことについて、「アメリカが強引に行った」などとしたうえで、「今の政権は『変化』や『多国間の強調外交』を唱えたが、気に入らない国を力で抑え付けようとした前の政権と少しも違いがない」として、オバマ政権は前のブッシュ政権と変わらないと非難しました。北韓が、オバマ政権を名指して本格的に非難したのはこれが初めてです。北韓はオバマ政権が発足してから、直接対話を狙っていたもののオバマ政権が期待したとおりには対話に乗り出してこないという失望感があるものとみられます。

・5月5日は、87回目の子どもの日です。韓国は全国的に青空が広がり、各地の行楽地は、家族連れで一日中賑わいました。ソウル市内の漢江市民公園や子ども大公園などでは、子どもたちが参加するゲームやいろいろなイベントが繰り広げられたほか、ソウル歴史博物館や戦争記念館などは小学生以下の入場が無料になりました。一方、李明博大統領は、子どもの日にちなんで、大統領府=青瓦台に、韓国で働く外国人労働者の子どもや両親を亡くした子どもなど300人あまりを招待し、記念行事を行いました。この中で、あいさつした李明博大統領は、「私は大統領を退任した後は環境運動家になるつもりだ」と明らかにするとともに、「子どもたちが勉強を強いられるだけでなく、夢と希望を持って生きていける社会を築き上げるよう頑張っていきたい」と述べました。

・IMF=国際通貨基金は、韓国の一人当たりGDP=名目国内総生産が、5年後の2014年までに、2万ドル台に回復するのは難しいとする展望を示しました。IMFが、世界経済の展望を修正して、このほどまとめた報告書によりますと、韓国は2007年に一人当たりのGDPが2万1,695ドルと、初めて2万ドル台を達成しましたが、去年は、世界的な経済危機で1万9000ドル台に落ち込み、さらに今年は去年の4分の3の水準の1万4,945ドルにとどまる見通しです。この結果、韓国の一人当たりGDPは、IMFが先進国に分類した33か国のうち、2007年は28位でしたが、2008年は31位に、今年は32位に下がるものとみられます。IMFは、韓国の一人当たりのGDPは、来年から回復基調に向かって、2010年は1万5,000ドル台に回復して、その後も回復し、5年後の2014年には1万9000ドルにまで増えるものの、2万ドルの回復は難しいと見ています。一方、IMFは、来年2010年から2014年までの 韓国の物価上昇率は3%で、先進33か国のうち、もっとも高くなるという見通しを示しました。

・景気低迷の影響で、去年は、韓国人の国内旅行も大きく減少したことがわかりました。韓国観光公社が、満15歳以上の男女1万2700人あまりを対象に、旅行の実態について調べた結果、去年、韓国人が国内旅行をした平均回数は6回で、前の年の7.5回よりおよそ20%減っています。

・ソウル市で、中学・高校生を対象に行われていた青少年禁煙教育が、小学生にまで拡大されることになりました。ソウル市教育庁は、中学・高校生を対象に、禁煙について授業などを行う「禁煙先導学校」を募って指定していますが、今年はその対象を小学校にまで広げ、今月中に小学校24校を含む80校を禁煙先導学校に指定することにしています。ソウル市教育庁の関係者は、「喫煙を始める年齢が年々低くなっているため、小学生から禁煙教育を始めざる得ない状況になっている」と説明しています。禁煙先導学校に指定された学校は、正規の授業や特別活動の時間に禁煙教育を行い、1年に2回以上、禁煙教育に対する満足度や喫煙に対する生徒の意識調査をまとめ、教育庁に報告することになっています。

5月4日月曜日

・韓国で初めて新型インフルエンザの感染が確認されて3日目となる4日、新型インフルエンザに感染した疑いがあるという届け出はなく、感染は小康状態に入ったのではないかとみられています。また初めて感染が確認された51歳の修道女は、新型インフルエンザの症状が完全になくなり、4日隔離治療を受けていた国軍首都病院を退院しました。疾病管理本部は4日午前0時現在、新型インフルエンザの感染が確認されたのは退院した51歳の修道女だけで、推定患者は2人、さらに届け出があった28人のうち、18人は陰性であることが確認され、残り10人について検査をしていると発表しました。しかし、3日午後5時以降は感染が疑われるような届け出がないことから、韓国では新型インフルエンザの感染は、小康状態に入ったのではないかという見方が出ています。

