2008年ニュース

6月28日土曜日

・アメリカのライス国務長官が韓国を訪れ、「アメリカ産牛肉に対する韓国国民の信頼が回復するまでは、生後30カ月以上の牛肉は輸出しない」と語りました。ライス国務長官は、日本で開かれたG8外相会議への出席を終えて28日、2日間の日程で韓国入りし、柳明桓(ユ・ミョンファン)外交通商部長官とおよそ1時間にわたって韓米外相会談を開きました。会談の後、ライス国務長官は記者団に対して、「アメリカ産牛肉の輸入再開に向けた新しい輸入衛生基準を両国が合意した。アメリカ産牛肉に対する韓国国民の信頼が回復することを期待している。韓国国民の不信感が一掃されるまでは生後30カ月以上の牛肉は輸出しないという合意事項を守りぬくよう努力する」と述べ、今後とも牛肉問題で韓国と緊密に協力していく考えを示しました。その上でライス長官は、「われわれの共同の目標は、韓米FTA=自由貿易協定を批准することだ」と語り、FTA批准に対する強い意思を示しました。

・北韓は、今回中国に提出した核申告書の中で、核兵器7個を製造できるプルトニウムの抽出量を申告したと、アメリカのCNN放送がアメリカ国務省の情報として27日、明らかにしました。それによりますと、北韓は60ページにわたる英語による申告書を提出し、この中で40キロのプルトニウムを抽出したと報告したということです。これは核兵器7個を製造できる量だと、CNNは報じています。こうした中でアメリカ国務省は、北韓の申告内容についての検証方法などを話し合う6カ国協議を早ければ週明け30日にも再開する可能性を示唆しました。アメリカ国務省のケーシー副報道官は27日の定例会見で、「6カ国協議は極めて早い時期に再開されるだろう。できれば30日の月曜日にも開かれることを期待する」と語りました。北韓の核問題をめぐる6カ国協議は、去年9月末以来中断したままになっており、6カ国協議が再開されますと、北韓が提出した核申告書の内容をどのように検証するかや、まだ半分しか行われていない使用済み核燃料棒の抜き出し作業、そして未使用の核燃料棒をどう処理するかなどについて論議が行われるものとみられます。

・27日午後、北韓の寧辺(ヨンビョン)で行われた5000キロワット黒鉛減速炉の冷却塔を爆破する費用としてアメリカが250万ドルを提供したと、ニューヨークタイムズが複数のアメリカ政府高官の情報として、28日、報道しました。それによりますと、冷却塔の爆破費用として北韓は500万ドルかかると主張し、アメリカはその半分の250万ドルを支給したということです。AFP通信も、名前を明かさないアメリカの政府関係者が、冷却塔を爆破する費用として250万ドルを支給したとする報道内容を確認したと伝えました。

・日本の京都で開かれていたG8外相会議は、北韓に対してすべての核兵器と核計画を放棄するよう求めるとともに、日本人拉致問題の早期解決を要求する議長声明を採択しました。

・潘基文国連事務総長は、就任後初めて韓国、日本、中国の3カ国を訪問するため28日未明、ニューヨークを出発しました。潘基文国連事務総長の北東アジア3カ国訪問は、日本の北海道洞爺湖サミットへの出席に合わせて行われるもので、まず東京で福田首相と会談し、続いて北京に移動して胡錦涛国家主席と会談することになっています。潘基文総長は続いて来月3日に韓国入りし李明博大統領をはじめ政界や財界の関係者、さらに大学生など各界の関係者と会って国連の活動に対する協力と支援を求めることにしています。潘基文事務総長は出発前にニューヨークで韓国の記者団と会見し、「1年半ぶりに故国を訪問することになり嬉しい。韓国は国際舞台で経済発展と民主化を同時に成し遂げた模範的な国として評価されており、それに見合う国際的な寄与が求められている」として、韓国に対してより積極的な国際援助を求めました。

・ソウル地方警察庁は、アメリカ産牛肉の輸入再開に反対する抗議集会を主催しているBSE国民対策会議のパク・ウォンソク共同状況室長ら8人について、27日、集会とデモに関する法律に違反した疑いで、裁判所から逮捕状を取りました。8人は、アメリカ産牛肉の輸入再開に反対する大規模な抗議集会を、警察に届け出ないまま先月13日から連日開催し、市民を扇動して道路を占拠した疑いで先月から警察への出頭命令を受けていましたが、これに応じなかったということです。このためソウル地方警察庁は、できるだけ早く8人を逮捕して厳重に処罰する方針です。これに対してBSE国民対策会議は、「ソウル中心部でのろうそく抗議集会を主導した関係者を逮捕して集会をできなくするための政治的攻勢だ」として強く反発し、28日午後5時からアメリカ産牛肉の輸入再開に向けた輸入衛生検疫基準の告示撤回を求める抗議集会を徹夜で開くことにしています。アメリカ産牛肉の輸入再開に反対する抗議集会は、27日夜もソウル中心部で開かれ、警察の推計で4000人、主催者側の発表で4万人あまりが参加しました。集会によるけが人などはありませんでしたが、警察は解散命令に従わなかったとして20人あまりを連行しました。

・韓国、日本、中国、台湾の遠洋漁業団体は27日、東京で会合し、マグロなど遠洋漁業の操業を当面中断することで合意しました。これら4カ国の漁業団体は、燃料価格の高騰によって採算性がますます悪化し、操業を続けることが困難だとして、連携して休漁することを決議しました。休漁の時期や期間は各国の団体の決定に委ねることにし、燃料価格高騰による経営の窮状を各国の政府に訴える一方、減少傾向にあるマグロ資源の回復を目指すことにしています。

・超高速インターネットとともに、映画など多様な番組をいつでも見れる、インターネットとテレビが融合したIPTV(Internet Protocol Television)事業に、今後は資産規模10兆ウォン未満の大企業も進出できることになりました。放送、通信、インターネットなどの政策を総括する行政機関の放送通信委員会は、27日、こうした内容を骨子とするIPTV事業法の施行令案を決めました。現行の放送法では資産規模3兆ウォン以上の大企業は報道チャンネルや総合編成チャンネルを持つIPTVの株を一切所有できないようになっていますが、新しい施行令案は、資産規模を大幅に緩和して10兆ウォン未満の大企業は株を所有できるようにしています。放送通信委員会は、この施行令案が来月の閣議で認められた後、8月中に事業者を選定し、年内にはIPTVのサービスを始める計画です。

・2010年の南アフリカ大会への出場を目指すサッカーワールドカップのアジア最終予選の組み合わせ抽選が27日、マレーシアのクアラルンプールで行われ、韓国は中東の強豪、イラン、サウジアラビア、UAE=アラブ首長国連邦、そして北韓とともにB組に入り、大会出場への道のりは厳しいものとなりました。

・韓国のアカデミー賞といわれる第45回大鐘賞の授賞式が27日、ソウルCOEXで行われ、連続殺人事件の犯人と、その犯人を追う元警察官の手に汗握る追撃シーンを描いたスリラー映画「追撃者」が最優秀作品賞など5部門に輝きました。

・ソウルの漢江河原にある6つの野外プールが28日、一斉にオープンし、夏本番を迎える態勢が整いました。料金は子ども3000ウォン、大人5000ウォンで、今年からは携帯電話のプリペイド機能でも入場料が払えるようになり、8月25日までのおよそ2カ月間、午前9時から午後8時まで利用できます。

6月27日金曜日

・北韓は26日に核計画の申告書を提出したのに続いて、27日午後5時過ぎに寧辺の原子炉の冷却塔を爆破しました。北韓は冷却塔の爆破を公開するため、韓国のMBCテレビやアメリカのCNNなど、6カ国協議の関係国のマスコミを招待しました。招待された各社は爆破作業を撮影した映像を平壌から衛星を使ってそれぞれの国に伝送し、韓国ではMBCが今夜放送することになっています。一方、アメリカ国務省のソン・キム韓国課長とポール・ヘンリー国家安全保障会議中国課長が爆破作業を見守りました。冷却塔の爆破は、6カ国協議で合意した核施設の無能力化には含まれていませんが、北韓が非核化へ向けた意志を間接的に表明する象徴として評価されています。

・アメリカは北韓が核計画の申告書を提出したこと受けて、北韓のテロ支援国指定を解除するための手続きを始めました。ブッシュ大統領は26日の記者会見で、北韓は過去6カ月間テロに加担したり支援したりしていないので、テロ支援国指定の解除に必要な条件を満たしているとして、北韓に対するテロ支援国指定を45日後に解除する方針を議会に通告したと述べました。アメリカ議会が45日以内にテロ支援国指定解除に反対する法案を成立させなければ、8月11日に北韓は正式にテロ支援国のリストから除外されます。また、北韓に対する対敵国通商法の適用は、27日午後に解除されました。一方、アメリカ議会の指導者や、次期大統領候補の民主党のオバマ上院議員と共和党のマケイン上院議員は、北韓が核計画の申告書を提出したことを重要な進展だと評価しましたが、北韓に対する制裁の解除については慎重な姿勢を示しました。

・政府がアメリカ産牛肉の輸入衛生検疫条件の告示を官報に掲載したことを受けて、京畿道内の冷凍倉庫でアメリカ産牛肉の検疫作業が始まりました。国立獣医科学検疫院は27日、検疫担当者を京畿道内にある9カ所の冷凍倉庫に派遣し、午前10時からアメリカ産牛肉の検疫作業を始めました。これらの牛肉は去年10月に輸入されていたもので、当時、骨のかけらなどが発見されたため検疫せずに冷凍倉庫に保管されていました。アメリカ産牛肉の検疫は、全体の3%に当たる牛肉を抽出してサンプル検査し、X線で骨などの異物が含まれていないかどうかを確認します。去年10月に検疫が中断されて以来、冷凍倉庫で足止めされているアメリカ産牛肉は合わせて5300トンあまりで、全ての検疫が終わるまでには少なくとも3日はかかる見通しです。

・「民主社会のための弁護士の集い」は26日、政府がアメリカ産牛肉の輸入衛生検疫条件の告示を官報に掲載したことを受けて、告示の効力停止を求める仮処分を憲法裁判所に申請しました。民主社会のための弁護士の集いは、政府が立法予告などの手続きを経ずに新しい輸入衛生検疫条件の告示を官報に掲載したのは、行政手続法と法制業務運用規定に明白に違反しており、WTO=世界貿易機関の衛生検疫協定に示されている立法予告の規定にも違反しているとしています。民主社会のための弁護士の集いはすでに新しい輸入衛生検疫条件が国民の健康を害するなど違憲だとして憲法裁判所に違憲の審判を請求していますが、政府が官報への掲載を強行したため、憲法裁判所の判断が出るまで効力を停止させる必要があるので申請したということです。

・政府がアメリカ産牛肉の輸入を再開する手続きである新しい衛生検疫条件の告示を官報に掲載したことを受けて、ソウル市内では26日夜、警察の推計で3000人、主催者側の発表で5万人あまりが集まって、抗議集会を開きました。ソウル市庁前広場で集会を終えた参加者は夜8時ごろ、大統領府青瓦台に向けてデモ行進を始め、警察は青瓦台に通じる道路にバスを停めて封鎖し、放水してデモ隊を解散させようとしたため、デモ隊と警察の機動隊との間で衝突が相次ぎました。この日の集会には野党の民主労働党の国会議員10人も参加し、政府が新しい輸入衛生検疫条件の官報への掲載を強行したとして抗議し、警察がデモ隊を強制的に鎮圧しているとして抗議しました。

・27日のソウル株式市場は、原油の国際価格が1バレル140ドルを超え、前日にニューヨーク株式市場のダウ指数が3%以上下落したことを受けて、総合株価指数が一時1669ポイントまで落ち込むなど急落しましたが、午後になってやや持ち直し、前日より33.21ポイント下落した1684.45ポイントで取り引きを終えました。総合株価指数は3月17日に1574.44ポイントと今年に入って最安値を記録し、3月28日に再び1700台を回復しましたが、3カ月ぶりで再び1700台を割りました。

・外国人投資家が保有している韓国の上場債権が史上初めて50兆ウォンを超えました。外国人は今年に入って韓国の上場債権を21兆8023億ウォン買い越し、6月だけでも1兆8000億ウォンを買い越しました。外国人はこれで28カ月連続で韓国の上場債権を買い越しています。

・労働者の最低賃金を決める最低賃金委員会は27日未明、来年適用される最低賃金を時給で4000ウォン、8時間を基準とした日給を3万2000ウォンに決めました。時給4000ウォン、日給3万2000ウォンの最低賃金は、今年の最低賃金に比べて6.1%引き上げられていますが、最近5年間の平均引き上げ率10.6%より低くなりました。

・李明博大統領は、大統領に助言する国際諮問委員として慶応大学教授で日本経済研究センター特別顧問の竹中平蔵氏を委嘱したと、大統領府青瓦台が26日発表しました。李明博大統領は、公共企業の構造改革などを進めて民営化を図ろうとしていますが、日本の小泉政権で郵政民営化などに携わっていた竹中教授を助言役の国際諮問委員として委嘱したものです。

6月26日木曜日

・北韓が6か国協議の合意に基づく核開発計画の申告書を26日、議長国の中国に提出しました。中国外務省は、韓国時間で26日午後6時に緊急記者会見をして、「北韓が核開発計画の申告書を提出し、これを受けてアメリカは、北韓に対するテロ支援国家指定解除の手続きに着手することで合意した」と明らかにしました。一方、アメリカのブッシュ大統領は韓国時間の今夜8時半に、北韓の核問題に関する声明を発表する予定だと、ロイターテレビが伝えました。北京の外交関係者によりますと、北韓が提出した申告書は、50ページから60ページで、北韓がこれまでに生産したプルトニウムの抽出量や寧辺の原子炉の稼動記録などが盛り込まれるものの、核兵器については含まれていないということです。また、申告をめぐって焦点となっていた▼高濃縮ウランによる核開発、▼シリアの核開発への技術協力については、シンガポールで行われた米朝協議で合意した通り、申告書とは別の文書に盛り込まれるもようです。これに先立って、北韓の高官は韓国時間で26日午後3時半に中国外務省に到着し、関連書類を6カ国協議で中国の主席代表を務めている武大偉外務次官に直接手渡しました。一方、北韓は、27日に寧辺(ヨンビョン)にある原子炉の冷却塔を爆破することにしており、これにはアメリカから、国務省のソン・キム韓国課長が政府代表として立ち会うことにしています。

・アメリカ産牛肉の輸入再開をめぐる追加交渉の結果を反映させた新しい輸入衛生検疫条件の告示が、26日、官報に掲載されて発効し、来週にもアメリカ産牛肉が市場に流通する見通しとなりました。官報に掲載された告示の内容は、輸入衛生検疫条件の本文はこれまでと同じですが、追加交渉で合意した内容が附則として付け加えられ、▼生後30カ月未満の牛肉をアメリカ政府が間接的に保証する ▼脳や目、せき髄、頭蓋骨などの部位は輸入を禁止する ▼韓国政府はアメリカの輸出業者の作業場から食品の安全にかかわる危険物が2回以上発見された場合は作業場の中断を要請できるなど韓国の検疫主権を強化するとなっています。これを受けて、検疫当局は去年10月から中断していたアメリカ産輸入牛肉の検疫を再開します。検疫当局は27日から、すでに韓国に輸入されていたものの国内の倉庫やコンテナに山積みされていた牛肉5,300トンの検疫を始めることにしており、これらの牛肉は来週にも市場に流通する見通しとなりました。また新しく輸入されるアメリカ産牛肉は、来月末か8月初めから市場に出回るものとみられます。

・政府がアメリカ産牛肉の輸入再開に向けた新しい輸入衛生検疫条件の告示を官報に掲載したことを受けて、野党はいっせいに反発し、告示の無効を求めて、憲法裁判所に訴えを出すことにしています。最大野党統合民主党は、26日、国会で会議を開き、「きょうは政府が国民主権をあきらめた国の恥になる日だ」と非難したうえ、「政府が立法予告の原則を守らず、告示内容を官報に掲載したことは、法治主義を侵した行為だ」として、政府による告示の無効を求めて憲法裁判所に訴えを出すことを決めました。また自由先進党も、政府による告示の無効を求めて憲法裁判所に訴えを出すなど、法的対応のほか、韓国とアメリカの追加交渉の内容についての国民投票を提案することも検討しています。民主労働党は、26日、大統領府=青瓦台前で記者会見し、今後、大統領の信任を問う運動を繰り広げることを明らかにしました。

・政府が、アメリカ産牛肉の輸入を再開する手続きである輸入衛生検疫条件の告示を官報に掲載することを決めた25日に、ソウルの都心で開かれた抗議集会の参加者の一部が夜から翌朝にかけて過激な行動に出て、これまでで最も多いおよそ130人が警察に連行されました。アメリカ産牛肉の輸入再開に反対する国民の抗議集会は25日もソウルの都心で開かれ、警察の推計でおよそ5000人が参加しました。集会では、「アメリカ産牛肉の輸入再開に向けて、政府が輸入を進める手続きを決めたのは、国民に対する宣戦布告だ」として、改めてアメリカと交渉をやり直しするよう強く求めました。参加者たちは集会の後、大統領府=青瓦台に向かおうとして警察の機動隊ともみ合いになりました。この間、警察は放水銃を撃つなどして鎮圧に乗り出し、過激な行動をとった134人を連行しました。

・民主労総=全国民主労働組合総連盟は26日、政府がアメリカ産牛肉の輸入再開に向けた新しい輸入衛生検疫条件の告示を官報に掲載したことに反発し、全国17の冷凍倉庫に組合員を待機させて、アメリカ産牛肉の出荷を阻止する行動に乗り出しました。このうち、釜山港カムマン埠頭周辺では、民主労総の組合員150人がトラックなどで道路を占拠してコンテナの運行を阻止したため、警察官との激しいもみ合いとなり、過激な行動をとった貨物連帯の委員長ら2人が警察に連行されました。

・韓国と日本のEPA=経済連携協定の締結に向けた交渉再開について話し合う両国の実務者協議が25日、東京で開かれましたが、交渉の日程を決めることはできませんでした。日本の外務省の高官が明らかにしたところによりますと、この協議で、両国はEPA=経済連携協定の締結に向けた交渉再開の日程を決める予定でしたが、それぞれの貿易データを交換するだけにとどまり、今後は外交チャンネルを通じて、接触していくことにしたということです。今回の実務者協議は、今年4月に東京で行われた韓日首脳会談の合意を受けて開かれました。

・パスポートの偽造を防ぐため、顔写真や指紋などの情報を認識させたチップを組み込んだ電子パスポートが、今年8月25日から全面的に実施されます。外交通商部によりますと、去年、国会で成立した電子パスポート法にもとづいて、これまで公務員にだけ発給していた電子パスポートを、今年8月25日から一般国民にも発給するということです。電子パスポートは、申し込む人の顔写真や指紋を、発給する機関が直接とるようになるため、今後は、旅行会社などが代行する方法は廃止されます。

・100万ドル、およそ10億ウォン以上の資産を持つ「百万長者」が、韓国には11万8千人いることが分かりました。アメリカ証券大手のメリルリンチとフランスのコンサルティング会社・キャップジェミニが26日発表した「世界資産調査2007年版」によりますと、韓国の百万長者は前の年より18.9%多い11万8千人でした。伸び率で、韓国は、経済成長が著しい新興国のインド、中国、ブラジルに次いで4位となっています。

6月17日火曜日

・アメリカ産牛肉の輸入再開に向けた韓国とアメリカの3回目の追加交渉は、当初行われると見られていた韓国時間の16日から17日夜に延期され、合意を目指して詰めの交渉が行われます。延期された理由について、アメリカ駐在の韓国大使館の関係者は、具体的なことには触れず、準備作業に時間がかかっているためだとしています。アメリカ産牛肉の輸入再開をめぐっては、国民の間で反発が強まり、ソウル市などで連日抗議集会が開かれている事態を受けて、政府が派遣した外交通商部の金宗フン(キム・ジョンフン)通商交渉本部長が14日からワシントンで、アメリカ通商代表部のシュワーブ代表と輸入条件をめぐる追加交渉に入りました。これまで行われた2回の交渉で双方は、BSE=牛海綿状脳症の危険性が高いとされる生後30カ月以上の牛肉を韓国に輸入しないようにするため、両国の輸出入業者が自主規制する方法をとることで原則的に一致しましたが、自主規制の効力を高めるため両国政府がこれを保証する方法については双方の意見が分かれ、交渉は難航していました。このため、金宗?本部長ら韓国代表団は、技術的な問題をさらに検討する必要があるとして、15日に一たん韓国へ戻ることにしたところ、アメリカ側が交渉を続けるよう要請していました。

・民主労総=全国民主労働組合総連盟は、アメリカ産牛肉の輸入再開に反対して来月2日から全面ストライキを行うことを明らかにしました。民主労総は17日に記者会見し、組合員63万人のうち51万人を対象に、アメリカ産牛肉問題など政治的な懸案をめぐって全面ストライキの賛否を問う投票を行ったところ、半数以下の27万人が投票に参加し、このうち70%にあたるおよそ17万人が賛成したため、来月2日に全面ストライキを実施することを明らかにしました。しかし、ストライキに賛成したのは投票対象者全体の32%に止まったため、民主労総がストライキを強行すれば、過半数以上の賛成がない場合はストライキを認めていない現行の労働法に違反することになります。民主労総では、今回のストライキは国民の生存権を守るための政治的なストライキで、違法とみなすことはできないとして、2日のストライキを強行する姿勢を崩していません。これに対して労働部は、労働条件の改善と関係のない政治ストライキは違法だとして厳正に対処することにしています。

・アメリカ産牛肉の輸入再開に反対する連日の抗議集会を主催しているBSE国民対策会議は、16日にソウル市庁広場で公共放送の民営化に反対する新しいテーマを掲げて抗議集会を開きました。BSE国民対策会議は、抗議集会のテーマを、アメリカ産牛肉の輸入再開への反対だけでなく、公共放送の民営化や韓半島大運河の建設など李明博政権が進める代表的な5つの政策に拡大し、1日に1つのテーマに絞って集会を開いていくとしていました。16日に開かれた集会には警察の推計でおよそ800人が集まり、新たに掲げたテーマである公共放送の民営化について意見が交わされ、監査院が公共放送のKBSで行っている特別監査に対して「公共放送の政治的中立性を損ねる政府の言論弾圧だ」などと批判しました。

・大型トラックの運転手などで組織している全国運輸産業労働組合貨物連帯のストトライキは5日目に入りましたが、運送費の引き上げなどをめぐる政府や運送会社との交渉は難航しており、コンテナなどの運送が全国的にまひするなど、影響はますます拡がっています。政府と貨物連帯は16日夜も、運送費の基準となる標準運送料制の導入時期やこれに違反した荷主に対して処罰するかどうかなどをめぐって交渉を行いましたが妥結には至らず、貨物連帯と運送会社との交渉でも、運送会社が運送料を距離に応じて9〜13%引き上げるとしたのに対して、貨物連帯は35〜40%の引き上げを要求し、交渉は決裂しました。こうした中、コンテナなどの運送が全国的にまひ状態になり、製品の出荷ができなかったり、原料の供給が遅れたりして工場の稼動を中断または短縮する製造業者が相次いでいます。

・政府は17日の閣議で、原油高の総合対策を進める財源と、公共交通網の拡充などに向けて4兆9000億ウォンの追加予算案を議決しました。閣議で議決された追加予算案は、国会の承認を経て最終的に決まりますが、新しい議員の任期が始まった第18代国会は、野党側が政府にアメリカ産牛肉の輸入再開をめぐる再交渉を求めて登院を拒否しているため、開かれる目途は立っていません。

・経済社会活動で重要な役割を担っているインターネットの発展方向を話し合うOECD=経済協力開発機構の閣僚会議が17日から2日間の日程でソウルで開かれています。「インターネット経済の未来」というテーマで韓国とOECDが共同で主催して開いたこの会議には、世界42カ国の閣僚をはじめ、国際機関の関係者やグローバル企業の経営最高責任者など2500人が参加しました。開幕式に出席した李明博大統領は歓迎の挨拶で、「インターネット先進国の韓国は今、インターネットの力が爆発的に発揮されており、インターネットの持つ有益さと悪影響を共に経験している」と述べました。さらに李明博大統領は、ネット取引の信頼度を高めるため個人や国レベルで対応する体制を築く必要性を強調し、OECDがインターネットのセキュリティー保護に向けた国際的な協力体制を設けるよう促しました。会議では、今後10年間の世界のインターネット経済の流れを展望することになっており、その成果は18日に「ソウル宣言」として発表される予定です。