・政府は新型インフルエンザの被害が最も大きいメキシコに在住している韓国人同胞のために、 3日、医療支援団を派遣しました。メキシコに派遣された医療支援団は専門の医師と看護師、それに外交通商部の職員の3人で、2週間メキシコに滞在して、新型インフルエンザが疑われる韓国人の確認作業を進めるとともに、医療相談や治療薬の処方などにあたることにしています。メキシコにはおよそ1万3000人の韓国人同胞が在住しており、政府は治療薬のタミフル2000人分をはじめとする呼吸器疾患の医薬品やマスク、予防に向けたパンフレットなどをすでにメキシコ現地に送っています。政府が海外で発生した伝染病をめぐって現地の韓国人のために医療支援団を送ったのは今回が初めてです。

・李明博大統領は今月10日から14日まで、中央アジアのウズベキスタンとカザフスタンを国賓として訪問すると大統領府、青瓦台が4日発表しました。それによりますと、李明博大統領は10日、ウズベキスタンのタシケントに到着し、11日にカリモフ大統領と首脳会談を行って、ウズベキスタンのガス田の開発や空港の近代化事業などについて意見を交わす予定です。李明博大統領は続いて12日に次の訪問国カザフスタンを訪れ、13日にナザルバエフ大統領と首脳会談を行い、石炭火力発電所の事業や地下資源の探査事業など、主にエネルギー資源をめぐる協力について協議し、14日に帰国する予定です。李明博大統領の中央アジア訪問について青瓦台の関係者は「ウズベキスタンとカザフスタンは石油資源だけでなく、ウランや鉄鉱石など各種の鉱物資源が豊富な国で、エネルギーや資源分野での協力を強化することに意義がある」と説明しました。

・ASEAN=東南アジア諸国連合と韓国、中国、日本の財務相会議が3日、インドネシアのバリ島で開かれ、世界的な経済危機に共同で対応するために、アジア各国が外貨不足に陥った際に外貨を融通し合う資金枠を今の1.5倍に増やし、韓国は192億ドルを負担することになりました。ASEAN+3財務相は2月の会議で、アジアの金融市場の安定に向けて、外貨不足などに陥った際に各国が外貨を融通し合う資金枠を、今の800億ドルの1.5倍の1200億ドルに増やすことで合意していましたが、分担金の割合をめぐって日本と中国の主導権争いとなり、最終合意は先送りされていました。今回の会議では各国の分担比率を決めたもので、韓国は全体の16%にあたる192億ドルを負担することになり、中国と日本はそれぞれ32%にあたる384億ドルを、残り20%にあたる240億ドルはASEAN諸国が負担することになりました。

・IMF=国際通貨基金は先進20か国が積極的な景気浮揚策を推し進めるために行過ぎた財政赤字に陥ると警告しましたが、韓国を初めオーストラリア、南アフリカ共和国など一部の国の財政状況は相対的に健全であるという見通しを示しました。IMFの展望によりますと、今年の韓国の財政赤字はGDP=国内総生産対比でマイナス3.2%と、先進20か国の平均であるマイナス6.6%の半分程度にとどまりました。また韓国より財政収支が良くなるとみられるのはブラジル、オーストラリア、インドネシア、南アフリカ共和国の4カ国だけでした。それに対してイギリスは今年マイナス10.2%の財政赤字が見込まれ、日本はマイナス9.4%、アメリカはマイナス9.1%に達するとしています。