・大型スーパーチェーンのホームエバーで、アメリカ産牛肉をオーストラリア産牛肉と偽って販売した業者が15日摘発されました。国立農産物品質管理院によりますと、今回販売されたアメリカ産牛肉は、去年10月にアメリカ産牛肉から背骨がみつかって輸入が中断される前に輸入されたもので、仁川広域市所在のホームエバー・クウォル店に出店している精肉業者が、賞味期限が残りわずかとなった牛肉を処分するため、倉庫に保管していた牛肉60キロのうちおよそ10キロを解凍してオーストラリア産と表示して販売したということです。韓国では、連日アメリカ産牛肉の輸入再開に反対する抗議集会が開かれており、政府は対策の一つとして、国内で流通する牛肉の原産地を徹底して表示することを約束しましたが、その効力に疑問の声が高まっていました。こうした状況の中で、業界2位のスーパーチェーン店で原産地の表示を偽っていたことがわかり、今後牛肉の安全性に対する国民の不安がますます高まるものとみられます。

6月14日土曜日

・アメリカ産牛肉の輸入再開に抗議する国民の集会が続いている中で、アメリカを訪れている外交通商部の金宗?(キム・ジョンフン)通商交渉本部長は、韓国時間で14日、ワシントンで通商代表部のシュワーブ代表と会い、BSEの危険性が高いとされる生後30カ月以上の牛肉の輸入禁止などについて協議しました。この日の協議は2時間半にわたって行われ、韓国側はアメリカ産牛肉の輸入再開が決ってから続いている国民の抗議集会など韓国の状況を説明しました。韓米両国は、この問題の解決策として、両国の牛肉の輸出入業者が生後30カ月以上の牛肉について自主規制する方法で輸出入を制限し、両国政府がこれを保証する方向で相互の意見を調整しました。韓国側はこの席で韓国に輸出されるアメリカ産牛肉について、アメリカ政府が生後30カ月未満であると証明するよう要請したのに対して、アメリカ側は国際的な通商ルールに反する可能性があるとして憂慮を示したものとみられてます。韓国とアメリカは14日も協議を続けて、解決策を見出すことにしています。

・アメリカ産牛肉の輸入再開に反対する抗議集会は13日に続いて週末の14日も大規模に行われることになっています。13日は2002年に韓国駐留アメリカ軍の装甲車に轢かれて死亡した2人の女子中学生の6周忌にあたり、ソウル都心で開かれた集会には、警察の推計で1万5000人が参加しました。一方、保守団体の「自由市民連帯」と、ベトナム戦争に参戦した兵士らで作っている「枯葉剤戦友会」のメンバーらおよそ7000人がソウル駅広場で、これまでの市民による抗議集会に反対する集会を開いた後、デモ行進し、この間、一部が抗議集会の参加者ともみ合いになりました。14日は、抗議集会の会場で焼身自殺したイ・ビョンヨルさんの追悼行事が行われ、午後には民主労総=全国民主労働組合総連盟の労働者が非正規職の撤廃を求める集会を行った後、夕方の抗議集会に合流することにしており、週末の14日もアメリカ産牛肉の輸入再開に反対する集会は、ソウルをはじめ全国で行われる予定です。

・燃料費の高騰にともなって運送料を引き上げるよう求めて大型トラックの運転手などで組織している全国運輸産業労働組合貨物連帯が行っているストライキは14日、2日目を迎え、貨物の運送に支障が出始めています。国土海洋部が集計したところによりますと、ストライキに参加した車両は港湾や物流基地で9000台など全国で合わせて1万3000台を上まわっています。このためほとんどの港湾やコンテナ基地ではコンテナの輸送量が普段の半分にまで落ち込んでいます。政府は軍のコンテナ輸送車を投入するなど非常体制を講じていますが、今回のストライキには貨物連帯に加入していない運転手も参加しているため、影響はさらに広がるものとみられます。政府と貨物連帯は14日に、貨物連帯が求めている運送料の引き上げなどについて交渉を行う予定ですが、互いの意見の隔たりは大きく、難航するものとみられています。

・韓国、中国、日本3カ国の外相会談が14日、東京の外務省で行われ、北韓の核問題をはじめとする北東アジア情勢などで意見を交わす予定です。3カ国の外相会談には韓国の柳明桓(ユ・ミョンファン)外交通商部長官、中国の楊潔(ヨウ・ケツチ)外相、それに日本の高村正彦外相が出席し、北東アジア情勢をはじめ、3カ国の外相会談を定例化することや今年9月に予定される韓中日首脳会談の日程と議題、それに中国四川省で起きた大地震をきっかけに災害防止に向けた協力などについて意見を交わすことにしています。柳明桓外交通商部長官は14日、出発に当たって「北韓の核問題は3カ国の主な懸案ではないが、重要な課題なので、論議を交わすことができると思う」と述べました。

・新政権が発足する直前の今年1月、盧武鉉前大統領の関係者が大統領府、青瓦台からコンピューターを通じて、200万件を超える内部資料を持ち出したという疑惑が出ていることについて、政府は13日、盧武鉉前大統領に公式の文書を送り、資料が保管されているサーバーがハッキング=不正にアクセスされる恐れがあるとして、インターネットとの接続を遮断するとともに、資料を返すよう要請しました。行政安全部傘下の国家記録院によりますと、盧武鉉前大統領が退任後、故郷の慶尚南道ボンハ村に持ち出された電子文書には、国防・外交関係の国家機密も多数含まれているということです。盧武鉉前大統領は200万件を超える青瓦台の資料を私邸に移し、30億ウォンをかけてインターネットの運用システムを作っており、それらを基盤に今後、政治に関する討論サイトを開設して、インターネット・ユーザーと政治的なテーマについて直接討論する場を設ける計画を進めているということです。これについて盧武鉉前大統領側は、保管されているコンピューター・システムは外部からハッキングができないようにしていると安全性を強調し、資料の持ち出しは今の政権の理解と同意を得て行ったとして、資料を返すつもりがないことを明らかにしました。これに対して青瓦台の関係者は「盧武鉉前大統領側から資料の持ち出しについて要請を受けたことも、同意したこともない」と述べています。

・2010年に南アフリカ共和国で開かれるサッカーのワールドカップ、アジア3次予選のうち韓国と北韓の試合は、予定通り今月22日にソウルで開かれることになりました。ホーム&アウェー方式で行われるアジア3次予選で、北韓は今年3月に北韓で行うことになっていた試合で、韓国の国旗の掲揚と国家の演奏を認めなかったため、FIFA=国際サッカー連盟の仲裁で会場を中国の上海に変更して試合が行われていました。そして今月22日のソウルでの試合について、北韓は先の実務者協議で、北韓選手団の安全が憂慮されるとして会場を第3国か済州島に変えるよう要請していました。これに対して韓国は、選手団の安全に問題はなく、入場券の販売も始まっているとして、会場の変更はできないと伝えていました。こうした中、大韓サッカー協会は14日、北韓が予定通り22日の午後8時からソウル・ワールドカップ競技場で試合を行うため、19日に韓国入りすると連絡してきたと発表し、南北が対戦するサッカーのAマッチは1990年10月の親善試合以来、17年8カ月ぶりにソウルで開かれることになりました。

・北韓を脱出して韓国に定着している人の5人に4人は、韓国社会の熾烈な競争がつらいと感じており、そのため「むしろ北韓での生活がよかった」と思う人が5人に1人の割合になっていることが分かりました。キリスト教の実践神学大学院が脱北者444人を対象に行ったアンケート調査によりますと、「韓国社会での熾烈な競争が非常につらい」と答えた人は80%に上りました。また「むしろ北韓での生活が良かったと思う」と回答した人も18%いました。

・来週19日に開幕するモスクワ映画祭で、韓国の林権澤(イム・クォンテク)監督の特別回顧展が開かれ、林権澤監督の映画12本が上映されることになりました。ロシア駐在韓国文化院などによりますと、林権澤監督の回顧展はモスクワ映画祭が開幕する翌日の20日からモスクワ芸術劇場で開かれ、上映される作品は1978年の「族譜」、86年の「シバジ」、93年の「西便制〜風の丘を越えて」、そして去年公開された「千年鶴」など、70年代から最新作までが網羅されています。

・今年2月、放火によって焼け落ちた国宝1号の崇禮門(スンレムン)、通称、南大門で13日、復元に向けた発掘調査が始まりました。文化財庁は崇禮門の火災の後、現場で焼け残った木材などを一つ一つ収拾する作業を終え、13日は発掘に先立って20人あまりの関係者が出席し、良い成果が得られるよう祈願する祭祀を執り行いました。イ・ゴンム文化財庁長は、この席で「発掘作業ではもとより1.6メートル高い崇禮門の地盤を確認するとともに、城郭につながる位置を把握することにしており、発掘調査は2010年までおよそ3年間にわたって進められる予定だ」と述べました。文化財庁は発掘調査が終わる2010年頃から復元に向けた工事にとりかかり、2012年に工事を終えて、崇禮門を完全に復元させることにしています。

6月13日金曜日

・トラックの運転手などで組織している全国運輸産業労働組合貨物連帯の組合員1万3000人あまりが13日午前0時から全面ストライキに入りました。貨物連帯は、燃料費が急上昇して採算が合わないとして、政府が燃料費の上昇などを反映させた最低運送費の基準を作り、これに基づいて荷主と運送費の交渉ができる制度や、燃料費の上昇に伴って運送費を引き上げることができる制度の導入を求めています。貨物連帯は政府が前面に出て荷主と交渉するよう求めていますが、貨物連帯の組合員はトラックを所有して運送業を営む個人の事業者とされており、事業者が集まって運送費の引き上げを一括して求めると独占禁止法に違反することになるため、政府が貨物連帯に代わって荷主と交渉を進めることも難しいのが現状です。すでに全国の物流ターミナルなどでは影響が出ており、全面ストライキに先立って12日まで行われた部分ストライキのため、平澤港や唐津港でコンテナ輸送率が40%以下に落ち込んだほか、釜山港と光陽港では運送できずに積み上げられているコンテナが普段より10%程度増えました。

・与党ハンナラ党と統合民主党、自由先進党、民主労働党の野党3党は13日、アメリカ産牛肉の輸入再開をめぐる再交渉と家畜伝染予防法の改正について公聴会を開きましたが、意見の隔たりを狭めることはできませんでした。この席で与党ハンナラ党は、国際的な通商慣例からアメリカに再交渉を求めるのは無理があり、家畜伝染予防法など国内法を改正しても、国家間ですでに合意した内容を覆すことはできないとして、追加交渉によって国民の不安を解消する方法を捜し出すことが最善だと主張しました。これに対して野党3党は、国際的に再交渉を行った例はたくさんあるとして、全面的な再交渉をして問題を根本的に解決する必要があり、家畜伝染予防法を改正して生後30カ月以上の牛肉の輸入を防ぐ方法が最も望ましいと主張しました。

・アメリカ産牛肉の輸入再開問題で、韓国外交通商部の金宗?(キム・ジョンフン)通商交渉本部長が14日、アメリカ通商代表部のシュワブ代表と追加交渉を行いますが、アメリカ国務省はこの問題でホワイトハウスの方針を確認しました。アメリカ国務省の副報道官は13日の記者会見で、牛肉問題でホワイトハウスがすでに明らかにした方針に変わりがないことを確認しました。ブッシュ大統領は7日、李明博大統領と電話で会談した際、アメリカの輸出業者と韓国の輸入業者がともに受け入れられる解決策があれば、これを支持する用意があると述べました。韓国は、アメリカの輸出業者と韓国の輸入業者が自主規制によって生後30カ月以上の牛肉を輸出または輸入しないようにし、両国の政府がこれを政策的に保証するようアメリカ政府に求めています。副報道官は、韓国政府のこうした要求については具体的に言及せず、両国がともに同意できる方策を模索していきたいとあいまいな立場を示しました。

・2002年6月13日に在韓アメリカ軍の装甲車に轢かれて死亡した女子中学生2人の追悼行事が13日、アメリカ産牛肉の輸入再開に抗議する集会の中で行われます。抗議集会を主催しているBSE国民対策会議は、13日もアメリカ産牛肉の輸入再開に反対する集会を市庁前広場で開き、この中で女子中学生2人の追悼行事をともに行うと発表しました。

・KBSの鄭淵珠(チョン・ヨンジュ)社長が会社に数百億ウォンの損害を与えたとして、KBSの前の法務担当職員が検察に告発した事件で、検察は近く鄭淵珠社長を召喚して調べる方針を明らかにしました。鄭淵珠社長は、2005年に国税庁を相手取って進められていた法人税などの課税取り消しを求める訴訟で、勝訴が確実視されていて、1990億ウォンあまりが還付される可能性が高かったにもかかわらず、任意に裁判所の調整に応じた結果、およそ500億ウォンだけが還付の対象となり、会社に大きな損害を与えたとして告発されていました。検察は、告発の内容に全く根拠がないとは言えないので、鄭淵珠社長を召喚することにしたとしています。これについて統合民主党など野党は「政権が放送を掌握しようとしている」として一斉に非難しました。

・企画財政部は12日、公共企業の管理者の報酬に関する規定を改正し、管理者や監事の基本年俸を大幅に削減することにしたと発表しました。それによりますと116ある公共企業の管理者の基本年俸は16.3%、監事の基本年俸は26.7%削減されます。企画財政部が公共企業の管理者の年俸を削減することにしたのは、必要以上に高額の年俸を受け取っているという指摘が出ていたためです。こうした基準は6月以降に新しく任命された管理者と監事については即時適用され、それ以前に任命された管理者と監事については9月から適用されることになります。

・アメリカ産牛肉の輸入再開問題などで閣僚全員が辞意を表明し、李明博大統領が人事の刷新を検討している中で、李明博大統領の兄の李相得(イ・サンドゥク)議員の退陣を求める声が与党ハンナラ党内で広がっています。与党ハンナラ党の鄭斗彦(チョン・ドゥオン)議員は最近、メディアとのインタビューで、李相得議員が自分の側近を要職につかせるために政府や公共企業の人事に介入しているとして、李相得議員の退陣を求めていく考えを示しました。

・日本政府は、釜山の日本総領事館の前で集会を開いた特殊任務遂行者会の会員が総領事館の鉄門をハンマーでたたいて壊したとして、韓国の警察に当事者の処罰を求めてきたことが分かりました。特殊任務遂行者会は10日、釜山の日本総領事館の前で、日本の歴史教科書わい曲を非難する集会を開き、集会が終わった後、代表3人が総領事館に抗議文を渡そうとしました。しかし、総領事館の職員が外で受け取るとして、総領事館の中に入ることを拒むと、特殊任務遂行者会の会員20人あまりが鉄の門の前に押しかけました。警察によりますと、警察が特殊任務遂行者会の会員を制止している間に、会員の1人がハンマーで鉄の門をたたき、門の一部がややへこんだということです。

6月12日木曜日

・アメリカ産牛肉の輸入再開をめぐって、韓国とアメリカは今週末、追加交渉を行うことになりました。外交通商部の金宗?(キム・ジョンフン)通商交渉本部長は12日、記者会見し、「韓国国内で、アメリカ産牛肉の輸入再開をめぐる大規模な集会が続いている中、生後30ヵ月以上のアメリカ産牛肉を輸入しないための方法を探るために、アメリカ政府と追加交渉を行うことにし、13日、ワシントンに向かう」と述べました。金宗? 通商交渉本部長はアメリカ通商代表部のシュワーブ代表と協議することにしており、すでにこの問題でアメリカ政府の関係者らと協議するため、9日からアメリカ入りしている政府関係者や与党ハンナラ党の代表団と合流して、交渉に当たります。追加交渉の内容について、金 通商交渉本部長は、「国際社会で韓国の信用をなくさない範囲で、再交渉に準じる効果を見出せるよう努力する。また両国の民間の輸出入業者同士の自主規制を保障する政府の役割も必要だ」と述べ、自主規制を政府が文書で保障する方法を検討していることを明らかにしましたしかしアメリカ商務省は、「韓米牛肉交渉の結果はアメリカの責任ではなく、再交渉はしない」と断言しており、この問題をめぐって、双方がどこまで歩み寄れるか注目されています。

・アメリカ産牛肉の輸入再開問題をめぐって、李明博政権に抗議する連日の集会を主催しているBSE国民対策会議は、12日、記者会見し、「アメリカとの追加交渉では、根本的な解決策は見出せず、国民を騙すことに過ぎない」として、改めて再交渉を求めるとともに、「政府が今月20日までに再交渉に乗り出さなければ、李明博政権の退陣を求めるキャンペーンを展開していく」と述べました。李明博政権の退陣を求めるキャンペーンの詳しい方法や手続きは、今後、インターネットなどで国民から意見を集めて決めるということです。

・第18代国会の開院にむけて、与党ハンナラ党と最大野党統合民主党は12日、初めての与野党院内代表会談を開きましたが、アメリカ産牛肉の輸入再開問題で、平行線をたどり、合意点を見出すことはできませんでした。4月の総選挙で選ばれた国会議員による第18代国会は、野党側がアメリカ産牛肉の輸入再開をめぐる韓米交渉のやり直しを強く求めて登院を拒否しているため開院すらできないなか、ハンナラ党の洪準杓(ホン・ジュンピョ)院内代表と統合民主党の元惠榮(ウォン・へヨン)院内代表は12日、国会で会談しました。この席で野党側は、国会に登院する条件として、生後30カ月以上の牛肉の輸入を禁止し、BSE=牛海面状脳症が発生した場合、政府がただちに輸入を中断することを骨子とする「家畜伝染病予防法」の改正について与党側に同意を求めましたが、与党側は、まず国会を開院してから、「家畜伝染病予防法」の改正について話し合うよう主張し、双方の意見は平行線をたどって合意点を見出すことはできませんでした。与野党は、13日に国会で開かれる「家畜伝染病予防法」の公聴会の結果を受けて、今後改めて院内代表会談を開くことにしています。

・北韓による核施設の無能力化と核計画の申告への見返りとなるエネルギー支援について話し合う、6カ国協議の「経済エネルギー協力」作業部会が11日に開かれましたが、具体的な合意には至りませんでした。6カ国協議の経済エネルギー協力作業部会は11日、南北の軍事境界線にある板門店で、当初の予定時間をはるかに越えて行われました。この中で、北韓は、核施設の無能力化が8割程度終わっているのに対し、エネルギー支援は4割程度にとどまっているとして、支援を早めるよう求めてきたということです。これに対して、関係国は、北韓への支援は核開発計画の申告や核施設の無能力化という6カ国協議の合意の履行と平行して行うべきだと主張しました。

・北韓による核計画の申告が遅れている中、北韓と実務協議を行って韓国に戻ったアメリカ国務省のソン・キム韓国課長は、12日、韓国政府の関係者らに北韓との協議結果を説明しました。この後、ソン・キム韓国課長は記者団に対して、「核施設の無能力化作業について、北韓側と有意義な話をした」と述べました。ソン・キム課長はまた未使用の核燃料棒の処理について、「処理方法より、直ちに処理することが重要だというのがわれわれの考えだ。韓国が買いとる案など、いろいろな選択肢について話し合った」と述べました。未使用の核燃料棒の処理問題は、北韓の核施設を無能力化する措置の1つで、韓国政府は去年、それを買いとることを北韓側に提案しています。

・全国的な広がりを見せていた高病原性の鳥インフルエンザはこのところ、追加の発生が確認されず、ソウル市は12日、防疫作業の終了を発表しました。ソウル市では、先月初め、広津区庁の自然学習場で死んだキジや鶏が高病原性の鳥インフルエンザに感染していたことが確認され、周辺地域を含め消毒などの防疫作業が行われていましたが、先月末に鶏やアヒルを対象に行った精密検査の結果、すべて陰性の判定が出たことからソウル市は防疫作業の終了を発表しました。一方、高病原性の鳥インフルエンザが発生してから影響を受けていた鶏肉の消費も回復しつつあります。大手スーパーマーケットの場合、鳥インフルエンザの発生がはじめて確認された今年4月に鶏肉の売り上げが、去年の同じ期間と比べて半分程度に落ち込み、5月にはさらに下回りましたが、6月にはいってから去年の70%位まで回復しているということです。またフライドチキンの業界でも、先月は、売り上げが去年の30%に落ち込んでいましたが、今月に入って90%に回復しているということです。

・韓国銀行は、12日の金融政策委員会で、政策金利であるコール金利の誘導目標を年5%に据え置くことを決めました。コール金利は去年8月以来10カ月連続で据え置きとなりました。金融政策委員会は、「最近、原油高とウォン安の傾向が続いている上に、物価が上昇し、国内消費は停滞していることを受けて、コール金利を据え置いた」と説明しています。金融市場では、金利を下げれば物価が上昇することが憂慮され、金利を引き上げれば景気停滞が憂慮されるため、当分韓国銀行はコール金利を凍結するだろうという見方が強まっています。

・日本の人気脚本家と韓国の制作会社や韓流スターが腕を組んで、テレビドラマや映画を制作することになり、完成した作品は年末から来年初めにかけて、まず韓国で公開される予定です。これは日本の人気脚本家岡田恵和さんや、北川悦吏子さんら7人がそれぞれ1時間または2時間ドラマを書き下ろし、韓国の大手制作会社「サムファ・ネットワークス」が、韓流スターを起用して、テレビドラマや映画に仕上げる「テレシネマシリーズ」で、長崎県佐世保市で開かれていた「東アジア放送作家カンファレンス」の成果として実現しました。完成したテレビドラマなどの作品は、韓国では今年12月から来年1月ごろに放送される予定で、日本での放送は決まっていません。

6月11日水曜日

・李明博大統領は、アメリカ産牛肉の輸入再開問題の責任を取って韓昇洙(ハン・スンス)国務総理を含む16人の閣僚全員と、大統領府青瓦台の首席秘書官ら9人が辞意を表明したのを受けて、早ければ今週末にも人事の刷新を行い、事態の収拾を図ることにしています。手順としてはまず今週末に青瓦台の首席秘書官の一部を入れ替え、閣僚の交代についてはアメリカで進められている牛肉の追加交渉の結果を見極めたうえで検討する方針だということです。今回の人事で最も注目されているのは、朴槿恵元ハンナラ党代表を新しい国務総理に起用するかどうかで、4月の総選挙以後ギクシャクしている李明博大統領と朴槿恵氏との関係をどこまで修復できるかが鍵とされています。

・軍事政権下の1987年に大統領直接選挙制を取り入れるきっかけとなった「6月抗争記念日」の10日夜、ソウルをはじめ全国70カ所で、これまでで最大規模の抗議集会が開かれました。集会に参加したのは、主催者側の発表では、ソウルで70万人、全国各地で30万人の合わせて100万人、警察側の推計では、ソウルで8万人、全国各地で6万2000人の合わせて14万2000人となっています。このうちソウルでは中心部の光化門から南大門にかけて16車線の道路がキャンドルを手にした人たちで埋め尽くされ、参加者は、「アメリカとの牛肉輸入交渉のやり直し」や「李明博政権打倒」などと叫び、11日朝まで集会を続けました。こうした中で午後7時過ぎに鄭雲天(チョン・ウンチョン)農林水産食品部長官が市民に謝罪するため集会会場のソウル市庁前広場を訪れましたが、憤慨した市民たちに囲まれ20分後に別の集会会場に移動しました。警察は、ソウルでの集会に機動隊員など2万人あまりを動員して警戒に当たりましたが、市民らと衝突するなどの大きな混乱はありませんでした。しかし、警察は大統領府青瓦台に向かう道路を遮断するため道路上に設置した大型コンテナの周辺で11日朝まで座り込みをしていた女性5人を含む24人を連行しました。

・外交通商部は、アメリカ産牛肉の輸入再開に向けた輸入衛生検疫条件をめぐる再交渉は不可能だとする立場を再確認しました。外交通商部のアン・ホヨン通商交渉本部長は11日、政府庁舎で行われた定例会見で、「現在、進められているアメリカとの追加協議は、4月18日に両国が合意した内容を実行に移すためのもので、韓米間の合意内容を一部でも修正するといった再交渉は考えていない」と述べ、再交渉はしないとする政府の方針を明らかにしました。

・アメリカ商務省は、韓米牛肉交渉の結果はアメリカの責任ではなく、したがって再交渉もしないとする姿勢を改めて強調しました。商務省のグティエレス長官は、「牛肉交渉の結果はアメリカの責任ではない。したがって再交渉はしない」としたうえで、「韓国の政府高官が危険を承知のうえでアメリカ産牛肉の市場開放に踏み切り、このため莫大な代価を支払っている」と述べたと、ロイター通信が10日伝えました。

・4月の総選挙で選ばれた国会議員による第18代国会は、野党側がアメリカ産牛肉の輸入再開をめぐる韓米交渉のやり直しを強く求めて登院を拒否しているため開院すらできずにいますが、与党ハンナラ党と最大野党統合民主党は12日、初めての与野党院内代表会談を開き、国会の開院について協議することになりました。与野党の院内代表会談が開かれるのは、先月30日に第18代国会議員の任期が始まってから初めてで、空転状態となっている国会の開院や混乱が続いている政局の打開策を見出せるかどうかに関心が寄せられています。一方、李会昌(イ・フェチャン)元ハンナラ党総裁が率いる野党自由先進党は10日、国会に登院する方針を初めて示しました。

・北韓の外務省は10日、声明を発表し、国連加盟国として反テロのためあらゆる責任と義務を果たすと述べました。声明は、「あらゆる形態のテロや、テロに対するいかなる支援にも反対する一貫した立場を堅持し、国連加盟国として反テロのためのあらゆる責任と義務を果たす」としています。これを受けてアメリカ国務省は、「肯定的な措置だ」と歓迎の意を表明するとともに、アメリカは、北韓の政策と行動が一致するよう働きかけていくとして北韓の行動を注視する考えを明らかにしました。