・去年、ソウルなどでアメリカ産牛肉の輸入再開に反対して相次いで開かれたろうそく集会が始まってから1年になった2日、ソウル都心で記念の集会が開かれましたが、参加者が警察官と衝突するなどして混乱し、ソウル市の祭り「ハイ・ソウル・フェスティバル」の開幕式が中止になりました。2日午後、ソウル駅前の広場で開かれた集会には警察の推定で600人が集まり、去年、アメリカ産牛肉の輸入再開に反対して始まったろうそく集会から1年になるのを記念する一方、今年1月に龍山区の再開発地域にある雑居ビルで立ち退きに反対して立てこもった住民と警察官が衝突して火災が起き、住民5人が死亡した事件の追悼行事が行われ、参加者は政府の失業者対策などを厳しく批判しました。この後、参加者はソウル都心の光化門に向かってデモ行進に移りましたが、途中で警察の機動隊と衝突し、さらに午後8時頃にはソウル市の「ハイ・ソウル・フェスティバル」の開幕式が行われることになっていた市庁前広場の会場を占拠する事態となり、開幕式と関連イベントは全面中止となりました。これに対して警察は112人を連行し、違法な行為に対しては厳しく処罰する方針を示しました。一方、ソウル市は、激しいデモによって「ハイ・ソウル・フェスティバル」の開幕式などが中止になって受けた被害額が3億7000万ウォンに上るのに加えて、連休中にソウルを訪れた外国人観光客にマイナスのイメージを与えた被害はさらに大きいとして、集会を開いた団体などを相手取って、民事と刑事上の責任を追及するとしています。

・韓国で自動車の登録台数が初めて世帯数を上回りました。韓国自動車工業協会が3日まとめたところによりますと、去年12月末現在、韓国で登録されている自動車は1679万4000台あまりで、統計庁がまとめた世帯数1667万3000世帯を初めて上回りました。韓国の1世帯あたりの自動車登録台数は統計を取り始めた1980年の0.07台から1990年に0.3台に、2000年には0.84台へと増え続けてきました。

・韓国料理の世界化を目指す官民合同の「韓食世界化推進団」が4日、発足しました。「韓食世界化推進団」は閣僚と食品会社の経営者、農民や漁民など36人の委員で作られ、東京で韓国食堂を経営している俳優のペ・ヨンジュンさんや韓国料理のコミックを描いた漫画家ホ・ヨンマンさんも民間委員として参加しました。「韓食世界化推進団」は今後、1年に4回、会議を開いて、韓国料理を産業化するために必要な法律を整備する一方、関係部署が進める事業の進み具合を確認する計画で、今年は韓国料理のうち、ビビンバやキムチ、伝統の地酒などを世界に広く知ってもらうために力を注ぐことになりました。

5月2日土曜日

・韓国で、先月メキシコから帰国した女性が、初めて新型インフルエンザに感染したことが確認されました。保健福祉家族部の疾病管理本部が2日、明らかにしたところによりますと、感染が確認されたのは、ソウル近郊に住む51歳の女性で、カトリックの修道女として、先月19日からメキシコでボランティア活動を行ってから26日に、仁川空港に帰国しました。この女性は帰国する前から発熱やせきなどの症状があり、帰国後は隔離治療を受けていましたが、検体をアメリカの疾病対策センターに送って調べたところ、新型インフルエンザに感染したことが確認されたということです。韓国で新型インフルエンザの感染が確認されたのはこれが初めてです。これによって、韓国はアジアでは香港に次いで感染が確認されたことになり、これまでに世界で感染が確認されたのは16の国と地域で合わせて600人となりました。一方、今回感染が確認された女性を自分の車で空港から宿舎まで乗せた44歳の女性も新型インフルエンザに感染した疑いがあり、ヒトからヒトへ2次感染した可能性が強いとみられています。しかし精密検査の対象になった3人のうち、57歳の男性は、陰性の反応が出て、新型インフルエンザに感染していないことがわかりました。

・韓国政府は、新型インフルエンザの感染による死者が相次いでいるメキシコ政府からの要請を受けて、総額で50万ドル相当の救援物資を送ることを決めました。外交通商部によりますと、国際社会の人道的支援に参加するため、メキシコが要請してきた、マスクや体温計、石鹸など、総額で50万ドル相当の物資を、近く航空便でメキシコに送ることにしました。一方、李明博大統領は、1日、メキシコのカルデロン大統領にお見舞いの書簡を送りました。

・韓国はアメリカ通商代表部が指定する、知的財産保護の監視国から初めて除外されました。アメリカ通商代表部は、アメリカ製品の知的財産権を保護するため、1989年からいわゆる海賊版や偽造品の防止策などが不十分な国を、「監視国」に指定していますが、韓国が監視対象のリストから外されたのは、初めてです。アメリカ通商代表部は報告書で、「韓国ではこれまで知的財産の保護が疎かにされていたが、韓国政府の努力によって、この数年間で相当な改善がなされた」と評価し、今回初めて監視国から外したことを明らかにしました。しかし、通商代表部は、「インターネット上での知的財産権の侵害問題に関しては、今後も綿密に監視していきたい」と警告しています。