・北韓による核施設の無能力化と核計画の申告への見返りを協議する6カ国協議の「経済エネルギー協力」作業部会が11日、板門店の韓国側の平和の家で始まりました。作業部会には、議長国の韓国をはじめ、北韓、日本、中国、アメリカ、ロシアの関係者が出席し、北韓が要求した無煙炭のガス化施設の建設を支援する問題について具体策を協議します。

・全長250キロにおよぶ南北軍事境界線に沿って広がる軍事施設保護区域での規制が今年10月から大幅に緩和されます。政府は、南北軍事境界線など軍事施設の周辺地域に対する規制を緩和する方針をまとめ、これらの地域で今後は工場などの建設が容易になる見通しとなりました。企画財政部が11日発表した「企業環境改善対策」によりますと、軍事境界線から15キロ以内となっている軍事施設の「統制保護区域」を10キロ以内に縮小し、10キロから25キロ以内を「制限保護区域」とすることにしました。そして「制限保護区域」のうち軍の基地や軍事施設から500メートル以上離れた地域に工場や住宅などを建てる際、これまでは軍と協議しなければならず、事実上実現は困難でしたが、今後は軍ではなく自治体と協議して進めることができるようになりました。これによってソウル市ヨイドの面積850万平方メートルのおよそ109倍に当たる広大な土地の規制が解除または緩和されることになります。

・北韓は、今月22日にソウルで行われることになっているサッカーワールドカップ南アフリカ大会アジア3次予選の韓国との試合を第3国または韓国最南端の島、済州島で開催するよう要請してきました。大韓サッカー協会によりますと、10日、北韓の開城市で行われた実務者協議で、北韓は選手団の安全問題を理由に試合の会場を第3国、または済州島に変えることを要請してきたということです。これについて韓国は、ソウルでホームの試合を開催することはFIFA=国際サッカー連盟が決定したことで、すでに入場券の販売が始まっており、会場を変えることはできないと伝えたということです。北韓は一両日中に書面で韓国側に方針を伝えてくることにしています。

・プロサッカーKリーグのFCソウルと、日本JリーグのFC東京の親善試合が今月15日に、ソウルで行われることになりました。FCソウルと FC東京との親善試合は、2000年以後3回目で、FCソウルはこの試合に外国人労働者など1万5000人を招待しており先着順無料で入場できます。

6月9日月曜日

・アメリカ産牛肉の輸入再開に抗議してソウル都心で5日夜から行われた72時間に及ぶ抗議集会は、合わせておよそ12万人が参加し、7日は激しいもみ合いになりましたが、最終日の8日は大きな衝突もなく無事終了しました。警察の推計によりますと、抗議集会には初日の5日夜に2万人、6日には最大規模の5万6000人が参加するなど、8日までにおよそ12万人が参加しました。このうち7日夜から8日未明にかけて、一部の参加者が大統領府、青瓦台に向かおうとして警察の機動隊ともみ合いになり、警察のバス19台など装備80点が壊れ、機動隊員ら37人と市民20人がけがをしました。しかし最終日の8日は大きな衝突はなく、集会は無事終了しました。政府は8日、国民への談話を発表し、7日の集会参加者が鉄パイプを持ち出すなど、行動が過激になっているとして憂慮を示し、違法行為や暴力を自制し、合法的な方法で意思表示するよう要請しました。72時間の抗議集会は終わりましたが、今週10日は軍事政権の下で1987年6月に全国的に起きた民主化運動にちなんだ「民主抗争記念日」で、また13日は韓国駐留アメリカ軍の装甲車に轢かれて死亡した女子中学生の6周忌に当たるため、今後も大規模な集会が予定されており、アメリカ産牛肉の輸入再開に対する抗議集会は今週、山場を迎えるものとみられます。

・アメリカ産牛肉の輸入再開交渉でBSE=牛海綿状脳症にかかる恐れのある生後30カ月以上の牛肉の輸入も認められて、国民の世論が悪化しているため、李明博大統領は7日夜、アメリカのブッシュ大統領と電話で会談し、生後30カ月以上の牛肉を輸出しないよう協力を求めました。この会談は7日午後、李明博大統領がブッシュ大統領に電話をかけておよそ20分間行われました。大統領府、青瓦台によりますと、李明博大統領はこの中で、韓国の国民がアメリカ産牛肉の安全性について不安を抱いているとして、生後30カ月以上の牛肉を輸出しないよう協力を求めました。これに対してブッシュ大統領は「韓国人の心配と憂慮を理解しており、韓国に入ってはならないものが輸出されないようにしたい」として、生後30カ月以上の牛肉が輸出されないように具体的な措置を講じると述べたということです。

・先の韓米首脳による電話会談を受けて、大統領府、青瓦台の関係者と、与党ハンナラ党の代表団がそれぞれアメリカに向かい、アメリカ産牛肉の輸入再開についてアメリカ政府の関係者らと協議します。青瓦台は李明博大統領とブッシュ大統領の会談内容をさらに具体的に協議するため、キム・ビョングク外交安保担当の首席秘書官をアメリカに派遣し、アメリカ政府の関係者と生後30カ月以上の牛肉が韓国に輸出されないように具体的な措置を協議することにしています。また与党、ハンナラ党のファン・ジナ第2政調委員長を団長とする議員団が9日から5日間の日程でアメリカに向かいました。ハンナラ党の議員団はアメリカで連邦議会や政府関係者、牛肉輸出業者らと会って、アメリカ産牛肉に対する韓国国民の憂慮と政治的な状況を説明し、生後30カ月以上の牛肉が韓国に輸出されないよう協力を要請する予定です。

・政府と与党、ハンナラ党は8日、最近の原油高によって苦しくなっている国民生活の改善に向けた総合対策を進め、1年間に10兆5000億ウォンを投入する方針を決めました。このうちまず、年収が3600万ウォン以下の勤労者や、総合所得額が2400万ウォン以下の自営業者を対象に所得税を払い戻すことになり、払い戻される金額は給与や所得別によって年間6万ウォンから最高24万ウォンで、来月から1年間の期限で施行されます。政府はまたバスやトラック、沿岸の貨物船に対する石油の補助金制度をさらに拡大し、農漁民も対象にすることになりました。一方、電気やガス料金の引き上げをなるべく押さえる方針で、料金の凍結によって韓国電力やガス会社に赤字が生じた場合は政府が補填することにしています。さらに政府は原油価格がドバイ油を基準に1バレル当たり170ドルを超えた場合は、ガソリンなどすべての石油製品の税金を引き下げるとともに、税金の払い戻しの対象者もさらに拡大するなど追加対策を立てることにしています。政府はこれらの対策に必要な予算を10兆5000億ウォンに算定し、このうち4兆9000億ウォンは去年の歳計剰余金から、5兆2000億ウォンは税収の増加分からまかなうことにしています。

・ソウルの龍山などに散在している韓国駐留アメリカ軍の基地を京畿道平澤(ピョンテク)市に移転する計画で、韓国が負担する金額はさらに膨らんで8兆9000億ウォンに達することが分かりました。また基地移転の終了時期も当初の2012年11月からさらに2年ほど遅れて2015年になる見通しです。国防部が韓国駐留アメリカ軍移転事業団に対する総合監査を行ってまとめた資料によりますと、アメリカ軍基地の移転で韓国が負担する金額は去年3月に推計した3兆5900億ウォンに、平澤市への特別支援や環境汚染の対策費、追加の建設費などを上乗せしますと、合わせて8兆9500億ウォンに達するということです。国防部は基地移転にかかる費用を、一般会計と敷地の売却代金、それにすでに確保した予算などでまかなう計画ですが、これらを合わせても6兆3300億ウォンにとどまり、残りの2兆6000億ウォンあまりが不足することになります。また基地移転が終了する時期について、政府の消息筋は、最近、韓米両国が作成した非公開の報告書では2015年になるという観測が支配的だとしており、当初の2012年11月より2年ほど遅れるという見通しを示しました。これについて国防部は、アメリカ軍基地の移転費用や時期については総合的な検討を重ねており、正確なことは韓米協議を経て最終発表するとしています。

・2000年に行われた初めての南北首脳会談の直後、南北の間にホットラインが開設され、2回目の首脳会談の開催に向けた提案や西海で起きた南北の海軍による銃撃戦の際の連絡などに活用されていたことが明らかになりました。これは金大中政権で統一部長官などをつとめた林東源(イム・ドンウォン)氏が9日に出版した回顧録で明らかにしたもので、それによりますと、このホットラインは2000年6月に当時の金大中大統領が平壌を訪問して金正日国防委員長と会談した4日後に開設されました。その後、2002年に韓国政府が林東源氏を特使として北韓に派遣し、金正日国防委員長のソウル訪問を提案したのに対して、北韓は会場をロシアに変更して、ロシアとの3カ国の首脳会談を提案したということです。しかし金大中大統領はロシアでの開催は受け入れられないとして、代わりに板門店での開催を提案しましたが、北韓は「アメリカ軍が管轄している地域で南北首脳会談は開催できない」と拒否し、2回目の南北首脳会談は実現しなかったということで、こうした南北のやりとりにホットラインが活用されたということです。また2002年6月に西の海=西海で起きた南北海軍による銃撃戦の際には、北韓がホットラインを通じて「この事件は下の者によって偶発的に起きたもので遺憾だ」と連絡してきて、韓国政府は謝罪と再発防止を求める返信を送ったということで、このホットラインは金大中政権の終わりまで機能したとしています。

・韓国と日本の歴史学者らで構成する2期目の歴史共同研究委員会が7日、東京で3回目の全体会合を開き、小委員会ごとに論議するテーマについて協議しました。会合の後、代表が記者会見し、古代史、中・近代史、近現代史と時代別に設けられた3つの小委員会と、教科書問題を論議する「教科書委員会」で討議する具体的なテーマについて意見の隔たりをかなり縮めることができたと述べました。このうち、双方で意見の食い違いが目立った近・現代史では、研究対象を「韓日近代国民国家の樹立過程と相互関係」と「植民地初期の日本と朝鮮の社会運動」にすることを決めました。また韓日間で領有権を争っている独島(日本名竹島)問題について、日本側は今回の研究には含めないよう提案したのに対して、韓国側は領有権問題も含めたいという意見を示しました。そして教科書問題については、日本側が「抑圧と抵抗という観点ではない方向で進めるべきだ」と主張したのに対して、韓国側は「韓国人に対する抑圧と植民地に対する抵抗という歴史認識も研究する必要がある」と指摘し、今後も協議を重ねていくことになりました。韓日歴史共同研究委員会は、歴史教科書の記述問題でぎくしゃくした韓日関係を改善しようと発足したもので、3年前に1期目の委員会が報告書をまとめましたが、両国で浮き彫りとなった歴史認識の隔たりをさらに縮めようと、去年、2期目の委員会を立ち上げました。

・2010年に南アフリカ共和国で開かれるサッカーのワールドカップ、アジア3次予選で、韓国は9日、ヨルダンと対戦し、1対0で勝ち、グループ1位を守りました。前回、ソウルで行われたヨルダンとの試合で引き分けた韓国は、9日、ヨルダンの首都、アンマンでのアウェー試合に臨みました。韓国は前半21分にヨルダン選手のファウルで得たペナルティーキックを成功させ、後半は守備を固めて失点せず結局、ヨルダンに1対0で勝ちました。同じグループに属している北韓とトルクメニスタンの試合は北韓が1対0で勝ち、これで韓国と北韓は2勝2引き分けで並びましたが、得失点差で韓国が、グループ1位を守りました。韓国は今月14日、トルクメニスタンとアウェーでの試合に臨みます。