・2日朝、韓国南東部の慶尚北道安東(アンドン)付近で、マグニチュード3.8の弱い地震がありました。地震が観測されたのは、慶尚北道安東市の中心部から北東に6キロの所で、2日午前7時58分頃、建物が揺れて商店では陳列台から商品が落ちたということです。また、大邱市や慶尚南道、江原道などでも弱い揺れが感じられました。この後、午後0時28分頃には、安東市付近で、余震とみられるマグニチュード2.6の地震がありました。この地震による被害はありませんでしたが、気象庁は今回の地震が今年に入ってからもっとも強い地震だったとして注視しています。

・韓国を訪れる外国人の数が海外を訪れる韓国人の数を8年ぶりに上回りました。韓国観光公社によりますと、最近のウォン安で海外に出かける韓国人が減っているのに対して、日本や中国から韓国を訪れる観光客が大幅に増えて、今年3月の入国者数は72万4,117人で、韓国人の出国者数70万2,043人を上回りました。

・5月2日は、陰暦4月8日の釈迦誕生日で、韓国では国民の祝日です。ソウルの中心部にある曹渓寺をはじめ、北韓の仏教の総本山とされる平壌の広法寺など、南北の2万あまりのお寺で釈迦の誕生を祝う法要が行われました。このうち、ソウルの曹渓寺の法要には、柳仁村(ユ・インチョン)文化体育観光部長官や呉世勳(オ・セフン)ソウル市長をはじめ、信者1万人あまりが参加しました。この中で、曹渓宗のチクァン総務院長は、「経済危機と疾病などで苦しんでいる隣人のために頑張っている人々がこの世の釈迦である」と諭し、恵まれない人々などへの関心と支援を呼びかけました。またこの法要では南北の仏教界が共同で採択した祈願文が朗読されました。

5月1日金曜日

・韓国で新型インフルエンザにかかった人から感染した2次感染とみられる患者が発生しました。疾病管理本部によりますと、2次感染が疑われているのは、新型インフルエンザにかかった疑いが強いとして推定患者に分類された51歳の女性がメキシコから帰国した際、この女性を自分の車で仁川国際空港から宿舎まで乗せた44歳の女性です。この女性は最近メキシコやアメリカを訪れたことがないため、韓国国内での接触で感染した疑いが強いとみられるということです。また精密検査の対象者のうち57歳の男性も新型インフルエンザにかかった可能性が強いとみられ、1日午前6時現在、韓国で推定患者は3人になりました。疾病管理本部では先月30日までに新型インフルエンザに感染したのではないかと届け出た人は59人で、このうち38人は感染していないことが確認され、18人は検査中で、3人が推定患者に分類されているとしています。

・盧武鉉(ノ・ムヒョン)前大統領は親族が後援者から多額の不正資金を受け取っていた疑惑をめぐり、30日深夜まで検察の事情聴取を受け、疑惑への関与を否定しました。大検察庁中央捜査部は、盧武鉉前大統領の後援者で脱税などの罪で起訴されている企業経営者から盧前大統領の妻や姪の夫などに合わせて600万ドルあまりの不正資金が盧武鉉前大統領の在任中に渡された疑惑について、30日午後、盧武鉉前大統領を大検察庁に呼んでおよそ10時間に渡って事情を聴きました。検察は盧武鉉前大統領が不正資金が渡された事実を知っていれば「包括的収賄罪」にあたるとしていますが、事情聴取の中で盧前大統領は在任中に不正資金が渡されたことは知らなかったと否定しました。盧武鉉前大統領に対する検察の事情聴取は30日夜11時過ぎまで行われ、事情聴取を終えた盧前大統領は報道陣に対し「最善を尽くしました」とだけ述べて、バスに乗り込み、1日午前6時頃、やや疲れた表情で故郷の慶尚南道ボンハ村に帰りつきました。検察は今回の事情聴取で足りないところもあったが、盧武鉉前大統領を再び呼んで事情聴取する計画はないとしており、今後、立件するかどうかなどを慎重に判断することにしています。

・輸出より輸入の減少幅がさらに大きいいわゆる「不況型黒字」によって、先月4月の貿易収支は60億ドルの黒字となり、月別では史上最大となりました。知識経済部が1日まとめたところによりますと、4月の輸出は306億7000万ドルと、去年4月に比べて19%減少したのに対して、輸入は246億5000万ドルと去年の同じ月より36%も減少し、貿易収支は差し引き60億2000万ドルの黒字になりました。これによって貿易収支はこれまで最高だった今年3月の43億ドルの黒字をさらに上まわり、今年1月から4月までの貿易収支の黒字額は95億5000万ドルとなりました。このうち輸入は、コストの下落と需要の減少で原油の輸入額が去年同期に比べて51%も減ったのをはじめ、ガスと鉄鋼製品がそれぞれ49%減りました。一方、輸出は去年同期より減少したものの、今年3月に比べますと26億ドル増えて、去年10月以来、再び300億ドルを超えました。知識経済部のイ・ドングン貿易投資室長は「世界的な景気低迷で、輸出の減少は避けられないものの、為替が安定し、原材料価格も安定しているので、貿易収支の黒字基調は今後も続くと思う」という見通しを示しました。

・北韓当局によって開城工業団地で拘束された韓国企業の社員について、韓国政府が拘束は不当だとして解放するよう求めていることに対して、北韓の朝鮮中央特区開発指導総局は1日、「韓国政府と保守勢力がそのような態度をとれば、事態はさらに厳しくなり、開城工業団地の事業にも役立たないと述べた」と朝鮮中央通信が報道しました。これは今年3月末、北韓にある開城工業団地に勤務していた現代峨山の社員が北韓当局によって身柄を拘束されたもので、北韓当局は拘束の理由について「北韓の政治体制を非難し、北韓の女性従業員を変質・堕落させて脱北を企てたためだ」と主張し、韓国政府による面会や弁護権などの要求を拒否しています。これについて朝鮮中央通信によりますと、北韓は「現代峨山の社員は開城工業団地に入ってきてわれわれの尊い体制を悪意を持ってこきおろし、北韓の自主権を侵害し、法律に反する行為をした」として「現在、該当機関で捜査をさらに進めている」と主張しており、この社員の拘束はさらに長期化することを示唆しました。韓国政府は拘束されている社員に対して北韓が面会や弁護権を認めていないことから、この問題を近く国連に提起する計画です。

・アメリカのクリントン国務長官は北韓が6か国協議に復帰する可能性は低いとする悲観的な見通しを示し、6か国協議の代案を模索していることを示唆しました。クリントン国務長官は韓国時間で1日、アメリカ議会上院歳出委員会の公聴会に出席し「北韓が6か国協議に復帰することは不可能ではないが、今の時点では実現可能とは思わない」と述べ、6か国協議が近く再開される可能性について悲観的な見通しを示しました。クリントン国務長官はそのうえで「北韓は自らの墓穴をさらに深く掘っている」と述べて、強硬な態度を続けている北韓を強く非難するとともに、アメリカは重油の提供を含め北韓に経済支援を行う意思がないことを強調しました。これに関連してアメリカ政府は、来週にも北韓の核問題などを担当するボスワース特別代表を中国などアジアに派遣し、中国政府に対して北韓に核開発計画を断念させるため働きかけを強めるよう要請するとみられており、その結果によってアメリカの北韓に対する政策が変化する可能性も出ています。

・ソウルの地下鉄の駅に通話はもちろん情報も検索できる無料のインターネット公衆電話が6月から取り付けられることになりました。ソウル地下鉄の1号線から4号線を経営している「ソウル・メトロ」は今年6月から主な駅117か所の構内にインターネット公衆電話900台を段階的に取り付けると30日発表しました。このインターネット公衆電話は、国内電話と国際電話を無料でかけることができるうえ、地下鉄の運行情報や周辺地域の情報などをタッチスクリーン方式で検索することができ、さらに映画チケットの予約や電子メールの確認なども可能だということです。ソウル・メトロの関係者は、「無料インターネット電話が設置されると、これまでの公衆電話はだんだん姿を消していき、地下鉄の駅は新たなカルチャーが楽しめる空間に様変わりすると期待される」と話しています。