6月7日土曜日

・李明博大統領は6日、仏教界の元老を青瓦台に招待して懇談し、アメリカ産牛肉の輸入条件をめぐるアメリカ政府との再交渉はできないという考えを示しました。李明博大統領は、アメリカ産牛肉の輸入再開に対する世論の悪化を収拾するために各界の元老から相次いで意見を聞くことにしており、6日は仏教界の元老5人と懇談しました。この席で元老たちは、「アメリカ産牛肉の輸入問題が最近の政局混乱の始まりで、国民がもっとも敏感にこだわっているのは健康の問題だ。連日の抗議集会で国民が求めているのは、牛肉の輸入条件をめぐるアメリカとの再交渉だ」と述べて、アメリカ政府と再交渉を行うよう勧告しました。これに対して李明博大統領は「今の時点でアメリカ政府に再交渉を求めると、通商摩擦などさらに大きな問題が生じる。そうした後遺症を承知の上で、今の危機を免れるために再交渉することはできない。民間の輸入業者などは、生後30カ月以上の牛肉の輸入を自主規制すると決めており、これによって再交渉をした場合とほぼ同じ効果を得られることになる」と述べて、最近、市民団体や野党が強く求めている牛肉の輸入条件をめぐるアメリカとの再交渉は事実上しない方針を示しました。李明博大統領は7日にはキリスト教界の元老と懇談しこの席で、キリスト教界の元老が抗議集会について質問したのに対して、李明博大統領は「最近、憂慮すべきことが多いが、結果的に国が良くならなければならず、そのためには集会参加者の声にも耳を傾ける必要がある」と述べました。李明博大統領はさらに「アメリカ産牛肉の輸入再開は盧武鉉前政権のもとで解決していたら、今のような騒ぎにはならなかった」と述べました。

・大統領府、青瓦台の首席秘書官全員を含む8人が、アメリカ産牛肉の輸入再開をめぐって世論が悪化している責任を取って、辞表を提出しました。青瓦台の李東官(イ・ドングァン)報道官は6日の会見で、「首席秘書官と報道官の8人は今の状況に対して責任を痛感しており、国民の世論も承知しているので、大統領の秘書室長に辞表を提出し、秘書室長は大統領に報告した」と述べました。これに先立って、?佑益(リュ・ウイク)秘書室長も李明博大統領に辞意を表明しました。李明博大統領は、首席秘書官など8人の辞意表明に具体的な反応は示さなかったもようですが、アメリカ産牛肉の輸入再開をめぐる国民の世論の悪化を収拾するためには政府高官の大幅な交代とともに、国政のシステムを補完するなどの対策は避けられず、今後、ハン・スンス国務総理を初めとする閣僚の交代にも及ぶ可能性があるものとみられます。

・アメリカ産牛肉の輸入再開に抗議して、ソウルの都心で5日夜から3日間徹夜で72時間にわたって行われている集会は、顕忠日で国民の祝日となった6日は、警察の推計で5万6000人が参加して、これまでで最大の規模で行われました。5日夜に始まった72時間の抗議集会は、会場のソウル市庁前広場に明かりをともしたろうそくを手にした市民などが集りました。ところが、それより先の5日午後に突然、北韓にスパイとして送り込まれた人たちで作っている「特殊任務遂行者会」のメンバーが、戦没者の位牌7700あまりと大型の国旗を広げて慰霊祭を行って、会場を占拠し、会場から締め出された集会参加者との間で言い合いやもみ合いとなり、市民7人が病院に運ばれました。こうした中で3連休の始まりとなった6日夜の集会には警察の推計で5万6000人が参加して、これまでで最大の規模となり、参加した人たちは集会の後、都心の大通りをデモ行進しました。

・アメリカ産牛肉の輸入再開に反発している国民の世論を収拾するために、BSE=牛海綿状脳症にかかる恐れがある、生後30カ月以上のアメリカ産牛肉は取り引きをしないとする韓国とアメリカの牛肉業界による自主規制は、業界の意見がまとまらず、実現までにかなりの時間がかかる見通しです。韓国輸入肉協会には70あまりの牛肉輸入会社が会員として登録していますが、アメリカ産牛肉の輸入が中心の会社と、オーストラリア産など第3国の牛肉を主に輸入している会社などで立場が分かれているうえに、自主規制を決めても法的な拘束力がなく、実効性があるかどうか疑問だという意見が出ていることが背景にあるものとみられます。一方、アメリカの牛肉輸出会社を対象に勧められている自主規制の決定も難航しています。

・韓国のプロ野球、韓火イーグルンズのソン・ジヌ投手は6日の試合で、奪三振2000を記録し、世界で3番目に200勝・100セーブ・2000奪三振の3つの大記録を達成しました。42歳で韓国のプロ野球上、最高齢投手となっているソン・ジヌ投手は、6日のウリ・ヒーローズとの試合に登板し、8回表2アウトで、ソン・ジマン選手から三振を奪い、韓国のプロ野球史上初の2000奪三振の大記録を作りました。これでソン・ジヌ選手は6日、42歳3カ月と20日で、206勝・103セーブ・2000奪三振を達成したことになり、世界で3番目に200勝・100セーブ・2000奪三振の大記録を打ち立てました。

・日本を訪れる外国人観光客のうち、韓国人はゴルフと温泉、台湾人は雪、中国人は富士山を好んで旅先を決める傾向があると日本の観光白書が分析しました。それによりますと、去年1年間、日本を旅行した韓国人はゴルフを楽しめる九州や四国を多く訪れ、中でも熊本や大分では外国人宿泊者の70%以上が韓国人で、ゴルフの後、温泉を楽しむパターンが多いとしています。また台湾人は雪が楽しめる北海道や東北、北陸を訪問する傾向が著しく、中国人には日本を代表する富士山の眺めが人気だということです。去年、日本を訪れた外国人は過去最高の835万人あまりで、国別では韓国人が260万人でトップ、全体の30%を占めています。

6月6日金曜日

・6月6日は顕忠日・韓国戦争で国のために命を捧げた戦士たちをたたえる日で、国民の祝日です。ソウル市トンジャク洞にある国立墓地では、午前10時から記念式典が行われ、李明博大統領夫妻や政府の要人、各政党の代表や遺族ら5,000人が出席しました。李明博大統領は墓地に献花した後、演説し、「過去に国家的危機に直面した際、国民がひとつになって乗り越えてきた歴史を引き継いで、今の危機を克服していかなければならない。原油価格、穀物価格の高騰などで世界経済が萎縮し、韓国経済は危機にたたされているが、政府と国民がひとつになって力を合わせれば、早期に乗り越えることができると信じている。今こそ経済体質を強化して、国の発展に転じていこう」と述べました。また、李明博大統領は、南北問題について、「南北間では真摯な対話が必要で、とくに離散家族が自由に往来できるように心がけていきたい。北韓も人道主義の問題として積極的に協力してほしい」と述べました。さらに李大統領は、「低い姿勢で国民の声に耳をかたむけるよう心がけていきたい」として、最近、アメリカ産牛肉の輸入再開問題を中心に、政府に対する国民の反発が強まっていることを念頭に国民との意思の疎通をはかっていく考えを強調しました。

・アメリカ産牛肉の輸入再開に向けて、韓国とアメリカは、アメリカの牛肉業界が自主的に生後30ヶ月以上の牛肉を輸出しない自主規制によって問題の解決を図るため実現る方法を検討しているもようです。外交通商部の李恵民(イ・ヘミン)FTA=自由貿易協定交渉代表は、5日、政府は、30ヶ月以上のアメリカ産牛肉を輸入できないようにする効果的な措置を設けるため、アメリカ側と多角的なチャンネルで協議していることを明らかにしました。しかし生後30ヶ月以上のアメリカ産牛肉の輸入を実質的に規制するには韓米政府同士の新たな合意が必要ですが、政府が介入して輸出入を規制すれば、WTO=世界貿易機関の規定などに違反するため、両国の牛肉業界による合意文でまとまる可能性が高いものとみられています。

・アメリカ産牛肉の輸入再開をめぐって国民の反発が強まっている中、ソウル中心部では5日夜から8日までの3日間、徹夜で72時間大規模な抗議集会が開かれています。市民団体のBSE国民対策会議は、市民の要求に応じて、アメリカ産牛肉の輸入再開に抗議する集会を、国民の祝日である「顕忠日」の6日を挟んで、5日の午後7時から日曜日の8日まで72時間、徹夜でソウル市庁前広場にテントをはって開いています。初日の5日夜の集会には、主催者の発表でおよそ10万人、警察の推計で3万5000人が参加しました。参加者は抗議集会のあと、デモ行進に移り、このうち一部が大統領府=青瓦台へ向かいましたが、警察官に阻止され、別の一部はこれまでデモに参加した市民を過剰な行為で鎮圧した警察に抗議するため警察庁前まで行進しました。しかし警察との大きな衝突はなく、デモ行進は比較的に穏やかに終わりました。

・韓国と日本は、5日、東京で、韓日次官級戦略対話を開き、北韓の核問題などについて意見を交わしました。今回の韓日次官級戦略対話は、4月の韓日首脳会談での合意を受けて行われたもので、韓国からは外交通商部のクォン・ジョンラク第1次官が、日本から藪中外務事務次官が出席しました。この中で、両国は北韓による核計画の申告が完全で正確に履行されるよう協力を一層強めていくことで合意しました。両国はまた、今年4月の韓日首脳会談で合意された、「成熟したパートナーシップ関係」として新たな協力関係を作るために、具体的に話し合ったもようです。さらに現在中断したままとなっている韓国と日本とのEPA=経済連携協定を進めていくために、実務者協議の日程を調整することになりました。

・ソウル市は、市が承認権を持っている、交通費や水道、ガス料金など、6種類の公共料金の引き上げを凍結することにしました。対象となるのは、▼市内バス、▼地下鉄、▼タクシー、▼上水道、▼下水道、▼都市ガスの料金です。今回の措置は、国際原油価格が1バレル130ドルを超えて、先月の消費者物価がこの7年間で最高の4.9%に上がるなど、市民生活への影響が広がっていることに配慮したものです。ソウル市は、原油高によって料金の引き上げが必要となる額について、追加の予算を編成するなどして、バス会社などに財政支援を行うことにしています。これに対して、ソウル個人タクシー組合は、「燃料のLPガスの値上がり分はタクシーの基本料金を今の1900ウォンから3000ウォンに引き上げないと、まかなうことができない」として市の方針に反発しています。

・大韓航空は、原油高を受けて、国際線に続いて、国内線の運賃も値上げすると発表しました。大韓航空は、原油価格の高騰によって上がる航空燃料費の一部を特別運賃として通常運賃に加算することにし、来月1日に販売する航空券から、金浦−済州島路線で週末の片道料金を8万8400ウォンから、10万3800ウォンにするなど、17%から最高27%値上げします。大韓航空など国内外の航空会社では、原油高によってすでに国際線は値上げしていますが、国内線で値上げが行われるのは今回が初めてです。大韓航空は、「原油高のため、今年に入って、国内線の累積赤字がすでに300億ウォンを超えており、搭乗率が100%になっても赤字が出る状況なので自助努力の範囲を超えた」と説明しています。

・韓国公正取引委員会は、5日、半導体大手のインテル社に対して、韓国市場で支配的地位を乱用し、独占禁止法に違反したとして、およそ260億ウォン、日本円で27億円の罰金を支払うよう命じました。公正取引委員会によりますと、インテル社は2002年から2005年の間に、ライバルのアドバンスト・デバイス社から半導体を購入しない見返りとして、三星電子など韓国のパソコンメーカーにリベートを提供した疑いがもたれています。このため、公正取引委員会は、インテル社に対して、是正を勧告するとともに、260億ウォンの罰金を支払うよう命じました。これに対して、インテル社は、不服を申し立てることにしています。

6月5日木曜日

・李明博政権が発足してから初めて行われた地方自治体の首長と議会議員の再選挙と補欠選挙で与党ハンナラ党は惨敗し、無所属の候補が躍進しました。今回の選挙はソウルを含む主要都市の一部区長ら地方自治体の首長9人と、地方議会議員43人の合わせて52人を選ぶもので、発足して100日後に行われたことから李明博政権の国政運営に対する有権者の評価を占うものとして注目されていました。開票の結果、大都市の区長や、中小の市の市長、郡守の首長9人のうちハンナラ党は候補を出した6つの選挙区のうち、勝ったのは慶尚北道清道(チョンド)郡の一カ所にとどまり、これに対して最大野党の統合民主党は3つの選挙区で、また無所属の候補は5つの選挙区で勝利しました。最大の関心を集めていたソウル市江東区の区長選挙では、野党統合民主党の候補が与党ハンナラ党の候補を1万票以上の差をつけて圧勝し、仁川市西区の区長選挙も統合民主党の候補がハンナラ党の候補を6ポイントの差で抑えて当選しました。また京畿道抱川市(ポチョン)市の市長選挙では、無所属の候補がハンナラ党の候補を破って当選し、ハンナラ党は首都圏でも全敗しました。今回の選挙で与党ハンナラ党が惨敗したのはアメリカ産牛肉の輸入再開をめぐって政府与党に対する国民の反発が強まっていることが大きな要因とみられています。

・与党ハンナラ党は、今回の再選挙・補欠選挙の結果について、4日論評を発表し、「これまで国民との意思疎通が足りず、民意をつかむことができなかった。国民の感情を謙虚に受け止めて、反省の機会にしたい」としています。

・今回の再選挙と補欠選挙の結果を受けて、大統領府=青瓦台は公式な論評はしていません。青瓦台の李東官スポークスマンは、与党ハンナラ党の惨敗に終わった再選挙と補欠選挙の結果について、「コメントすることはない」として論評はしませんでした。しかし、青瓦台の内部では、「ある程度、敗北は予想していたが、ここまでひどい結果になるとは予想していなかった」という声が出ています。今回の選挙の結果は閣僚の入れ替えなど、国政運営を改めるため刷新策を検討している李明博大統領の決断に大きな影響を与えるものとみられています。

・第18代国会は、野党議員が韓米牛肉交渉のやり直しを求めて登院を拒否したため、5日に予定されていた開院式を開くことができず、初日から空転状態となっています。統合民主党や自由先進党、民主労働党の野党3党は、5日、国会前で政府に対する糾弾大会を開き、「第18代国会の最大の課題は、韓米牛肉交渉のやり直しだ」として、国会の正常化のために、李明博大統領自らが牛肉交渉のやり直しに乗り出すことや内閣総辞職、さらに抗議集会に参加した市民を警察が過剰な行為で鎮圧したとして、警察庁長の辞任を求めました。4月の総選挙で当選した議員の任期が先月30日から始まった第18代国会は、任期に入って7日間以内の5日までに開院することになっていますが、5日も開院式ができず初日から空転状態となっています。

・アメリカ産牛肉の輸入再開に向けた、新しい衛生検疫条件の効力停止と、韓国政府による告示の無効を求めて、5日、国民10万人が共同で憲法裁判所に訴えを出しました。市民団体の「民主社会のための弁護士の集い」は5日、アメリカ産牛肉の輸入再開に向けた新しい衛生検疫条件によって、生後30ヶ月を過ぎた牛肉とBSE=牛海綿状脳症の恐れがある特定危険部位が十分な検疫措置をとらないまま輸入されるのは、国民の健康権を侵害するとして、5日、憲法裁判所に訴えを出しました。「民主社会のための弁護士の集い」は先月29日からインターネットのホームページを通じて請求人を公募した結果、10万人あまりが参加したということです。請求人を職業別にみますと、サラリーマンと主婦が半分近く占め、ついで、大学生、医師・弁護士などの専門職の人、自営業、小中高校生などの順でした。

・アメリカ産牛肉の輸入再開に反対する抗議集会に参加していた50代の男性が5日、集会の現場で焼身自殺をはかり、重体となっています。この人は、ソウルに住む57歳の男性で、5日午前2時半ごろ、ソウル市庁前の広場で開かれていた抗議集会の現場で、火がついたタバコをくわえたまま、予め用意していたシンナーを頭からかけて焼身自殺をはかり、病院に運ばれて治療を受けていますが、重体です。この男性は地方の牛を飼育する農場で働いていましたが、最近、仕事を失ったということです。

・6カ国協議の合意に基づいて、北韓による核計画申告などの見返りとなるエネルギーの支援をめぐって、韓国と北韓が5日、板門店で協議に入りました。この協議には、韓国からファン・ジュングク北韓核外交企画団長が、北韓からはヒョン・ハクボン外務省米州局副局長が代表として出席し、北韓代表のヒョン・ハクボン副局長は、冒頭のあいさつで、「北韓の核施設の無力化が80%以上進んでいるのに、見返りのエネルギー支援事業は36%にとどまって、非常に遅れている」と不満を表明しました。北韓の核問題をめぐる6カ国協議の合意にもとづいて、北韓が核施設の無力化や核計画の申告を履行すれば、関係5カ国は北韓に重油95万トンに当たる経済エネルギーを支援することになっています。今回の実務協議では来週11日に開かれる6カ国協議の作業部会を控えて、議長国の韓国が北韓側の要望を聞き、事前調整を進めることにしています。

・OECD=経済協力開発機構は4日、今年の経済展望をまとめ、韓国の経済成長率について、4.3%になるという見通しを示しました。これは去年12月に出した見通しの5.2%を0.9ポイント下方修正したもので、韓国国内の経済シンクタンクの見通しを大きく下回っています。OECDの経済展望は、「輸出への依存度が高い韓国経済は、原油価格の高騰によって海外の需要が萎縮するため、大きな打撃を受けざるを得ない」と説明し、韓国の物価上昇率も当初の2.8%から4%になると上方に修正しています。

・アメリカ軍当局は、韓国駐留アメリカ軍を代表する基地で、現在、ソウルにあるアメリカ第8軍司令部を2012年をめどにハワイへ移転する方針を固めた模様です。韓国国防部の関係者によりますと、米8軍指令部の移転はアメリカ軍再編にともなう措置で、米8軍司令部はこれまで主に行政機能を遂行していましたが、移転後も実務的な機能は韓国に残され、有事の際は司令部が直ちに韓国へ戻ることになっており、作戦遂行力はさらに高まることになるということです。

・衝動的な離婚をしないよう協議離婚をする際に、よく考える期間を設ける「離婚熟慮期間制度」が今月22日から義務付けられます。最高裁判所にあたる大法院によりますと、協議離婚の手続きに関して改正された民法が今月22日に施行され、今後は、協議離婚をする際、よく考える期間を設けることが義務付けられます。具体的には子どもがいる場合は3ヶ月、子どもがいない場合は1ヶ月となっています。「離婚熟慮期間制度」は、ソウル家庭裁判所が2005年から試験的に実施しており、この制度を取り入れてから離婚を取り下げる割合が以前の2倍に増えています。

6月4日水曜日

・政府は生後30カ月以上のアメリカ産牛肉の輸出をしないようアメリカに要請し、回答があるまでは輸入衛生検疫条件の告示や検疫を行わない方針を示しましたが、鄭雲天(チョン・ウンチョン)農林水産食品部長官は、アメリカの牛肉業界が生後30カ月以上の牛肉を輸出しないことを決議すれば、これをアメリカからの回答とみなすとする見解を4日明らかにしました。鄭雲天長官は3日、アメリカに対して牛肉業界が数量などを自主的に規制する輸出の自主規制を求めていく方針を示しました。これをついては、アメリカの5つの牛肉加工業者が韓国へ輸出する牛肉について生後30カ月未満の牛であることを証明する表示を最長120日間行うとしていますが、鄭雲天長官は韓国に牛肉を輸出する業者すべてが、少なくともアメリカで新しい動物性飼料禁止措置が施行される来年4月頃まで、または1年以上、こうした措置をとるよう促しました。そのうえでアメリカの牛肉業者すべてが韓国には30カ月以上の牛肉を輸出しないことを決議すれば、アメリカ政府による直接の回答ではなくても、アメリカからの回答とみなすとする見解を明らかにしました。

・韓国政府が生後30カ月以上の牛肉を輸出しないよう求めたことについて、アメリカ政府は憂慮の念を示しました。ホワイトハウスは、韓国政府の要請について憂慮しているとしたうえで、韓国政府と緊密に協力し打開策を模索していると述べました。またアメリカ通商代表部も、韓国政府がアメリカ産牛肉の輸入再開に向けた告示を延期したことについて、「極めて残念だ。アメリカ産牛肉は安全性が高い」として、再交渉の可能性を否定しながらも、韓国政府と緊密に対話を続けていると発表しました。また韓国駐在のバーシュバウアメリカ大使は、3日、柳明桓(ユ・ミョンファン)外交通商部長官から輸出自制の要請を受けたあと、記者団に対して、「韓国国民はアメリカ産牛肉に対する科学的事実をもっと勉強してほしい」と述べ、再交渉の必要性はないと不快感を示しました。

・アメリカ産牛肉の輸入再開をめぐって国民の反発が強まっている中、政府が、生後30カ月以上のアメリカ産牛肉を輸出しないようアメリカに要請した3日夜も、ソウル中心部では雨の中、およそ1万5000人の市民が抗議集会を開き、アメリカとの交渉をやり直すよう要求しました。

・4月9日の総選挙で選ばれた第18代国会議員の任期が先月30日から始まり5日に国会の開院式が行われますが、最大野党統合民主党は4日、登院を拒否し開院式に出席しない方針を決めました。統合民主党は4日、最高委員会議を開き、開院式に出席すれば、アメリカ産牛肉の輸入再開をめぐる国民の怒りにそっぽを向くことになるという認識で一致し、開院式には出席せず、その代わり開院式が始まる5日午前10時から国会前で糾弾大会を開くことにしています。与党ハンナラ党は、第18代国会をスタートさせるため野党側が要求した牛肉交渉のやり直しを促す決議案を受け入れる意向を統合民主党の元惠榮(ウォン・へヨン)院内代表に伝えました。しかしハンナラ党の洪準杓(ホン・ジュンピョ)院内代表は、アメリカ産牛肉の輸入再開に関連して統合民主党が要求している家畜伝染病予防法の改正案は国民の健康と直接、関わりがないとして受け入れられないとする方針を崩していません。統合民主党は、アメリカとの再交渉を促す決議案だけでは効力がないとして、▼生後30カ月以上の牛肉の輸入を禁止すること、▼BSE=牛海面状脳症が発生した場合、政府がただちに輸入を中断することを骨子とする「家畜伝染病予防法の改正案」を可決しない限り、国会の開院には応じられないとして登院を拒否しています。

・李明博政権の発足から100日の評価を占う地方自治体の首長と議会議員の再選挙と補欠選挙の投票が、全国52の選挙区で4日午前6時から午後8時まで行われ、即日開票されます。最大の関心を集めているソウル市江東区の区長選挙には、与党ハンナラ党と野党統合民主党、それに無所属から3人が立候補しており、アメリカ産牛肉の輸入再開をめぐる国民の反発が強まっているなか、李明博政権の100日間の国政運営を有権者がどう判断するか注目されています。中央選挙管理委員会は、今回の選挙の投票率は、これまでの再選挙・補欠選挙のなかで最も低かったおととし2006年7月の投票率24.8%をさらに下回るのではないかとみています。

・李明博大統領は、就任100日を記念し、9日に行う予定だったテレビを通じての国民との対話を延期することにしました。

・政府は、先月アメリカが北韓への食糧支援を決めた直後に北韓に対してトウモロコシ5万トンを支援するため南北実務者協議の開催を提案し、北韓から回答を待っている状態だと、金夏中(キム・ハジュン)統一部長官が4日、明らかにしました。金夏中統一部長官は4日行われた内外記者団との会見で、3週間ほど前に板門店にある大韓赤十字社の連絡チャンネルを通じて、去年末に前政権が北韓との間で合意したトウモロコシ5万トンを提供する用意があることを北韓側に伝え、この問題を協議するため実務者協議を開くことを北韓に提案したことを明らかにしました。これについて北韓からはまだなんら返事がないということです。

・サッカーワールドカップ南アフリカ大会のアジア地区予選の韓国対北韓戦は、予定どおり今月22日にソウルで行われることになりました。今年3月に平壌で行われる予定だった韓国対北韓の1回目の試合は、北韓が韓国の国旗の掲揚と国歌の演奏を認めないとしたため、FIFA=国際サッカー連盟の仲裁で会場を上海に移して行われ0対0の引き分けで終わりました。北韓はその後も今月22日にソウルで行うことになっている2回目の試合を第3国で開くよう強く要請し続けていました。ところが大韓サッカー協会が3日発表したところによりますと、北韓はソウルでの試合開催に向けて細部を協議する実務者協議を韓国側で開くことを提案してきたということで、北韓の関係者が今月19日か20日頃、北京経由でソウルを訪れる予定だということです。

・北韓の核問題の解決に向けて関係各国が努力しているなか、北韓による日本人の拉致問題を解決するため日本と北韓が現在、2国間協議を進めていると、アメリカの自由アジア放送が外交筋の情報として4日、伝えました。それによりますと、日本と北韓は最近第3国で実務者協議を行い、拉致被害者横田めぐみさんの北韓にいる娘、キム・ヘギョンさんを日本に送る問題について論議を進めているということです。

6月3日火曜日

・アメリカ産牛肉の輸入再開をめぐる国民の反発が強まっていることを受けて、政府は3日、アメリカに対して生後30ヵ月以上のアメリカ産牛肉の輸出をしないよう要請する方針を明らかにしました。農林水産食品部のチョン・ウンチョン長官は3日、緊急の記者会見を行い、政府がアメリカに対して生後30ヵ月以上の牛肉を輸出しないよう要請する方針を明らかにし、アメリカから回答があるまでは輸入衛生検疫条件の告示や検疫を行わない考えを示しました。農林水産食品部は先月29日に、アメリカ産牛肉の輸入衛生検疫条件に関する告示を官報に掲載するよう行政安全部に要請し告示は3日にも掲載されるものとみられていましたが、反対の世論が高まって、与党ハンナラ党も掲載の延期を求めたため、官報の掲載を留保しました。

・これについて野党3党は、「4日に行われる地方自治体の首長と議会議員の再選挙や補欠選挙を意識した時間かせぎ」として一斉に批判しました。統合民主党など野党3党は3日、政府の発表を受けて、「政府の方針は国民が求めるアメリカとの再交渉ではなく、一方的な要請に過ぎないのでアメリカが拒否すればそれまでだ」として、「それを承知のうえで再交渉をするかのように装った政治的ジェスチャーだ」と強く批判し、政府与党に対する攻勢を強める構えを示しました。

・大統領府・青瓦台は2日、李明博大統領の代表的な公約である韓半島大運河建設事業を進める作業を留保することを明らかにしました。政府は「運河事業準備団」を発足させて、29億ウォンをかけて5つの研究機関が参加する経済性調査を発注するなど、大運河の建設に向けて準備を進めてきました。しかし、アメリカ産牛肉の輸入再開をめぐる反発から巻き起こった現政権の政策全般に対する国民の批判が強まっているため、政府がきゅうきょ大運河の建設に向けた準備作業を留保すると発表したものと見られます。これについて、大運河の建設事業を担当する国土海洋部は、作業の留保に関して大統領府青瓦台から何も連絡を受けていないとしており、環境団体などは、政府が都合に合わせて大運河建設事業の話を持ち出したり、中断したりと態度を変えているだけで、また推進するのではないかと強く批判しています。

・アメリカ産牛肉の輸入再開をめぐる国民の批判が高まっている中で、李明博大統領の支持率は20%前後と、極めて低くなっています。韓国のマスコミ各社が2日に発表した李明博政権の国政運営に関する世論調査によりますと、3日に就任から100日を迎えた李明博大統領の支持率は19.7%から22.9%と、政権初期としては極めて低くなっています。同じ時期の?武鉉大統領の支持率は40〜50%台で、金大中大統領が80%台の支持率であったのとは対照的です。国民の圧倒的な支持を受けて就任した李明博大統領の支持率が就任3ヵ月余りで急速に落ちたのは、アメリカ産牛肉の輸入再開などをめぐる一方的な国政運営や改善しない経済状況などに対する国民の不満が高まったためだと分析されています。政権発足3ヵ月余りで支持率が落ち込んで最大の危機を迎えている李明博政権は、4日に行われる地方自治体の首長と議会議員の再選挙と補欠選挙の結果を受けて、閣僚の入れ替えを含む国政の刷新策を発表する予定です。

・ところで大統領府青瓦台の首席秘書官らが最近の牛肉問題に対する国民の反発を鎮めるため事実上一括して辞意を表明したと伝えられています。青瓦台の関係者によりますと、首席秘書官らが2日、柳佑益(リュ・ウイク)大統領秘書室長に口頭で辞意を表明し、?秘書室長は李明博大統領にこのことを伝えたようだということです。これについて大統領府青瓦台の李東官スポークスマンは、「首席秘書官らは責任を痛感するという強い意思表明をしただけで、公式に辞意を表明したわけではない」として一蹴しました。

・韓国とアメリカは、韓国駐留アメリカ軍のアパッチヘリコプター大隊をイラクやアフガニスタンなど海外に派遣しないことで合意しました。国防部の李相憙(イ・サンヒ)長官とアメリカのゲーツ国防長官は3日、李明博政権発足後初めての韓米国防長官会談をソウルで開催し、先月の韓米首脳会談で、在韓米軍の兵力を今の規模で維持するとした合意事項を順守することを決めました。この会談で両長官は、在韓米軍を現在の2万8500人で維持することが韓米連合防衛体制の強化に大きく寄与すると評価し、これを順守することを決めると共に、両国の首脳が韓米同盟を「21世紀戦略同盟」に発展させることを決めたことを受けて、これに向け緊密に協議することで合意しました。

・韓米連合司令官を兼ねた在韓米軍の新しい司令官に、アメリカ陸軍大将のシャープ氏が就任しました。シャープ司令官は、アメリカ陸軍士官学校を卒業し、1996年から2年5ヵ月にわたり韓国で勤務しており、アメリカ陸軍の中では「韓国通」として知られています。シャープ司令官は3日、ソウル市龍山にある在韓米軍基地で行われた就任式で、「韓米同盟は韓半島で敵の脅威を抑制し、敵の攻撃に即時かつ圧倒的な戦力で対応しなければならない」と述べ、北韓の軍事的脅威に対する韓米同盟の迅速な対応の必要性を強調しました。一方、2004年に就任した前任のベル司令官は、韓国での2年4ヵ月の勤務を終えてアメリカに戻り、9日の退役式を最後に39年間の軍生活を終えます。

・法務部は3日、李明博大統領就任100日に当たって、犯罪者の罪を許す赦免と、交通違反で制裁を受けた人の特別減免を4日に行うことを明らかにしました。法務部によりますと、今回の赦免は経済犯や政治犯、殺人や強盗などの重い犯罪者は含まれず、生活のために罪を犯した人が中心で、刑の執行が免除される特別赦免が119人と、特別減刑が31人の合わせて150人が対象となります。

6月2日月曜日

・アメリカ産牛肉の輸入再開に反対する大規模な集会はソウルの中心部で週末も続き、警察官が参加者に暴力を加える動画像が公開されて、集会は激しさを増しました。アメリカ産牛肉の輸入再開に反対する集会は、ソウル中心部で連日開かれており、特に政府が29日に、アメリカと合意した輸入衛生検疫条件の告示を強行した後の週末となった31日の集会には、警察の推計でおよそ4万人が参加し、これまでで最も大きい規模となりました。参加者はそれぞれろうそくを灯して集会に参加した後、一部が輸入条件の告示撤回や大統領退陣などと書かれたプラカードを掲げて、大統領府、青瓦台に向けてデモ行進をはじめ、都心の光化門で警察官とにらみ合いました。このため警察は解散命令を出し、これに従わない参加者に対して、放水した結果、強い放水を受けて呼吸困難などを起こしたおよそ20人が病院に運ばれました。そして31日の集会の途中、警察官がバリケードとして止めていた警察の車両付近を通る女性参加者を抑えて道路に倒し、暴力を加える動画像が1日にインターネットで公開されて、急速に広まり、警察に対する批判が高まりました。このため、1日夕方の集会には、野党統合民主党の議員20人を含めておよそ3万人が集り、集会の後、およそ2000人が再び青瓦台に向かおうとして、警察ともみ合いとなるなど混乱し、この週末の2日間でおよそ300人が警察に連行されました。アメリカ産牛肉の輸入に反対する集会はこのほか釜山、光州、大田など各地で開かれましたが、ソウルのような混乱はありませんでした。

・与党ハンナラ党は李明博大統領に対してアメリカ産牛肉の輸入再開で世論が悪化しているため、閣僚を入れ替えて、事態を打開するよう要請しました。ハンナラ党の姜在渉(ガン・ジェソプ)代表は2日、大統領府、青瓦台で李明博大統領と定例の会合を行った後、記者団に対して「アメリカ産牛肉の輸入再開で悪化している世論を収拾し、国政を刷新するために、幅広い閣僚の入れ替えを要請した。また大統領が各界の元老と会って、多様な意見を参考にするよう提案した」と述べました。これに対して李明博大統領は「ハンナラ党と各界の元老などの意見を十分に聞いたうえで、刷新案を示したい」と述べたということで、李明博大統領は今週4日に行われる補欠選挙の結果も見極めたうえで、閣僚人事など刷新案を示すものとみられます。これについてハンナラ党の関係者は、党としては農林水産食品部、教育人的資源部、保健福祉家族部の少なくとも3人の長官と、青瓦台の経済、政務、民政担当の首席秘書官の交代を要請したとしています。

・与党、ハンナラ党は先の国会議員総選挙の際、朴槿恵元代表の側近を中心にハンナラ党の公認をはずされたため離党して、新たな党「親朴連帯」を結成したり、無所属で出馬したりした議員の復党を受け入れる方針を決めました。ハンナラ党は2日に開いた最高委員会議で、ハンナラ党の公認候補を外されたため、離党した後、立候補して第18代国会議員に当選した議員はただちに復党を認め、落選した人については党の審査で選別して入党を認める方針を決め、姜在渉代表が2日、李明博大統領にも報告しました。ハンナラ党のこのような方針は、朴槿恵元代表が求めている全員の復党には及ばないものの、選挙法違反の罪で検察に起訴されている3人の議員を除くほとんどの朴槿恵元代表の側近が復党を認められることになり、今後、朴槿恵元代表や親朴連帯の対応が注目されます。

・与党ハンナラ党は2日、第18代国会の前半を担当する国会議長の候補に金炯?(キム・ヒョンオ)議員を選出しました。また副議長候補には?允盛(イ・ユンソン)議員を選出しました。国会議長は在籍議員の過半数の得票を必要としていますが、これまで多数与党から議長と副議長を選出した慣例に従って、金炯?議員が国会議長に選出されるものとみられます。

・政府の金融委員会は、国策銀行の一つ、韓国産業銀行を子会社の大宇証券と合併して持ち株会社に転換した後に民営化する計画を2日、発表しました。金融委員会の発表によりますと、年内に韓国産業銀行を産業銀行持ち株会社と韓国開発ファンドに分離するとしています。このうち資産規模が100兆ウォンを超えるものとみられる産業銀行持ち株会社は、子会社の大宇証券、産業銀行資産運用、産業銀行キャピタルを合わせたもので、 2009年に株式を上場して、2012年までに民間に売却し、民営化を完了するとしています。また韓国開発ファンドは資本金5兆ウォンで設立される政策金融機関で、中小企業と北韓への経済協力を支援する業務を担当することになります。金融委員会はまた産業銀行の新しい総裁にアメリカの証券会社、リーマン・ブラザーズのソウル支店代表のミン・ユソン氏を内定しました。これと関連し、政府は韓国産業銀行の民営化に向けて、産業銀行の業務制限を緩和し、海外の投資家が211億ウォンに上る債務の早期償還を求めてくる可能性に備えて、債務を政府が保証するとしており、このような内容を盛り込んだ法案を、今月中に国会に提出することにしています。

・国際的な原油価格の急騰にもかかわらず、船舶の輸出が好調を続け、先月5月の貿易収支は6カ月ぶりで黒字になりました。知識経済部が2日まとめたところによりますと、5月の輸出は394億9000万ドルで、去年の同じ期間に比べて27%増加しました。これに対して輸入は原油価格の上昇で384億5000万ドルとなり、去年同期に比べて29%増加しました。この結果、5月の貿易収支は差し引き10億4000万ドルの黒字となり、去年12月に貿易収支が赤字に転じて以来、6カ月ぶりで黒字に回復しました。先月の輸出は船舶、石油製品、携帯電話が二桁の伸び率を示し、中でも船舶は原油貯蔵用など付加価値の高い船舶の輸出が大きく伸びて49億ドルと、単一品目としては史上最高の輸出額となりました。一方、輸入は原油価格が上昇して輸入価格は月平均1バレル当たり110ドルとなり、これによって原油の輸入額は去年の同じ期間より58%も多い81億ドルとなりました。

・先月5月の消費者物価の上昇率は4.9%となり、ほぼ7年ぶりで最高となりました。統計庁が2日まとめた先月の消費者物価動向によりますと、先月の消費者物価は去年5月に比べて4.9%上昇し、2001年6月以来、6年11カ月ぶりの上げ幅となりました。このうち食料品など日常生活でよく購入する152品目の価格で表わす生活物価指数は5.9%も上昇しました。品目別ではそうめんが47%上昇したのをはじめ、ビスケット類32%、パン16%、ラーメン14%など小麦粉を原料とする製品の上昇が目立ち、灯油46%、軽油41%など石油類も上昇幅が大きくなっています。

・アメリカの女子プロゴルフツアーLPGAで、韓国人のイ・ソンファ選手(22)が逆転優勝し、今年に入って初めて韓国人選手が優勝しました。サウスカロライナ州マウントプレザントのリバータウンCCで開かれたアメリカ女子プロゴルフツアーのギン・トリビュート1日の最終ラウンド、首位と9打差になっていた韓国のイ・ソンファ選手は、5アンダーの67で回って、カリー・ウェブ選手とのプレーオフに持ち込み、パーを守って逆転優勝しました。イ・ソンファン選手は今シーズン初優勝、通算では3勝目で、今シーズンのLPGAツアーに参加した韓国人選手の中で初めて優勝カップを手にしました。一方、この大会ではキム・ソンヒ選手が3位、ジェーン・パク選手が4位に入るなど、韓国人選手7人がトップ10入りする好成績をおさめました。